【3行要約】
・AIを活用してM&Aで成長する企業を見つけるGROWTH VERSEが注目を集めています。
・同社代表の南野充則氏は祖父のカステラ会社経営の姿に感銘を受け、幼少期から起業家を志しました。
・東大進学後はシステム開発に着目、少ない初期投資で起業の道を歩みました。
GROWTH VERSE代表の南野充則氏が登壇
稲荷田和也氏(以下、稲荷田):声で届ける起業家の物語『Startup Now』。MCのおいなりです。本日のゲストは、株式会社GROWTH VERSE 代表取締役会長兼CTO 南野充則さんです。
GROWTH VERSEさんは「BUILDING AI to maximize Business Growth」をミッションとして掲げ、データ×AIで企業の成長力を最大化するためのAI SaaS「AIMSTAR」「ミセシル」「Zero」などを提供されているスタートアップです。
2025年7月シリーズCラウンドおよび、みずほ銀行からの借入金により20億円、総額29.2億円の資金調達を発表されたばかりです。南野さん、よろしくお願いいたします。
南野充則氏(以下、南野):よろしくお願いします。
稲荷田:今回、南野さんにご出演いただいた経緯なんですけれども、広報PRを担当されていらっしゃる方よりご相談いただきまして。AI×M&Aというところで、今もうスタートアップのエコシステムの中でもど真ん中のトピックで、すでに実績もお持ちである点も含めて非常に興味を持ちまして、ご出演の調整をさせていただきました。
また今回の配信は、これまでとはちょっと異なり、前編・後編に分けず1本撮りで、連続起業家でもいらっしゃる南野さんの人生の物語に迫っていきたいと思っております。まず事業について、南野さんから1、2分程度で教えていただけますでしょうか?
南野:ありがとうございます。あらためまして南野と申します。我々GROWTH VERSEは、M&Aを主軸としてAIをどんどん開発しております。私たちがM&Aしてグループに入っていただいた会社さんにAIを提供することによって、その会社さんの事業をどんどん伸ばしていく。それによって、グループ全体が大きくなっていく、というようなビジネスモデルを掲げております。
今はサービスが4つあるんですけども。AIMSTARというサービスはマーケティングのAIといったところで、新規獲得からLTVの向上までを一気通貫に、分析から施策までAIが行っていくようなプラットフォームを運営しています。あとはミセシル、Zeroといった、ショッピングモールや小売店さま向けのデータ分析およびAI事業をやっています。
7月の資金調達の話になるんですけども。7月にグループに新しくジョインしていただいた電話放送局さんは、電話の自動応答を行うコールAI SaaSというサービスを運営しております。電話を受ける時の自動応答であったり、電話をかける時の自動コールを担っているようなサービスを、今回M&Aさせていただいています。それで今は、4つの事業を運営しています。
「AIを入れると成長する会社」を見つけるのがポイント
稲荷田:ありがとうございます。まさに今、話題のロールアップ方式かなと思います。ただ単に買収して大きくしていくだけじゃなくて、AIの技術も持ってバリューアップしていくみたいなところも1つポイントですね。
南野:そうですね。やはり僕らはその「AIを入れると成長するところ(会社)を見つけてくる」というのがポイントでして。すでにやっているところだと、なかなか成果が出ないので。やはり既存のビジネスでもすごくうまくいっていて、さらにAIを入れるともっと成長できそうな会社さんを探しているような状況です。
稲荷田:買収されている企業さんの商材というのは、基本的には同じ顧客層に対して提供していくような感じなのか、それもけっこう広がっていくような感じなのでしょうか?
南野:現状は顧客層は似ていて、今はエンタープライズの大企業をターゲットにしてやっているんですけれども。今後はいろんなセグメントを増やしていきたいなと思っていて、より広げていくような想定で今動いています。
稲荷田:ありがとうございます。詳しくはまた、参画されたタイミングでおうかがいできればと思います。実は南野さんは創業社長ではいらっしゃらず、前身となる会社がありまして。このGROWTH VERSEさん自体は、その前身から含めるとけっこう歴の長い会社さんにはなるんですよね。
南野:最初にAIMSTARというサービスを運営していたスプリームシステムといった会社を2021年にM&Aしたんですけども。そのスプリームシステム自体は2000年からやっている会社です。もう1個、今回買った電話放送局さんも1978年からやっている会社さんでして。
稲荷田:おぉ、老舗ですね。
南野:1978年からやっているので、50年ぐらいの歴史がありますね。グループで一番古いです。
カステラ会社を経営する祖父と会社員の父
稲荷田:めちゃくちゃユニークですね。ありがとうございます。このあたりも、また詳しくおうかがいしたいなと思います。続きまして、ぜひ南野さんご自身の人生についても迫っていきたいなと思っておりまして、幼少期から学生時代と、どんな感じだったのでしょうか?
南野:幼少期から言うと、まず大阪で生まれました。お父さんは会社員なんですけども、京都と大阪に祖父がいて2人の(うちの)1人が地主で、片方が経営者でした。京都の祖父がカステラ会社を経営しておりまして、そのカステラを山崎(製パン)さんやイトーヨーカ堂さんとかに作って卸すみたいなことを、メーカーとしてやっていた。といったところに、生まれました。
そこから、中高は西大和学園という奈良の進学校に行きました。ここもけっこうスタートアップっぽい進学校で、僕が入った時はそんなに偏差値が高くなかったんですけど。出る時には関西ではけっこう有力な高校になっていました。そんな中高時代で、バスケットボールをずっとやっておりました。
稲荷田:(西大和学園)は今では超名門校と言われるような学校ですね。
南野:はい。その時は、あまり名門校じゃなくて。まぁ、がんばったら行けるみたいな。今は、かなり勉強しないと入れないみたいな感じ。
稲荷田:南野さんがいらっしゃる時から、変わっていった感じなんですか?
南野:そうですね。僕が中高にいるうちにだんだんレベルが上がっていきました。
稲荷田:それでバスケもかなりガッツリやられていた?
南野:バスケットボールは中学校からやって、奈良県でベスト4になったりしました。西大和学園は部活がかなり弱かったんですけど、バスケットボールだけは強かったという。そんな学生時代を過ごしていました。
稲荷田:ちなみに中学生になる前は、バスケはやられていなかったんですか?
南野:中学生になる前は水泳とピアノをやっていました。
稲荷田:あら、いいですね。
南野:小学生がよくやっている習い事をやっていました。
稲荷田:(笑)。
南野:「野球とかサッカーをやりたい」とお母さんに言ったら、「いや、親の帯同があるからダメ!」という感じで(笑)。
祖父の影響で起業を志す
稲荷田:へー。高校のあとは東京大学ですか?
南野:はい。これも最初から起業をする前提でいました。
稲荷田:へー!
南野:祖父が経営者で、やはり会社の飲み会とかもけっこう一緒に連れて行ってもらっていました。僕は酒を飲んでいなかったんですけど、宴会を見ていて「社長って、すごくいいなぁ」と思い、それでずっと「起業したいな」と思っておりました。その時に祖父が、「自分は本当は東京の大学に行って、東京で仲間を作るべきだった」ということをけっこう僕に言ってきて。やはり東京に人材が集まると。
それで「このカステラ会社も大きくしたいんだけれども、もう今になったら仲間を集めることはできない」「なので本当にやりたいことができないから、あなたは東京に行って仲間を集めてくるんだ」みたいなことを、ずっと言われていたんです。まぁ、西大和学園は日本一京大(京都大学)に行く高校だったんですよね。だから学年300人中90人ぐらいが京大に行って。
稲荷田:めちゃくちゃ多いですね。
南野:それで、医学部に60人ぐらい行っていました。
稲荷田:すごいですね(笑)。
南野:それで10人ぐらい東大に行くみたいな感じだったので、まぁ普通に「京大に行こうかな」と思っていたんですけど。なんか「東大に行け」みたいな話になって、「じゃあ、目指すか」みたいな流れがありました。
稲荷田:同級生の中でも、やはり王道に京大を目指す方々と東大を目指す方々は、ちょっと毛色が違ったりするんですか?
南野:やはり東大に行く人は中高ずっと勉強している人が多かったなという感じです。ずっと学年で10位ぐらいにいる人たちが、そのまま東大に行くみたいなケースが多かったんですけど。僕はけっこう部活をやっていて、あまり勉強していなかったので。最初はたぶん300人中180位とかからスタートして、けっこうガリガリ勉強して、最後は5番ぐらいだったんですけど。
稲荷田:すごい。
南野:がんばって勉強しましたね(笑)。
少ない初期投資で起業できる「システム」に関心を持つ
稲荷田:あと先ほど、おじいさまのお話もしていただきましたけども。当時から憧れがあったということですが、どういう姿を見て「いいな」と思っていたのでしょうか。
南野:うーん。やはり祖父はカステラ会社(の経営者)だったんですけど。そのカステラを「どんどんいいものを作りたい」とか、そういった自分のビジョンを掲げて経営していたところに京都の仲間たちが集まってきて一緒にやっていたというところですね。飲み会も、社員の人たちと楽しそうに飲んでいるんですよね。よくある昭和の宴会みたいな感じ。
稲荷田:はい(笑)。
南野:旅館に行って、畳の和室みたいなところで、けっこう広い宴会場を貸し切って、そこでみんなで飲んでいたんですけど。そういうのを見ていると、一国の主感があるなと思って。自分のビジョンに仲間がついてきて、それで仕事もがんばるし、プライベートでもみんなで楽しく飲むみたいなのを見ていて、なんか「いいなぁ」と思った記憶がありますね。
稲荷田:ありがとうございます。じゃあ、また東京大学に進学された話に戻りますけど。学部は工学部システム創成学科なんですね。どうしてここを選ばれたのでしょうか。
南野:最初1、2年生の時は東大は教養学科という、あまり専門性なくいろんなことを学ぼうというので、自由に授業を取ったりできるんですよね。それで僕はずっと起業ネタを探していたので、最初は「カステラ会社とか、飲食店の社長はそんな感じのことをやるのかな」と思っていたんですけど。なんか情報というのがある。要するにインターネットやアプリとかを開発すると、それが会社になるんだみたいなことに気づいて。
それと、最初に初期投資がけっこういるなと思っていたんですよね。なんだかんだやるなら、お金も借りたりする必要があるんですけど。システムは、やはり自分が資産なので、自分ががんばればできる。初期投資が少なく起業できるなといったところで、「情報ってすごくおもしろいな」と。
それで今後AIとかもどんどん来るというような話も出てきていたのに気づいていたのと、僕は理系で数学や物理がけっこう好きだったので、情報学科に進むことを決めた記憶があります。
稲荷田:いわゆる進振り(進学選択)で2年目が終わるタイミングとかですかね。
南野:そうですね。