#116 株式会社GROWTH VERSE 代表取締役会長 兼 CTO 南野 充則 氏(全4記事)
あえて「老舗企業」を買収する「AIロールアップ」戦略 M&AもAIも強い「最強の会社」を目指して [2/2]
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1社目・2社目を買収した理由
稲荷田:なるほど。ありがとうございます。今3社目という話ですけど、最初に買収されていらっしゃるのが人流分析AI SaaSのミセシルと、次が売上管理AI SaaSのZeroだと思うんですけど。これもそれぞれどんな目的で、どんな感じで今のシナジーが生めているのかを教えてもらえますか?
南野:それで言うと、AIMSTARはどちらかというとオンラインの分析が多いんですよね。通販のLPとかのデータを持ってきてeコマースであったり、そのお客さんが次にいくつ買ったのか、いつサイトに来たのかというログを取って分析していくんですけど。例えば、ミセシルはオフラインの店舗の分析ができるんですよ。スーパーとか、ショッピングモールとかの分析をやっているんですけど。
そういったリアルなお店は、まだぜんぜんデータ化されていなくて。僕らはミセシルで、Googleアナリティクスをオフラインに持ってくることをやりたいなと。オンラインはけっこう科学されてきていて、どんな人が、どこに来たらだいたいこれだけ買ってくれるというのがデータ化されていると思うんですけど。
例えばとあるショッピングモールにお客さんが1日どれだけ入ってきていて、そのお客さんがどれだけ買っているか、どういう店を誘致すればもっと売上が上がるのか、全員パッと答えられないんですよ。
稲荷田:そうですよね。
南野:これは何かというと、オフラインのデータ化がされていないということなんですよね。僕らのお客さんはeコマースもやっていますし、オフラインのお店を持っている方々もいらっしゃるので、そういったオフラインの分析ができるのは1個あるよねと。チャネルとしてはあるといったところで、ミセシルと出会ったんですよね。
ミセシルはGPSで集めてきて、月に3,000万人ぐらいのユニークユーザーがいる。それを分析すると、このショッピングモールの何階にどんな人が行ったのか、何階に行って帰ったのか、2階に行って次に4階に行って帰ったのかとか。
稲荷田:階までわかっちゃうんですね。
南野:そういうのまで分析ができます。階がわかるのはミセシルの技術の1個の強みでもあるんですけど、縦の高さもわかる。といったところで「これはすごく相性がいいな」と思ったので「一緒にやりましょう」という話でグループインしてもらったのがミセシルです。
ミセシルをやっていると、次に人流がわかるのは何かというと、Googleアナリティクスでいうとログが取れています。でもコンバージョンデータがないんですよ。買ったのか、買っていないのかは人流だけじゃわからない。行った、滞在した、しかわからない。
Zeroは何をしているかというと、テナントの人が売上報告をするんですよ。それがショッピングモールの本部に届いて「この店舗は今日いくら売上ました」というのが、どんどんデータ化されていっているんです。
すると、この売上のデータはコンバージョンデータなんですよね。というのをどんどん集めていくと、オフラインが科学されていくなと思いまして。そういったオフラインの購買データや人流分析を組み合わせることによって、リアルなオフラインの科学を行っているのがミセシルとZeroになっています。
M&Aはスピードを上げてやり続ける
稲荷田:なるほど。これはミセシルは商業施設が導入するんですか? それとも1社で、店舗で、ブランドとかで?
南野:ブランドさんが導入するパターンもありますし、それは出店戦略を作る時に使っているんですよね。ショッピングモールは、自分のショッピングモールにどんなお客さん、どんなテナントを入れると一番集客できて、一番売上が上がるのかを計算するために使っています。なのでスーパーマーケットもそうですけど、立地と「どういうユーザーが来ているから商材をこうしていこう」というところで決めているので、どっちもですね。
稲荷田:そうなんですね。本当に今のお話で一気通貫しているというか、「だからだな」というのがすごくわかったんですけど。逆に言えば、注目している領域はまだたくさんあって、M&Aは続けてやっていくような予定ですか?
南野:さらにスピードを上げてやっていきたいなと思っています。
稲荷田:ありがとうございます。あと気になるのが、かなりのスピードでM&Aされていらっしゃること。ミセシルは2024年の5月で、Zeroは11月とかなので、本当に半年に1回買収しているみたいだなと思っていて。いわゆるPMIとかも大変そうですし、そこに技術投入もガッツリしていくという話だと思うんですけど。そこは実際にはどんな感じなんですか?
南野:すでに既存事業がある程度回っているといえば回っているので。やはり僕たちはそのユースケースを深掘って、そこにAIを搭載させていくことに集中してやっています。あとは必要なキーマンがいれば採用して一緒にそのグループに入ってやってもらっていくみたいなことなんですけど。今のところは、そんなにPMIも困らずに順調に行っているかなという感覚ですね。
経営は「ビジネスモデル」と「人」が大事
稲荷田:すごいですね。ありがとうございます。あと、とても気になっていたのが、やはりそのFiNCさんの時代でもGROWTH VERSEさんにおいても、両方とも「最適化する」みたいなところは同じなのかなとは思いつつ。とはいえ、経営の仕方とかはぜんぜん違うと思っていて。
それでいくと南野さんが今、前に比べて変わったこととか、どんなことを大切にされて経営されているかみたいな。とても抽象的ですけど、このあたりも教えてもらえますか?
南野:僕はあまり変わっていないですけど、人が大事だなとは思っていて。ビジネスモデルと、人が大事だと思うんですよね。やはりビジネスモデルがしっかり確立された上に、いい人を入れていくと絶対に伸びるんですよ。なので、今どう考えてもAIの領域はビジネス的にはあるという中で、どれだけ良い人を採用できるかみたいなところがポイントだと思っていますし、やはりそこが取り合いになるところだと思うので。
僕たちの会社に来てもらうだったり、僕らの事業に共感してもらうであったり、一緒に仲間になりたいなと思ってもらうようなところをすごく意識して「いい人を採用したいな」というのが、けっこうやっていることですね。
稲荷田:ありがとうございます。まだまだ聞き足りないんですけど、そろそろお時間かなと思って。
最後に、『Startup Now』は起業家の等身大の姿とか、挑戦の軌跡を届けることで、リスナーさんも勇気をもらったり、一歩踏み出してもらえるような循環を作りたいなと思っているんですけど。そこにあたって南野さんの、今のご自身の挑戦に対するあらためての宣言みたいなものでもいいですし。
もしくは、ここまで聞いてくださった方へのメッセージとか、そういったものがあったら最後にいただきたいんですけど。いかがでしょうか?
南野:やはり今の日本ではあまりAIロールアップモデルはないと思っています。やはりM&Aも強くてAIも強いって、ビジネスが強くて技術も強いって最強だと思うんですけど。
稲荷田:最強ですね。
南野:やはりそこを目指していきたいなと思っています。日本からアジアや世界にどんどん大きくできるようなAIスタートアップになりたいなと思っているので。もちろん仲間も集めていきたいですし、どんどんグループに入ってもらって、会社全体を一緒に大きくして、新しい景色を一緒に見られるような人たちを求めています。
僕は僕で、そういったスタートアップにしていかなきゃいけないという代表でもあるので。自分自身がもっと成長して、世界で活躍できる人材になっていきたいなと思いました。
稲荷田:ありがとうございます。概要欄に各種のリンクを記載していますので、ぜひご確認いただいて、「気になるよ」という方はコンタクトをしていただければなと思います。この配信を気に入っていただいた方は、ぜひ番組のフォローや評価、SNSでの拡散もよろしくお願いいたします。南野さん、そしてお聞きいただいたあなたもありがとうございました。
南野:ありがとうございました。 続きを読むには会員登録
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