【新ファンド】1号ファンド100億円超の衝撃。日本一のVCを目指す2人の原点と投資哲学/ALPHA General Partner 立岡恵介さん・田中正人さん(全4記事)
ANYCOLOR、BASEに投資したVCが語る投資スタイル 隠れた優良企業を見つける仮説の立て方 [2/2]
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あらゆるものがイコールのパートナー
稲荷田:ありがとうございます。ALPHAさん自体を「やるぞ!」と、まず先に旗を掲げたのは立岡さんですか?
立岡:そうですね。私がグローバル・ブレインを卒業できることがある程度固まったタイミングで田中さんに声をかけさせていただいたのが始まりですね。
稲荷田:よかったら立岡さんの視点からも、なんで田中さんだったのかを教えてもらえますか?
立岡:やっぱりVCと言っても起業なので、誰と創業するかはめちゃくちゃ大事じゃないですか。これに失敗すると本当に大変なことになっちゃう中で、実は最初から、私と田中は完全にイコールパートナーなんですね。
もうあらゆるものがイコール。権限も役職も給与もインセンティブもすべてみたいな。最初からそういうスタイルでやりたいなというのはやっぱりあって。そこがちょっとズレると、なんだかんだ言ってやっぱり私のファームになる、もしくは田中さんのファームになる感じになっちゃうんだけれども。
そうじゃない対等な人を2人ないしは今後3人~4人と増やしていきたい、みたいな思想がもともとあったんですよね。
ポートフォリオを分散させる効果
稲荷田:それはどこから影響を受けているんですか?
立岡:これはなぜかというと、Benchmarkというファームがアメリカにもあるんです。やっぱり1つのファームの中でポートフォリオの分散というのはすごく重要だなと思っていて。
例えば私がワントップ、もしくは田中さんがワントップになった場合は、おそらく田中さんのポートフォリオ、もしくは私のポートフォリオ、以上となるんです。これが2人ないしは3人であれば、やっぱりそれぞれのスタイルで投資をやっていくので。
蓋を開けると例えば「エンタメばっかりだよね」とか、「AIばっかりだよね」となっているんだけど、お互いの捉え方が違うので、結果としてポートフォリオが分散されて、安定的にリターンが出せると思っているんですね。
私も過去に自分がやってきた投資を見ましたけど、調子のいい年もあれば「この年は、ちょっとダメだったな」という年もやっぱりあるんですよ。それはもう仕方がなくて、ボラがある。それが田中さんの場合は、投資仮説をちゃんと作ったりとか、私とちょっと違うスタイルで投資をしてきているんですよね。私も作るんですけど、より作ったりとか、すーごく本を読んで勉強しながらやっていたりとか。
そこの違うスタイルで、かつイコールパートナーとして実績がちゃんとある方で、かつカルチャーフィットがあるというか。過去一緒に案件をやっていて、10年~20年一緒にこれから事業をやるわけですから、安心して背中を任せられる存在となると、もうほとんどいない。その中で、田中さんは本当にすばらしい方だなと思ったのでお誘いしました。いろんな要素があって、田中さんしかいなかったみたいな感じですかね。
VC逆風の時代こそチャンス
稲荷田:ありがとうございます。ちょうどお二人の出会いと立ち上げの部分までまた戻ってきたんですけど。それでいくともう1回、ALPHAさんについても教えていただきつつ深掘りもさせていただきたいなと思っているんですが。
冒頭にも少しおっしゃっていただきましたけれども、今、スタートアップ・エコシステムないしはVCを取り巻く環境がマクロ的にどういうふうに見えているのか。その中で、なぜこういうコンセプト、こういう運用総額で立ち上げたのかも教えてもらえますか?
立岡:今はVCを取り巻く環境およびスタートアップを取り巻く環境でいくと、かなり良くなってきているものの、やはり一時期と比べると、例えばファンドレイズも少し難しかったでしょうし、スタートアップの資金調達も一時期ほど高いバリエーションでどんどん調達できる環境ではないところがあります。
今、少しガス抜きの期間みたいなイメージがあるんですよね。そのタイミングにおいて、やっぱりしっかりと調達ができるスタートアップは本物だと思いますし、事業自体はずっと伸びていくので。そこでしっかりと燃料をくべられるところは、いいスタートアップになって大きくなっていくんだろうなと思っています。
逆に言うとVCもしかりで、キャピタリストとしては、今のようなタイミングは2~3年前と比べるとやっぱり時価総額および株価に関してはだいぶ落ち着いてきている感覚がある。
つまり、投資はすごくしやすいと言うと失礼なんですけど、昔と比べると落ち着いた株価で投資ができるから、チャンスだと思うんですよね。このタイミングで新しいファンドを作れたのはすごくいいんだろうなと思っています。
なのでVCとしては、よく言っているんですけど、ヴィンテージ。というのは、2025年か2026年に組成できたファンドは、環境的に高い確率でリターンも高くなるんじゃないかなと思っていて。
組み入れがすごくしやすい環境というか。変な“高値づかみ”みたいなものがあまりない環境になっているかなと。今の環境は、投資家目線ではそういうふうに捉えている感じですかね。
しっかりとリターンを出し続ける環境を作りたい
稲荷田:ファンドレイズ的な観点だとどうでしたか? 100億円集めたとかLPの内訳とか。どういう意図で今、そういうふうにされたのかも教えてもらえますか?
立岡:LPの内訳でいくと、いわゆる機関投資家さんとか金融機関が90数パーセント。ほぼほぼそれ。我々は幸いなことに、そういうかたちで集めることができたところがあります。
コンセプトとしては、やっぱりしっかりとリターンを出し続ける、そこに集中できるような環境のファンドを作りたいというのがあって。リターンを出すことによってLPの方々も、僕たちのファンドに再投資してくださる。安定的にファンドを作り続けられるような環境を作る上ではすごく重要です。
結果として安定的にスタートアップで投資ができるみたいなことを考えた時に、やはり事業会社の方々もいろんな支援をいただけるので非常にありがたいんですけれども。
純粋に金融商品として見てくれるような機関投資家の方々のほうが、2号・3号・4号と考えた時にしっかりとリアップしてくれる可能性が高いところなので。そこに対してできるだけフォーカスしながらファンドレイズをやってきたというのが、僕たちのこれまでの道筋ですかね。
機関投資家の方々が応援してくれた
稲荷田:僕の周りにもファンド設立されている方々もちらほらと……当然諸先輩方ですけどいらっしゃって。その方々であっても、やっぱり初号ファンドで10億円集めるのは、実はかなり苦戦するみたいな話も聞いている中で、この桁数はとんでもないなと。
あとやっぱり機関投資家から引っ張ってくるのはすごく難しいというのは聞いたりしているんですけど。それはもともとの仮説でいけるだろうと肌感はあったと思うんですが、実際どうだったかみたいなところでいくと、やり取りはどうでしたか?
立岡:思っていたよりは大変でしたというのが最初の感想なんですけど。ファーストクローズで入ってくださった方々が本当にありがたくて、やはりグローバル・ブレイン時代から私のことを一定知ってくださっている方。あと田中さんのことを知ってくださっている方。
あともう1人、川西(崇弘)という3人目のGP(ゼネラルパートナー)がいるんですけど、彼のことを知ってるくださっている機関投資家の方々がそれぞれいて。そういった方々がすごくサポーティブで、本当に応援してくださったんですよね。
例えば我々からすると初めてのファンドレイズなので、機関投資家の方々がデューデリでどこを見るのかもわからないんですよ。
稲荷田:あぁー。
最初の一歩をスムーズに踏み出せた
立岡:もちろんグローバル・ブレインの時にいたのでなんとなくわかってはいるんだけど、私はファンドレイズの担当はしていなかったので。
稲荷田:あ、そうなんですね。
立岡:そう。だからそういったところも、「こういったところを見られるよ」とか含めて、けっこう初期のタイミングからアドバイスをくださっていたLPの方々がいらっしゃったんですね。
これが本当に助かったんです。そこの体制をしっかり作るとか、ガバナンスをどういうふうにやっていくべきなのかとか、どういうコンセプトでファンドを作るほうがいいのかとか。アドバイスをいただきながら、しっかりとファーストクローズをできたのが大きかったですね。
そこにサポーティブな担当者の方々がいらっしゃるので、セカンドクローズ、サードクローズとなると、やっぱり少し他の方々も入りやすい環境になっていて。その最初の一歩みたいなところがあったのがすごく大きいですね。
稲荷田:あとは「最終、この金額にしたい」という発表で設立のプレスリリースとかを出すけれども、実はまだ集めきれていなくてとか。実はファーストクローズをけっこう下回っていてというパターンも聞いたりするんですけど。今の話でいくと、セカンド・サードとかも動き始めていて、もう少しプラスで集められそうな目処は立ってきたりもするんですか?
立岡:そうですね。年末までにファイナルまではいきたいなと思っていて、おそらくいけるんじゃないかなと。まだわからないですよ。
稲荷田:もちろん、もちろん。
立岡:最後まで見てみないとわからないんですけれども。そこのタイミングまでにはファイナルクローズを終わらせて、ちょっと投資に集中したいなと思っていますし、今のデューデリの進み具合であればいけるんじゃないかなと。僕は基本、楽観的なので(笑)、思っていますという感じ。
スタートアップはポジティブに考えて動くべき
稲荷田:細かい部分やコンサルとしてのロジカルさがありつつ、楽観的が融合しているのは珍しい気もするんですけど。それはなんでなんでしょうね。
立岡:なんでなんでしょうね(笑)? 僕は基本ネアカですよね。いや、なんかなんでも楽しくやったほうがいいじゃないですか(笑)。というのと、スタートアップはやっぱり基本的に常にポジティブに考えて動くべきだと思うんですよね。でないと、何もできなくなっちゃうので。
だからそこを「VCもそうだよね」と、やっぱり思っている部分は一定あるかもしれない。だからそういうのは、自分に言い聞かせている部分も少しあるかもしれないですね。
稲荷田:根っからの部分はあり、キャラクターとしてそうなるように意識しているんじゃないけど、大事な要素だとも思っているということですね。
立岡:そうだよね。
田中:これはちょっと編集でカットしたほうがいいかもしれないですけども、立岡さんはめちゃくちゃ優秀なので、何をやってもうまくいくんですよ。だからなんだろうな。
立岡:そんなことない(笑)。
田中:だからネアカという根本には、ちゃんとやればうまくいくと。
立岡:まぁ、それはそうだね。
田中:という自信がたぶんあるんだと思います。やっぱり隣で一緒に働いていてもすごく生産性が高い。問題の本質をしっかり捉えて、最善の手をすごいスピードで打っていくのを感じるので。たぶんネアカの根底にはそれがあるんじゃないかなと思っていますね。
稲荷田:ぜんぜん編集がいらなそうな気がしますけど(笑)。
田中:(笑)。
立岡:そうだね。
(一同笑)
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