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#107 株式会社ヘンリー 代表取締役 逆瀬川光人氏(全4記事)

エンジニア組織の“30人の壁”を乗り越える工夫 専門領域×リモートの開発環境を成立させるチーム設計

【3行要約】
・医療テック企業ヘンリーでは規模拡大に伴い開発組織の再設計に取り組む一方、医療知識のない人材育成について独自の取り組みを進めています。
・CTOの逆瀬川氏とテックリードTODA氏は、組織を「部屋」に分け、初めは狭い領域から理解を深める方法でエンジニアの成長を支援しています。
・フルリモート環境のメリットを活かしながら、社会課題に挑む医療DXに取り組んでいます。

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開発体制の再設計

稲荷田和也氏(以下、稲荷田):開発の難易度はすごくあるんだなということを思うと、テックリードをされているTODAさんにかかっている期待とかプレッシャーも含めて、難易度の高さはものすごいんじゃないかなと思うんですけど。これはTODAさんの視点では今、どんなふうに感じていらっしゃいますか?

Kengo TODA氏(以下、TODA):テックリードとは言ったものの、実は私自身で「こういうアーキテクチャにしよう」みたいな話はしていないんです。うちはけっこう自発的に物事を考えられるエンジニアが多いので、それぞれみんな手を挙げてくれるんですね。

なので自分は「誰も手を挙げていない領域を探す」とか、エンジニアが自分で物事を解決できる(ように)、手を挙げられるようにするとか、手を挙げたあと走りきれるようにということをメインにやっています。

その上でやはり今一番気にしているのは、チームが大きすぎるかなということなんですね。弊社は今、エンジニアの組織がだいたい30人から40人ぐらいいます。それまでは小さい部屋にみんなでワイワイ集まってモノを作る感覚でやれていたんですけど、さすがに30人とか超えてくるとそれは難しくなってくるんですね。

なので例えば作っているモノを2つに分けて「1番から15番の人はこっちの部屋で、16番から30番の人はこっちの部屋」みたいに分けたほうが、部屋の行き来はするんですけど、開発はやりやすくなる。

というところがソフトウェアでもありまして、その観点で部屋をいくつか分けてみようかということを検討しています。

医療分野の経験がないエンジニアへのサポート体制

TODA:あと(今までは)逆さんが部屋全体を取り仕切っていたんですけれども、逆さんにはそれぞれの部屋のアウトプットを調整する、目標を立てる、ビジョンを描くほうにシフトしていただくために、権限委譲というか。エンジニアの中でもこういうことがやりたいという人に、「部屋を見てください」ということをお願いするというのを進めていますね。

稲荷田:今まさに、再編に挑まれている最中ということなんですね。

TODA:はい。

稲荷田:TODAさんも医療のバックグラウンドが特になく、エンジニアのみなさんはある方もいればない方もいれば、みたいな感じなんですか?

TODA:そうですね。ないほうがほぼ主流だと思ってかまわないです。

稲荷田:えぇ……めっちゃ難しいですよね。

逆瀬川光人氏(以下、逆瀬川):そうですね。でもみんな入社直後が、「こんなに難しいのか」と一番悩まれますよね。

稲荷田:それはどう乗り越えるんですか?

逆瀬川:今だとわりとオンボーディングはしっかりやるようにしていて、ある程度の全体感を把握してもらうんですけど。全体感を把握しようとしすぎると沼ってしまうので、ある一部の領域をしっかり詳しくなってもらおう、みたいなかたちでオンボーディングをやっています。

先ほどTODAの話した内容も、まさに部屋を分ける時に「あなたはこの領域の担当ね」みたいに領域をある程度は絞っているので、まずは把握できる範囲を知ってもらうことを心がけていますね。

稲荷田:なるほど。まずはじゃあ狭い領域で、そこは一定わかる状態に持っていって、徐々に染み出していくみたいな。

逆瀬川:そうです、そうです。

フルリモート組織のメリットと課題

稲荷田:ありがとうございます。あとTODAさんにぜひ聞いてみたいのは……リスナーさんはここまでで気づいている方がいるかどうか、気づいたらすごいなと思うんですけど。今日は僕と逆瀬川さんはリアルで会っているんですけど、TODAさんは上海から。

TODA:はい。

稲荷田:今、フルリモートで働いていらっしゃるということだと思うんですけど、難易度が高い領域でフルリモートはけっこう大変なんじゃないかな、と思ったりするんです。そのあたりは実際どうなのか、あるいはどんな対策で乗り越えているのかという話をお聞かせいただけますか?

TODA:まずは、利点のほうが多いと思っています。我々は今、ほとんど中途採用ばっかりでメンバーを揃えているんですけど、中途で30代とか40代とかになってくると、お子さんがいらっしゃったり、介護の話であったり、けっこうプライベートでの差し込みが多く発生すると思っています。

なので実際、今日もSlackとかを見ていると、お子さんが発熱したので、みたいな話とかはよく見るんです。そういう場合でもそれぞれ無理のない範囲で働いていただけるのは、フルリモートのかなり強いところだと思っています。やはりエンジニアに限らず能力がある、ポテンシャルがある、実績のある人が協調して物事を作る、社会課題を解決するためには、かなり欠かせない体制だなと思っています。

なのでトータルではかなりプラスだなと思っている一方、やはりネガというか、課題もあるのは実際そうです。具体で言うと、例えば「今月、新入社員の方がいらっしゃいます」という時にもやっぱり「誰?」ってなるんですよね。

リモートの弱点を補う仕組み

TODA:5人とか10人とか、最初は名前の一覧だけだったりするので、Slackに自己紹介を投げてもらって、自己紹介ページをNotionとかで書いてもらっていたりしていて。そこまで情報を積極的に出して、(自分から)取りに行って初めて「あ、こういう人が入ってきたんだ」になるんですよね。

同じことが日々の議論でも言えて、「こういうところは問題だと思います」とSlackに書くだけではやはり伝わらないものがある。なので、例えば1on1をきちんと実行するとか、対面での話の機会も重要だと思っています。

あと今のところだと、オフライン決起会といって年に2回ぐらい全社で集まって、「この半年間、この会社はこうでした。次の半年はこうするぞ」みたいな、全社員で膝を突き合わせて議論する機会を作っています。

稲荷田:なるほど。距離感を乗り越える、いろんな施策をやっていらっしゃるんですね。

TODA:そうですね。

社内の実像を伝えるポッドキャストの狙い

稲荷田:その延長線上ないしは採用(の理由から)なのかわからないですけど、ヘンリーさんがポッドキャストをやっているのでは? ということを発見しまして。『ヘンリー理想駆動ラジオ』ですかね。これはどうしてやっているのか、どういうコンテンツを発信しているのかをぜひ教えていただけますか。

逆瀬川:『ヘンリー理想駆動ラジオ』ですが、ヘンリーの開発や開発組織の実態を理解してもらうということで2025年から始めています。

今、技術側のフェローで入っているSongmuという者が中心に回しているんですけども。先ほどお話ししたとおりヘンリーの事業自体が複雑なので、開発自体もけっこうわかりにくい部分があります。そういった中の実態とか生々しい話を伝えて、親近感を持ってもらおうということで発信しております。

稲荷田:ありがとうございます。じゃあ、エンジニア系の方におすすめという感じですかね。

逆瀬川:エンジニア系の方々向けに作っていたんですけども、むしろビジネスサイドの方にもぜひ聞いていただきたくて。というのは開発者やドメインエキスパート、QAといった方々の働いている(状況の)リアリティがけっこう見えてくるので。ご自身の組織の開発組織の顔が見えるようになる部分もあるかなと思いますので、ぜひビジネス側の方にも聞いていただきたいなと思います。

医療の未来を手がける仲間へのメッセージ

稲荷田:ありがとうございます。じゃあぜひみなさんも聞いていただければと思いますが、お時間が来てしまいました。ぜひ最後に逆瀬川さんから、リスナーさんに届けたいメッセージをいただけますでしょうか。

逆瀬川:ありがとうございます。ヘンリーは今、日本の社会保障費がどんどん高騰していく中で、医療体制をちゃんと継続して将来世代に残していくことをミッションにやらせていただいています。

少子高齢化という課題に対して、今後ほかの国でも起こるような課題を先頭を切って解決できるって、けっこうおもしろいことなんじゃないかと思っております。

稲荷田:確かに。

逆瀬川:こういったピンチとか逆境を楽しめる環境はなかなかないんじゃないかなと。もしそういったところに興味がある方は、カジュアルにいろいろお話しできればなと思っておりますし、我々もそこを楽しんでこれからもやっていきたいなと思っています。

稲荷田:ありがとうございます。概要欄に各種リンクを記載させていただきますので、気になる方はご覧いただいて、コンタクトを取っていただくといいかなと思っております。そして今回の配信を気に入っていただいた方はぜひ番組のフォロー、評価、そしてSNSへの拡散をお願いできればと思います。

逆瀬川さん、TODAさん、そしてお聞きいただいたあなたも、ありがとうございました。

逆瀬川・TODA:ありがとうございました。

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