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New Woman Power!(全2記事)

苦情のメールを送ったのがきっかけでCEOに就任--いちユーザーから経営者になった女性の話

新経連サミット2015にPolyvore・Jess Lee(ジェス・リー)氏とipsy・Michelle Phan(ミシェル・ファン)氏が登壇。「New Woman Power!」と題し、世界で活躍する女性経営者2名と楽天・三木谷浩史氏がトークセッションを行いました。本パートでは、両名の現在に至るまでの経歴や、事業立ち上げのきっかけを語ります。(新経連サミット2015より)

世界で活躍する女性起業家による対談

三木谷浩史氏(以下、三木谷):このセッションは、女性のパワーについてのセッションで、もう私は圧倒されつつあります。まず、お二人とも、とても革新的な新しいビジネスモデルの会社を経営してらっしゃるので、ipsyとPolyvore、この2つの会社の内容についてぜひお話いただきたいと思います。

日本の皆様にとっても、とても学びが多いと思います。ということでミシェルさん、よろしければどうぞ。

ミシェル・ファン氏(以下、ミシェル):こんにちは。本当に簡単ですけれども、私が自分のキャリアを形成する中で、どういうステップを経てきたか、概略をご紹介します。まず最初に私の名前が入ってますけれども、背景が宇宙になっています。というのは小さい頃から、少女の頃から無限の可能性、そしてアイデアが宇宙には広がっていると信じていたからです。

常に我々はインスピレーションを求めているんですけれども、1番のインスピレーションというのは、目を開いてもっとものを聞いて、そしてすべてを吸収することが1番のインスピレーションです。

ですから、皆さんインスピレーションを探してらっしゃるんでしたら、あなたの周りにはたくさんインスピレーションがあります。周りにはたくさんある。それは皆さんの中にあって、それに火花をつけることがもし私にできればと思ってます。

2007年、YouTubeのチャンネルを私は開設しました。これはGoogleがYouTubeを買収した2年後です。YouTubeはまだ初期段階で、本当に初期の頃でした。多くの方はまだYouTubeが何かも知らなかった。

私は大学生で、そして最初にYouTubeを見つけた時、私にとってこれが未来だと感じました。これはグローバルなテレビのようなものだと。自分のチャンネルを作ることができると。テレビのほかのチャンネルのように、自分のチャンネルができるんだと思ったんです。

そこであるアイデアを思いつきました。当時、大学でフルタイム学生をしていて、ウェイトレスとして働いていて、ですからちょっとおもしろい副業をしたいなと思って、その楽しい副業というのが、美容のチュートリアルを作ることでした。

女性のエンパワーメントを美容、それから医療、ヘルスケア、スキンケアなどを通じて達成するということで、こういった美容のためのチュートリアルをもう7年、8年作ってきました。

大体750万人ぐらいのサブスクライバー、それから10億を越える動画再生数をもっていますが、すべてが私が1番好きなものを人に教えたいと、共有したいというシンプルなアイデアからすべてが生まれています。

ということでこの動画ですけれどもこういった変身、左はですね、ハロウィン・ルックの変身ビデオ。それから右上、これはリラックスしてストレスを取り除くということで、美容だけではなくてライフスタイルも提案する動画です。それから左下、これも私の1番好きなテクノロジー、1番好きなアプリケーションを紹介しているものです。

それから右下、これはビューワーに対してインスピレーションを与えるために、いろいろと動機付けをするためのものです。

美しさの解釈は人によって異なる

ミシェル:ストーリーテラーあるいはクリエイター、そして起業家、そして多様な面を持つということ、いろいろなことにトライするということを私は常に重要だと感じています。

ということで、私が2011年に立ち上げた最初の会社がipsyでした。ipsyというのはラテン語に語源があります。ipsa、それは自分自身という意味です、セルフです。私がこの言葉選んだのは、美容は常に我々の中にあるものであって、いずれも美しく生まれている。

ただ、美しさについて解釈が違うだけだと私は感じていました。人が、美しさは何と見るかというのは人によって違うということで、新しい美しさ、美容の世界というのを私は作りたいと思ってたんです。

すべての人が美しいと思うのは紋切り型ではない。美しさというのは個人によって違う。そして、皆さんが他の人の美しさを引き出すことができるんだというのがipsyのそもそもの考え方です。

Ipsy立ち上げのきっかけは、サンプル品を求める女性達

ミシェル:Ipsyのビジネスモデルのそもそものインスピレーションとなったのが、2008年タイに旅行したことでした。このビジネスは2011年まで私は創業しなかったので、その着想自体はもう2008年タイにいた時に生まれたんです。お友達と買い物して、キオスクに行きました。

30人くらいの女性たちによって、小さなキオスク・スタンド周りでバーツがいきかっていて、そしてみんな騒いでるんです。何を買ってるのかと思ったら、美容品のサンプルでした。例えばドゥ・ラ・メールとか、あるいはランコムとか。本当に高価な美容メーカーなんですけど、でも小さなサンプルを買ってたんです。

なんでサンプルを買うの? と友達に聞きました。そしたら彼女は「あのね、タイでは美容製品を買いに店に入ったら、そして同じ日にそれを返品に行っても、返品はしてくれないのよ」と。

実はアメリカでは、ボトルの半分使っても、返品したら完全に全額戻ってくるんです。私は「信じられない、だから人々はサンプルが欲しいんだ」と思いました。

このビジネスのアイデアとしては、実は頭である着想には結びついたんですけど、まだまだ未熟なもので、どこでもアイデアの着想の源というものはあるわけで、ですから私頭の中に取っておきました。将来のビジネスに役立つかもしれないと取っておいたわけです。

サンプル化粧品の定期購読サービス「グラムバッグ」とは?

ということで、ここで私が持っているのがグラムバッグというバッグ。これは毎月送料込みで10ドル。その中に4から5つぐらいの現品サイズの製品か、あるいは4から5つぐらいの大きなサンプルが入っています。

左側、これが毎月受け取る封筒です。ピンクのポリパックですけれども、こういったバッグを郵便受けで見つけると、多くの方は「クリスマスのようだ」と、あるいはお誕生日のようにプレゼントもらった気分になるわけですね。毎月このメタリックなバッグが入っていると、皆さん興奮すると言います。

今まで出したバッグが全部右側に今、展示されています。下の女性ですけれども、彼女はいずれも動画を作ってるんですが、このバッグをショーケースにして開いて、そして中に入っているものを見せて、という動画を作ります。

女性ごとにすべてのバッグは内容が違うんです。というのは、バッグの登録をする前に、その女性についてのいろいろな、例えばリップスティックとか、あるいはヘアとか、どのようなスキンケアが好きなのかという、アンケートをします。アンケートに答えるので、このバッグはパーソナル化されているんです、女性一人ひとりに。

実は来月で100万バッグ、出荷数が100万を超えることになります。こちらはバッグの中身ですね。毎月ごとにキュレーションがあって、異なるテーマ別にキュレーションされます。左上は春というテーマで最も最近出したものですね。それから下は、他の前のコレクションのバッグの内容です。

私がこのipsyバッグで1番気に入ってるのは、バッグを再利用してるところを見ることなんですね。中に鉛筆を入れたりとかアクセサリーを入れたり、そしてそれを写真で撮って共有してくれます。ですからとても楽しいです。エンゲージメントのある、関与の高いコミュニティーでバッグも再利用してくれているんです。

ロレアル初のビューティブランド立ち上げの経緯

ミシェル:もうひとつipsyの後、2年後に私が立ち上げたのが、emCosmeticsというロレアルとパートナーシップを組んで出した新しいコスメのラインで、これはラグジュアリーの美容ブランドです。もうすでに250ぐらいのSKUを発売しています。

フェイスからリップスティック、ブラッシュ、ありとあらゆるもの、小さなコレクションじゃなくて、本当に大きなビューティーライン、いろいろな製品が入っている化粧品をお出ししました。これはeコマースだけ、オンラインだけでしか販売していません。

ロレアルという会社というのは、実はビューティーブランドを普通は自分で作らないんですね。普通は買収します。ですから、ロレアルとしては今回初めてブランドをイチから立ち上げたらしくて、前回それをやったのは、ロレアルという本業のブランドだったそうです。ということで、それに関われたこと本当にうれしく、また光栄に思っています。

これはcosmetics.comでeコマースの今のフォーカスなんですけれども、ここにはかなりWebサイトをきめ細かく作っています。つまり、ユーザーの経験を直感的にそういった楽な、感覚的なものにしています。

そして、先週ICONというプレミアムのライフスタイルネットワーク、それからマルティプラットホームネットワークを立ち上げました。エンテモール・シャイン・グループというところと連携しました。

いつチャンスが来てもいいように、常に準備しておくこと

ミシェル:このESGというのは、実は世界でも単独では最大手のプロダクション制作会社です。中国、日本、韓国、ロシア、そして南米とか、確か南極以外はありとあらゆるところに制作会社を持っています。

なぜこれを私たちが立ち上げたかといいますと、私が作りたかったのは将来のクリエイター、私のようなクリエイター、あるいは将来のタレントの方のインフラ、キャリアを作るためのインフラです。

例えばYouTubeなどでショーを見せる、例えばYouTubeのチャンネルを作りたい、テレビで放送したい、あるいは自分のファッションラインとかビューティーラインを作りたいといったような人たちにツール、リソースを提供して、彼らの運命を自分で切り開けるようにするというものです。

アメリカ、それからイギリスで同時に立ち上げ、そしてアジアでは年末に同じICONネットワークを立ち上げるつもりでいます。ということで終わりです。私のニコというネコの写真で終わりたかったので。

実は動画の最後に必ず「good luck」と書きます。その理由は、我々は自分の運は自分でコントロールできると私は思っているからです。つまり、チャンスというのは、十分で周到な準備からくるもので、ですから常に準備をしておくことですね、私みたいに。

いつチャンスが転がってくるかわからないから、常にそのチャンスがとらえられるような準備、備えをしておくことだといいます。

三木谷:すばらしいお話ですね。聞きたいことがたくさんありますが……。その前にまず、ジェスさんのお話も聞いておきましょう。

苦情メールをして、いちファンからCEOになった

ジェス・リー氏(以下、ジェス):皆さんこんにちは。ジェスです。PolyvoreのCEO、共同創設者です。カナダ生まれで中国人と日本人のハーフなんですけれども、香港で育ちました。母は名古屋出身の大阪外大卒で、香港で起業家をやっています。私子どもの頃は漫画家になりたいと思っていました。

しかし親に、それはあまり賢いことではないと言われまして、スタンフォードに行ってコンピューターサイエンスを学び、18歳でカリフォルニアに引っ越しました。その後、GoogleでGoogle Mapsのプロダクトマネージャーとなり、たくさんのことを学びました。

そしてある日、このすばらしいWebサイトを紹介されたんです。<a href="http://www.polyvore.com/"target="_blank">Polyvore.comというものでした。使い始めて、もう大ファンになりました。毎晩2、3時間使っていて、最終的にはこの会社の共同創設者に対して苦情のメールを送ったんです。ここはこうして欲しいというようなアイデアも送りました。

そのメールの後、コーヒーを一緒に飲んでミーティングをして、そしてPolyvoreの最初の従業員になりました。そして製品を任され、最終的にCEOになったんですけれども、もともとPolyvoreが大好きでコミュニティの一員としてスタートしたわけです。

Polyvore、これはショッピングサイトのアプリなんですけれども、スタイリングのアイデアを得られるんです。いろんなストアがいろんな商品を1カ所で簡単に買えます。GucciからFOREVER 21まで、すべて1カ所で買えます。そしてすばらしいコミュニティ、世界的なコミュニティがあって、その誰もがスタイリングが大好きです。

ということでいろんな商品をミックスして、コラージュなど使って、このように提示をするわけですね。

洋服だけでなく、インテリアのコーディネートまで提案できる

ジェス:アプリの一例をこちらに示しています。左側、これはPolyvoreアプリです。実際のその製品を使って、コラージュを作って友達と共有できるわけです。

そして毎月いろんな人がこのPolyvoreに来て、これを見てですね、買い物したり、自分たちの物を作ったりします。非常に有名なスタイリストが作ったストリートスタイルを見たりとか、それからビューティーもやっていますので。

これはミシェルさん、私ミシェルさんの大ファンなんですけれども、何年もフォローしてます。YouTubeでの成功も非常にすばらしいと思います。

あとホームデコ、これはインテリアですね。Polyvoreのオフィスを設計するという、これをコンテストにして、ドイツからにマウンテンビューに来てもらって、このインテリアデザイナーの女性がデザインをしてくれたわけです。

セレブスタイルというのもありますし、ポップカルチャー、トトロに関連したものもあります。ファッションのインスピレーションはいろんなテーマがいるわけなんですけども、最後はトラベルもあります。旅行に行く時には何をスーツケースに詰めたらいいかということです。

世界中の一人ひとりに自信を持って欲しい

ジェス:自分のスタイルに自信をもってほしいというのが私たちのミッションです。今、このファッション業界というのはビューティーの定義が狭すぎると思うんです。誰もがそれにはまるわけではありません。

せっかくこれだけ大きなコミュニティが世界にあるわけですから、新しいプレスを使って彼らのスタイルというものをいろんな人と共有してもらって、そして一人ひとりが自分のニッチを見つけて、自分は格好いいなと思ってほしいんです。

例えば、アナ・ウィンターがVOGUEで最新のトレンドを決めるというのはおかしいと思います。世界中の一人ひとりが、アナ・ウィンターのように自分で、例えばミシェルさんのように、自分にとってはこれが1番クールなトレンドなんだと、自分を表現するにはこのスタイルが1番いいんだと思ってほしいんです。

そして、スタイルに自信が持てれば、全般的な自信もより強くなるということで、日常生活もよりうまく送れるようになると思います。月次で大体2000万ぐらいのビューワーがいるんですけれども、18から34歳ぐらいが1番多いんですが、ほとんど女性です。

そして、ソーシャル・コマーストラフィックということでは今第2位です。アメリカのブランドリテーラーというところでは第2位です。もちろんFacebookが第1位なんですね、ユーザー数という意味では圧倒的です。

しかし私たちが第2位で、その後がPinterest、その後はTwitterです。つまり、どれだけのトラフィックをリテールブランドに送って、そこでショッピングが発生しているかということです。

通常380ドルぐらいの平均単価なんですけれども、これも他のネットワークをすべて合わせたよりも大きい数字です。非常に事業としてはうまくいっています。サンフランシスコのマウンテンビューに拠点がありますので、プロダクティング・エンジニアリングということで58パーセントぐらいがエンジニアリングの人間です。

そして、昨年グレート・プイレス・ワークというですね、テクノロジーのカテゴリーでの、はたらきやすい職場という賞をいただきました。チームの写真がありますけれども、みんなものすごく楽しんで仕事をしています。ハロウィンの写真もありますね。お寿司の仮装をしてきた従業員の写真でした。

三木谷:ありがとうございます。

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