【3行要約】 ・StoryHub株式会社 代表取締役CEOの田島将太氏は「価値あるストーリーを共創するハブになる」というミッションを掲げ、AI編集ツール「StoryHub」を提供しています。
・AIによるコンテンツのクロールを懸念してブロックする企業に対し、THE GUILDの深津氏は「AIに認識されなくなる」と警鐘を鳴らします。
・同氏はAIに自社を理解してもらうことのメリットを提示し、そのための情報提供が重要だと指摘します。
前回の記事はこちら THE GUILDの深津貴之氏を迎えてトーク
稲荷田和也氏(以下、稲荷田):声で届ける起業家の物語『Startup Now』。StoryHub株式会社代表取締役CEO、田島将太さんへのインタビューの続きをお送りいたします。後編では、エンジェル投資家でもあり、そしてアドバイザーでもいらっしゃいますTHE GUILDの深津貴之さんを交えて、StoryHubさんの魅力に迫っていきたいと思います。
それでは深津さん、まずは1、2分程度でご自身の自己紹介をお願いできますでしょうか?
深津貴之氏(以下、深津):株式会社THE GUILDの深津と申します。我々は、いろいろなスタートアップや企業さんの新規事業の立ち上げやサービス開発等を伴走しながら、グロースや価値提案をするような会社をしています。
みなさんがご存じなものでいうと、「note」というメディアプラットフォームでCXO(Chief Experience Officer)としてお手伝いさせていただいたり、弁護士ドットコムさんでリーガル周りのAIのUX体験などをちょっとお手伝いさせていただいたりしています。
稲荷田:ありがとうございます。SNSの発信も盛んで、最近だとポッドキャストで『深津貴之のGUILD TALK』(という番組も)始めていらっしゃって。
深津:はい。
稲荷田:ちなみにあれは、「どうして始めたか?」とか「どういう狙いでやっているか?」みたいなところも少し(教えて)もらえたりしますか?
深津:基本的には、AI時代に備えるため、(出演者)それぞれの技術的なところをしっかりと押さえる。それと同時に、人的なネットワークや自分が持っていない知見にアクセスする経路を今のうちにしっかりと作っておく。そういうことが僕にとってもリスナーの方々にとっても大事ではあると思います。なので、そういったものを溜めにいくためのポッドキャストですね。
AIプロダクトを導入する業務への深い理解がある
稲荷田:いいですね。ありがとうございます。僕も拝聴していて、めちゃくちゃおもしろいので、ぜひこれを聴かれている方にも聴いてほしいなと思っています。たぶん今の思想の部分がStoryHubさんに通ずる部分も場合によってはあるかなと思いますので、後編はそこを深掘りできたらなと思っております。
前編もご同席いただいておりました。それを聴かれてみてのご感想や、感じたことがもしありましたらいただけますでしょうか?
深津:AI企業全般の話として、「要は(この)AIの言語モデルはどういう実装で、いかに頭がいいか」とかにフォーカスしているところが多いんです。けれどもそれだけだと、やはり社会実装する時に「頭がいいAIだけど、結局どう使うの?」とか「何かのために使ってみたんだけど、変なことしか言わない」みたいなことが起きやすいんです。
結局、AIでプロダクトを作る時って、最後のラストワンマイルって、適用される業界や業務に対する深い理解とかエキスパート的な能力が必要だと思うんですね。StoryHubさんのいいところは、コアメンバーのみなさんが、もともとの業界への解像度がものすごく細かいところに加えて、AIに対する意識があるという、ハイブリッドなところではないかなと考えています。
共同創業者からつながった縁
稲荷田:ありがとうございます。(お二人の)出会いはどんな感じでしたか? 田島さん、ぜひ教えてください。
田島将太氏(以下、田島):StoryHubの共同創業者の渡邉真洋さんが、深津さんの愛弟子みたいな方なんですよね。
稲荷田:愛弟子!?
深津:データアナリストをやっている真洋さんという方がいらっしゃるんです。もともと彼は10年ぐらい前、THE GUILDを作ったばかりの頃にうちでアルバイトをしていました。
その頃、(THE GUILDは)弁護士ドットコムさんの「クラウドサイン」というサービスを立ち上げるお手伝いをしていたんです。その時に(彼にも)リサーチャーとして手伝ってもらったりしていました。その縁が今でも続いている感じですね。
稲荷田:じゃあ、田島さんとはそのタイミングで初めてお会いされた感じですね?
田島:実はスマートニュースに勤めていた頃、「SmartNews」と「note」が連携した時に、(note社のCEOである)加藤(貞顕)さんと深津さんに僕は1回お会いしたことがあります。
稲荷田:そうなんですね。
田島:ただ、一瞬だったんですけど。
稲荷田:一瞬(笑)。
事業をピボットした経緯
稲荷田:(その後、StoryHubの)創業初期は地域の情報プラットフォームをされていたと思います。そこからピボットされたことに対してはどう捉えられていらっしゃったかについて、深津さんからご意見(をいただけますか)? アドバイスされたという話も前編でいただきましたけども。
深津:僕はどっちかというと「ピボットしたほうがええんやない?」と言った側です。地方創生や地方産業の盛り立ては、僕も興味(がある)イシューですごくいいなとは思うんです。けれども、あそこの分野は自治体ごとの細かいマイクロオペレーションと調整の集合体みたいな構造になりやすいんです。
なので、スタートアップが初期でやった場合、グロースや横展開しにくい構造があるなぁと思っていました。(そこで)「やりたいことの最終ゴールはそこでも、少し順番を変えて、基盤や横展開できる仕組みを作ってから入るほうがスタートアップとしてはやりやすいんじゃないかな?」みたいなお話をさせていただきました。
田島:僕の課題意識も、地方創生というよりかは、情報エコシステムの不全が(結果的に地方に)引き起こす社会的な課題にありました。確かにそこの順番を変えることにはぜんぜん違和感がなくて、「それはそうだな」と思いながら(笑)、アドバイスを聞いていました。
稲荷田:でも、いずれはつなげていきたい思いがありつつ。
田島:そうですね。