2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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曽山哲人氏(以下、曽山):鈴木さんにぜひお聞きしたいのが、いろんな業界からこうやって招へいされて、口説くっていうところの部分を、どういうふうに口説かれているのかっていうのをぜひ教えていただきたいんです。
鈴木健氏(以下、鈴木):正直今思い返してみると、口説いていないんです。入ってくれた人は。
曽山:そうなんですか? 勝手に入ってきたんですか?
鈴木:いや、そこまでじゃないですよ、もちろん。そこまで勝手に入ったってこともないんですけれど、でも、すごく強く口説いたっていうよりかは、シンクロしたみたいな感じです。
何かこう、考え方とか思想とか言っていることとかがシンクロしたから、「やらない?」って言った時に、素直に入ってくれるみたいな感じで、逆に一生懸命こっちが口説くことってあるわけです。一生懸命口説いたら、何かやっぱり逃げちゃったみたいな感じです。
曽山:なるほど。今日、先ほど写真何枚か出されていたじゃないですか。ニューヨークとかサンフランシスコの。例えば海外の例で、一番口説くのが大変だった方って、さっきパーカー着ていた方なんですか?
鈴木:いや、それがそのリッチは、本当は口説かなきゃいけなかった人なんですけれど、口説いていないんです。やっぱり。彼とか、何でうちに入ってくれたのかわからないような人なんですけれども。
何かもう面接の会場に来た瞬間からスーパーフレンドリーで、全然僕ら口説いていなくて、リッチに質問していただけなんです。次回口説かなきゃいけないなと思ったら、間に入った方が「もう入る気満々だから」とかっていうふうな話になっていて。
僕らは僕らで、自分たちはこういうことやりたいみたいなことは言いましたよ。自分たちはこういうことをやりたいとは言ったし、どういう方なのかって意見とかも聞いたんですけれど、口説くっていう行為はしていないんです。
曽山:なるほど。その出会いの間にいた方っていうのは、どういう職種の方?
鈴木:デニスっていうんですが、すごくおもしろくて。
曽山:デニスさんっていう人なんですね?
鈴木:デニスっていうのはすごくおもしろくて、益子焼が大好きな仏教徒なんですけれど。アメリカ人ですよ。もともとデニスを紹介してくれたのは、うちのエンジェル投資家にビル・ロースっていう人がいて。
その人はジフ・デイビスの元プレジデントなんです。ソフトバンクに買収されて孫さんにレポーティングラインを持っていたっていう人なんです。
その方の元部下なんです。デニスって。それでジフ・デイビスとかで働いていて、その後20年間自分の会社で、いわばひとりでフリーのリクルーターをやっていたんです。
同時に3社しか見なくて、その3社の1社としてうちを見てくれていたんです。で、ビルから紹介してもらって。その時に僕、アメリカに来てまだ今年2、3回目の時だったので、謎にテンションが高くって。
サンフランシスコのエアポートの近くでデニスに会った時に、ものすごいハイテンションで自分のビジョンを語ったんです。
今から考えても何でこんなに語ったのかっていうぐらい語ったんです。そうしたら、デニスが「これはすごい!」と、ものすごい一生懸命探してくれて、それでリッチを探してくれたんです。もう3ホップぐらい、知り合いの知り合いの知り合いみたいな形で探してくれたんです。
曽山:なるほど。
鈴木:それでデニスにそろそろ僕らもサンフランシスコに採用とかHRの人を採用したいんだと言ったら、デニスがその場で、「今このシリコンバレーで、やっぱりいいHRって本当に探すの難しいんだよ」とかって言い始めて「そうだよな」とかって思っていたら「うん。俺を採用しろ」とかって言って、入ってくれたんです。
「20年間リクルーターの仕事をしてきたけど、はじめて自分で自分を入社させたいと思った会社がスマートニュースなんだ」とかいって、泣かせますよね。
曽山:なるほど。そういう繋がりなんですね。
鈴木:そう。だから僕やっぱり思ったのは、その時口説いていないんですけれど、自分たちが何をやりたいのかっていうことに対して、とにかくビジョンをしっかりと伝えるっていうことをすると、本当にシンクロすれば巻き込まれていくというかという感じで。無理矢理口説くというよりかは、ビジョンを伝える。
曽山:きちんとやっぱり伝えるっていう。
鈴木:それですね。
曽山:なるほど。でもさっき東後さんの質問かな。人材紹介会社とのパートナーシップの組み方ってあったじゃないですか。私たちすごく、むしろ人材紹介会社さんの力をすごく使わせていただいているんですけれども。
どういうふうにしているかって言うと、なるべく大型の採用とか重要な採用の時は、私たちが出向いて、キャリアカウンセラーの方とかに、ビジョンとかのプレゼンをさせてもらうようにしています。
何で今回これだけ採用に力入れているのかとか、これ採用するとどんな環境があるのかとか、私はどういう思いで採用しているのかっていうのをすごい言うっていうのをやると。
そうするとやっぱり人材紹介会社のキャリアコンサルタントの方々が、むしろサイバーエージェントに入りたいっていうギャグが出てくるぐらいの感じになるんです。先ほどの感じですよね。
鈴木:そうですね。近いですね。あとすごい大事なことは、優秀なエージェントとかリクルーターの方って、稼いでいるんです。だから別に困っていないんです。だから、僕はビジョン語った後に、異次元に高い採用基準を要求するんです。
曽山:なるほど。
鈴木:そうすると喜ぶんです。
曽山:むしろね。
鈴木:そう。お金じゃなくって、何かちょっとこの仕事やりがいあるなってみたいな感じで、楽しくなっちゃうみたいで。
曽山:仕事のやりがいで引っ張るっていう。なるほど。
鈴木:そう。だからすごい採用基準高いんだよ。なかなか見つからないレベルだよっていうことを脅すんですけれど。
曽山:なるほど。
鈴木:そうすると、優秀なエージェントの方ほど、やる気満々になる。
曽山:なるほど。ありがとうございました。
南壮一郎氏(以下、南):小野さんはやっぱりそういう、ちょっとMな感じのお仕事の仕方をされているんですか?
小野壮彦氏(以下、小野):そうですね。ほとんどお客さん、そういう無茶振りするお客さんばっかりで、鍛えられているんですけれども。でも何かその、先ほどの話は、すごい共感するところでして。
経験上、僕のクライアントが、最後の最後に口説かなきゃいけないケースは、たいがい落ちない方が多いです。その時点で破たんしているっていうか。
やっぱりアトラクトっていうか、引き寄せることってとても重要で、マグネットみたいに。だけど掃除機みたいに力ずくでバキュームでバーっと吸い込もうとすると、相手が逃げちゃうっていうのは、体感的にもとても感じているので。最後の局面では、そのいわゆる雇用主側のほうが押し過ぎないっていうのは、僕大事だと思うんです。
それでもどうしても欲しい人がいた場合には、自らが押すというよりは、例えばエージェントなのか、例えばその方を知っている共通の知り合いなのか、ちょっと横から押してもらうっていうスタイルで。
一つちょっと背中を押してもらうっていうのはあると思うんですけれど、自ら引っ張ると、やっぱり何か落ちないし、落ちたとしても上手くいかないかなっていう気はありますね。
鈴木:あと、口説くときには、楽しいよって言います。実際楽しいし、何かすごい楽しい感じが伝わるので。
曽山:確かに。楽しい環境作って、いろんな姿勢ができるよっていうふうに言いつつ、環境も言って。でもそれ大事ですよね。
南:サイバーエージェントさん、得意じゃないですか。
曽山:でも入ってくれる学生とかエンジニアの方々って、社員が楽しそうだから入るってやっぱりあるので、それはすごい大事ですね。
南:あれは誰がいつも考えているんですか? 楽しそうにしている雰囲気とか企画とか、情報発信とかアイディアとか。それは曽山さん中心なのか、それとも藤田さんから出てきているものなのか。両方から挙がってくるのか。
曽山:両方ですね。私が知らないところで藤田がなんか採用プロジェクトとかやっていたりするので。去年だと、YouTubeで自分の最終面接をさらけ出したいって言って、新卒採用のプロデューサーと呼ばれる企画職の最終面接の面接過程を全部公開したんです。
今もYouTubeにあるんですけれど、それは私全く知らなくて、勝手にやって勝手に流出して、ソーシャルで見つけてこんなのやってるみたいなっていうのがあったので。
そういう意味では人事だけじゃなくて、経営者もやるし、人事も企画考えるしっていうのはやっていますので、やっぱり社員みんなでやるっていうのは本当大事ですよね。
どれだけ巻き込めるかっていうのは、経営者が頑張って風土作らないと、風土はできないと思います。私たちも社長の藤田が採用は非常に重要だし、採用に関わる人には、本当に「みんなよろしくね」って藤田が直接声掛けをしてお願いをしていたぐらいなので、そういうの大事だと思います。
南:なるほど。わかりました。そろそろ時間ですので、成長企業の採用力に関して、今日この75分一緒に時間を過ごした中で感じたことを、曽山さんからお1人ずつお話しいただけますか。
曽山:やっぱり私、一番今日のパンチはやっぱり30回面接がやっぱりパンチが強くて、面接を30回やるっていうことを真似るというよりは、やっぱりこだわって何回も対話していくっていうのはすごい大事なんだなっていうのを感じたので。
私たち5、6回で結構多いほうかなと思ったけれど、スマートニュースさんはもっと多いし、こっちは30回だし、どうしようかなと思いつつ。
まあ、深さですね。どっちかっていうと、インターンシップでじっくり会うっていう時間を今増やしているので、そこをより伸ばしていこうかなっていうふうには思いました。ありがとうございました。
南:ありがとうございます。小野さん、いかがですか。
小野:はい。私の場合は経営陣っていうテーマが多いので、急成長企業の経営陣の採用なのか、引き上げ、今いらっしゃる方を強化するっていうところを、パッションを持って取り組んでいますが、やっぱり今日感じたことは、こういう新しい企業が出てくる中で、どんどん前倒しになっている。
まさにスマートニュースさんもそうですが、やっぱりグローバル化も前倒しになっているし。成長のスピードっていうのが、10年ぐらい前だったら考えられないぐらいのスピードでIPOっていうような話が見えてきたりとかされている中で、経営陣をいかに強くするかっていうところって、たぶんこれから日本のベンチャー業界でも本当に前倒しで取り組まなきゃいけないテーマなんだろうなっていうふうに今日、強く感じましたし。
そういったところで私たちも、何らかのお役にたてたらなと思った次第です。ありがとうございます。
南:はい。ありがとうございます。東後さん、いかがですか?
東後澄人氏(以下、東後):はい。面接回数で言うとうちは本当に多くても3回ぐらいなので、今日のお話を聞いて、ちょっと考え直さなきゃいけないかなっていうのを思ったんですけれど。
やっぱりその面接回数を増やすというところも絡むかもしれないんですが、今日何回かキーワードとして出てきている、共感できるかどうかがやっぱりすごく大事なのかなというふうに思っていて。
特にスタートアップでやっていると、いい時もあれば悪い時もあって、これからどういう状況になるかとか、どんな局面になるかっていうのはわからない中で、どんな局面でも一緒に戦っていける仲間になり得るかどうかっていうのは、最初の共感という部分はすごく大事だと思うんです。
そういった意味ではもちろん面接もそうですし、さっきおっしゃったインターンですとか、少しでも触れ合う機会っていうのを増やしながら、その共感度を上げていくっていうプロセスが採用プロセスなんじゃないかなと思いました。今日は勉強になりました。
南:ありがとうございます。鈴木さん、お願いします。
鈴木:本当はグーグルの人どうやって採用するかとか聞きたかったんですけれど、またちょっとあとで聞きます。それで、30回のやっぱりすごいインパクトがありました。話は。僕も12回とかじゃなくて、もっと増やさなきゃいけないなというふうに思ったんですけれども。
今日一番勉強になったのは、やっぱり今、採用担当が本当に困っているので、優秀な営業をやられている方で、採用担当になりたい方を募集します! はい。ありがとうございます。
南:ありがとうございます。最後まとめますが、今の話を全部聞いていくと、本当に採用って経営の仕事なんだなと。経営者の仕事なんだなっていうのが一番感じた部分です。
僕らもやっぱり、会社を5年半で2社で500人近くに増やしていくには、本当にいろいろな採用が強い会社にお話を聞いてきて、採用が強い会社のほとんどは、経営者が相当コミットしている。これに限るかなと。
多くの会社で採用力=面接数だというところもありましたし、採用は確率論だっていう言葉も良く出てきましたけれども、結局、そこを科学して、プロセス管理をすることなんですよね。
そんなに難しいことではなくて、母集団を集めて、結局仕事を探している人に情報を伝えて、その人に行動を起こしてもらって、あとは選考していく。
このクオリティーを上げていくプロセスって、まさにインターネットの世界と同じだと思うんです。お客様をナーチャリングしていくプロセスにおいて。
ライフタイムバリューとコンバージョンという言葉がよく出てきますが、結局長く活躍してくれる社員を、いかに効率良く採用できるのかっていうことが、採用の原理原則だと僕は思っていて、そこにはやっぱり、経営発想を持った、当事者意識の強い責任者が必要ですし。
もっと言うと、全従業員が採用担当者となって、さっきグーグルの本でも言っていたように、全員が1人優秀な人を今年連れて来ようというような文化を会社の中で作れるのかが、結構重要なんじゃないかなと。
皆さんの話を聞いていて、なお思いました。ベンチャーの業界ってまだまだ小さいですし、今日お話聞いてくださった観衆の皆さんも、まだまだ成長していくと思います。たぶん日本全体で見ると、ベンチャー企業で働いている人数なんて本当に小さな数だと思うんです。
雀の涙みたいな数だと思うんです。ですので、業界全体で、みんなで採用にコミットして、IT業界だけではなく、ベンチャー業界が採用にコミットして、日本全体の働き方が大きく変わって、主体的に働ける人が、僕たちの時代の働き方が描ける時代が来ればいいなと思いました。
お忙しい中、隣で人気セッションをやっている中、皆さんご参加いただきまして、本日はありがとうございました。皆様大きな拍手をお願いします。
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