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【新ファンド】1号ファンド100億円超の衝撃。日本一のVCを目指す2人の原点と投資哲学/ALPHA General Partner 立岡恵介さん・田中正人さん(全4記事)

投資後のメルカリの成長は“本当にすごかった” 今までの投資先9社が上場したALPHA・立岡氏が語るVC哲学 [2/2]

就職活動はVCに絞っていた

稲荷田:新卒でSBIという。

田中:そうですね。

稲荷田:これはもう最初から投資系の部門だったんですか?

田中:そうです。大学生の時にシリコンバレーに行くきっかけがあって。向こうのGoogleとか、日本で言うとちょうどmixiが立ち上がっていたタイミングだったんですね。スタートアップが世の中を変えていく。しかもみんなプログラミングをしてサービスを作っていく。その裏側にVCがいるというのを知って。

今でも覚えているんですけど、当時『eボーイズ:ベンチャーキャピタル成功物語』というBenchmarkの日常を追った本があって、それを読んだ時にVCの存在を知って、本当に超少数人数で、eBeyの一件で4,000億円を稼ぐと。すごい夢のような仕事だなというのを知って、就職活動はもう本当にVCに絞ってやろうと決めました。

稲荷田:当時からしたらめちゃめちゃ珍しそうな選択ですね。

田中:そうですね。今との比較で言うと、市場規模も10分の1とか20分の1だと思うので珍しかったんですけど。それでもジャフコさんとか。当時は大和NIF(大和企業投資)さん、JAICさん、SBIにはVC志向の人が集まっていて、今でも同期は仲良くやっています。今となっては珍しいかもしれないですね。

稲荷田:SBIさんを経て、また別のVCさんにも行かれて。

田中:そうですね、SBIには16年いて。

稲荷田:めっちゃ長いっすね。

田中:ALPHAを立ち上げる直前までオリックスに約2年おりました。それで2024年に立岡さんと一緒に独立した、そんな経緯です。

投資先の9社が上場

稲荷田:ありがとうございます。ちょっと今、お二人の半生を少しずつ聞きましたけれども、キャピタリストとしての活動とか、ないしは実績みたいなところも含めて、よかったら少しずつ教えてもらえますか?

立岡:実はALPHAではもうすでに2件、出資しているものがあるんです。

稲荷田:あ、出資しているんですね。

立岡:ポートフォリオをほぼ0から始めているので、私の投資という意味だと、たぶん前職のグローバル・ブレインの時がメインになるんですけど。

特徴でいくと、実はけっこうC向けの投資が多かったりしますね。すごく勉強になった投資でいくと、例えばラクスルとか、メルカリとか。私が投資して支援できたかというと、ほとんど何もできていないんですけど。

逆に取締役会とかを見ながら、すばらしい経営者のすぐ近くにいられたところがあって。「あ、やっぱりスタートアップはこういうふうに経営していったらいいんだな」「こういうことはいろいろ起こるんだな」とか、そういったことをすごく学べたのがグローバル・ブレインでは長かった。

やっぱり投資先も他で上場していって、有名で大きなところでいくと、ウェルスナビ(WealthNavi)とか。それほどシェアは取れなかったんですけど、メドレーとか含めて、今まで投資先の9社が上場していっているんですよね。

稲荷田:すごいですね……!

立岡:そういった人たちとすごく近い関係でいろんな事業を組み立てていくという。一緒にできたと言うとおこがましいんですけど、少しでも手伝うことができた。今のALPHAを作る上での原点になっている気はしますよね。

経営者の視座を上げることが重要

稲荷田:世の中にキャピタリストはたくさんいると思うんですけど、その中で言うと立岡さんは、自分はこういうタイプのキャピタリストだとか、いわゆる強みでもいいと思うんですけど、言語化するとどんなところになりますか?

立岡:けっこう難しいんですけど、ハードスキル的なところでいくと、もともとコンサル出身なので。メタ認知じゃないけど俯瞰的に捉えて、「こういう事業はたぶん、こうやったほうがスケールするよね」というところを大局的に考えていくみたいな。

たまにスタートアップの経営者に言われてありがたいなと思うことがあるんですけど、「視座が上がった」と言われることがけっこう多くて。「視座を上げていく」みたいなところはやっぱり1つ、キャピタリストとしてはすごく重要な仕事だと思うんですよね。それができるというとちょっとアレですけど、やれてきた存在なのかなというところ。

あと、真逆もしかりで、実はけっこう細かいんですよ。なので、あんまり言わないんだけど、細かいところも気になったりはする。なんでそれがその支援に活きるかというと、やっぱりどういうふうにいろんなものをモニタリングしたらいいかとか、KPIの設計とか、そういったところも得意ではあるので。

それって結局は事業の根幹になってくると思うんですよね。何をどうモニタリングしていくのか、それをどうやって修正して大きくしていくのかなので。そこがブレているとたぶん成長もしにくいし、したとしてもなんで成長したかわからない、みたいな構造になると思っているんですけど、そこの骨をしっかりと作るのは比較的得意なので。

そういうものがあまり得意じゃない、ビジョナリーな印象でやっているスタートアップであれば、私の得意なところをガシッと合わせて、いい感じに成長していく手助けもできるかなと思って。それが私の得意分野なのかなという感じですかね。

一番印象に残っている投資先はメルカリ

稲荷田:過去に投資した支援先で印象に残っている起業家さんとか、「この方から大きく学んだな」とか、そういうのはあります?

立岡:そうですよね。どの会社であっても、学ぶことは非常に多いです。やっぱり一番印象に残っているのはメルカリですよね。ほとんどのVCがそうだと思うんですけど、投資した後、マジで何もやっていないという。

稲荷田:そっか、勝手に育っていって。

立岡:そう、すごいんですよ。

稲荷田:へぇ~。

立岡:本当にすごかったので。取締役会に陪席しながら、あれがぐーっと成長していくのを見られるのは、すごくエキサイティングな経験でしたよね。

逆に言うと、ちょっと名前は伏せるんですけれども、やっぱりうまくいかなかった会社もいくつかはあって。そういった会社も、うまくいかないタイミングにおいていろんな支援をしながら、私としても、今思うとそれがなんでうまくいかなかったのかという整理ができてくるので。

実はそういうすごく苦労した案件のほうが学びが多いから印象に残っているし、そういったところをどれだけ積み重ねてきたかも、VCのキャリアにおいてはすごく重要。

「こんなトラックレコードがあるんです」って一見するとピカピカで、すごくきれいに見えるんだけど、その裏にある苦労が重要になってくるのは、やっぱりあるかもしれないですね。ここの部分はあんまりバイネームで言っちゃうとなんとも言えないので。

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