プロのコーチとつくるAIコーチングの品質担保
松山:その上で、やはり不確実性はまだまだ大きいんですね。特に僕らは新しい構想の中で、AIコーチングというAIプロダクトを作っています。AIプロダクトの品質担保ってめちゃくちゃ難しいんですよね。

そこに対して僕らはいろんなアプローチをしました。技術的なところで言うと、opikを導入して、モニタリング基盤を作りました。ただ試行回数がボトルネックになってくるんですよね。
テストをするにも人がやっていたら間に合わない。なのでAIにテストさせようと。AIがいろんなシナリオ、いろんなペルソナを持ってAIコーチングを勝手にやっていってくれるというものを作って、さらにそれをAIが強化するという仕組みを作りました。

社内にはプロのコーチがわんさかいるので、彼らと共同してどんなコーチングだったら良いコーチングなのかをプロンプトで表現できるようにして、僕らが何もしなくても勝手に評価が回っていく仕組みを作っていきました。
エンタープライズ検証と「mento マネジメントAI」誕生
松山:ただやはり技術以外のアプローチもめちゃめちゃ大事なんですね。プロダクトの外の体験の検証がめっちゃ大事です。社内検証はもちろんやります。ビジネス側のメンバーを含めて1日1回、フィードバックサイクルを回します。

とはいえ、僕らは顧客ターゲットじゃなく、エンタープライズ企業の当事者でもありません。そのため、エンタープライズ企業の管理職の根本のところがやはりわかりません。
じゃあ来てもらえばいいじゃないか。「採用しようぜ」という話をしまして、レンタル移籍プラットフォームをうまく活用して、エンタープライズ企業の方に実際にmentoにジョインしていただきました。

いろんなインサイトを引き出して、かつ「ちょっと御社に導入させてくださいよ」とお願いして、テスト的に導入していただくということまでやっています。
今は検証フェーズのプロダクトですが、10兆円企業の6部署ぐらいで僕らのプロダクトが実際に動いていて、リアルなフィードバックが得られるという状態まで作り上げてきました。
そんな荒波を越えてプレスリリースを出して、「mento マネジメントAI」というかたちで、無事に来年の1月にリリースする予定です。

これは悲願の、労働集約的なコーチングのビジネスからテックビジネスに移り変わったタイミングだと思っています。こういうことを僕らは1年で成し遂げていきました。
最後にですが、僕らは新しい時代のマネジメントの常識を作ろうとしている会社です。ここにいらっしゃるみなさんは、マネジメントを日々やられていると思いますが、僕らが新しい未来を作っていくので、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思っています。ぜひ商談をお待ちしております。以上です、ありがとうございました。
司会者:松山さま、ありがとうございました。非常に熱意を感じることができたのですが、いかがでしょうか。
松山:はい、熱量高く話すことができました。「熱量を上げる」って言っている会社なのに、僕が熱量なかったらヤバいので(笑)。
司会者:(笑)。そうですね、しっかり感じ取ることができました。ありがとうございます。それではこれより質疑応答のお時間とさせていただきます。質問のある審査員の方は挙手でお知らせください。……では藤本さん、よろしくお願いします。
トレンドをビジネスに変換するCTOの役割
藤本真樹氏(以下、藤本):藤本です、お話ありがとうございました。なんか元気になった気がします(笑)。
松山:ありがとうございます。
藤本:あとプレゼンのあっちゃこっちゃに貼っている画像が生々しくて、もうちょっとゆっくり見たかったなと思います。
松山:後でゆっくりお話しさせてください(笑)。
藤本:(笑)。あえてピッチ外のところになっちゃうので少し微妙ではあるんですけど、おうかがいさせてください。ピッチの前の動画で「技術力で負けたくない」とおっしゃっていたと思います。
けっこう抽象度が高い言葉だと思うので、松山さん自身が技術力を「こういうふうに考えてます」「こうとらえています」とか、具体的に「ここは絶対負けたくない」とかあったらおうかがいしたいなと思いました。お願いします。
松山:ありがとうございます。技術力にもいろいろ方向性はある気はしているんですけど、僕がすごく大事にしているのはトップダウンというか。大局や今の技術トレンドを見て、それをどう今のプロダクトや会社に落とし込んでいくのかというセンスみたいなところかなと思っています。
なのでコードを書く速さとか、トラブルシューティングの精度とかではなくて。どちらかというとキャッチアップ能力から、それを実際のビジネスにどう転換していくのかというセンスみたいなところを、僕は「技術力」と表現しています。
なので僕は、トレンドを知りにいくために日々キャッチアップしていますし、「これを今のプロダクトに落とし込んだらどうなるだろう」「新しいビジネスを作る時にこれを使ってみたらどうなるだろう」という仮説を作り出すトレーニングを欠かさないようにしています。
実際にプロダクトコードを書くというところは、やはりどうしても現場のエンジニアのほうがどんどんレベルが上がっていくんだろうなと思うのですが、前述のところは負けたくないなと思っています。
藤本:わかりました。
会社の成長に合わせて変えていくCTOとしての役割
司会者:ありがとうございます。では続きまして山﨑さま、お願いします。
山﨑賢氏(以下、山﨑):ありがとうございます。僕もリクルート出身なので、だいぶリクルート臭い感じに懐かしさを感じていたんですけども(笑)。
松山:(笑)。
山﨑:本当にザ・リクルートの人だなっていう感じで聞いていました。ありがとうございます、楽しかったです。
松山:ありがとうございます。
山﨑:CTOとしてというところで、今後会社がエンタープライズ向けのサービスとしてスケールして、会社がハッピーなストーリーで拡大していった時。松山さん自身が手を引くラインとか、もしくは変わっていかなきゃいけないみたいところを、今後のキャリアの中で描いていますか?
松山:ありがとうございます。アーカイブ配信をメンバーが見ていたりするのでアレなんですけど(笑)、やはり役割は明確に変わっていくだろうなと思っています。
特にCTOに求められるものは、フェーズによってけっこう変わっていくと思うんですよ。例えば、エンタープライズに提供していくという話もそうですし、それこそ上場を見据えてガバナンスの強化などがある中で、それを今僕がやりきるのが本当に適切なのか。
代表も言っていたと思いますが、僕はわりと「こういうプロダクトがあったほうがいいんじゃないか」みたいなものを場に出すことが多いので、自分の役割をプロダクトマネジメントのほうにどんどん寄せていこうかなと、今まさに思っているタイミングです。
なのでCTOというところにあまりこだわることはなくて、自分の役割自体はそっち側にどんどん変化させていきたいとは思っています。
山﨑:ありがとうございます、超しっくりきました。そのとおりだなと思いました。
「対話しか勝たん」 コーチング企業発・組織づくりのこだわり
司会者:ありがとうございます。それでは最後に濱さま、お願いいたします。
濵真一氏(以下、濱):本当に熱量の高いプレゼンテーション、ありがとうございました。
松山:ありがとうございます。
濱:私もHead of なんちゃらって肩書きがついているんですけど、実際はAmazonという大きな会社の中間管理職なので、ぜひ相談してみたいなと非常に思いました。
松山:ぜひ。
濱:質問ですが、熱量の高いCTOの中で、チームや組織を育成していくなど、組織づくりで実際に「これを工夫している」という点があれば教えていただきたいです。
松山:これは開発組織に限った話じゃないんですけど、僕らはやはりもともとコーチングの会社なんですよ。なので対話というものをめちゃめちゃ大事にしているんですね。
結局チームの中の1対1の対話からチームの雰囲気が醸成されて、その雰囲気やカルチャーがプロダクトや会社を作っていくと僕は思っているんです。
なので、とにかくフラットに話す。正直に1対1で、何か困ったことがあったら直接話すというのを僕自身も徹底していますし、社内の人間に徹底させるというところは、うちの会社がすごく大事にしているところかなとは思います。「対話しか勝たん」というスタンプがありまして、それがめちゃめちゃ押されるんですよ(笑)。
濱:いいスタンプですね(笑)。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございます。以上で質疑応答は終了となります。松山さま、ありがとうございました。
松山:ありがとうございました。
(会場拍手)