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"落し物"をこの世からなくす! 世界最小の追跡タグ「MAMORIO」がつくる未来

スタートアップのプレゼン大会・IVS 2014 Fall Launch Padにて見事5位入賞を果たした、株式会社落し物ドットコムの世界最小の落し物追跡タグ「MAMORIO」。増木大己社長が、今後の展望と野望について語りました。(IVS 2014 Fall/Launch Padより)

5位入賞は落し物ドットコムの「MAMORIO」

佐俣アンリ氏(以下、佐俣):それではIVS Launch Padの受賞者インタビューを始めたいと思います。「MAMORIO」で第5位を受賞されました、株式会社落し物ドットコムの増木さんにお越しいただきました。おめでとうございます。

増木大己氏(以下、増木):ありがとうございます。

佐俣:率直な今のお気持ちを。

増木:5位に入賞できたということで、ものすごくうれしい感情でいっぱいです。

佐俣:伺ったところによると、もともと5位狙いで?

増木:そうなんです。入賞というのがひとつの大きな境目だと思ったので、みなさんのプレゼンを見ている中で「ちょっと厳しいなぁ……」と思ったんですけど、なんとかギリギリ5位に行こうっていう形で。

佐俣:歴代でいちばん接戦と言われていたので、その中で5位っていうのは本当にすごいなと思います。

増木:幸運の女神が微笑んでくれた感じです。

佐俣:改めまして、自己紹介と業務説明を簡単にいただければと思います。

増木:はい。株式会社落し物ドットコムの増木と申します。今回「MAMORIO」というプロダクトで出場しているんですけれども、もともと僕たちは会社名が「落し物」とある通り「落し物ドットコム」というポータルサイトを運営しております。

その中で「どういったサービスが欲しいですか?」ってユーザーさんに聞いていくと、やっぱり「なくなったものの場所がわかるタグが欲しい」とみなさん言うんですね。それを作りたいなっていう時に、ちょうどIoTだとかいわゆるウェアラブルが出てきて、僕たちも作れるんじゃないかなということで作リ始めたのがきっかけです。

節目として参加したLaunch Pad 前夜は緊張で寝られず

佐俣:増木さんの会社、結構設立から経ってますよね? 実は「構想何年」っていう感じですか?

増木:構想自体はそんなに長くはないんですけれども、ところどころサービスを変えてやっているんですね。「落とし物」という市場自体がないので、何が必要なの? 何がいちばんビジネスとして成り立つの? っていうのを手探りでやってきたという感じです。

答えのひとつとして「タグを付けるとなくならないよ」っていうのはわかりやすいし、ニーズもあるしということで飛びついたというのがひとつですね。

佐俣:IoTという流れもあるし、これが1個答えだなという時に、じゃあなぜLaunch Padに、どんな思いで出場されたんですか?

増木:実はIVSって2年おきぐらいに見ていまして。

佐俣:参加者としてですか?

増木:参加者としてですね。学生の時にもIVSを見て「ああ、いいなぁ」と思って。会社を辞めてちょうど会社を作った時にも見て、やっぱり「いいなぁ」と。2年ごとの大きな節目の時に見ていたのですが、今回またちょうど2年おきだったので、何か節目があるのかなということで参加したというのが個人的にはあります。

佐俣:参加しようと思った時に、誰かに連絡したりとかはしたんですか?

増木:そうですね。「IVS募集してます」っていうのはfacebookで流れて来ていて、これは申し込まなければいけないと。かつトレンドとして、ちょうど今このタイミングがハードウェア等が出始めのところだし、実際どういうサービスとしてビジネスになるのかってみんな手探りの中で出せたっていうのは、すごく良かったのかなと思ってます。

佐俣:審査会の応募もすごい数来ていたらしいんですが、相当ふるい落とされて、その中で残った会社さんということで。IVPパートナーの田中さんや小野さんがアドバイスをおっしゃっていたと思うんですが、どういうアドバイスを言われたんですか?

増木:僕もプレゼンをしに行ったんですけど、情報量が圧倒的に多すぎたんですよね。実際6分ってすごく早いので、ずらずらずらっと書いちゃうと「あ、何言ってんのかわかんない」っていう状態で終わってしまうので、なるべくシンプルにわかりやすく、誰が見ても「これはいいね」って言ってもらえるようなものを心がけて作りました。

佐俣:まさにパッと見て「欲しいな」って思いますよね。正直、自分でも欲しいなって思いません?

増木:僕も欲しいと思ってるんですよ(笑)。

佐俣:ちなみにもうすぐ売り出せるんでしょうか?

増木:今年の冬に出す予定で、今量産化に向けて動いてます。

佐俣:なるほど。素晴らしいですね。

増木:あとはどれだけの数をロットで作れるのかっていうのもあるので、それを考えています。

Launch Pad本番を控えての心境は?

佐俣:審査を通って一昨日京都に入られて、今日いよいよ審査ということで、本番で会場に来た時って、どういう気分なんですか?

増木:実は生まれてこれまでこんなに練習したことがないっていうぐらい練習しまして、夜に……。

佐俣:寝てないんですか?

増木:寝てないですね。

佐俣:(笑)。

増木:いつもはなんだかんだ言ってぶっつけ本番でやったりするんですけど、今回は「これは練習しないとアカンぞ」と思って、夜通しラジオのようにしゃべり続けて暗記してきました。

佐俣:時間もパチッとハマってましたもんね。さすがですね。まだ1時間半ぐらい前の話ですけど、プレゼンしてる時って、どういう気分でした?

増木:結構緊張するかなと思ったんですけど、良かったのは照明が結構暗くて、意外と人の前でしゃべってるという感覚がなくて、練習通りしゃべれたなっていうのが大きかったですね。

佐俣:なるほど。プレゼンが終わって、最後に入賞だったじゃないですか。「落し物ドットコムさんです!」って言われた時って、どんな気分でした?

増木:正直入ると思っていなかったので「これいいのかなぁ?」って……(笑)。

佐俣:後半にかけてすごかったですもんね。

増木:みなさんムービーとかも作り込んでいて「ユーザー数がこんなにいます」とか「数字上がってます」という状態だったので、これはちょっと場違いだったかなという感じもあったんですけど、うまいことビジョンを描けたのかなっていうところですごくハマりがあったということです。

「なくすを、なくす」 ブレなかったコンセプト

佐俣:これを見て「悔しい」とか「俺らも行けるはずだ」っていう方もいると思うんですが、自分たちの入賞の秘訣というか、どういうところを評価されて、どこを頑張ったから今回入賞できたと思いますか?

増木:やっぱりひとつ筋が通ったストーリーがあったほうがいいのかなと思っています。例えば海外に似たようなサービスあるよねってなった時に「なんでその人がそれをやってるの?」っていう動機付けのところですよね。

僕たちはデバイスをいきなり作った会社じゃなくて、もともと「物をなくすのをどうやったら解決できるのか?」というのをずっと考えて考えて、「タグっていうのがどうもいちばんわかりやすくて現実的なソリューションだぞ」っていうのがわかって。でもそれだけじゃなくて、今まで作ったサービスと組み合わせてやりたいよねっていうところが、うまいこと評価されたのかなと思ってます。

佐俣:僕はいちばん初めにプラットフォームが公開された時から、なんとなくサービスのことは聞いていたので「あ、これはヤバいやつが来たな」と……。あれは2012年でしたっけ?

増木:2012年の8月とかですね。

佐俣:「ヤバいやつが来たぞ」と。いよいよインターネットもここまで来たかと思って震えたんですね。落し物ドットコムか、って。でもあれから2年間本当に手を変え品を変えてはいますけど、1回も落とし物からコンセプトをぶらしていないのがやっぱりすごいなぁと、そこをもっと強調しないと……(笑)。なかなかいないと思うんですよね、1つのコンセプトでここまでっていうのは。

僕も投資してる会社で「ラクスル」っていう会社があるんですけど、印刷のテーマで丸6年、実は5回ぐらい細々サービスを変えてるんですよ。それもまさに同じで、「印刷」も「落とし物」も、根本的な課題が大きいじゃないですか。そこに向かってずーっとやってるっていうのは熱いなぁと。

今回(MAMORIOという)デバイスを出して受賞されて、僕はグッと来たなっていうのがあります。本当におめでとうございます。

増木:ありがとうございます。

佐俣:今回の受賞で一気に知名度も上がるし、クラウドファンディングの方でも300万円くらい集まっているということで、結構拓けてきたなと。いよいよ勝負だっておっしゃっていたじゃないですか。これからどんな未来を見据えているのかお話しいただいてもいいですか?

増木:見据えているところは、ミッションの「なくすを、なくす」というのをかなり大事にしていて、いわゆるIoTだとかが出てきていろんなものがネットに繋がるぞっていう時に、イメージで言うと、財布に付いていて「今、中にいくら入ってるかわかります」とかがあるとすごいかっこいいと思うんですけど、現実問題なかなかそこまで行くのって時間もかかるし、イマイチそれが何の役に立つのかわかんないっていう時に、「なくさない」っていうメリットって圧倒的に強いと思うんですよね。

財布も鍵も「このタグを付けておけばなくなりませんよ」っていうのがわかりやすいメリットなので、じゃあそれを付けとこうっていうのが文化とか習慣としてできた時に、IoTの最初の入口みたいなものになるんじゃないかっていうのをちょっと考えたりはしています。

佐俣:なるほど、じゃあこれからガンガンデバイスを作って……。

増木:そうですね。

佐俣:で、普及させて、プラットフォームを作っていくっていう感じですかね?

増木:ここからどんどん作っていくっていう形ですね。

落し物の対応を警察にだけ任せておいて良いのか?

佐俣:世の中に対して取り組みたいゴールは何なんですか? 落とし物がなくなることなんですか?

増木:僕たちの目指すところとしては、「物をなくす」って誰がやってもものすごいナーバスな経験なんですよね。旅行中に携帯をなくした、そしたらもう旅行が台無しだし、財布落としたと言ったら、1日台無しですよね。そういう時に、そんな思いをしてほしくないんですよね。自分の大切なものをなくさないようにできると言った時に、それが嫌だという人はいないと思うんですよね。

賛否両論あるっていうより「絶対そのほうがいいでしょ」っていう。そういうのを実現したいなと思います。あとは新しいインフラですよね。例えば今、国がやっているサービスっていっぱいあると思うんですけど、民間に変えているものってあると思うんですよね。郵便だって宅配便があったり、気象庁だって民間の天気予報会社があって……。

佐俣:スペースXとかもそうですよね、NASAの衛星を民間で飛ばしてますよね。

増木:落とし物って、確か今は警察しかないんですけど、民間のほうがサービスも良いだろうし、何かできることがあるんじゃないかって。具体的な形はまだ見えてないんですけれども、そういうところもやっていきたいかなというのは考えています。

佐俣:なるほど、でかいですね。素晴らしい。

増木:まだ時間がかかります。

佐俣:改めて今回の入賞に関して、この喜びを誰に届けたいですか?

増木:やっぱりMAMORIOを出した時に、これを支持してくださったみなさんに届けたいなっていうのがいちばんあります。「こういうのが作りたいですよ」という時に、本当に「いいね」って言ってくれた人がいて初めて動き出したっていうのがあって、でないと今ここに立ってないので……。そういうところでやっぱりいちばんありがとうって言いたいですね。

佐俣:では最後に、その届けたいみなさんにメッセージを、カメラ目線でお願いしてもいいですか?

増木:はい。みなさん、MAMORIOが見事に入賞することができました。もっとより良い製品を作って出せるように頑張って行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

佐俣:ありがとうございます。Launch Pad第5位、株式会社落し物ドットコム「MAMORIO」の増木大己さんでした。どうもありがとうございました。

増木:ありがとうございました。

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