2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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藤代裕之(以下、藤代):ニュース・ビジネスの今後を語るということで、よろしくお願いします。
片岡、松浦:よろしくお願いします。
藤代:では、自己紹介から。
片岡裕(以下、片岡):ヤフー株式会社で、ニュース本部の本部長をやってます片岡と申します。主にヤフーニュースを中心に運営しております。よろしくお願いします。
松浦茂樹(以下、松浦):スマートニュース株式会社でメディアコミュニケーションのディレクターを担当しております。松浦と申します。主にですね、メディアの皆様方とのコミュニケーションをやりながら、ユーザーの皆様にコンテンツをお届けするところも担当させていただいております。よろしくお願いします。
藤代:インタビューを担当するのは、日本ジャーナリスト教育センターの代表理事で、ジャーナリスト、法政大学准教授の藤代と申します。よろしくお願いいたします。
まず規模について伺います。ニュースビジネスはどこまで拡大するのでしょうか。先ほどのIVSのセッションでは、マス型と専門型という分け方が出ました。
現代ビジネスと、ニューズピックスは専門性、お2人のヤフーとスマートニュースはマスっぽい方向だと思います。マスのこれからの形はどうなるのか。
今まではマスメディアっていうとテレビ、新聞みたいなものですが、スマートフォンにおけるニュースっていうのはどう違うのか。
松浦:そもそも伝達経路が新聞さんの部分でいうと、紙がご家庭に届くっていうルートが1個しかないわけですよ。各紙さん、そのものすごく太いルートを奪い合うっていう形です。
テレビであれば、さっき垂直統合って話がありましたけど、とはいえ受像機が各ご家庭にあるっていうところでいうと、ボタンの押し合いっていう話。でも、物理的な限界が新聞にしてもテレビにしてもあるわけじゃないですか。
一方で、ネットメディアにはものすごくでっかいスマートフォンっていうブロードキャストがあるんですが、その選択肢っていうのはわりと無限大に近い。
伝えるっていうところでいうと、そもそもスマートフォン自体がマス、日本の人口で言ったって普及率までいうと結構な値まで来ている。
とある調査で見れば、グローバルで見ると日本のスマートフォンってそれほどの普及率ではないっていうのもあったりとかするんですけど。
とはいえ太いルートになっているので「そこはもうマス化されているんじゃないか」っていうことから議論を始めたほうがいいかなとは、個人的には思いますね。
藤代:テレビだったらテレビ画面があって、チャンネルがあって、PCだったらPCがあって、ブラウザがあって、そこにトップページ、ヤフーがあるじゃないですか。ポータル的なものっていうのは、スマートフォンになって変わっていく感じしてます?
片岡:今、それがどうなるか、形づくられる過渡期かなと思ってますね。グノシーさんもポータルの構想を発表されたり、ヤフーも、ヤフーニュースアプリもあって、ヤフージャパンアプリもあって、どちらもニュースがよく見られているんですけど、単純に1個にしていくかっていうと、そうじゃないんですね。
ニュースを深掘る行動もありつつ、ポータルとしてほかの何かを探していくっていうのは、引き続き残っていくんじゃないかなと思ってますね。
藤代:トップ画面的なものってあり得ますか?
松浦:入口っていうのも、選択するっていう概念もあるし、セレクトせずに受け入れられる。今ストリーム型って言われているFacebookとかTwitterさんとか、ノーリアクションで情報が切り替わっていくのもあるし。
ただセレクトの余地を残さなければいけない。それって0か1かの議論じゃなくて、両方ともあり得る中で、変わっていく過渡期の部分だから、そこは見極めなくてはいけないかなと思いますね。
藤代:スマニューは1個しか出さないんですか。
松浦:今はセレクトの部分でやってはいますが、先々のトレンドはいろいろ出てくると思いますし、現状でもセレクト型とストリーム型、両方出ているところがあるかなと思いますし。
藤代:ヤフーがニールセンのデータに素早く「足したらうちが1番ですよ」と表明しましたよね。(参考:スマホのYahoo!ニュース利用者は2,300万人~「スマホで1番じゃないの?」にお答えします)
片岡、松浦:(笑)。
藤代:スマホ時代は分散か集中かどっちなんでしょうか。ニュースアプリ1本でやっていけるのか。ヤフーで言えば、ヤフートピックスはヤフートップの流入量が9割くらいですよね。
片岡:スマホになって分散しているのは事実だと思うんですね。ヤフージャパントップページ経由だけでいいのかっていうと、そうじゃないっていうのはあると思うんですね。
でも、このままずっと分散し続けるのか。そうは言っても、大きなポータルをユーザーが求めているところもある。
そのポータルは今までのPCの形じゃなくて、セレクトされたものとストリームの組み合わせかもしれないですし、まさに試行錯誤していく中で形作られてくる過渡期ですね。
藤代:個人的な意見としては、スマホではPCみたいなトップ画面はちょっと難しいのかな、と。アプリをそろえる感じになるから、このアプリだけ1個っていうふうにはならないんじゃないかなと思う。
松浦:だから、多様性の話は今後出てくると思ってますし、それぞれのアプリ開く前の話もありますしね。それで言うと。今日も待ち受けのところで情報配信するっていうアプリの話もあったじゃないですか。
ああいう、もしかしたらロック画面の前かもしれないし、後かもしれないし、いろんなシーンでどうやって(アプローチを)かけていくか。
例えば、我々でもあっても、iOSの通知のシステム、今バージョンがアップして各アプリが露出できるところがあるので、スマートニュースとしてその通知面に情報を出したりしているので。
それぞれが思い描くところのメインストリーム、我々は現状、セレクトでやっていきますし……っていうのはありながらも、通知の領域にもちゃんと出て行ったりとか。
そういうわりと能動的に変えていく部分は、今後も各社それぞれの観点でやっていくべき話だと思いますし。逆に言うと固定化するのも変ですよね?
片岡:(うなずく)
藤代:なるほどね。じゃあ、ニュースだけでやっていけるのか問題はどうですか? ヤフーさんはニュースを無料で出して、オークションや検索に誘導していく。
でも、スマートニュースは、ニュースアプリでニュース1本足打法。大丈夫なのかな? っていうのはあるんです。
松浦:でも、それも0か1かじゃないと思っているので。ニュースにしたって多様性があるじゃないですか。通信社さんのようなワイヤー的な、情報を端的に、コンパクトにまとめて伝えるっていう事実ベースのものもあれば、オピニオンもあります。
ニュースっていうものの中に多様性があるなかで、例えば今日のセッションの話で、ヤフーニュース個人さんみたいに、個人にフォーカスしたオピニオン的なのもあれば、バリエーション的にいうと「まとめ」もあるじゃないですか。
記事そのものがアグリゲーションになっていて、情報の再まとめみたいに価値のあるものもある。っていう、バリエーションがたくさんあるから。
情報体験っていうところにおいても1本足じゃなくて、あくまで多様なインフォメーションの中の集約点っていうところでは、叶えられるところはたくさんあるかなっていう気がしますね。
藤代:スマートオークションとか、スマートECとかやらないんですか?
松浦:ははは(笑)。今我々は、スマートニュースっていう、情報にフォーカスしてお送りしているというのがメインですし、そしてまだまだ成長過程かなと思っているので、突き詰めてやっていきたいなと思っています。
藤代:ヤフーからすると、ニュース1本でやるって感じじゃないですよね。この前のセッションでも、ヤフー個人はそんなにビジネスするわけでもないとおっしゃってましたが。
片岡:そうですね。まず「ヤフー全体」では、オークションがあったり、ショッピングがあったり、ニュースもあったり、知恵袋があったり、それぞれユーザーのニーズに応えるものをつくっている。
その中のニュース領域は、松浦さんがおっしゃられる通り、いわゆるストレートニュースがあったり、ニュース個人の記事もあります。
個人はとりわけ、利益という観点ではなくて、市場をつくる。書き手を支援するところをつくっていかないと、僕たちが配信いただく記事そのものが変わってくる可能性もある。
松浦:その中のいくつかの話の中で、瀬尾さんが言ってた「コンテンツを育てる」っていう観点もあって。その部分で、ヤフーさんはヤフーニュース個人で育てるところも担保しはじめてはいますが、ネットメディアの質のところで言うと、全般的にそこはまだまだ弱い部分もあるので。
スマートニュースが今やっている、非営利団体(NPO)にフォーカスを置いて、無償で広告枠をつけて、インフォメーションの部分を分厚くっていうのもひとつの支援だと思いますし、拡がりのバリエーションだと思うんですよ。
コンテンツのバリエーションに対してリスペクトを持って接すること。我々のビジネスの規模のベースになっている、プラットフォームの礎になっているのは、コンテンツなので。
コンテンツのバリエーションが増えることが肝要ってことを考えると、そこにこれだけバリエーションが出てくるアクションっていうのを、伝える側がしっかり出来ていることが大事なのかなと思いますしね。
藤代:組み合わせだと思うんですよね。前にも松浦さんに言ったことがあるような気がしてて、本当にニュースだけで食べられるんですか。コンテンツビジネスっていうものだけで食べられるのか。
新聞、テレビのマスメディア時代と、PC時代で変わったのは、ほかの事業を組み合わせることができるっていうことがニュースビジネスの変換だったと思うんですよね。
片岡:そうですね。
藤代:新聞とかテレビの場合は、広告しかなかった。新聞の場合は広告と購読料という2本足打法。ヤフーさんみたいになると、広告とさらに事業、ショッピングとかオークションとか検索とか、そういうのを組み合わせる。
片岡:それでポータルの価値を高めて、ユーザーに来ていただいて、ニュースを見てもらうっていうのがひとつのやり方でしたね。
藤代:だから、ニュース・ビジネスって言っても、ビジネスのネタというか、アテンションとしてニュースがあって、ニュース・ビジネスという感じではないような気がしたんですけど。
それがスマホになって、今の松浦さんの話だと、コンテンツになってよりニュース・ビジネスに戻っていくっていう感じですか。
松浦:そうですね。コンテンツのバリエーションが拡がるっていうことは、受け取る人も拡がる。かつ、良質なもの、いいものであれば、その良質なところがたくさんの方に愛されるっていうところでいうと、バリエーションがビジネスのサイズの担保をしているとするならば、今受け取っている情報量の中で日にひとつもニュース的なインフォメーションを受け取っていない人はそうはいないと思うんですよ。
これは、客観、主観入り混じっていても、みんなそんなことないよっていう話じゃないと思うんですね。グローバルでもそうだと思うんですよ。
1人1日に何かしらのインフォメーション、ニュース的な情報をいくつか消化しているっていうところが、すでにビジネスの規模としてでかいんだから、そこをきっちりと価値転換、ビジネス転換するっていう形で考えれば、そもそもビジネス規模は担保されているかなと思います。
片岡:成立し得ると思います。
藤代:成立し得る、なるほど。じゃあ、課金。PCって課金するのがすごく難しくて、スマホはやりやすいよね、みたいな話を前のセッションでもしてて、そういう意見も結構あると思うんですよね。ニュース・ビジネスはどのくらい課金できるのか。
スマートニュースさんは来年以降でしたっけ、有料化取り組んでみようかなっていう話だったと思うんですけど、どのくらいの割合で課金をするユーザーが出そうかな、みたいな。
松浦:そうですね。これ別にニュースというか、今までに限らず、ソーシャルメディアさんだって課金のプレミアムプランとか、結構いろいろやってますよね。ヤフーさんも実際、プレミアとか一部やってたりしますし。
課金ビジネス、これくらいユーザー(MAU)がいたら、これくらいのユーザーがその価値に対して課金ができるっていうざっくりした設計っていうのは、かつてのメディア・ビジネスっていうところですでに設計することはできる。
ビジネスのフレームワークみたいなものがある程度出来上がってる中で、逆算してのスケール感みたいなものは全然捉えられるかなと。
例えば、全ユーザーがこれくらいいたら、2~3%が課金に転換してとか。実際に、ニコニコ動画さんとかのモデルで言うとすでに黒字が発表されているようなところもあるので、まず0か1か、有りか無しかで言ったら「有り」に決まっていると思うんですよ。
そこのチャレンジの設計の部分が、これまでの課金ビジネスの知識蓄積全部をぶっ壊してまでつくるわけではないので、有り無しの部分でいうとやっぱり「有り」かなと。
藤代:例えばどうやってお金払ってくれとお願いしますか。ニコニコ動画ってすごいうまいと思ってて、夏野(剛)さんとかが「お前らお金払わないと潰れるぞ」と、非常にマス的にはやりにくい、特異なお金の払わせ方をしているわけですよね。
ニコニコ大会議、超会議とかに行くと「赤字なんで払ってください!」みたいな。ヤフーだとそうは言えないじゃないですか。
片岡:ニュースの有料課金ってヤフーもやっているんですよ。ヤフーニュース個人と一部の媒体様がやってるんですけども、個人のほうが課金の比率が高いんですね。
藤代:あー、なるほど。
片岡:というのは、やっぱり扱う領域の狭さや濃さで、課金率が高いんですね。
藤代:じゃあ、どういう人がお金を払ってもらいやすいんですか?
片岡:ファンがついている。さっき松浦さんが言われたエンゲージですね。エンゲージするときに、ひょっとすると媒体より個人のほうが良いのかもしれないですし、より狭くて深いほうが良いのかもしれないですし。
ここ1、2年やってるとその傾向がありますね。個人が発信して、深くて狭い専門領域でやられるほうが。
松浦:だから、個人のエンゲージっていう部分がニコニコさんは個人でやられているところが強いんで、そこが1つのキーポイントかなと思うんですよ。
メディアのフィルタリングもそうですし、メディアさん的にもぎゅっとエンゲージが深い部分、昔だとエンゲージってなかなか可視化できなかったんですけど、今だとソーシャルで可視化できるところもあるんですね。
そこはそういうソーシャルの可視化できる深さが基準になってくれば、ある意味PDCAの部分も含めて、回しやすくなってくるかなと思います。
藤代:そういう書き手、エンゲージがうまい書き手ですよね。そういう人はどういう特徴を持っているんでしょうか??
片岡:傾向として見られるのは、それなりにやっぱり主義主張が強い方ですね。それが正しいか間違ってるかは置いておいて、主義主張しっかり持っている。あとはジャンルを特化している、専門性がある。例えば、電車のテーマで深く掘り下げている方とかですね。
松浦:今のソーシャルメディアにおいても、両論併記で意見を押し出すというのは、エンゲージの部分で弱い。どうですか? って、読み手のほうに促してしまうと吸収で終わってしまう部分もあったり。
なかなか日本人的な間隔で言うと、そこで主義主張強めて発信したりっていうのは難しいけど、別のやり方があるとすればある意味「こうだよね」って言ったことに対して「そうだそうだ」っていうエンゲージのほうが、より深堀なところも含めて必要になってくるかなと思います。
藤代:なるほど。
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