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#119 「食べられないをなくす」"お菓子屋スタートアップ"の物語/株式会社TREASURE IN STOMACH 代表取締役 柴田愛里沙さん・OASIS FUND 代表パートナー 橋田一秀さん(全4記事)

【スタートアップ】物理学科出身、未経験でヴィーガン菓子店を起業 「失敗は違うとわかっただけ」で試作を前進に変える考え方 [1/2]

【3行要約】
・物理学専攻から菓子店経営へ。柴田愛里沙氏の異色の経歴は、物理で培った 「諦めない」課題解決力と仮説検証の精神が基盤となっています。
・柴田氏は「失敗は違うとわかっただけ」と捉え、従業員の自己肯定感を高めることも経営者の重要な役割だと語ります。
・未経験からヴィーガン・グルテンフリー菓子店を開業した柴田氏の挑戦は、物理で培った試行錯誤の姿勢と人とのつながりが成功の鍵となりました。

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物理を選んだ理由

稲荷田和也氏(以下、稲荷田):そうですよね。それで、大学は理系に行ったんですね。

柴田愛里沙氏(以下、柴田):そうなんです。理系の大学に行って物理を専攻していたんですけれど、物理ってすごく難しいんですよね(笑)。

稲荷田:(自分は)めちゃめちゃド文系で、物理って何もわからないレベルなので、すごいなって思っちゃっているんですけど。どうして物理を専攻したんですか?

柴田:計算が好きだったので。

稲荷田:計算が好きだった。へぇ。

柴田:数学が得意でした。国語も好きだったんですけど、私の場合は古文がすごく苦手で。古文って、けっこう恋愛物語が多いじゃないですか。

稲荷田:うん、確かに。

柴田:私、恋愛小説が苦手で興味ないんですよ。

(一同笑)

柴田:恋愛映画にも興味ないんですよ。興味が持てなくて。数学のほうが楽しいな、という感じになっちゃって(笑)。

稲荷田:難しいとかじゃないんですかね? もう、好きじゃない?

柴田:うん、「なんか苦手」みたいな。やろうと思っても気持ちが入らないと思って(笑)。なので、数学、物理ってなりましたね。

物理で身に付いた「諦めない」課題解決力

稲荷田:でも、そのままエンジニアとかになったわけでもないんですよね?

柴田:そうなんですよ。物理って1人でずっと計算している感じで。私、もうちょっと人としゃべりたいなとか、いろんなことに興味があるタイプだったので、いろんなことを知れる仕事をしたいなって思ったんですよ。特にこれがやりたいってカチッと決まってもいなかったので。

物理っていろんな仮定の上に成り立っている学問なんですけれど、正直1人の天才がいたら、どうにかなっちゃう世界というか。「私みたいな中途半端な人間がいても、この業界ではあまりお役に立てないな」って思って(笑)。だったら思い切って違うことをやってみようと。

物理のいいところって、難しいことをひたすらやらされることなんですよ。もう意味がわからない……「これが壁を透過する確率がゼロでないことを数式で証明してみる」みたいな。意味がわからない、オカルトの世界。それも、8次元の話とか(笑)。

「実在するの?」みたいな、オカルトの世界みたいな感じになってきて。そういうわけのわからないことをずっとやり続けると、課題解決能力がめっちゃ身に付きます(笑)。

難しい無理難題に直面した時に、「駄目だ」って諦めないで、「こっちの角度ならいけるんじゃないか」とか、「こっちならがんばればどうにか解決できるんじゃないか」みたいな。トライアンドエラーをしまくってもへこたれないみたいなメンタル、精神を物理から学びました(笑)。

稲荷田:すごい。

仮説検証がスタートアップに直結する

橋田一秀氏(以下、橋田):ちょっと僕もそこの話をしたくて。実は僕、大学の先輩でもあるんですよね。僕も東京理科大学で、僕は工学部電気工学科というところでした。物理学科は理学部だから、実験とかはない?

柴田:理工学部(現:創域理工学部)の物理学科(現:先端物理学科)なので、実験もありましたね。

橋田:あっ、あった?

柴田:はい。

橋田:そう。僕、工学部なので、毎週実験をするんですよ。例えば、物理法則を実験で確かめたり、素材の研究をしたりしていたんです。

物理法則を検証する場合、一定、答えがあるものに取り組むし、逆に、もっとゼロベースで仮説を立てて、やらなきゃいけないものもありました。

僕も自分で起業したり、今は投資家としていろんなシードのスタートアップをいっぱい見ていますけど、この仮説検証、PDCAは大学時代に身に付いたんじゃないかなと、聞いていて感じました。

柴田:めっちゃ失敗しますからね。「仮説がまったく違った?」「1週間めっちゃがんばったのに全部間違っていた?」みたいな(笑)。そういうことが普通にあるんですよ。

だけどそれって、違うということがわかったということだから、別の方向に転換しよう、みたいなポジティブシンキングで。

橋田:スタートアップだ(笑)。めちゃめちゃスタートアップだ。

稲荷田:起業家ですね。

失敗は「違うとわかっただけ」

柴田:従業員のみんなにも言っています。「失敗しちゃったり間違っちゃった時に、みんな自分を責めるけど、自分を責めるなんていうことは無駄だからやらなくていいよ。違うということがわかったのなら、違う方法を試せばいいだけだから」みたいなことをめちゃくちゃみんなに言っています。

橋田:どのポジションの人にも言うんですか?

柴田:どのポジションの人にも言います。

橋田:今、お店にはどういうポジションの人がいるんですか? リスナーの方もちょっとわかるように説明をしていただけますか。

柴田:はい。うちの課題の1つなんですけど、ビジネス側の人材が私しかいなくて、私以外は製造と接客の社員です。私が一番コミュニケーションを取るのは、製造の2人。この2人はうちの要なので、コミュニケーション量がめちゃくちゃ多いです。

やはり試作のトライアンドエラーの回数って多いんですよね。うまくいかないと落ち込んじゃったりするし、材料費かかっちゃった、みたいな感じで責任を感じちゃったりするけれど、それはもう必要なことだから、ネガティブに捉えないで、前に進むための一歩だよ、みたいな話はめちゃくちゃしています。

接客も、「こういう対応をしたら顧客満足度が上がるよね」というのは、けっこうトライアンドエラーなんですよね。お店の陳列もそうですし、ディスプレイや提案の順番も、マニュアルもトライアンドエラー(笑)。こういうマニュアルがあったらいいよねというのは、もうやりながら作っていくしかありません。

なので、店舗の責任者に、「失敗じゃなくて、違うということがわかっただけだから活かしていこう」みたいな感じで、めちゃくちゃしゃべっていますね。今日も言っていましたね(笑)。

稲荷田:経営者側がそういう態度だと、めちゃめちゃ働きやすそうでいいですね。

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