2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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朝倉祐介氏(以下、朝倉):いろいろ会社の舵を切っていく時ってよく「2:6:2」みたいなことを言います。2割ぐらいの「フォロワーでついていきたい」って人と、6割ぐらいの中間層っていうか「どっちにしようか」ってところと、最後の2割として抵抗勢力がみたいなのが出てくるっていう話を一般的に聞きますけども。
特に後半の2割にどういうアプローチをかけるのかといった時、例えばグリーさんの場合はどうなさったんですか?
山岸広太郎氏(以下、山岸):最後やっぱりこれは大義があって、やることやらないことがありますが、特に大義に賛同してくれない人とやるやらないって決めてることに固執している人はすごく優秀な人だとしても、そこは割り切る。
朝倉:そこは能力じゃない?
山岸:そうですね。能力じゃないと思っています。あと、やっぱり、こっちがビビんないっていうのがあって。去年、組織をすごく変えたタイミングがあって、やっぱり何人か重要な人から「これは絶対うまくいかないっすよ」みたいなことを言われて、自分でも「これはヤバいな。うまくいくのかな、どうなのかな」って迷った時期があったんです。
僕、去年ぐらいからお寺に行くようになってちょっとお坊さんと話すようになったんですよ。
その時に「山岸さんね、乗り越えられない壁はないから、逃げず・恐れず・ひるまずって言えばできるよ」と言われて「そんなバカな」と思ったんですけど。
そう言われたから何かあったら「逃げず・恐れず・ひるまず」って唱えると、結構イケるみたいな感じになりますよね。完全に自己暗示ですけど、ビビるというのは一番ダメです。自分を信じてないとできなくなるんで。
「とにかくこれが絶対大事だし、やれるんだ」と思うと、相手も「この人、何言ってもしょうがないな」みたいな感じになって折れるか、(会社に)残らないかになるのかなと。
朝倉:優秀な人ほど、強い想いがあって、アイディアがあるから、会社側の「こういう意思決定をしたんだ」っていう説明に対していろいろ反発してきたりする場合もあるんですけど。
逆にいうとそういう人たちが言うからこそトップの意志決定が若干ブレそうになる瞬間ってやっぱりありますよね。なかなか厳しいなと思いますけど、ボヤージュさんの場合はいかがですか?
宇佐美進典氏(以下、宇佐美):さっき話したみたいに、ネガティブなオーラを持っている人に対しても「こうやるんだから」と押し付けるような形で説得すると、やっぱり反発してより一層自分の意見を持ちすぎちゃう場合があるので、逆に(相手の話を)聞くんですよね。
「こういう状況で、実際にマーケットがシュリンクしているし、このままやったら会社が本当にダメになるかも知れない状況の中で、じゃあどうすればいいと思う?」というふうに話をしていくと、だいたい「じゃあ、こうした方がいい」とその人の考え方が出てくるんですよね。
でも、それに対して「こういう事が起きるじゃん」と言って、どんどん話を進めていくとその人も「視野が狭かったな」って気付くようになってくるんで。
そうやって話をすれば自然と前提条件を共有する形に結局なります。そこで結果として(お互いの考えが)合う形になってきますね。極論、話が価値観の部分にいく場合もあるんですよ。その時はしょうがないと思うのですが、価値観ではなく手段の違いであれば、一緒によりいいやり方を考えていけるはずなんですよね。
こちらも「このやり方じゃなきゃダメだ!」と言っているわけではないので、(解決の)手段をよくしていくということができますし。価値観の話になって、互いの考えが水と油になってしまったら「だったら、それはもうしょうがないかな」って、そういう感じですよね。
平井陽一朗氏(以下、平井):グリーさんって結構創業メンバー多いじゃないですか。かれこれ10年やってて結構変革が多いとはいえ、さっき小澤さんの話にもありましたけど「経営者が変わる」とか「経営者を変える」も確かに一つのやり方としてあると思うんですけど、グリーさんの風土改革って実際どうやってらっしゃるんですかね?
山岸:まさしく「カルチャーみたいなものが大事だよね」って話はここ1、2年の話で。今、ほぼ創業の時からいるCTOの藤本真樹が「Refactoring GREE」っていうプロジェクトを立ち上げていて、やっぱりものづくりの会社としてクリエイティビティを大事にしていいものを作っていこうとしています。
「お客さまに喜んでもらわないと、うちにも成長はないよね」という原点に戻って何が必要かっていうのを(考えています)。
変革のアプローチは、トップダウンの案件が多いんですよね。それに慣れちゃって、社員も「これ言っても聞かないよね。この人たち」みたいになってる状況を、ちゃんと現場からクリエイティブなアイディアが出てくるように変えていくにはどうしたらいいんだってことをみんなからテーマを募りつつ、いろんなプロジェクトを立てて、社内横断でやっている最中ですね。
平井:昔に比べて、フラットになったのか、より一層権限委譲が進んでいるとか、そういうことですか?
山岸:(社員数も) 2010年6月が170人で、2013年に一時的に2,000人以上になっているんですよね。2,000人ぐらいが一気に入社しててカルチャーも作れなかったし、権限委譲もちゃんとうまくできなかったんですけど、今は権限もできるだけ明確に与えていこうとしています。
例えば、人事が全社員面談をやっているんですけど、どこにどういうタレントがいて、みんな何をやりたいのかということを聞いているほか、(今までは)トップダウンでの異動が多かったのを、社内公募でどこに行きたいっていった場合に、会社の中でどういうオファーができるかみたいなのも組織的に取り組もうと変えてきています。
平井:すごい悩んでるんですよ。ヤフーさんとかにもぜひ聞きたいんですけどね。BCGって昔だと誰も知らないような会社で、入ってくる人ってよほどの変わり者なんですよね。本荘修二さんなんか会社のOBなんですけどもね。
それが多少知られるようになると、もともと持っているベースが違う人たちが「いい会社」だと思って入社するケースが増えるので、昔ながらのあるべき論や文化をどう残しながら新しい人たちを入れて会社を大きくしていくか、すごい悩みの一つではあるんですよね。
グリーさんなんか「なるほどなぁ」と思って聞いていましたけど、ヤフーさんなんか小澤さん入った時から元々デカかったですもんね。でも、結構入れ替えとかされたんですよね?
小澤隆生氏(以下、小澤):入れ替えはしてますけど、構造改革ってやっぱり会社の規模がデカければデカいほど慣性の法則が効いちゃってるから。
船でいったら、空母を変換するより、手こぎボートの方向をキュキュキュと変えた方が楽だから、当然会社もちっちゃい方が楽で大きければ大きいほど大変です。
何度も言いますけど、構造改革ってのはここにおすわりの皆さんもそうですし我々もそうですが、すぐやらないといけないし、他人事ではありません。
ヤフーだってグリーだって「ホントに儲かって儲かってしょうがない。どこまで続くのかな?」って経営陣が思っていた時期が実際にあって、その時は今後のことなんてわかんないですよ。
でも、皆様方もまだ儲かり始めてもない状態だけど、これから賭けようって時に大前提が崩れる場合があるわけです。
私、Crocosって会社やってましたけどね、Facebookからまさか懸賞(サービス)止めろって言われるとは思わないですよね?
そうなっちゃうと会社自体が吹き飛ぶわけですね。Launch Pad見てて、皆様がどう思われたかわからないですけど、一つの見方の軸としてはおもしろくて、つまりは「なにかの前提にのっとってるかどうか」ってことです。
ある前提が吹き飛んだ時に、そのサービスがうまくいくかどうかが(リスク管理の上で)とても重要です。
例えば、GoogleとかAppleとかのプラットフォーム上でやってるサービスっていうのは、当然彼らのルールにものすごく依存しますから、そこが変わった瞬間に成立するかどうかわからないというものに関しては、経営者自体がまずそういうリスクがあるということを認知しておく必要があります。
私は構造改革の前段階があると思っていて「構造改革をしなきゃならない」って考える前に(自分のサービスには)どういうリスクがあって、どの程度対処すべきかってことを事前に経営陣が認知しておくこと。
さらに、やはり自分が賭けた領域ですから、先ほどお話の中で出た「2割の抵抗勢力」っていうのがまさに経営者自身ってことがあるわけですよ。
「いや、俺はこれに賭けているんだ!」とか「俺はこれが好きだ!」っていうことがあって、その場合はコケると会社ごと必ず死にますから。現場がいくら言ったって通じないと。
これはなかなか不幸な事です。自らを厳しくリスク管理することと状況の分析をかなりクールにしなきゃならない。
「俺は今やりたくてやってるけど、こういうリスクあるよなぁ」と。本当に会社が飛ぶ鳥を落とす状態でも、そういう認知ができるかどうか。ヤフーもやはりうまくできなかったし、グリーも多分その時はできなかったから今こうなっていると。
皆様方の事業領域においては何がリスクで、もしそれが起きてしまった時にどうするんだというのをざっくりとシナリオを用意した方がいいんじゃないかな。会社の大きい小さいにかかわりなく。
ただ、ちっちゃい方が構造改革はしやすい。ホントにちっちゃな舟の方がキュキュキュと帰れますから。ヤフーなんてインターネットの中で最も大きな空母が必死に方向を変更しようとしている状態ですからね。
(登壇者を指して)ここにいる人たちは修羅場をくぐり抜けていて、特にあそこにいる朝倉さんなんてよくよく話を聞いてみたいですけどね。どうだったの?
朝倉:修羅場楽しいっすよ。どんどん強くなっていく感じがして。……僕の話? ミクシィはサービスのアイデンティティとコーポレートのアイデンティティをいかに解きほぐしていくかが会社全体的に一番のテーマでしたね。
いろんなことをやってますけど、本質はそこだったと思ってます。mixiというSNSに思い入れがある方はたくさんいらっしゃるんです。ただそこで「大成功してしまった会社」であるが故に、そこからの方針転換が極めてしんどかった。
ですので、もういろんな手を打ちました。戦略自体は極めてシンプルです。先ほど申し上げた「既存事業の採算性をいかに改善していくかということ」。これはSNSの話です。
それと並行して「FindJob!やmixiに続く新しい事業をいかに生み出していくか」。買収もあるし、ゲームやフォトブックの「nohana」など自分たちでも新しいサービスを作っていく。
あとは、ウェブサービスっていう世界自体が非常に変化の激しい世界だから「外部環境の変化に耐え、適応できる組織風土をどうやって作っていくか」。
これがシンプルな3つの戦略なんですけども、そのための施策はいろいろ考えました。結構真剣に「ミクシィ」って社名をいつまで続けるべきなのかってことも議論しましたし、よりドラスティックに構造改革すべきなんじゃないかといった話も散々、喧々諤々としています。
やはりうまくいき過ぎた事業が強烈であればあるほど、かえってそこからの方針変換が難しいということは起こりがちなのかなとは思います。時間も少なくなってきましたし、宇佐美さんと山岸さんにうかがおうかなと思うんですけど、今日(この会場には)スタートアップでこれから事業を伸ばしていこうって方が大勢いらしていて。
できれば変革なんてない方がいいわけじゃないですか。というか、そんなに痛みを伴わないでスッと変換できればそれに越したことはないわけですけども、今振り返ってあの時こうしておけばもっと楽に転換できたかなってところが何かあるか。
変革とかそういうことって予防できるのかって観点で何かアイディアがあればうかがえればと思います。
宇佐美:じゃあ、僕からでいいですかね? まず前提として、変革って耐えられた人や組織を強くすると思うんですよね。
だから、そもそも変革を恐れ過ぎない方がいいんじゃないかなと思う。ある意味、成長していく中での成長痛みたいなもので、その変革を過ぎるとより強い組織として生まれ変わって、また次のチャレンジがしやすくなる部分があるので。
変革を避けよう、避けようと考えるよりは、所与の条件として2、3年のうちに来るものだという中でいかにどう楽しんでいくかくらいの考えでいた方がいいんじゃないかなと思います。
そのうえで、僕個人として、創業時からアツイ組織を作ることに取り組んでおけばよかったなと思う。これに気付いたのは、サイバーの役員をやっている時。
僕は、創業時からある時期までどちらかというと「事業モデルとか戦略とかそういった部分をやっていくことが大事だ」「それで成長できるんだ」と思っていた部分があったんですけど、サイバーってどちらかというと、戦略とか事業ドメインとかよりは、むしろ「どうやっていい人を採用して、任せていくか」っていう部分が会社にカルチャーとして浸透していた。そういった部分ってなかなか後から変えるのって難しいんですよね。
組織の熱量って、基本的に組織が大きくなっていけばいくほど冷めてくると思うんですよ。だからこそ、最初にいかに熱い組織を作るかみたいなところを、僕自身はもっと最初からやってればよかったなと思います。
朝倉:ありがとうございます。残り1分ほどですけど、山岸さんお願いします。
山岸:僕が思っているのは、やっぱり変革は攻め系にしろ守り系にしろ、基本的にベンチャーでなにか成し遂げようと思い、会社を大きくしようとしてやっている上では避けられないと思うんですね。
変革をやりやすくするためには、組織のストレス耐性を上げるっていうのがすごい大事だなと思っていて。グリーはやっぱり急拡大している時は事業がどんどんうまくいっていたんで、そこが作れなかったな。
ストレス耐性でも二つポイントあるなと思って。一つは外からなにか言われることに対して強くなる。メディアから批判や非難されることがあると、社員がそれを見た時にすごく傷ついて「なんかダメだ」みたいに思っちゃうんですね。
でも社外の人からいろいろ指摘されたとしても「自分がちゃんとやるべきことをやっているのか」ということの方が大事だと思うんですよ。
朝倉:外の人は関係ないですよね。ユーザーじゃないですもんね。
山岸:そうそうそう。謙虚さは大事なんですけど、自分たちに誇りを持てるような雰囲気とか自分たちが持っている強さみたいなものを持たなくちゃいけなくて。
だから僕、結構社内でも「ナイーブになるな」って話をしています。それから、もう一つは人の出入りってことに対してですね。
ずっとほとんどの人が辞めないって会社から一気に辞めるって状態になってすごく傷ついた。僕らも傷ついたし、創業した直後に、社員になってもらった人に辞められたことで結構ナーバスになったので、社員の人には辞められないようにいろいろと意識してやってきて。
そのために、意志決定の時にブレるっていうのがあったんですけど、何のためにこの会社があって、どういう人がいま活躍できる人かということの方が大事かなと。
みんなにできるだけ長くいてほしいとは思うんですけど、志とかその時やりたいことが合わなくなれば出ていっても別にいいよねって前向きに送り出せるようなカルチャーをちゃんと作って新陳代謝できるようにしないと会社自身変われなくなるなと思っていて。
メンタルと人が入れ替わることへのストレス耐性を作っていくということが変革に耐える会社の条件なのかなと思いますね。
朝倉:ありがとうございます。ぜひ会場から質問を募りたかったんですけど、お時間もないようですのでここまでとさせていただきます。
結論としては、おそらく変革というのは避けられないものだし、同時にその変革を乗り越えるとまた強い会社になっていくというところは各社共通した認識なのかなというふうに思いますので、皆さんご参考にしていただいて変革を前提にした準備をうまくいっている時から仕込んでいくのが大切なのかなというところでしょうか。
ということで、今日は皆さんありがとうございました!
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