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#117 コミューン株式会社 代表取締役CEO 高田優哉氏(全5記事)

投資家が語る、起業家としての“強さ” 自己破壊から進化し、環境に流されずに自分で変化を勝ち取る [2/2]

失敗の解像度の高さと、修正力

岩澤:当時はDayoneでしたよね。

高田:はい。

岩澤:(Dayoneは)まだコミューンという社名になる前(の名前)で。当時、代官山の一軒家にオフィス兼自宅みたいなところがあったんですけど。そこに入ったら健康食品がワーッと置いてあるみたいな、そういう時代だったんですよね。

これは今でも変わらないんですけど、その時に感じたのは、3つあって。1つは、自己破壊から進化していく。Dayoneでやっていた健康食品からピボットされているじゃないですか。そのピボットをなぜしたのか。

そのピボット、まぁ失敗ですよね。失敗から何を学んだかというところが、当時の高田さん始め、経営チームの方の解像度が高かったんですよね。なので、参画コストもある意味ある中で、それをいったん壊してコミューンという新しいものを立ち上げるっていう、その想像力みたいなところがすごく印象的だったなということが1点目。

あとは修正力ですよね。破壊して新しいものを作っていって、それでどんどん突き抜けていくというよりも、高田さんの人生にあった「国連を目指すが、(いざ目指して進めてみると)OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)は違ったよね」っていう、ここの修正力だと思うんですよね。

稲荷田:確かに。人によっては立ち止まっちゃって、「どうしよう」ってなっちゃいそうですよね。

岩澤:それか、疑問に思っても、もう戻らないっていうのもあるじゃないですか。

稲荷田:自己暗示してじゃないですけど、そのままいっちゃうパターン。

岩澤:それをゼロベースに戻して、差分を細かく戦略的に見ていって、それを埋めていくという能力がやはりすごく高かった。

最後は、やりきる力っていう。胆力ですよね。「やる」と決めて高田さんがやらなかったことは、私はこの6年間見たことがないので。そういう意味では、それがコミューンの信頼起点経営みたいなところでもつながってくるところではありますね。

稲荷田:ありがとうございます。高田さんだったり、コミューンさんのコアな部分を聞けたかなと思っています。

お客さんに教えてもらって修正する

稲荷田:またグッと事業のところに戻っておうかがいしたいなと思います。修正力みたいなところ(のお話)もいただいて、すごく気になっていたのは、「当時こういう仮説を持っていたけど、こういうふうに修正してきた」みたいなものとかがあったら。

傍から見たら、コミューンさんはすごくうまくいっているイメージがあって。だからそのあたりもちょっと気になったりするんですけど、教えてもらえたりしますか?

高田:ありがとうございます。我々は、うまくいくようにもちろん一生懸命がんばっているんですけれども、いろいろなステークホルダー、特にやはりお客さんにすごく支えてもらって、教えてもらって修正ができているから、なんとかがんばれているところがすごくあるなって思っています。

例えば最初、コミュニティというものの価値とか可能性を感じたのって、自分たちのサプリメント事業がきっかけなので。最初のお客さまに今でも活用いただいていますが、ベースフードさん。完全栄養食のBASE BREADとか……。これは説明不要かもしれないですけど(笑)。

稲荷田:そうですね。

高田:ベースフードさんもまだ小さかったタイミングでご一緒させていただいて。そのあとも、例えばシャープさんとか、基本的にはBtoCの企業で、お客さまと一緒に新しい価値を作る、未来を作るというところのために使われるというのに、我々の仮説の域が留まっていた。

稲荷田:最初はもうそこだけ?

高田:そうです。完全にそこだけだったんですけれども。それがシードラウンドを経て、シリーズAぐらいのタイミングから、コミューンのことを「顧客コミュニティ」というよりは「コミュニティ」っていうワードで知っていただく機会が増えてきて。

例えば「社内コミュニティ強化のために使いたいんだ」とか、あとは「パートナーアライアンスをより良くするために使いたいんだ」というようなお声をいただくようになったんですね。我々はその時、自分たちのもともとの創業のきっかけともちょっと違うし、あまりピンと来ていなかった。

稲荷田:そうなんですね。

高田:はい。ですけれども、「そこまで言うなら」みたいな(笑)。「使いたいのであれば、どうぞ」みたいな感じのところから始まって。お客さまなので、当然我々もがんばって支援はするんですけれども、実際にそのコミュニティがすごく価値あるものに育っていくさま、お客さまがそのコミュニティの価値を高めていかれる中で、我々自身が社内コミュニティとか、パートナーコミュニティの魅力に気づいたというところもあります。

「信頼起点経営」もお客さまから教えていただいたもの

高田:また、信頼を事業の成長の力に変える、信頼起点経営というものを掲げていますけれども、こちらについても何かいきなり、お風呂に入っている時にパッと頭に出てきたとかっていう話ではなくて。

お客さんとお話をする中で、「なぜそのコミュニティに投資をするのか」とか……。お客さんは別にコミュニティ以外、例えばマーケティングのコミュニケーションの取り組みとか、カスタマーエクスペリエンス施策もたくさんやられていらっしゃるので、「どういった思いでやられているのか?」というのをおうかがいする中で、1つ、「信頼」というキーワードが出てきたんですよね。

我々は、すばらしい会社が世の中にたくさんあるっていうことを、お客さまとの関係性の中で知っているので、その信頼を得ている会社がよりうまくいくというか、より多くの人にそれを知ってもらって、より選ばれる会社になっていくっていうのが、社会にとってすごくいいことだなって、本当にピュアに思ったので。

だとすると、自分たちはそこを支えられる会社にならなきゃいけないっていうことも、お客さまから教えていただきました。

「もっとこうしてほしい」に答えるために修正をしてきた

高田:また、コミュニティはある種の柱としながら、多面的にソリューションを展開し始めているんですけれども、それらについても何か急にどこかから出てきたっていう話ではなくて、やはりお客さんから言われるんですよね。

「コミュニティはいいんだけど、ここを『Commune』で何かできないのか?」とか「こういうところで困っているんだけど」って言われたりとか。

あとは、我々は日本だけではなくて多言語化をしていまして。英語を中心とした展開もしているんですけど。それもやはり日本の大手の企業さまだと、けっこう海外展開をがんばっていらっしゃって、「なんならそっちのほうが売上が大きいです」という会社さんも珍しくない中で、「日本はいいんだけど、こっち(海外対応)はできないの?」って言われて。「あ、ちょっとそこはやってないです」みたいな(笑)。

やはりそういったかたちで、お客さまの期待とか、「もっとこうしてほしい」というものに真正面から答えようと考えると、自分たちがやってきた、日本でコミュニティのソフトウェアを提供するというアイデンティティは、1つの核としては変わらないんですけれども、その周辺にしっかり役割を広げていかなきゃいけないというのも教えていただきながら修正してきたっていうのが、経緯になります。

稲荷田:ありがとうございます。

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