新設100億円ファンドから、日本を再興する起業家を生み出す物語/Theta Times Ventures 北尾 崇さん(全4記事)
【スタートアップ】起業するはずが投資する側に 苦しい1年が育てた起業家を見る目 [2/2]
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タイミーへの出資を決めたのは、課題の大きさと創業者の熱量
稲荷田:タイミーさんとは、最初どんな出会いがあって、どういう経緯で出資に至ったんですか。
北尾:そうですね。まだ投資が1件もできていなかった2017年1月に、当時サイバーエージェント・キャピタルの別のキャピタリストが投資していたSTYLER社の小関翼さんという社長から、小川嶺さんのことを紹介してもらったんです。
まだ起業準備中だけど、リクルートやサイバーでインターンしたことのある立教大学1年生がいて、アパレル系のサービスをやろうとしているらしい、ということで、最初に会いました。渋谷・道玄坂のカフェで会ったんです。ただ、その時はやはり、なかなか難しいなという印象でした。
稲荷田:そうですね。今、条件だけ聞くと、今のような会社になるとはなかなか想像できないですよね。
北尾:そうなんです。そこから2ヶ月に1回くらいのペースで、小川さんと事業の壁打ちをしたり、「相談に乗ってください」と言ってもらって会ったり、という関係が続いていました。
そういうやり取りを続ける中で、彼がタイミーのサービスをやるきっかけになったのは、2017年後半、秋以降だったと思います。実際に単発バイトをしてみて、「これは課題が大きい」と感じたタイミングがあったんです。ただ、その頃はいったん少し連絡がなくて。
その後、2018年5月くらいに「北尾さん、これでいこうと思っているアイデアがあるので、相談に乗ってください」と連絡をもらって、聞かせてもらったのがタイミーでした。その時に「お、これは」と思いました。
稲荷田:アイデアの段階からですか?
北尾:そうですね。聞いていたところ、LINE@(現LINE公式アカウント)に400〜500人くらいの学生を登録していて、そこにアルバイト情報を投げると、すぐに飛びついてマッチングが成立する、ということでした。
ただ、それ以上に、「面接なしですぐ働ける」という点が、めちゃくちゃいいなと思ったんです。私の姉は、大阪・難波のほうで焼き鳥店をやっています。姉たちも、「お客さんが来ない」というより、人を採用できなくて潰れそうだ、と言っていました。
稲荷田:へー、そっちなんですね。
北尾:意味がわからないな、と思ったんです。話を聞いていると、もう本当に大変だと。ちょうどその頃、たまたまぐるなびの決算資料を見ていたのですが、そこに、自分たちの広告媒体の売上が下がっている、という説明が出ていたんです。今、飲食店は、お客さんを集めるための広告費を払うのではなく、人が採れないので、採用媒体のほうに出稿したい。だから、ぐるなびの売上が落ちている、という内容でした。
それを見て、「うわ、そういうことか」と思って。たまたまそのタイミングで小川さんからも同じ話を聞いたので、「これは絶対ある」と思いました。当時の自分は、まだ何の権限もないアソシエイトでしたが、小川さんは「もう来週にはクローズしたい」と言っていたんです。
稲荷田:(笑)。めちゃくちゃタイトですね。
北尾:その話を小川さんからもらったのが、たしか金曜日くらいでした。うちは水曜日に投資の協議をかける場があったのですが、そこに、いきなり小川さんをお連れしたんです。
本来であれば、まず僕が事前に社内で共有して、「いいね」となったら社長に来ていただいてプレゼンしてもらう、というステップなんですけど、この時はもう、いきなり小川さんに来てもらって、プレゼンしていただきました。
そういう意味では、もう本当に3営業日くらいで「やりましょう」となったので、すごく印象的な案件でした。
人を巻き込み切る力こそ、小川嶺氏の強さ
稲荷田:そこから、まさかここまで伸びるとは、当時もある程度見越した上での出資だったと思うんですけど、一方で、予想以上だった部分もあったんじゃないかなと思います。実際、北尾さんには小川さんがどう見えていたのかとか、何がそんなにすごかったのかとか、そのあたりを言語化すると、どうなりますか。
北尾:そうですね。小川さんは、やはり人を巻き込む力がすごいと思います。当時から、5分〜10分の相談ですら、けっこう会いに来るスタイルだったんですよね。
当時本人は20歳とか21歳とかですし、若い人だとやはり効率を考えるじゃないですか。5分、10分の相談なら、普通は僕らも電話で済ませますし、やってもZoomやGoogle Meetですよね。
でも、彼はそのために会いに来るんです。会いに来るために、実は彼自身もいろんな時間を犠牲にしているはずなんですよね。交通費もそうですし、その前後で、例えば「今日はシャワーを浴びる時間もなかった」とか、「服を着替える時間もなくて、昨日と同じ服を着ている」とか、そういうこともあったかもしれない。
そうやって、いろんな自分を犠牲にしてでも、相手に時間をもらうんだったら、電話じゃないだろう、テレビ電話じゃないだろうと。自分が時間を欲しいと言っているんだから、会いに行かなきゃいけないだろう、と。そういうところが、当時からすごかったんです。
それをされると、おじさんたちも、僕らも、やっぱり心が動いちゃうよね、という。そういったところが、当時からあったなと思います。
もう1つは、これだと決めたら、どれだけ時間がかかってもやり切るところです。今年、2025年でしたか、タイミーの取締役に就任された池田さんというCPOの方がいるのですが。
彼はもともと、アメリカのGoogle本社で働いていた日本人でした。2019年に小川さんと一緒にサンフランシスコへ行った時に、小川さんが池田さんを口説いていたんです。そこから5年間口説き続けて、池田さんを仲間に引き入れ、さらに取締役にまでなってもらった。その間には、業務委託のようなかたちを挟んでいた時期もあったと聞きました。
それはすごいことだなと思います。この人だと決めたら、どれだけ時間がかかっても口説き切る。やはり、そういう人を巻き込むところ。資金調達でも同じでした。3億円集めると決めたら、絶対に3億円集めるまで諦めない。そういうところが、小川さんのすごいところだと思います。 続きを読むには会員登録
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