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人生は挑戦だ!(全6記事)

「結果論の分析なんてダメ」 孫泰蔵氏が語る、熱狂を生むプロダクトのつくりかた

「まずは目の前の1人を熱狂させること」--大人気スマホゲーム『ブレイブフロンティア』を生み出したgumiの國光氏はじめ、孫泰蔵氏やセプテーニ佐藤光紀氏らが、プロダクトに中毒性を宿らせるために必要な心構えを語りました。(IVS2014 SummerWorkshopより)

今もっとも熱い留学先とは

小野裕史氏(以下、小野):非常に多様な人生や経験を積まれているこの5名の大先輩方に、質問がなんでもできるということで、早速皆さん、ウォーミングアップです。全員手を挙げましょう。挙げていない人は退場ですね。

じゃあ、質問がない人だけ下ろしてください。こんなに少ないんですか。ではその方たち、立ち上がっていただいて、最前列のほうに来て並んでください。しまったなという顔をしていますね。チャンスですよ、これは。

ルールをもう一度説明いたしますが、まず、簡潔に質問をお願いします。誰に聞くかの権利は、皆様には与えません。こちら側で決めます。一番自分がいい回答ができそうだという自信のある人が答えると、そういうルールになっております。ですので、皆さん期待してください。

もし、さらにいい回答ができるかもしれないなという場合は、複数の方が答えてくれる可能性があります。ということで、トップバッター。椅子に座っていただいて、自己紹介と質問をお願いいたします。

質問者1:初めまして。東京大学の「TNK」という起業サークルで今、代表をしていまして、有名なところでいうと、グノシーの福島さんがTNK出身だったりしています。

小野:お名前は?

質問者1:モリモトです。よろしくお願いします。

小野:モリモトさんですね。泰蔵さんはモリモトさんのお名前わかっていましたけれども、あえて聞きました。

質問者1:ありがとうございます(笑)。國光さんにお答えいただきたいなと思っています。

小野:早速ルール破りましたね。いいですね。

質問者1:申しわけないです。

小野:いいですね。こういう感じです。

質問者1:申しわけないです。個人的にいうと、僕はナンバーワンを愛していて、とにかく孫正義さんを超えたいと常に思っています。日本を代表して世界に飛び出すようなそういった会社を、トヨタとかソフトバンク等あったと思うんですけど、次世代のそういった会社をつくりたいと思っています。

現在大学2年生なんですけれども、留学をすごく考えていて、留学は絶対に、世界に飛び出すためには必須だと思っているんです。でも、どこに行けばいいのか、そして何を学べばいいかというのがいまいち……大きなことをしたいんですけど。

小野:さっきのセッションを聞いていましたか。

質問者1:はい。

小野:答えがあったんじゃないかな。もし、それに対してのものがさらにあるんだったら、國光さんが答えてくれるかもしれません。

質問者1:孫正義さんも、留学する前に聞いたといわれているじゃないですか。そういった形でお答えいただければと思っています。

國光宏尚氏(以下、國光):真面目に答えると、文系・理系、どっち?

質問者1:理系です。

國光:なるほど。ちょっとまじめに答えると、やっぱりシリコンバレーか、それか、中国は今はもう遅いから、やっぱりどう考えてもインドだね。やっぱり最終的に国のところの成長、長期的な成長というのはわりと単純に読めて、要するに人口ボリュームのところと、やっぱりどれだけ若い子がいるかみたいな、って感じのとこやから。だから、やっぱりそこんところでどういうふうな人脈を築いたりとか。

要するに、今、中国に行ったら、もう中国の経験ある人いっぱいいるし、アメリカにもまあまあいっぱいいるしという感じやから。といったときに、インドは100%来るってもうみんなわかっているけど、でも、インドの経験ある人というのはほとんどおらへんから。だから、もし俺が2年生で今から選ぶとしたら、中国はもう遅くなっちゃったから、確実にインドだと思います。

質問者1:ありがとうございます。

小野:ということで、いますぐ、エクスペディアか何かで、インド行きのフライトを取って行ってください。ありがとうございました。拍手をお願いします。

質問者1:インド、行ってきます。

(拍手)

成功の方程式を追い求めるな

小野:じゃ、続きまして、次の質問者を。

質問者2:お世話になっています。ラクスルのモリでございます。

孫さんは色々な会社をやってこられたと思っているんですが、世の中のマーケットであったり、流れを読む上でこういうことは大事にしたほうがいいとか、こういう物の考え方をとか、マインドセットを持ったほうがいいというような教えがあれば、ぜひご教示いただきたいと思っております。

:すごい難しい……伸びそうなマーケットだからやるとか? ということかなあ、と僕は思うんですよね。そうじゃなくて、何か自分がやりたいことが見つかったらそれをやるべきかなと僕は思っています。

だから、これから高齢化社会だから「じゃ、シニアマーケットが伸びるぜ」とかと言ってやるものじゃないと思うんだよね、そういうのって。本当にお年寄りの人の何か具体的に困った問題があって、俺はそれを何とかしたいというのがあれば、やられたらいいと思うんですけど……何か命題の立て方が違う気がします。

あと、今後も似たような質問があると思うので先に言っておくと、成功のための方程式がとかテクニックとか、どんなふうにすればいいんでしょうか、という質問をたぶん、皆さんはしたいと思うんだけど、そんなのないから。ない! ないです!

何故ないのかというのは、小出しにこの後出していくけど。基本的にうまくいく方法とかテクニックとか技とか、ないんですよ。なんで、それを追い求めようとする心というか、命題設定があまりよくないと思うんですよね。

そうじゃなくて、自分がやりたいことを見つける。自分のやりたいことといっても実はよくわからない、というところがあると思うので、「誰か、この人のために、こういう人たちのために俺は本当に何とかしたいわ」と思えるものを見つけるために、これから何年間か、色んな旅をしたり、色んな人に会ったりするといいんじゃないかと思います。

質問者2:ありがとうございます。

小野:よろしいでしょうか。小澤さん、来ました!

小澤隆生氏(以下、小澤):きょうは結構いいですね。まず、ラクスルに1億投資している取締役の私の前で起業を語るという。すばらしい、いい度胸ね。

小野:(笑)。すばらしいですね。

小澤:さらにさっきの、もう1つ前の方も、孫正義さんの弟さんの前で「孫さんを超える」という。

(会場笑)

小野:超えると言っていましたね。

小澤:すばらしい方々が続いているから、きょうはいいかもしれないね。

質問者2:ありがとうございます。

小澤:以上です(笑)。

小野:(笑)。ということで小澤さんの感想でした。ありがとうございました。ノってきましたねー。小澤さん見ているとわかるんだけど、ツマらない質問だと、どんどんイラついてきますからね。続きまして、お願いいたします。

プロダクトに中毒性をもたせるために

質問者3:東洋大学2年のワタライという者です。よろしくお願いします。孫さんに質問なんですけれども(笑)。申しわけないです、ちょっとタイミング悪かったですね。皆さんにも質問なんですけど、何かヒットする製品とかプロダクトというのは絶対中毒性があると僕は思っていて。

特に僕の人生でどんな製品がよかったかなとよく思い出してみると、僕の中ではパズドラがめっちゃすごかったんですよ。受験期にめっちゃやっちゃって、パズドラのせいでどんどん偏差値が下がっちゃって、もう大変なことになっちゃったじゃんみたいな。

:それはお前のせいだろう。俺のせいじゃねえよ。

小野:(笑)。きょうの泰蔵さんはいいですね。

:人のせいにすなー、お前。

國光:ブラック泰蔵。

質問者3:中毒性ってどうやったらプロダクトに与えられるのかなというか。どうしたら中毒性を……。

小野:これは、あえて國光さんが答えるとか、真田さんが答えるというのもありかもしれませんけどね。

:だと思いますね。

小野:どうぞ、泰蔵さん、もちろん。

:僕に答えることはもうない!

小野:成功の方程式はないという回答でしたので。

:今はね。

小野:どうでしょうか。

國光:ちょっとまじめな答えが続くとなんか嫌だけど。

小野:いいよいいよ、まじめに行こう。

國光:ジャブなので、まじめな感じでいくと、たぶんその『パズドラ』のほうもそうだし、うちのほうの『ブレイブフロンティア』とか、そういうヒットしているゲームとかプロダクトのところでいくと、たぶん、つくっている人が、誰かにはやらせようと思ってつくっているというよりかは、例えば、たぶんジョブズも、「俺はこんな携帯電話が欲しい」とか、「これがどうしても俺が欲しい」みたいな感じで……。

なので、ほかの人に向けてどうこうという感じじゃなくて、「俺が欲しい!」「俺がこれを絶対やりたい!」というやつを作っていくと、結果的にやっぱり情熱がプロダクトに入っていって、結果、みんなが中毒になるようなものになっていくんかなあと。

泰蔵さんがさっき言ってたみたいに、やっぱり本当に自分がやりたいこととか、「これをつくりたい!」みたいなやつを見つけて、そこに没頭していくというのが一番いいんじゃないかな。

:そうなんですよ。中毒性の高いゲームをつくりたいとか、アープ……アープ(APPU)というのは客単価という意味なんですけど、客単価の高いゲームをつくろうとか、そんなつくり方なんか絶対していないからね。

やっぱりエンターテインメントというのはそういうものじゃなくて、本当に自分が面白いと思って、みんなも絶対面白いと思うものを一生懸命考えて、本当に身を削りながらつくっているだけなんですよ。

なので、要するにそういう記事とか、分析したようなやつとかいっぱいあると思うんだけど、あんなのクソだからね。全く参考になりません。結果論で全部答えているだけなんですよ。その結果論の分析を適用して何か作ろうという、もうその時点で志が低い。

質問者3:そういうものはもう読まないほうがいい

:読まないほうがいいですよ。

質問者3:わかりました。

:それよりは、あなた自身もすごくいい作品とかを、映画でも小説でもゲームでも何でもいいけど、たくさん見て、たくさん引き出しをつくって、その中から自分がいいと思うものを、これとこれとこれを組み合わせて、こんな楽しさをつくりたいというふうに考えるべきだと思います。

質問者3:わかりました。ありがとうございます。

小野:いいですね、光紀さん。

佐藤光紀氏(以下、佐藤):大勢に向けて何かすごくハマるものをつくろうと思ったときに、大勢に向けて満足させようとすると、やっぱり全員は満足させられないんですよね。目の前の1人を熱狂させる。それが自分であっても、目の前の想像できる誰か、具体的に、どういう人でというのがわかっている状態で、その目の前の人を熱狂させることさえできれば、熱狂というのは伝播するんですよ。伝染病みたいなもので、広がっていくんです。

例えばスピーチなんかもそうで、きょう何百人かいますけれども、1,000人に向けてスピーチするとき。僕はもともとスピーチが苦手で、途中から得意になったんです。何で得意になったかというと、1,000人に向けてしゃべるのをやめたんです。1,000人会場にいたとしても1人、ワタライさんならワタライさん1人に対して話しかけるんです。そうすると1,000人に伝わるんですよ。

目の前の相手に情熱を注ぎ込むことで、その人に伝わると、周りにも伝播していくんです。サービスづくりとか事業づくりも経営も全く一緒。とにかく自分のつくったものに熱狂してくれる誰かを1人でいいからつくると。その深さがあれば、必ずその後、広がっていくと思いました。

質問者3:わかりました。すごいありがとうございます!

小野:ありがとうございました。

小澤:國光さんなんて、さっきの講演中、ずっと自分のゲームやっていましたからね。自分が夢中なわけですよ。

:熱狂してるよね。

國光:熱狂(笑)。

質問者4:スタッフの○○といいます。よろしくお願いします。会社で仕事をしているんですけど、今、自分の仕事が結構うまくいっていたところなんです。うまくいっていたところが、ある程度うまくいって、ちょっとシュリンクしてくるじゃないですか。

そういうとき、次の挑戦に行くときに、やっぱり後の飛び立ち方というか、次の挑戦への準備として、どうそれを引き渡したりとかどこまでやるのか。次への挑戦の仕方、心構えも準備も、連続して挑戦されている方々はそういった観点で、どうやっているのかなと。

小野:ちなみに、今、どこの会社にいらっしゃるんでしたっけ。

質問者4:今、DeNAという会社にいまして。

國光:DeNAね。

小野:DeNAを飛び出すにはどうすればいいかという質問ね。はい、お答えいただきたいと。

質問者4:いや、社内で今までと全然違うやり方でつくりたいと。実際、それも会社にオッケーしていただいているので、次やれるんですけど、どういうふうに今のものをしっかり整理するかという段階なので。

國光:なるほど。じゃあ、DeNAをやめたい○○君に、真田先輩から。

(会場笑)

真田:それはやっぱりGREE(グリー)に行ってみたらいいんじゃないですか。

(会場笑、拍手)

真田:何か一つのことをやっていて、停滞感を感じているわけだよね。このままでどうかなというとき、そういうときというのは、その対局に位置することに振ってみる。

サッカーでいうと、右サイドからガーッと攻めていって、もう右サイド、ガチガチに守備を固められていたら、そこを強行突破しようとかドリブルで何とかしようとかせずに、ふっと顔を上げて見渡すと、左側がガラ空きだったりするわけですよ。自分で何か停滞感を感じている。

よく「押してだめなら引いてみな」を、何かうまくいかねえなあというときは、一旦、僕はよくやるんですけど。自分自身で俯瞰の位置にぐっと抽象度を上げるというんですかね。一旦空高く、フッと上がってみる。

自分を第三者的、客観的な目で見る位置に立って、「おいおい真田、それでいいのか?」みたいな視点に立って、意図的に逆サイドを眺めてみると、そこに空き地が見つかることがあります。空き地が見つからなくてもいいから、今やっていることの対局を試しにやってみる。

僕、学生時代、大阪で学生起業みたいなことをやっていました。年商10億ぐらいで、そこそこいってたわけです。でも、このままいくと、年商10億が20億になっても、1,000億の会社はできんなあ、と思った瞬間に、どうしようかと思って。

とにかくやめようと思って、その事業を部下に譲って、何をしようか決まってないままに、何となく環境を変えてみたくなって、ふらっと一人で東京に出てきて。そのまんま退学届を出しちゃったんですけど。

当時は関西・大阪に住んでいたんですね。環境を変えて何かを考えたら、次の何かが見つかるかもわからん。今の行き詰まり、このままでいくと、10億の会社は20億か30億止まりだなと思ったときに、一旦やめて、全然違う環境に置く。一番できない、変えられない人というのは、次を決めてから変えようと思う人。

質問者4:済みません、僕の質問のしかたが悪かったんですけど、次にいくんです、もう。

真田:もういくのが決まっている?

質問者4:次にいくことが決まっていて、どうやるかまで決まっているんですけど。

真田:もうGREEに内定! 違うか(笑)。

質問者4:部下への渡し方ですね。そういうところでの心の決め方。今、僕のプロダクトもすごく好きなので、どうやって自分のチャレンジのために今のものを受け渡したりとか、どういう方法で渡していくのかという心構えみたいなものが。次のチャレンジの話ばっかりがあるので。

佐藤:組織は大丈夫。あなたが抜けても、必ず次の人が出てくるんですよ。なので、自分がチャレンジをして椅子を空けるというのは、むしろその残した組織の成長の機会になる。新しく残した人たちにとっては、むしろあなたが抜けることで新しい機会が生まれて「おお、ラッキー!」と思う人も結構いるかもしれないです。

自分で勝手に失敗を心配しているだけで、実は、受けとめる側のチームは、「これで俺の番が回って来たぜ」と思って、その人の今までの成長カーブよりも、より高いペースで上がっていく人というのが、きっといるはずです。なので心配ないということじゃないですかね。

小野:よろしいでしょうか。

質問者4:ありがとうございます。

小野:ありがとうございました。いいですね、皆さん。ルールも無視するし、回答も遮って違うことを聞くという。どんどんそんな形でいきましょう。

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