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挑戦する生き方―夢・目標を持って人生を生き抜く(全4記事)

GMO熊谷氏「400億円の損失を出して、自殺する夢を見た」会社存続の危機を乗り切ったある習慣とは?

参加者の学生たちが登壇者にQ&Aを行うIVSワークショップ。「短中期目標は夢から逆算するのか、それとも目の前にあることを臨機応変に対応していくのか」「一番自分の根本になっている欲求はなにか」などの質問に、コロプラ・千葉功太郎氏、GMO・熊谷正寿氏、スタンフォード大学客員研究員・朝倉祐介氏の3人が回答しました。(IVS 2014 Winter Workshop より)

苦しい時間が9割、楽しい時間は1割

田中章雄氏(以下、田中):ありがとうございます。ちょっと1回ステージに戻りまして、さっき夢とかチャレンジの話をしてたんですけど、一部さっきの質問の中でもあったかもしれないですけど。

結局、人生100%全てが順調なわけではないので、やっぱり夢に向かって邁進していく中に何らかのチャレンジとか、挫折とか、順調にいかないそういうネガティブな側面もあるかと思うんですが。

そういう時にお三方はどういうふうにそれを乗り切ってきたのか、あるいはその時の体験談みたいなのがあったらぜひ教えていただきたいなと思うんですが。挫折、そしてそれをどう乗り越えるのか?

これは誰からいきますかね。熊谷さん、ふっちゃってもいいですか? まず。その間、千葉さん、あまり挫折がないような感じなんでよく考えてください。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):そうですね、こんな話するとみんな事業家になるの嫌んなっちゃうかもしれないけど、ぶっちゃけ事業家経験振り返ってみると、9割ぐらい苦しいんですよ。楽しいのはほんとに1割、時間にしてね。

でも、その1割の楽しさって、多分、だらだらとした目標のない通常の生活をしているより、100倍とか1,000倍なんです、達成感とか、充実感とかね。

だから、本当に振り返ってみると、苦労が多いんだけど、その中でも特に苦しかったのは、2007年度に400億円損失を出したことがあって。

東証一部に上場したのが2005年なんですけど、その翌年度には、会社の「継続疑義」という状況に陥りまして。

有価証券報告書にこの会社危ないかもって監査法人に書かれて、その翌年までの約2年間で400億円の損失を出して、債務超過の危機に。債務超過っていうのは、要は債権者支配になってしまうことですね。

つまり株主資本がゼロになることなんですけど、起業家っていうのは自分で資本を入れて、その資本が増えてって、株主としての立ち位置があるわけですよ。それがマイナスになるってことは自分の会社じゃないってこと。

「弱気にならない、諦めない」と毎日手帳に書き続けた

熊谷:僕は、東証一部に上場して2年で他人の会社になってしまいそうな危機があって、その時に1度、自殺の夢を見ました。練炭自殺をして、全身汗だくになって目が覚めて……。

それこそ、本当に、何て言うのかな……一度夢で自殺した時、もう自分も、これまで助けてくれた仲間の人生もゼロにしちゃったんだって思いましたね。そんな経験をして、本当に苦労したんですけど。

その時の乗り切り方は、やっぱり、具体的には呪文を唱えてました。

これ、本当なんですけどね。呪文っていうのは「諦めない」って言葉。いつもへこたれそうになっちゃうんで「弱気にならない、諦めない」って毎日手帳に書いて。

僕、毎日の行動のスケジュールは、もちろんスマホも使ってますけど、手帳に手書きするんですね。

そこに、朝一番の心構えとして、弱気にならない、諦めない、弱気にならない、諦めない、弱気にならない、諦めないって自分に言い聞かせるように1年間以上書き写してました。

そういう呪文を毎日唱えて、折れそうになる心を自分自身で支えていたのを覚えています。やっぱり大きな夢を持ってそれを仲間とずっと語っていたので、その語っていたことを裏切れなかったんですね。

自分自身でも、一番大切なのはやっぱり仲間ですから、仲間を裏切れないっていう気持ちあり、また、みんな仲間は僕のその将来の大きな夢を信じて誰1人辞めずについてきてくれたんですね。

通常、会社って傾くと、どんどん幹部が抜けてったりしますよね。うちは誰1人辞めないどころか、会社を救うと言って、そんな悪い時期に外から入ってきてくれた方すらいました。

だから、やっぱり大事なのは、大きな夢を持ってそれをみんなと共有して諦めないこと。

あと、心が折れないようにするということが、危機の時っていうか、苦労した時の乗り切り方だと思います。以上です。

田中:ありがとうございます。朝倉さん、この後に多分フォローするの非常に難しいと思う(笑)。

勝てない競走馬は馬刺しになる

朝倉佑介(以下、朝倉):すばらしいと思います。今日、ここに座れて本当によかったです。ありがとうございます。おっしゃるとおりで、しんどい時に書き出すということはやりましたね。

例えばミクシィだと、去年の秋口あたりは相当ひどくて苦しみました。みんなに呼びかけるのと自分に言い聞かせる意味を込めて、社是案みたいなものを作ってましたね。

10個ぐらい作ってたんですけど、例えば「本当の失敗とは挑戦しないこと」とか…。一番のお気に入りは、そもそも失敗したらどうなるのって話なんですけど「人は失敗しても馬刺しにはならない」です(笑)。

競走馬を扱っていましたが、シビアな世界なんですよ。年間7,000頭サラブレッドが生産されるんですね。いないじゃないですか、日本にそんな多くのサラブレッド。

勝てない馬はどうなるかというと、肉になるんです。そういう優勝劣敗の世界を見ていると、本当にシビアだな、経済動物って大変だなと感じます。

人間って仮に失敗したとしても、命まではとられないじゃないですか? だったら、もう思い切ってバット振り抜けよと自分に言い聞かせていたし、みんなにも言ってましたね。表現方法が正しいかどうかはわかんないですけど。

田中:元ジョッキーとしては正しい表現方法を…。

朝倉:そうですね。あと、まるっきり逆のことを言うようですが、逃げるってありだと思うんですよ。

例えば、皆さんが大学で何かものすごい行き詰まりを感じて、この場で自分のやりたいことをなかなか実現することができないということでずっとウジウジ悩んでいるとしたらんだったら、休学してもいいと思うんですよ。

別に退学しなくてもいいけど。全然違う所に行ってみるとか、環境変えるってすごく重要。人間って環境の奴隷だと僕は思っています。環境が変わることによって、自分自身が変わっていくこともある。

「逃げる」という言い方をすると非常にネガティブな響きなんだけども、自分のいる環境をガラッと変えてみるっていうのは、僕は考えてもいいのかなと思います。

レールを外れよう

田中:そういう意味で、朝倉さん、日本からオーストラリアに移って、やっぱり人間変わりましたか?

朝倉:変わりましたね。僕、中学ほとんど行ってないですよ。中学の1年生まではオール5みたいな、結構優等生だったんですね。突然、やってらんないなぁと思って……。

今思うとしょうもない話なんですけど、野球部に一時いたりしたんですけど、ポジションから戻ろうとしたら「誰が歩いてええっちゅうたんや」なんて言われるじゃないですか?

そういうこと言われると「誰が走れ言うたんや」って思う、そういう子供だったんです。一事が万事、上から指示されたりとか命令されたりすんのが我慢できなくて「義務教育だから仕方なく俺は学校行ってやってんだ」と、断固とした強い意思のもと俺は引きこもるということで、義務教育を放棄しました(笑)。

代わりに何をやっていたかというと、図書館行って自分で本読んだりとか、勉強したりとかして、昼休みに学校行ってみんなとサッカーして、昼休み終わったら帰ってくる。で、また図書館行く。

そういう生活をしてました。これはね、俺、小学校、中学校行ってて、このまま高校とか行ったら、人間が駄目になるなと思って、もうレール外れようと。脱藩ですね。脱藩しましょう、みんな(笑)。

田中:ありがとうございました。すごい、いいアドバイスですけど、これを実際にフォローするにはちゃんと心構えがあってからじゃないとできないと思う。よく考えて、皆さん退学してください。

ちょっと今、時間チェックしてるんですけど、あと15分、20分ぐらい時間がありますので、せっかくこれだけいろんな深い経験をしているパネリストの皆さんが集まってますので、またオーディエンスから今度は質問を受け賜りたいと思うんですけど。

まず一番最初に元気よく手を挙げてくれた、5列目の方にお願いします。

出会いこそ人生の宝探し

質問者:ありがとうございます。○○と申します。僕は東大通って辞めて、イギリスの大学通って2ヵ月前に辞めて、今2社目を準備中です。お伺いしたい質問が、そもそもの今日のテーマが「夢と目標を持って人生を生き抜く」っていうことだったんですけど。

例えば、さっき千葉さんおっしゃったように20年後にこういう夢があって、これがやりたいからっていって、今やることを逆算的に考えるのもありだし。

それこそ、その一方で、今目の前にこういう市場があって、この波に乗りたいからこれをやる。そもそも夢を持つことが大事なのか?

もちろん、会社としては短中長期目標出さないといけないと思うんですけど、皆さん方の個人として、夢から逆算するのか、それとも目の前にあることをとりあえずやって臨機応変に対応していくのか、どちらなのかお伺いできれば幸いです。

田中:誰か、これ答えてほしい方いますか?

質問者:お答えいただける方がいれば……。

田中:誰いきますか?

朝倉:じゃあ。

田中:朝倉さんでいいですか?

質問者:はい。

朝倉:今日、全員、本当に熊谷さんの本を買ってくださいね(笑)。本当に。僕、大学の時読んで、ものすごい感銘受けたんです。

田中:熊谷さんの本、ちなみに読んだことある方いらっしゃいますか? 手挙げてください。結構いますね!

熊谷:今、ストアで100円とか200円ですから、ぜひ検索してみてください(笑)。

朝倉:熊谷さんの本の中では、20年、30年を見越して、細かくステップダウンしていくという人生設計の方法が非常にわかりやすく説明されています。

これはすごいなと思いまして、拝読して感銘を受けたんですけど。僕の場合は、本当に恥ずかしい人生を送ってまして、全然こうした設計ができないんです。

どうしても自分の中で、わかりやすい夢だとか、これだっていうものが設定できませんでした。

これは人のタイプによるのかなと思っています。そういう詳細設計系の人もいらっしゃいますが、僕は出会い系なんですよね。

昔「出会いこそ人生の宝探し」って言っていた人がいました。別に何のことはない、TRFの歌詞なんですけど、TRF(笑)。そんな感じなんですよね。

僕はいろいろと人と会っているうちに、何かおもしろいものを見つけて、これだっと思ったものにバッと飛びついてグワーッとやってしまう。

そんな感じで過ごす人間がいてもいいんじゃないかなという成れの果てが私です。やっぱり「あなたと過ごした日は21世紀で最高の出来事」って言ってみたいし、言われたいじゃないですか?

田中:そうですね。

朝倉:ね!? 僕はずっと出会い探しかなと思っています。自分自身が今アメリカに行っているんですけども、ガラッと環境を変えて新しいインスピレーションを受けようということをやっています。だから、人それぞれなんじゃないでしょうか。

一生涯の目標を立てるべきかどうかは人による

田中:熊谷さん、どうでしょう。

熊谷:結論、人それぞれだと思います。僕はやっぱり人生のゴール、つまりやりたいことや、成し遂げたい目標を決めて、そこから逆算するっていうやり方ですね。

人生というのは6つの分野で構成されていて、健康面とか、教養面とか、心のあり方とか。この3つのベースに加えて、社会生活、あと家庭生活、仕事の面、プライベートの面があって、それぞれでやりたいことや、目標がある。

その5つのカテゴリの上に、最終的に結果としての経済の面とかの目標を持ってきて、こうして一生涯にやりたいことをこのピラミッドの中に書き出すんですね。

死ぬ時に振り返ったとき、なるべく後悔したくないなと思ってまして、一生涯にやりたいことを全部やってから死にたいと思ってるんですね。

よく例えられるのが、今はGPSありますけど、昔灯台ですよね。真っ暗闇の海の中を船で航海してます。

やっぱり灯台があったらまっすぐ進めるけど、なかったら、振り返ってみると、上から見たらクネクネ曲がってるケースがあるじゃないですか?

自分の身長より高い草に覆われた大草原を歩く時に、遠くの山の上の1つの目印、木の目印を見て歩けばまっすぐ歩ける。

時間って全員が、皆さんも僕も、おそらく平均寿命80歳プラスマイナス10年なんですよ。永遠に生きる人はいない。だとすると、一番大事な人生のリソースは時間で、全員が平等に持っているもの。

そこをクネクネ歩かないためにはゴールを決めといたほうが得なんじゃないかなっていうふうに僕は考えてるんですね。

でも、これはタイプだと思います。目標ばかり立てて、目標を立てること自体が人生の目標みたいになってしまって、実際の行動が取れない人もたくさんいるし、一生涯の目標というものを書き出そうとしても、なかなか思い浮かばないケースも確かにあるんですよ。

だから、あまりこだわることなく、後悔なき人生を歩むって決めて、自分に合ったやり方をするのが一番いいんではないかぁと思います。以上、回答になりましたでしょうか?

質問者:はい、ありがとうございます。

熊谷:ありがとうございます。

偶然の出会いを大切にする

田中:千葉さんはどういうタイプですか?

千葉功太郎氏(以下、千葉):○○さんのに回答すると、僕はちょうどハイブリッドですね、中間ぐらいですね。目標設定はします。さっき言ったとおり短中長期目標を作って、そっから逆算する人生が僕は大好きなんでやってます。2つのことを意識してきました。

1つ目は、これからの目標を具体的にまとめて書き出すことです。

今年40才になったので、40才なった時に、知り合いの経営者コーチングの人に頼んで3ヵ月間コーチングしていただきました。

その間、自分が絶対に譲れないところなどを洗い出し、自分の人生で最も譲れない何かを整理して、書き出しました。残りの自分の人生の中で大切なものをまとめました。

2つ目は、人に会うことの大切さです。

偶然の出会いを実は大切にしています。ただ偶然は必然だと思っていて、僕はとにかく探しに行く。今日もこうやって皆さんとこうやって会えていることも、自ら機会を作りにいった結果の偶然だと考えてます。

こういう意識を持って、今日来てる経営者も全員来ているのだと思います。

能動的に新しい出会いとか、新しいネットワーク、新しい環境に自分が首を突っ込んでいって、深く1人ひとりと話して、お互いのシンパシーを交換する大切さです。

その化学反応で起きたことを自然に受け入れて、見えなき道の軌道修正だったり、あるいはワープしたりと活用しながらも、中長期目標はぶらさずに進めていくという、その両方を大切にしているタイプかなと思います。

お答えになってますでしょうか?

田中:ありがとうございます。他に質問ある方。今度、前のほうからいきますかね。自己紹介からお願いします。

家族が幸せであってほしい

質問者:京都大学2回生の○○と申します。今の仕事をしていたりとかする時の理由って、人々を笑顔にしたいとか、お金を儲けたいとか、いろんな理由が多分あるとは思うんですが。

先ほど出たみたいに一番ベースの欲求っていうのがすごい大事なんだみたいな話があったと思うんですが、そのいろんな理由の中で、一番自分の根本になっている欲求って何かお伺いしたいです。

田中:誰にですか?

質問者:皆さんにお聞きしたいです。

千葉:一言なんで。家族ですね。子供と嫁ですね。あと親。家族が幸せであってほしいなって、僕は最大の欲求です。

田中:朝倉さん。

朝倉:仕事してないですからね、今。ミクシィの時を振り返ると、原動力はある種の怒りだと思います。あるべきものがない状態に対して強烈な違和感を覚えます。

それを何とかして直さなきゃと。勝手に俺が何とかしなきゃって思ってしまいます。

田中:熊谷さんお願いします。

熊谷:僕はですね、ステージによって変わってきたんですね。今は家族、関わる仲間達、お客さん、皆がやっぱりハッピーでいてくれること。

笑顔でいてくれることが、やっぱり自分の心からのモチベーションになってますね。以上で回答になりましたでしょうか。

質問者:ありがとうございます。

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