2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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藤田功博(以下、藤田):今回はファッションEコマースの立ち上げ方というテーマで2人のゲストの方に来ていただきました。まずはザ・リアルリアル株式会社から藤井様です。
藤井清孝(以下、藤井):藤井です。よろしくお願いします。
藤田:ミューズ・コー株式会社の久保さんです。
久保裕丈(以下、久保):久保です。よろしくお願いします。
藤田:今回はファッションEコマースの立ち上げ方ということで、まずはどういうビジネスをしておられるのか、会社の説明からお願いいたします。藤井さんからお願いいたします。
藤井:我々はですね、高級ブランドのリセールサイトということなんですね。発祥はアメリカなんです。
高級ブランドのリセールをするという、日本のサービスインは去年の8月からと。ビジネスとしては、富裕層から委託品を受けたのをサイトで販売するというビジネスモデルです。
藤田:これまでのご経歴で、高級ブランドの社長もお勤めになっておられました。今度はリセールということで、仕事に対する目線っていうのは何か変わるところはあるんですか。
藤井:業界的にはキリスト教からイスラム教に改宗したみたいな感じ。元ヴィトンの社長をやってましたから。
そのとき、ルイ・ヴィトン ジャパンというのはヴィトングループというものすごく巨大な、世界の中で最大のプロフィットセンターだったんですね。それが25年くらい続いてるんですね。
他のブランドもそうですから、ブランドの蓄積という点からするとヴィトンって日本でダントツ1位の国なんです。
それを今度逆に、還元するビジネスということでですね。ネットがあるのでこういうことができたということと、若い世代、自分の娘たちを見ててもですね、価値観が変わってしまって。
貯金して高級ブティックに行って、高い物を買うというよりも、そういうこともあればUSED買う。H&Mに行く。みたいな自分の中で価値を決めるみたいになってまして。
僕たちみたいに、メーカーからブランドから押し付けられるっていうような行動パターンじゃないですね。ですから、ネットがあるってことと、若い人の価値変化が起こったと。
持ってる人も、エコという感覚が強くなっている風潮の中、自分が使ってないものを、それを有用に使える人たちへ還元して行くような循環が必要になってきていると思います。
多様化した価値観を持った購入者と、無駄をなくすエコ感覚を持った所有者が相乗効果となってこのようなビジネスが出来てるんじゃないかと思うんですね。
藤田:実際、ザ・リアルリアルの社長に就任されるにあたって、関係された方からご意見とかなかったんですか?
藤井:いっぱいありましたけど、私いつもヴィトン以外は日本で新しいことばかりやってきたんですね。ですから、あんまり既存のビジネスをやるというよりも、新しいことをやりたいというのが、基本的にやりたいことなので、あまり違和感はありません。
藤田:実際にルイ・ヴィトンの社長をしておられた時にも「リセールのマーケットがこれから来るだろうな」という手応えというのは。
藤井:その時はね、まだだいぶ前だったので、デジタルのビジネス、オンラインビジネス自体がまだ数パーセントだったんですよ。これがですね、うちのサイトで平均単価4万円超えてますけども、ネットで高級品を買うというような風潮がまだ無かった時代なんですね。
ですから、それもあるし。ましてUSEDになるとまだ見えないところがある。でも、リペアとかUSED、下取りのニーズって当時からものすごいあったんですね。
だから何か仕組みをつくれば大きなビジネスになるって予感はあったけれどもちょっとまだ時期尚早だったってのがあるんですよ。私が社長をやってた頃はそう思ってた。
藤田:なるほど。ありがとうございました。では、久保様、会社のご説明をお願いします。
久保:はい。私がやってるのは、ミューズコーっていう女性ファッションのコマースのサイトなんですけれども、今その時期に女性が欲しい商品っていうのを、欲しい価格で提供する。一番抽象的に言うとこんなサービスです。
もうちょっと具体的に何をやってるのかというお話をするとですね、基本的に、ブランドさんの1週間限定のタイムセール、フラッシュセールと呼ばれることもあると思うんですけれども、ファッションアイテムのフラッシュセール販売っていうのをやってます。
藤田:いろんな競合というか、ファッションEコマースの中で区切っただけでも競合が存在しているかと思うんですが、それらのサイトに対してどういう立ち位置で、どういう戦略で戦っていかれようとしているのでしょうか。
久保:まずファッションでおもしろい所が、カテゴリっていうのがセグメントされてるってのが特徴としてあると思ってます。
それこそ百貨店だとかファッションビルだとか見ていただいてもわかるように、伊勢丹さんがあれば高島屋があって、ルミネがあってとかですね。
あとラゾーナ川崎みたいなところもあってっていうふうに、当然そういうところを回遊する方ってのもいると思うんですけれども、明確に目的を持って行くと思っています。
ファッションのECってのもそれぞれ取り扱っている商品のカテゴリってのが違うので、そういったところでうちのサイトとか他のフラッシュセールのサイトっていうのは結構綺麗に住み分けが出来ているので、それぞれがブルーオーシャンで戦っているような、こんな風に考えています。
藤田:やっておられて手応えはいかがですか。
久保:そうですね、会員の獲得だったりとか商品集めみたいなところで、例えば競合がいて、それが阻害要因になってなかなか集まりづらいだとか、そういったことはあまり感じたことがないので、そういう意味ではキチンと綺麗に住み分けされてそれぞれに成長していけるのかなという風に考えています。
藤田:次は藤井様にお聞きしたいんですけれども、ブランド品のリセールという風に限定しても、競合というか、ぶつかっているところがあるかと思うんで。そういうところに対する立ち位置って、ネットっていうのがひとつあるんですか。
藤井:そうですね、リセールのマーケットって日本で今2500億と言われてるんですね。それは今取引されてるマーケットで、それ以外に、持ってるけど売ることも考えてないという人がその周りには同じくらいいると思うんですね。
ですから、競合と言っても細分化されているのでリアルなお店を持って、昔からやってらっしゃるのもあれば、ネットでやってるところもあるけども。まだ一つひとつが小さいのでぶつかるという感覚はないですね。
藤田:なるほど。実際にそういうある程度高単価な商品を、ネットで購入されるお客様を獲得するためのアプローチとかマーケティングは、どういう内容になるんでしょう。
藤井:うちの場合お客さんは2つあって、お買いになるお客様と委託をされるお客様があるんですよね。やっぱり、委託側のほうは口コミ。これはもう、委託した人が満足度が高くて結構いいよっていう、バイラルな形でやる、リアルなバイラルって感じですよね。
買う側のほうは典型的Eコマースで、ネット広告とかグーグル経由、メルマガとか、典型的なEコマースのやり方で。ここは結構みなさん探してらっしゃるので、そこの集め方ってのは数を踏めば結構集まってくるっていう感じですね。
藤田:久保さんはいかがですか。
久保:我々の場合はお客様の集客ってことで言うと、藤井さんもおっしゃられてた通り、いわゆるベタな広告がメインになってます。アフィリエイトだったりとか、ブログだったりとか。
うちが扱っている商品ってのがマスのお客様に対するものなので、すごく尖ったお客様を集めるっていうよりは大きく集められる網を投げて、その中から効率の良いものだけドンドン残していくっていう、本当にベタなやり方だと思います。
藤田:近年ですとパソコンからスマホとかタブレットにシフトしていった流れが大きくあると思うんですが、そういうものに対してこういうことをしているとか、何かありますか。
久保:うちのサービスの場合っていうのは、基本的にお客様の約90%くらいがスマートフォン経由でお買い物いただいています。これは多分2つあると思うんですけど、まず1つはこれからのECの主戦場っていうのが必ずPCからスマホで、スマホもこれからブラウザからアプリにおそらくなっていくんだろうなと思っています。
最初からある程度スマホに寄ったマーケティングをずっと打ってたってのはあります。PCでの集客ってのはほとんど費用投下していないんですよね。あともう1つは、うちのターゲットのお客様ってのがいわゆるF1層っていう女性たちなので。
こういう方たちって、もうPCよりスマホのほうが圧倒的に使う頻度って高いんですよね。我々が相手にしているお客様っていうのが、スマホとのフィットがものすごい高い人たちってのが2つめにあると思います。
藤井:うちの場合はね、もっとお客様の年齢層が上なので少しPC率が高いんです。高いっていってもスマホ率は6割7割あります。スマホ率はどんどん増えて来ているので、たぶんビヘイビアとしてはパソコンで会員になったけれども、日々は電車の中で見てるみたいな、スマホで見てるみたいな。
フラッシュセールっていうのは、掘り出し物を提供するみたいなところもあって、自分がこのブランドが欲しいって検索して入っていくというより、何かないかなって見ていて、スマホでバーッとみたいなビヘイビアがあるので、時間が細切れの時に物を見るというパターンは便利だし、どんどんスマホになっていくと思いますよね。
藤田:実際お2人ともメインのターゲットは女性だと思うんですが、女性の気持ちっていうのはどういうふうにしてリサーチというか、実際に対話の中から掴んだりするんですか。
久保:僕、藤井さんに是非そこを学びたいですね。
藤田:モテそうな感じが。
藤井:やっぱりね、そういうSNSの力って強くて、いろんなお料理のコミュニティとかね。美容品のコミュニティとか、いろんなコミュニティがあって、そこに察していくみたいなね。
ですからファッションっていうのも彼女たちの全体のスタイルの中で、綺麗になりたいとか、アンチエイジングとか、そういう中でやるっていうやり方がいいんじゃないかと思いますよね。
藤田:久保さんはどうですか。
久保:私のほうはというと、まず基本的に、当然自分自身も休みの日だったら、何かしろのファッションビルを見るとか、雑誌は一通り目を通すとか、それはそれで基本としてあります。あと結構ブログとかも見てたりします。
藤田:ファッションモデルのブログを見たり。
久保:モデルさんだとか、お客様のアンケートで、どういう有名人が好きですかみたいなのを聞くんですが、そこで名前の挙がるような方のブログをチェックしたりとか。
漁るわけじゃなくて、ずっとブログ見たりとかっていう、最低限それはやるんですけど、やっぱり、どこまで行ってもおっさんの感覚なので、そこは女性社員ですよね。
声を聞いて。うちの社員っていうのがユーザー層に近いような子たちが多いので、あまり自分の感覚を信じずに女性社員の力を信じるっていうのが最終的にはいいのかなと思ってます。
藤井:うちの場合もまったく同じで、結構お洒落な女性社員が多いし、営業も多いんですね。普通USEDというと、そういうイメージの人ってあまり出てこないじゃないですか。
そこはうちはファッションがわかる人がやってるっていうのが、それが我々のひとつのウリなので、そういう女性が今何が流行ってるかとか、元スタイリストとかそういう人がいっぱいいますし。
うちのアメリカのビジネスなんて元々、ハリウッドのスターのスタイリストから始まってるんですね。そういったところで、今のファッションのトレンドを常に仕入れながらやるっていうのは、私よりも女性の社員の連中のほうがずっと長けてるので、そこは任しているみたいな感じですね。
今うちでMDやってる女性っていうのが、元ハーパーズバザールとかそういうファッション雑誌の編集長で。そしてEコマースに移った女性なので全部わかってるってことなので。
うちはリセールの中でもファッションをわかってる連中がたくさんいるっていうのがね、すごく差別化だと思ってます。
久保:結論、仕入れに関して我々はあまり口を出してはいかんということですよね。
藤田:他の人に任せると。
藤井:そうそう。そういうところをいっぱい持ってる人が、自分たちのブランドのアセットに対してわかる人が来てくれると、やっぱり共感呼ぶじゃないですか。
取りに来て換金してくれるだけだったら、そんなのお金困ってないんだけどって、でも、いいもの持ってますね、これってすごく欲しい人がいるんですよって話ができると全然違う。
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