みてねとのシナジー検証を経て グループ入りが実現した 稲荷田: じゃあ当然、一足飛びにいきなりM&Aが現れたわけではない?
あんみつ:ぜんぜんないです。もう3段階ぐらいあった感じです。MIXIに初めは出資も断られていました。MIXIには「みてね」という家族アルバムアプリがあるんです。ママやパパの2人に1人が使っているので、子どもがいる方はかなり使っていただいているかなと思います。
みてねの事業部と主に連携していく前提でMIXIのグループ入りを目指していたんです。けれども、みてね自体もまだマネタイズというよりかはフリーミアム戦略でユーザー数を伸ばしていくっていうフェーズだったんです。なので、「ちょっと今はそっちにフォーカスしているので、あんまり子会社買収は考えていません」というフェーズでお話を1回させていただいていました。
稲荷田: へぇ。
あんみつ: みてねは写真を保存するだけじゃなくて、「ストア」タブからその写真をフォトブックやアクキー(アクリルキーホルダー)、年賀状といったフォトグッズにできるんです。
その中に(カップルや家族の)写真を撮影するという機能も(「ストア」タブに)付けたいと、みてねが戦略として考えてくれていたタイミングがありました。たぶんその時にやっと、「あの時に話していたラブグラフってあるよね」みたいな感じになったんです。
ラブグラフっぽいサービスって3つぐらいあるんですけど、みてねの中で「ラブグラフが一番いいよね」となってくれたらしくて、「え、じゃあ両思いじゃん」みたいな(笑)。
稲荷田: (笑)。
あんみつ: そうなって、お声掛けというか返事をいただきました。とはいえ、いきなり買収じゃなくて、本当にラブグラフとみてねにシナジーがあるかどうかを検証するために、いったん資本業務提携をすることになりました。でも、そのタイミングでオフィスはもうMIXIやみてねの事業部に移転したんですよ。
なのでもう、実態は結婚していないけど同棲しているみたいな感じで2年過ごしました。その同棲期間の間に「みてねのお客さんがラブグラフを使ってくれるか?」みたいな検証をやって、「そうだね、ある程度というかまあまあシナジーがあるよね」となりました。それで、晴れて2022年にグループ入り……まぁ、結婚したような感じですね(笑)。
コロナ禍の危機を新しい需要で乗り越えた 稲荷田: 決して売り抜けようという思いはなかったと思うんですけど。
あんみつ: はい。
稲荷田: だとしても、その2年間ってけっこうドキドキする期間じゃないですか?
あんみつ: そうですね。しかも、自分の年齢も20代後半だったんです。なので、「人生どうなっちゃうのかな? 自分は結婚もしていないのに」みたいなのもありますし、(一方で)「でも、ここは踏ん張って絶対にやり切らないといけないよね」みたいな思いもありました。もう、踏ん張り時だった気がします。
そう言えば、しかもコロナ(禍)が来たんですよ。
稲荷田: それは大変ですね。どうやって乗り越えたんですか?
あんみつ: いや、もう本当にどうしようかと思ったんですけど、でも、コロナ(禍)の時期ってみんなそうでしたよね。
稲荷田: そうですね、はい。
あんみつ: でも、ちょうどそれがもうグループインのディールの終盤ぐらいだったんですよ。
稲荷田: でも一応、クロージングの段階までは進んでいなかったんですね?
あんみつ: クローズはしていなくて、最後らへんでした。ほぼほぼこの方向性でいきましょうぐらいの時にコロナ(禍)になっちゃったんです。業績がえらいことになるじゃないですか。
稲荷田: なりますよね、はい。
あんみつ: 出張撮影サービスなので、外で撮影するので……どうなったっけ? もう、忘れちゃいましたね。
稲荷田: (笑)。
あんみつ: 昨対何パーセントだったかな? もうガクンと落ちちゃったんです。でも逆に、卒業式や成人式が全部なくなったじゃないですか。
稲荷田: はい。
あんみつ: なので、「自分たちだけでやりませんか?」みたいな切り口でやったら、それがめっちゃバズったんです。前年度(比)何百パーセントみたいな感じで、あるカテゴリーだけが(逆に)コロナ(禍)の影響ですごく伸びて、とんとんになったみたいな。
稲荷田: へぇ、すごい。
あんみつ: なんならちょっと成長したぐらいになって、ギリギリ整合性が取れたみたいな奇跡もありました(笑)。でも、方向性としては、コロナ(禍)はいずれにしても落ち着くよねという見込みだったと思います。なのでそんなに戦局が変わることはなかったんですけど、そういったちょっとしたドキドキもありながら、なんとかクローズしたという感じでしたね。
グループ入りで見えた海外展開と人材の可能性 稲荷田: 僕ももともとみてねを使っていて、アルバムを注文したこともあるんです。確か、ある日急に「写真も撮りませんか?」というメールが実際に来たことがあって、「あ、これか」と思った記憶があります。
あんみつ: うれしい。そうなんですよ。
稲荷田: でも、あれは確かにめちゃめちゃ相性が良さそうですよね。
あんみつ: そうですね。実際、一貫してみてねブランドで使っていただくという世界観を目指しています。
稲荷田: あとはグループ入りしてから、例えば視座が変わったり視野が広がったりした点については、どんな感じだったんですか?
あんみつ: みてねって、実は半分ぐらいは海外ユーザーだったりします。
稲荷田: え、そんなになんですか?
あんみつ: はい。「Family Album( Mitene)」という名前で、アメリカとかでも使われていたりするんですよ。そういった意味で、この写真撮影の文化はグローバルだよねと思います。グループインしてから、今だとラブグラフでは「Capture My Japan」というインバウンドの旅行客の方や海外の方を撮影するサービスとかもしています。
そういった意味で、本当の意味で世界中の人の愛をカタチにするというところにチャレンジしていますね。
視座(の変化)というか人材の側面では、MIXIからの出向や、逆にラブグラフからの出向もしていたりして、そういった人材の流動性もあります。すごく優秀な方をラブグラフに送っていただいたり、普通だったら採用がすごく難しい方もコミットしていただいていたりするので、そこはすごくグループインしてありがたいところですよね。
共同経営で大切だったのは不満を本人に直接伝えること 稲荷田: あとは(ラブグラフが)特徴的なのって、共同経営でやられていらっしゃって、かつ、そこがどうやらめちゃめちゃ仲がいいらしいといろんなところから聞いています。(すでに公開情報として)出ている部分もあるかなと思うんですけど、そこのTipsだとか、共同経営をやるんだったらこういうところに気をつけたほうがいいよとかはありますか?
あんみつ: こまげという社長と私と……まぁ、厳密には初めはもう1人いて、その3人で共同創業しました。これまで話したようにいろんな局面があります。なので、組織崩壊のようになってしまうようなフェーズや、業績が伸びずにちょっと会社の雰囲気が悪くなってしまう局面はどの会社にもあるかなと思います。そういった時には、相手やチームメイトに対する不満は本人に率直に言うのがすごく大事だなと思っています。
けっこう嫌な感じになっちゃった例として、結局本人に言わずに仲が良くて言いやすい同僚に言うとか、Xに書いちゃうというのもあると思うんです。けれどもそうじゃなくて、そういういろんな葛藤や意見は本人に直接伝えるのがやはり一番いいなと思っています。そこはやはり共同経営する上で一番大事にしていたところですね。
言いづらいことに踏み込む文化を自分たちから作った 稲荷田: それは、そうじゃない時代があって痛い目を見てから変えたのか、もともと大切にしていたのかでいくと、どんな感じなんですか?
あんみつ: もともとはぜんぜん大切にはできていませんでした。私自身もそうですし、やはり(たいていの人は)最初は人と人との向き合い方がすごく未熟なので、私やこまげに何か不満がある人が……例えばこまげに不満があるメンバーがこまげに直接言わず私に言ってくることがめっちゃあったんですよ。言いやすい人に言う、みたいな。逆に、たぶん私に不満がある人はまた別の人に言っていたかもしれないです。
私が(誰かの不満を)受け取る側になる時もすごく多くて、「本人に言ってよ。なんで私が言わないといけないの?」と思ったこともありました。
(確かに)私も、こまげ本人に何か思うことがあったとしても、やはり直接は言いづらい。例えば、誰かに対して「さっきの言い方はちょっと傷つく人がいたかもね」という率直なフィードバックをしようとしても、いきなり「ねえねえ、さっきの言い方さぁ……」とはなかなか言えない。相手のことが好きだからこそ、相手が傷つくかもしれないような率直な意見って言いづらいんです。
でも、それで(会社の雰囲気が)悪くなった状況があったから、やはりそこに踏み込んでいこうと、会社の行動指針として定めて……。
稲荷田: 掲げて?
あんみつ: はい、掲げて。
稲荷田: まずは自らが実践もしつつ。
あんみつ: そうですね。もちろん自分たちもやるようにしました。
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