「稼ぐ広報」として最年少管理職に就任した過去
今井:宇垣さん、(好岡さんは)実は、僕の1社目の先輩なんですよ。
宇垣:あっ、そうなんですか?
今井:そう。で、あの時はPRの先輩って思っていたから、キャリアのステップとしてCMOになるイメージは湧くんですけど、転職活動をしていたんですか?
好岡:フワッと。今3社目なので、転職活動の時とかは広報で仕事を探していたんですけど、「結果的に業種は関係なかったな」っていうのは今になって思いますね。
宇垣:(大学を)卒業されてからすぐにPR関係のお仕事をされたんですか?
好岡:そうですね。1社目から広報の仕事でした。
宇垣:「稼ぐ広報」を掲げていらっしゃったとおうかがいしましたけれども、当時、最年少管理職に就任されたという。こちら、詳しく教えていただけますか?
好岡:そうですね。もともと学生時代、東南アジアのラオスを行ったり来たりしていて。もともとは貧困問題の研究とか、プロジェクトの立ち上げで現地にいたんですけど、ラオスの認知度の低さにすごく課題感を抱いていて、「この国、もっと知ってもらわないと始まらないな」みたいなものがあったので(笑)。それで興味を持ったのが広報という職種でした。
広報をやるのに一番おもしろいフェーズにある会社に行こうと思って、新卒の会社を選んで、広報になったんです。「稼ぐ広報」っていうのは、広報ってすごくコスト部門みたいな感じで言われることがあって、それがすっごく嫌で(笑)。
宇垣:なるほど。
「広報でも売上は作れる」
好岡:なので「広報でも売上は作れるぜ」と見せていきたいなって思って。当時、それこそ「いまじゅん」と一緒の会社だったんですけど(笑)、リラクゼーションサロンとかも展開しているような会社だったので、そこの店舗のスタッフさんを集めて、セラピストのアイドルユニットみたいなものをプロデュースして(笑)。そのユニットをいろんなイベントとかスポーツ会場とかに派遣するみたいなパッケージも自分で営業したんです。
今井:あれ、だいぶ戦略としてナウかったと思うんですよね。
宇垣:ナウかった(笑)?
好岡:(笑)。
宇垣:時代を先取りしていたんですね。なるほど。
好岡:それで売上も作ってくるので、当時の上司に「稼ぐ広報」っていうキャッチコピーをもらい、キャッチーなのでいまだに使わせてもらっています(笑)。
宇垣:そしてそこから、3社目とおっしゃっておりましたけれども、KOMPEITOに移った経緯はどういうかたちだったんでしょうか?
好岡:そうですね。KOMPEITOに移った経緯は、もともと共通の友人の紹介で代表の渡邉(瞬)と出会いまして、初めは副業でお手伝いするところから始まったんですけど、気づいたらこっちが本業になっていた感じですね。
起業のきっかけはアプリ開発
宇垣:みなさん、結果として今この場所にいらっしゃるということで、スタートアップを選んだ理由はどこにあるのかをそれぞれおうかがいしたいです。逢澤さん、いかがですか?
逢澤奈菜氏(以下、逢澤):先ほどもちょっと言ったんですけど、スタートアップを選んだっていう感覚はあんまりなくて、動いていたら結果的にそうなっていたのが私のパターンなんです。
でも、それで言うと私は「Netflix」で『スタートアップ:夢の扉』っていうドラマを見て……見たことある方、いますかね?
(好岡氏と今井氏が挙手)
逢澤:あっ、本当? うれしい(笑)。その中でチーム長のハンっていうメンターが出てくるんですよ。私のきっかけは、メンターが欲しいなと思って。
自分がやりたいことをやる中で、ちょっと教えてくれるというか、先を行っている方に話を聞きたいなと思って検索したら「MENTA」っていうアプリが出てきたんですね。
宇垣:あっ、アプリがあるんですか。
逢澤:めちゃくちゃ安直なんですけど「メンター」って検索したら「MENTA」が出てきて、「すばらしい」と思ったんですけど。
宇垣:はい(笑)。
逢澤:そこで教えてもらったのがノーコードだった。ノーコードだったらアプリを作れるということで学んでいたら、スタートアップのANOBAKAさんがやっているコミュニティに出会ってプロダクト開発を始めました。たまたま一つひとつがつながって今に至っているんです。
意図的にスタートアップを選んだ理由
宇垣:なるほど。逢澤さんは、いろんな場に軽やかに出ていくタイプですよね。
逢澤:フットワークは確かに軽いのかもしれません。
宇垣:例えば私はとても人見知りなので、うじうじして「行けない」みたいになっちゃいそうなんですけど、そこに躊躇はないですか? 知らない人がいっぱいいる(のが不安)とか、ないですか?
逢澤:そうですね。どっちかというと好奇心が勝っちゃうかもしれないです。気になるから調べて、次々と進んでいくタイプなので、いつも「気づいたら」みたいな感じですね(笑)。
宇垣:その好奇心や推進力が大切なのかなと思いましたが、好岡さんはいかがですか?
好岡:そうですね。私は意図的にスタートアップを選んでいました。今は3社目なんですけど、ずっとスタートアップ界隈にいる状況で。
性格的に、とにかく自由に動きたいし、裁量権を持ってやりたいっていうのが大きかったので、自分にはスタートアップのほうが合っていると思い、学生時代からけっこう絞っていましたね。
宇垣:なるほど。挑戦することが許される場であるっていう。
好岡:そうですね(笑)。
経営者は“孤独と向き合える人”
宇垣:数多くのスタートアップを見ている今井さんにお聞きしたいんですけど、成功する起業家に共通するポイントみたいなものってあるんですか?
今井:すみません。僕は今日、スタートアップの専門家みたいな立ち位置じゃなかったんですけど(笑)。
宇垣:あれ、違ったんですか?
今井:おこがましいなと思いまして(笑)。ただすごく思うのが、けっこう我の強い人とか外れ値みたいな人が起業するんじゃないかって思われがちだなと。
宇垣:アウトローみたいなイメージの方もいらっしゃると思います。
今井:そういう方もいらっしゃると思うんですけど、弊社の代表の島川(敏明)いわく、「経営者の7割は陰キャだ」と言っていて。
宇垣:えっ、そうなんですか?
今井:はい。
宇垣:私、なれるかもしれない(笑)。
今井:諸説ありだと思うんですけど、やはり孤独と向き合える人なのかなってすごく思います。
だから、僕はたぶん経営者には向いていないんですよ。一応、自分の会社も別にあるんですけど自分1人でやっているし、誰にも迷惑かけないようにやっているというか。
もう1個言うと、お二人に共通して、「素直なのかな」っていう感じがしています。個人的に、頑固と素直って表裏一体なのかなって思っていて。
自分として貫きたいものもあるけど、どう頑固を貫けるかってところでメンターなどの意見を聞く柔軟性を持っている。それは折れているわけじゃなくて、あくまでも頑固を貫きたいからって感じなんですけど、合っていますかね?
経営者として行っているアクション
宇垣:私、お二人から陰キャを感じていないですよ(笑)。人に会うことに躊躇がなかったり、人の話を聞くことをすごく楽しんでいらっしゃるのかなって思いました。
逢澤:ぜんぜん私、陰キャですよ。
(一同笑)
宇垣:みんな友だち? じゃあ(笑)。
逢澤:スイッチを切り替えることはあるんですけど、プライドはあんまりないかもしれないです。
宇垣:なるほど。
逢澤:恥ずかしいとか、自分がどう思われたいかとかあるかもしれないんですけど、会社をやっているとビジョンやサービスがけっこう大事になるので、そのためだったら「自分は当たって砕けろ」みたいなことはあるかも。でも、めちゃめちゃ「気にしぃ」なので(笑)。そこも含めてすごくいろいろ考えることはあります。
宇垣:でもそれがね、今井さんがおっしゃっていた「素直」っていう部分なのかなと。
今井:うん。だと思います。
宇垣:好岡さんはいかがですか?
好岡:そうですね。私は、自分の中で大事にしている3つがあって、思いやりと自責と根性っていう。
宇垣:おぉ、根性(笑)。
今井:ちなみに、十何年前からりこぴんさんは言っている。
宇垣:ぶれていない。
好岡:この3つさえぶらさなければ、あとは柔軟に何でもチャレンジするっていうスタンスですね。
IVSは戦友と出会える場所
宇垣:そういうお二人から見ても、こういう場所でいろんな価値観の方と出会うことがすごくいいきっかけになっていると感じました。いかがでしょう?
逢澤:そうですね。やはりこういう場でいろんな方に会うんですけど、起業家の仲間が増えるんですよね。
先ほど孤独っておっしゃっていたんですけど、なかなか相談できないこととか、抱え込んじゃうことって、やはり経営をするとあるなって思っていて。
その時に同じフェーズの起業家とつながっていられると、損得関係がないので、「ちょっと聞いてくれない?」みたいな話がすごく起きていて、そういうふうにつながっていくなと思っています。
宇垣:ある種、戦友を手に入れるみたいな感じでしょうか?
逢澤:はい。
宇垣:好岡さんも各社のCOOの方とお会いするみたいなお話を聞きましたけれども。
好岡:そうですね。今の逢澤さんのお話と近いかなって思うんですけど、やはり自分の会社の中だけにいると、どうしても日々の課題とか数字に集中してしまって視座が低くなっちゃったりとか。あと、目の前のアウトプットに追われ続けちゃうので、擦り減ってしまう自分もいたりして。
そういう時に他社の方々とコミュニケーションを取ってインプットさせてもらえると視野が広がるし、「アウトプットしなきゃ」ばっかりで枯渇してきている自分の中に潤いが入ってくる感覚がありますね(笑)。