#117 コミューン株式会社 代表取締役CEO 高田優哉氏(全5記事)
原動力は「善良な市民が損をする社会への怒り」 コミューン株式会社CEO・高田優哉氏が起業に至るまでの道のり [2/2]
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「善良な市民が損をする」状況への怒り
稲荷田:まず野田村に生まれていらっしゃって。(その後、大学で)都内ですごく質の高い教育と言いますか。たくさん受けられて。
周りの意識も高くてという学生だったら、学生のうちでも「自分が社会のために自分の命を使いたい」とかを思うこともあるかもな。それでも、よほど意識が高いなと思うんですけど。
「地方の」って言ったら失礼かもしれないですけど、そういうところにいらっしゃって。(そこから)一気に社会だとか国連だとかに視野が広がっていることにすごくビックリしたんですけど、このあたりはどういったきっかけがあったのかとか、教えてもらえますか?
高田:ありがとうございます。小学校高学年のタイミングで、父親の仕事が変わってというか、仕事を失ってしまって。それがあって家庭の環境がちょっと変わってしまったんですね。親の愛情とか、子どもにもたらそうとしてくれているものとかは一切変わらなかったんですけども。
とはいえ、やはり先立つものがないといけないよねというところで、選択肢がちょっと少なくなってしまったりがありました。私自身、その直後は心理学と全部一緒で、まず受け入れられない期が来て。
稲荷田:そうですよね。
高田:次に怒り期が来るんですよ(笑)。
稲荷田:えー! どういう怒りですか?
高田:親に対しての怒りじゃないですかね?
稲荷田:親にですか!? へー。
高田:例えば小さい話ですけど、習い事ができないとか。あとは私立が受けられないとか。なんかそういうふうなことで「なんで自分は……」みたいな。次に「それは親のせいだ!」みたいな感じになって、そのあとそれを通り越してというかちょっと冷静になって、「なんでこうなっちゃっているんだろうなぁ」っていうふうに自分の中で自問自答して。
というのは、私の親はすごく普通というか。すごいいい人。いわゆる、よくいる人? なんですよ。
稲荷田:はい(笑)。
高田:そういった善良な市民が、なんかこう……。私はお父さん、お母さんが働いている姿を別にオフィスで見てはいないので(笑)。実際は活躍していないとか、もしかしたら(そういうことがあったのかも)わからないですけど。
いわゆるちゃんとした人、真っ当な人が、なんでこんなに損をするというか、「大変な目に合わなきゃいけないんだろう」と思って。「そういう社会を変えるべきなんじゃないか」って思ったんですね。
選択肢が狭かったからこそ素直に国連を目指すことができた
高田:ただ、その社会を変えるっていうものの解像度がすごく粗かったのと、まさにおっしゃったように情報がすごく少ない環境だったので。
(でも)私はその情報が少ない環境だったというのが、すごく良かったなとは思っていて。なぜなら、選択肢をどのように捉えるかは、スコープの広さと深度、深さによって規定されるじゃないですか。意識の高さ的なものとか志の強さは、深度側を規定するんですよね。スコープの広さは知識とか、周りの知っている人の数とかが規定すると思うんですよ。私の場合は熱量だけ人一倍あって、知識とかそういう視野は広くなかったので。
同じぐらいの熱量が求められるゾーンにあるものの中で「国連で働く日本人になる」ということを、たまたま先生が教えてくれたり。あとは教科書とかにも国連って載っていたりもするので。そういったものを通じて、「あ、これだ!」と思うことができた。たくさんの選択肢があったら、もしかしたら迷っていたかもしれないです。
自分の中ではすごくキラリと光る将来の自分の姿に見えたので、「これだ!」と思って。中学2年生ぐらいから国連でのキャリアを目指し始めたという感じです。
「中学を卒業したら家を出ろ」と言われていた
稲荷田:下手したらそんないい方向に行かず、極端な話、グレちゃうじゃないですが、非行に走ることもあり得たんじゃないかなと思える状況な気もするんですけど、そういうのはなかったんですか?
高田:あり得たとは思いますが、私の家庭の教育方針が「すべてあなたのせいです」「すべて自己責任です」という教育方針で。中学校を卒業した後に「高校に行っても行かなくてもいい」とも言われていました。
稲荷田:えー!? なかなかですね。
高田:「なんでもいいです」と。「ただ、我々は何もしません」「全部あなたの責任です」っていう。唯一、1つだけ親に言われていたのは「家を出ろ」って言われていました。
稲荷田:え! 「(家を)出ろ」って言われてたんですね。
高田:はい。「中学を卒業したら家を出ろ」っていうのだけが唯一言われていたことで。何を勉強するかとか……。中学生にとってのすごく大きな意思決定って、例えば勉強をすごくする高校に行くのか、それとももうちょっと専門性があるようなところに行くのかとか。あとは部活で選ぶのか、それともその先の進路を選ぶのかとか、いろいろあると思うんですけど。
そういうのも一切なく、とにかく「家を出ろ」だけ言われていて、「その先の人生はどうなってもあなたのせいです」って言われていたので。「これはグレても助けてくれないな」と思って(笑)。グレるのは後からでもできるかもしれないけど……。
稲荷田:(笑)。
高田:ちゃんと真面目にやるのは今しかできないなと思って、まずは真面目に進路を選ぶ選択を取りました。
東大に入れたのは相性の良さ
稲荷田:そこから東大に入るっていうのも、たぶんかなりレアですよね。
高田:東大に入ったのは、私の出身の学校では創業以来初めてで、今に至るまで他に誰もいないです。
稲荷田:えー!? そうなんですね。
高田:そうですね。高校の時に、偏差値が107ぐらいあったんですよ。
稲荷田:107!?
高田:学校の中で。
稲荷田:周りと比べた時のってことですよね。
高田:そうですね。なので、だいぶ珍しい。その野田村からっていうところも、40年ぐらい前の先輩、今60歳、70歳ぐらいの方がいらっしゃるんですけど、それ以来というかたち。
稲荷田:シンプルにどうやってそこから入るんですか?
高田:え!? いや……。10年以上前の話を偉そうに言うのもアレですけど。
稲荷田:はい(笑)。
高田:大学受験は個人戦じゃないですか。よく先生は「大学受験は団体戦だ!」っておっしゃったりすると思うんですけど、それは嘘で。学校点ってないじゃないですか。「あなたは開成高校出身だからプラス5点です」とか「あなたはちょっと偏差値が低い学校だから、マイナス10点です」とかないじゃないですか。
結局個人戦なので。だとすると、自分がやるべきことをやって自ずと受かるみたいなレベルになっていれば、当然結果はついてくるというふうに思って。東大はいろいろな大学の中でも採点がめちゃくちゃ明確なほうの大学だと思っていて。謎採点、謎評価がないというか。「どうやったらこれは加点されるんだろう」みたいなのが、わからないものがない。
だから、ゲームとしてものすごくプレイしやすいものだと思ったので。それもあって、東大は、たまたま相性が良かったという話かなと思います。
稲荷田:なるほど。
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