【3行要約】
・日本新規事業大賞は、企業から生まれる新規事業に光を当て、事業会社内で挑戦する起業家マインドを持つ人々を応援するアワードです。
・今回は、第三回の大賞を受賞したソフトバンク株式会社 上原郁磨氏のピッチの模様をお届けします。
・セキュリティとガバナンスを両立させながら、日本企業の組織知を世界に通用するAI事業へと昇華させるための戦略が示されます。
“チームで戦う”日本の強みをAIエージェントに活用
上原郁磨氏:ソフトバンクの上原と申します。AIエージェントの事業、AGENTIC STARの話をさせていただきたいと思います。
まず我々は、会社として産業革命をしようと本気で取り組んでいます。小さな特化した領域ではなくて、垂直統合型で全領域に張って挑んでいます。

私はSBテクノロジーの営業とマーケティングの責任者をしていたんですが、TOBをされました。2025年4月、SBテクノロジーの社員と一緒に乗り込み、そして8月に「SBテクノロジーとソフトバンクの価値を最大化したAIの戦略を考えてほしい」というミッションをいただきました。
28本部ある中でAIの有識者に、職位関係なく徹底的にヒアリングをしました。そうしたら原石がありました。「開発リソースをAIエージェントで補っていた」というところです。
(スライドを示して)見ていただきたいのは、設定値を与えて権限を与えると、コードを自動で作ります。さらにエラーが出ても自分で修復します。

これだけでもすごいのですが、やはり世界では戦えない。なので取り組み方を変えました。「日本の価値は何だ」ということで、チーム力です。さまざまな産業がありますが、農業でも製造業でも学校教育でもチーム力は重要なものです。
3つの階層でノウハウを蓄積
そんな中で世界のAIツールは個人記憶を中心としています。我々は組織と職種の領域の階層で管理することで、長期記憶に着手しました。特許も取りにいっています。

見ていただきたいのは、営業責任者としてBIツールを導入するんじゃなくて、生成できるようになりました。私が見たいカットで数字が管理されて、ソートも検索もできます。
(スライドを示して)ただ、長期記憶がないとどんな状態かというと、これだけさっぱりとした状態で、この(長期記憶の)大事さがわかるかと思います。

さらに先ほどはコードでしたけれども、アプリが作れます。みなさん使っていると思いますが、居酒屋の情報を取ってきてアプリにしたり、オフィスの情報を取ってきてテナント用の案内アプリを作ったり。もう、こういったものが(チャットで指示するだけで)自動でできるようになっています。
これができると人のように動きますから、例えばWebサイトに行って問題を特定して、要件定義書を作らせる。こういったことができるようになっています。
ここまで品質が高いものがなぜできているのかなんですが、目的を把握するAIと実行するAIはマルチで、AIが言語モデルを選択します。そして監督するAIがいて、これらが長期記憶と照らし合わせながら問題を特定して進めます。
長期記憶にはさまざまな組織知が入っていまして、トレンドであったりとか、メンバーがどんなことをしているのかも追えるようになっています。

ただ、これでも導入されません。なぜならば安全性とガバナンスが気になるからです。特に日本はそうです。なので、指示に対して専用の作業部屋を提供します。クラウドのセキュアな環境が用意されるので、何が起こってもこの中で完結します。
さらに我々は通信会社ですから、セキュリティ面は重要です。ガードレール、野良エージェントと呼ばれるものの管理、ブロックする国もUIで設定できるようになっています。
グローバル規模の事業拡大に意欲
さらに考えなくてはいけないのは速度です。(AIテクノロジーの急速な)成長の速度にどう(対応)するかですが、実は、私は大学院でシステム思考とデザイン思考を学び直しました。
それで考えたのが「System of Systems」という考え方です。カメラの会社はカメラを、そしてプリンターの会社はプリンターを成長させ、それぞれが成長するので産業としては大きくなるという考え方です。

AIはきれいなデータを取りにいけるか、そして言語モデルが何か、そして生成物が何かですが、これをさまざまな特化型サービスの会社と組みます。グローバルの大きな企業と、ストレージの領域、資料作成のところ、コードのところ、全部で組みます。
今度はこれをどのように展開するかが重要です。自分たちでデータを囲う方々が多いですが、我々はこのままサービスとして提供するのが1つ。そして他社がサービスを持っていますから、その裏側でエージェントだけを使っていただくというのがもう1つ。

さらに、囲うのではなくて開放します。パーツで欲しい機能だけを提供するかたちをとることによって、組めます。こういったかたちでマーケットプレイスや、海外パートナーとの連携によって、日本から世界へ(グローバル展開が)進んでいます。
我々は小さく言って(関連する事業含め売り上げ)500億円ぐらいの事業を作っていきますが、さらに導入した企業が自分の事業と絡めて売りたいと言ってくれている。こんな世界ができてきていますので、これをみなさんと共にやっていきたいと思っています。ぜひ応援してください。よろしくお願いします。