#109 StoryHub株式会社 代表取締役CEO 田島将太 氏(全4記事)
“何も武器がない会社員”から起業家へ データ分析で道を切り拓いたStoryHub代表の軌跡 [2/2]
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スマートニュースに入社しメディア事業に挑む
稲荷田:なるほど。スマートニュースさんに入社されてからはどうでしたか? 「自分ならでは」みたいな話もそうですし、何をされたかでもいいんですけれども、どんな感じですか?
田島:そうですね。当時はメディア事業開発という、媒体社の方との折衝を担当する部門にいました。平たく言うと、「スマートニュースにコンテンツを出してください」と交渉する役割ですね。
稲荷田:広告ではないんですか?
田島:広告の営業ではないです。スマートニュースはコンテンツを書いておらず、(コンテンツを)アグリゲーションして集めて、順位を付けて配信しています。なので、例えば新聞社や出版社の人に、集めるコンテンツをスマートニュースに出してもよいかどうかを交渉する役割でした。
当時、その役割って、やはりメディア経験者の方が多いんですよね。有名なメディアで編集長をやっていて独立したとか、やはりメディア業界にコネクションがある人が交渉を担当していたんです。けれども当時、僕は23歳で入って、24歳ぐらいで(その仕事を)主にやっていたんですけど、何も武器がないんですよね。
営業業界の経験もぜんぜんないし、急に自分より20歳下の新米がやってきて、「コンテンツをくれ」って言われても、「はっ?」てなるじゃないですか。
稲荷田:そうですね。
データ分析を武器にする
田島:なので、武器が欲しいなと思ったんです。そこで、大学の頃にやっていた情報工学の知識を活かし、「スマートニュースに配信した記事を分析すると、こういったタイトルの付け方をしていると読まれる」とか、データ分析を武器にしようと思ったんですね。
そういった、配信した後の利用者の行動を分析して、より良いコンテンツにするためのインサイトを溜めて提供していく、みたいなことを自分の武器としながら交渉を進めていったんですよね。そうすると、それがかなり評判が良かったりして、スマートニュースを独立した後も、データ分析を軸とした成長(支援)コンサルティングでたくさんお仕事をもらえたりして、(仕事に)つながっていきましたね。
稲荷田:その時は独立されて、個人事業主ですか?
田島:そうですね、個人事業主です。
稲荷田:へぇ。それでメディア企業向けに、そういう分析を提供されていたのはどうしてでしょうか? スマートニュースさんでそのままやられていらっしゃってもいいじゃないですか。
田島:1つの会社に長くいるイメージが最初からなかったんです。スマートニュースはとても好きな会社ではあるんですけど、「数年したら辞めて独立しそうだな」とは、正直最初から思っていました。3年ちょっと経って、予想どおり辞めてしまったんですが。
その時に思ったのは、スマートニュースってコンテンツを集めて配信する仕組みに特化していて、利用者とのタッチポイントは持っているわけですね。ただ、コンテンツを作る部分にはサービスを提供していないんです。コンテンツを作る蛇口の部分がやせ細ってしまったら、スマートニュースが最終的に提供する価値も低くなってしまうんじゃないかと私は思っていました。
稲荷田:確かに。
やりたいことは「届ける」ではないと気づく
田島:ただ、(スマートニュースは)コンテンツを作るところじゃなくて、届ける部分に価値を出しているところなので、やはり会社の方針は(私の考えとは)違うんですよね。
「じゃあ、作る部分で何かをやるんだったら、自分でやるしかないな」と思っていました。なので、スマートニュースを独立した後に、「今度はもう少し、作る部分に近いところで何かしら知見を集めたいな」とも思っていましたし、あと、僕はシンプルにメディア企業がすごく好きなので。
稲荷田:いいですね。
田島:「メディア企業の役に立てる仕事は何かないかな?」と思った時に、データ分析を軸にして、Webメディアを正しくグロースさせるってすごく大事だなと(思ったんです)。
当時、釣り記事を作るとか、けっこう正しくないグロースがたくさんあったんですよね。PVを伸ばすために手段を選ばないとコンテンツのクオリティが下がる現象をけっこう観測していました。なので、「コンテンツのクオリティを下げずにPVを上げられるんじゃないか? そのための武器としてデータ分析を使おう」という発想で取り組んでいました。
起業を決意し、ローカル情報アプリを開発
稲荷田:ありがとうございます。そこから起業された経緯や、なぜ(起業)されたのかを教えていただけますか?
田島:そうですね。フリーランスで個人事業主としてWebメディアの成長支援をし始めた1年後ぐらいに、共同創業者の渡邉真洋さんと出会いました。彼はTHE GUILDのメンバーでもあるんですけど、ちょうど共通の知り合いに「似たようなことをしているやつがいるから会ってみなよ」と紹介してもらったんです。
当時はまさにコロナ禍の真っ最中で、リアルでは会っていなかったんですけど、リモートで話した時にすごく気が合いそうだなと思いました。何をするかは決めていなかったんですけど、「とりあえず2人で(いっしょに)会社を作るか」と思って、合同会社の箱だけ作ったんですよ。
稲荷田:へぇ、すごい。
田島:定期的に連絡を取りながら、合同会社を箱としてコンサルティングの仕事を一緒に請け負ったりしていた中で、そろそろ自分たちで本格的にプロダクトを作りたいなと(思っていました)。その時は、やはり情報流通を課題に感じていたので、情報流通課題を解決する方向性で作りたいと思っていました。
その時に私が感じていた課題の1つが、ローカル情報というか身近な情報ってなかなか届かない(ということです)。それこそ「自分が住んでいる町で、こんなイベントが来週ありますよ」とか「今週末、ここにお出かけすると楽しそうですよ」とか「よく行く店で夏限定のメニューが出ましたよ」って、なかなか気づかないことも多いです。なんなら終わってから気づくことのほうが多いです。
稲荷田:確かに。
田島:そういった情報を集めて、位置情報をもとに配信するアプリを最初は作って、それを全国10都市ぐらいで実証実験していました。
数万人規模のユーザーを集めるも、ぶつかった壁
稲荷田:けっこう順調に立ち上がっている雰囲気を感じますけど、そのあたりは?
田島:順調に立ち上がっていたかと言われると、わからないですね。やはり当時は本当に、自分たちでアプリを作るのも初めてだったので、まずは経験値を溜める(という意識もありました)。ただ、社会課題と需要については一定確信があったんですけど、ソリューションがこれで正しいかはまずやってみないとわからないので、まずやってみようという気持ちのほうが強かったですね。
稲荷田:なるほど。
田島:なので、全国の地方都市へ行って、商店街の方とお話ししたり、その地方のテレビ局の方とお話ししたりしながら、イベントとかを軸にアプリを広げていって、数万人ぐらいが使うようになったんです。
稲荷田:えー、すごい。
田島:ただ、やっていく中で気づいたのが、やはりローカルコンテンツを含め、粒度が小さいコンテンツって、量も質もまったく足りていないんですよね。なので、「今あるものを集めて届けるだけだと持続的な価値にはつながらないな」と思いました。持続的な価値が生み出せないと、当然マネタイズもできないですし。
「ちょっとこのままだとうまくいかなそうだな」と思っていたところで、GPT-3.5と4が出てきました。これを使うと、(そもそもコンテンツの量も質もまったく足りていないという課題に対して)「いい」コンテンツを「たくさん」作れるという価値が出るのではないかと思いまして、コンテンツを作るシステムのアルファ版、そしてベータ版を作りました。
深津貴之氏の助言がピボットの契機に
田島:最初に作ったローカルアプリである「Streets」で、コンテンツを作るシステムを活用して、作ったコンテンツを流していこうという戦略で進めていたんですね。ただ、それをやっていく中で、深津(貴之)さんに「ローカルアプリが先で、コンテンツを作るシステムが後というのは、順番が逆なんじゃないか?」と指摘を受けて、「確かにな」と思いました。
やはりローカル情報に限らず、質が高く多様なコンテンツを大量に作れる仕組みをまず構築して、それができた上でコンテンツを届けるという順番でやったほうがうまくいくんじゃないかなと。そう思って、事業戦略をピボットして、今に至るという感じです。
稲荷田:なるほど、ありがとうございます。ちょうど深津さんという名前も出ましたけれども、実は後編にTHE GUILDの深津さんが控えておりまして、ちょうど起業のプロセスのあたりも聞けましたので、後編では深津さんの視点も加えながら、具体の部分を深掘りしていきたいなと思っております。
田島さん、そしてお聴きいただいたあなたも、ありがとうございました。
田島:ありがとうございました。
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