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#107 株式会社ヘンリー 代表取締役 逆瀬川光人氏(全4記事)

家賃3万円の生活から港区のタワマンへ 総額10億円を調達した若手起業家に影響を与えた母親の挑戦

【3行要約】
・クラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」を提供する株式会社ヘンリーの逆瀬川光人氏に、事業内容や幼少期の生活について聞きました。
・かつて家賃3万円の住まいで暮らしていた逆瀬川氏は、母親の起業が成功したことによる劇的な変化について明かしています。
・同氏は幼少期の経験から「社会や人に対して恩返しをしていきたい」という気持ちが芽生えたと語っています。

総額10億円の資金調達を実施

稲荷田和也氏(以下、稲荷田):声で届ける起業家の物語『Startup Now』。MCのおいなりです。本日は、株式会社ヘンリー代表取締役、逆瀬川光人さんにお越しいただきました。

ヘンリーさんは、クラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」を提供されているスタートアップです。2025年7月、シリーズBラウンドでグロービス・キャピタル・パートナーズさんなどから総額10億円の資金調達を実施されました。逆瀬川さん、よろしくお願いします。

逆瀬川光人氏(以下、逆瀬川):よろしくお願いいたします。

稲荷田:今回、逆瀬川さんにお越しいただいた経緯は、なんと過去出演起業家さんからのご紹介なんです。大変ありがたいんですけれども、これは第66回(に出演された)、梱包資材の最適化に挑まれていらっしゃるスタートアップ、株式会社shizaiの鈴木(暢之)さんよりご紹介をいただきました。鈴木さん、ありがとうございます。

起業家精神と“ノリ”が共通項

稲荷田:鈴木さんと逆瀬川さんは、かなり以前から接点があったとうかがっているんですけど、どんなご関係性なんでしょう?

逆瀬川:鈴木さんは大学の同級生で、私が実際に出会ったのは卒業後なんですけども、ちょうど共同創業者が学生の時に、初めの言語のクラスのクラスメイトだったというぐらい近い関係性です。それこそ卒業後に会って、けっこう意気投合して、今でもたまに飲んだりしています。

稲荷田:ちょっとだけ聞くと、どのあたりが意気投合しているポイントなんですか?

逆瀬川:わりとテンションが高いというか、ノリが良いところもあって。かつ、大学が一橋なんですけど、一橋の起業家ってなかなか少ないので。

稲荷田:そうなんですね。

逆瀬川:起業しているところと、テンポ良くいろいろ話せるので、けっこう意気投合していますね。

稲荷田:いいっすね。鈴木さんの回をもし聴かれていない方がいらっしゃったら、どちらも聴いていただければと思います。ありがとうございます。

前編では、冒頭で事業についても簡単に触れさせていただきつつ、以降は、逆瀬川さんの幼少期や起業に至るまでの人生そのもの、価値観などをひもといていきたいと思っております。

病院の基幹を支えるプロダクト

稲荷田:そうしましたら逆瀬川さん、まずは現在展開されている事業について1分ぐらいで教えていただけますでしょうか?

逆瀬川:我々は、病院業務のDXを実現する電子カルテ・レセコン、いわゆる病院向けの基幹システムを、クラウドでSaaSとして展開している会社です。この病院向け(のプロダクトを)作るまでにだいたい4年ぐらいかかって、そこまではかなりステルスでやっていました。

2023年にリリースしてから、約50の病院にご契約いただいて、病院の業務全般を変革して、DXしている会社になります。

稲荷田:ありがとうございます。最近、医療系のスタートアップもちらほら見る気がしております。「レセコン」という言葉は、僕も何回か目にしたことがあると思うんですけど、よければ説明も簡単にしていただけますか。

逆瀬川:電子カルテ・レセコンって、「カルテ? メモでしょう? レセコンって何?」みたいになると思うんですけど、大きく言うと、CRM領域とワークフロー領域、あとはPOSみたいなところの、大きく3つの基幹システムが入っています。

病院業務を動かす3つの要素

逆瀬川:日本は診療報酬制度というものがありまして、それに基づいて医療従事者が医療行為を行っていきます。医療行為を記録したり、お医者さんだけだと業務は回らないので指示を出したりする。その記録や指示のデータをお会計して、窓口でお支払いいただいたり、国に請求したりするというかたちなんですね。

そこの患者さんの情報の管理の部分と、指示出しの部分と、診療報酬のお会計の部分。大きくこの3つを扱っているシステムで、診療報酬の制度自体が広辞苑みたいな(膨大な)ルールで、1,700ページぐらいあります。

稲荷田:1,700ページですか(笑)。

逆瀬川:そうなんですよ。とんでもないボリュームなので、それにのっとってお会計もしなくちゃいけないですし、業務フローを構築するのがけっこうハードルが高くて、なかなかプレイヤーがいない領域になりますね。

稲荷田:故に、ヘンリーさんも4年ぐらいかけて開発されているんですね。

逆瀬川:そうですね。

医療未経験の2人が、なぜ病院DXに挑んだのか

稲荷田:へぇ、めちゃくちゃおもしろいですね。しかも逆瀬川さんは、医療バックグラウンドは特にない?

逆瀬川:そうですね。私も共同創業者の林(太郎)も、医療バックグラウンドはまったく関係なく、IT業界から入っておりますので、学びながらどうにかリリースできたかたちですね。

稲荷田:なるほど、ありがとうございます。なんで非医療から医療に行ったのかはすごく気になります。そのあたりのヒントが、恐らく逆瀬川さんの過去にあるんじゃなかろうかと思います。あらためて今度は逆瀬川さんご自身の人生やご経歴などを中心とした自己紹介を1~2分ぐらいでお願いできますか?

逆瀬川:私は新卒が楽天で、その後ウォンテッドリー社(に転職)というかたちでキャリアを築いてきました。簡単に言うと新規事業の立ち上げにおける0から40ぐらいのフェーズまでを繰り返しやってきております。

ちょうどスマートフォンが出始めたタイミングの2011年に楽天に入りました。スマートフォンの戦略組織や、スマートフォン経由の売上を上げる戦略組織に入って、プロダクトサイドで事業やアプリケーションの立ち上げを、それこそ数十個ぐらい経験させていただきました。

ある程度スマートフォンの普及(のめど)が立ってきたタイミングで、ビジネス側をやることが増えてきました。もう少し事業全体を主体的にやりたいなというところでウォンテッドリーに転職して、新規事業の責任者として3年間勤めました。(その後)起業したというかたちです。

創業のつながりで言うと、弊社は共同創業で、林という者と一緒にやっています。大学のフェアトレードサークルの代表と副代表を2人でやっておりました。そこで、国際協力や社会性の高いことにけっこう興味を持っていたので、「2人でやるなら、そういったテーマがいいよね」というところで、ヘンリーを創業しました。

家族4人で家賃3万円の暮らし

稲荷田:ありがとうございます。幼少期や学生時代はどんな子だったかとか、親御さんとの関係性や、印象に残っている出来事とかって何かあります?

逆瀬川:そうですね。私がちょうど中学2年生の時に親が離婚しました。3人兄妹で、それまで普通に家族で暮らしていたんですけども、急に母子家庭になりました。その当時はけっこう貧乏で、それこそ引っ越した施設は、梅雨になると壁が毎日かびるみたいな。

稲荷田:へぇ。

逆瀬川:4人で(家賃が)月額3万円ぐらいのところに住んでいました。そういうところから大学には行かせていただいて、大学生になったタイミングで母親が起業した後、わりとうまくいって普通の生活になりました。なんなら普通の学生よりちょっとリッチなところに住ませていただいたりとかして、けっこう学生時代にアップダウンがあったんですけど。

稲荷田:ちょっと待ってください。お母さんが起業されたんですか?

逆瀬川:そうです、そうです。

稲荷田:へぇ、すごい。

母の起業が成功、港区のタワマンへ

逆瀬川:僕らも大きくなってきて、会社員だった母親が自分でコンサル事業を立ち上げたんです。(僕の)大学時代にはわりとけっこううまくいって、実家が(家賃)月3万円ぐらいのところから、港区のタワーマンションになったんです。

稲荷田:えー(笑)! アップダウンがすごいですね。

逆瀬川:そうなんですよね。

稲荷田:へぇー、すごっ。じゃあ、それはどんな影響を受けました? やはり逆瀬川さんも起業を意識することになるんですか?

逆瀬川:1つは母親の価値観みたいなところで、けっこう仕事が好きでアグレッシブにやっているので、そういったものに対するハードルが下がったなというところ。

(それと)けっこう貧乏だったことも良かったなと思っています。(家賃が)月3万円で、それこそ買い物をする時も、数百円のものを買うか、買わないかを迷う体験ってなかなかありません。そういったところから、運良く僕自身は大学も行かせてもらって、今は無事起業もさせていただいて、会社員にもなれました。

やはり何かしらお世話になったもの、社会や人に対して恩返しをしていきたい気持ちは普通に芽生えているので、そういうのはすごく良かったなと思いますね。

“教育費だけは惜しまない”母の判断

稲荷田:なるほど。お母さんが起業されたのは、逆瀬川さんが大学(に入学した)ぐらい(の時)と言われましたか?

逆瀬川:大学ぐらいです。

稲荷田:そういう意味では、一橋に入るのもめちゃすごいなって僕は思っちゃったりするんですけど、いわゆる予備校や塾には行っていなかったんですか? 行っていた?

逆瀬川:家の方針として、「教育費だけはかける」だったので。

稲荷田:えー。すごっ。

逆瀬川:妹たちも大学へ行っています。でもそれ以外はめちゃくちゃ貧乏で、みたいな生活をしていましたね。

稲荷田:めちゃめちゃ良いお母さんですね。

逆瀬川:そうですね。なので、母にはすごく感謝しています。今でも新しく事業をやろうとしたりとか、アグレッシブに生きていますけど。

稲荷田:すごい。

逆瀬川:すごく勉強になっていますね。

稲荷田:僕は今、子どもが2人いるんですけど、今の話を親目線で聞いてしまって、「お母さん……」ってなりました。「すごい。なかなかそれはできないな」と思って。

逆瀬川:そうですよね。あまりにも生活が変わったので、大学時代に「母親は詐欺師なんじゃないか?」と思ったぐらい。

稲荷田:確かに(笑)。おもしろい。

逆瀬川:よくよく聞いてみると、ちゃんと努力して。

稲荷田:どうやらちゃんとビジネスをやっているぞと。

逆瀬川:すばらしいなと思って、今ではすごく尊敬しています。

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