日本発・世界で戦うスタートアップはどう生まれるのか?(全4記事)
Z世代起業家が語る、“日本の強み”との向き合い方 産業・文化・通貨、3つの戦略的アプローチ [2/2]
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成功の裏にある現実 グローバル起業家たちの苦悩と課題
山本:なるほど。みなさんもBTCとJPY以外にロングタームで分散をしたほうがいいという感じですね。ちょっと残り10分なので、生々しい話というか、みなさんは今こういうかたちで成功されていると思いますが、実際に足元で日々起業家として悩まれていることって正直あるのかなと思っています。
まさに今、グローバルにやられている中で、今一番チャレンジしている大変なことをちょっと聞いてもいいですか? どなたからでも。
石濵:今、Yay!というSocialFiのサービスをずっとやっていて、トークンの準備も常に進めています。ただ、やはりトークン市場ってマクロの影響を受けやすいんですね。あと、トレーダーが大きく移動するタイミングでマーケット自体の盛り上がりが沈んでいくという傾向があって、スケジュールどおりにいかないんですね。
僕たちとしては、「このタイミングに、もうイーサリアムのプライスも当然4,000ドルを超えているだろう。そうなった時に、アルトコインの市場でこれぐらい盛り上がっているだろう」というのを、1年前からずっと計画しながらやるわけです。けれども、実際に蓋を開けてみると、まだ資金の循環が来なかったりするんですよ。
逆に言うと、いきなりエクイティ(市場)がバーンと盛り上がっちゃって、それこそ2ヶ月でとんでもないぐらいバリュエーションが積み上がる。メタプラネットさんだけじゃなくて他のいろんなBTCトレジャリー企業も、これでどんどん飛躍しています。
そういった(予想と)違う想定外のマーケットで思いっ切り盛り上がりを見せたりします。なので、特に1年前から予想するとか、半年前から予想するとか、事前の予想は無理だなと。これが非常に難易度が高いポイントかなと思っています。
予測不能なトークン市場と“読み”の難しさ
山本:メタプラの話もありますけど、日々変わっていくマーケットの中で戦略をどうやっていくのかは、まさに本当に、やはりあれですね。お二方はどうですか?
髙橋:そうですね。たぶん私は、この中で一番商売に近いことをやっているなと思っています。本当に原始(的な商売)ですね。物を仕入れて付加価値を付けて売るっていうことなんです。
なので、会社をやっていて大変だったのは(キャッシュフローです)。前提としてものづくりや生産ってめちゃくちゃキャッシュフローが悪いんですよね。しかも、インバウンド向けのお土産というと、オンラインでの売上が見込めない時はひたすら在庫を抱えて卸すとか、まさに出目を取っていくという戦い方なので、すごくキャッシュフローが大変だったというところ。
ただ、それをコラボだったり、受注生産に変えたりしていくことで、だいぶキャッシュフローが改善しました。商売はキャッシュフローが大変だなと思っています。
物販事業の難しさはキャッシュフローとブランド運営
山本:あとは、基本的に店舗で売られているので、もちろん店舗のスタッフのトレーニングなどのリアルタッチなものは、本当に日々大変ですよね。
髙橋:まさにそうですね。あとは、ブランドを作るのは(難しいということです)。しかも、うちは「正しさ」で売れないものを売っているんですね。だるまって置いたら業績が上がるわけでもないし、比較検討されない。何かロジックがあって買うものじゃないものって、やはり方程式に当てはめて事業計画を作るのがすごく大変なんです。
いつ何で当たるかわからない。いつF1のコラボが来るかわからない。いつDIESELのコラボが来るかわからない。というところで、経営資源を分配していくのがめちゃくちゃ難しいです。ただ、その分めちゃくちゃおもしろい領域ですね。
新興国と上場市場の間で求められる“計画達成力”
山本:なるほどですね、ありがとうございます。小林さんはどうですか?
小林:そうですね、石濵さんの話とちょっと似ています。インドや南アフリカ、ケニアにおいては、やはりスケジュールどおりにいかないことがあり過ぎるんです。今回は証券会社の方も来ていただいているのでちょっと言いにくいんですけど、やはり物事がうまく進まないことだらけです。
その中で、やはり日本市場にちゃんとIPOしてやっていくとなった時に、1ミリたりとも寸分たがわずに事業計画を達成しないといけないという証券市場とのギャップが存在します。なので、やはり我々はそこをめちゃくちゃ意識して、毎日のように事業計画を見直してやっている状態になっています。
そうすると何が起きるかというと、「(こうすれば)こう(いうことが)起きるだろう」「インド人だったらこういう対応をしてくるだろう」みたいなところが、だんだんけっこう学べるようになってきます。なので、その部分に関しては、やはりちゃんと事業計画にインプリしてやっている感じではありますかね。
なので、苦労しているところで言うと、スケジュールどおりに物事が進まないとか、本当に事業計画の200パーセント(成長を)達成できる蓋然性があるのかというロジカルな意見を投資家に返せない部分です。
けれども、やはり我々は(市場で)一番強いポジションを取っています。それから、日本からリモートでやっていたら「本当かよ?」という話になると思うんですけども、やはり現地に住んでいるので、「それはあなたたちのほうが、やはりちゃんと現地のことをわかっているよね」と信頼していただいています。
山本:なるほどですね。ありがとうございます。本当にお三方はぜんぜん違うんですけど、どれもが本当に新興マーケットを切り開いている領域にいると思うので、それ故のコメントかなと思いました。
“目線を上げる”ために必要なこと
山本:ちょっと残り2、3分というところで、最後は、本当に我々も「日本からデカコーン」と言っていまして、本田(圭佑)とも、「どうやったらデカコーンができるんだろう?」と、よく日々話すんです。
やはり我々が思うのは、彼はよくサッカーの例えで「そもそもやはりJリーグじゃなくてヨーロッパ(のプロサッカークラブ入りを目指すことで)今まさにどんどん目線が上がっていって、日本もこんなに強くなっている」と言っています。
私はアメリカでの活動が長かったのですが、日本でもクラスメートがみんな「Y Combinatorへ行く」とか、そういう環境になることで、もっと当たり前に目線が上がっていくのかなと思います
今後、まさに日本からグローバルスタートアップを作る上で、何が重要なのか。まさにみなさんが、ある種先輩起業家として今やられていると思うんですけど、後輩へのメッセージをちょっと最後に一言いただければと思います。
小林:僕はやはり試行回数でしかないと思っています。アメリカが(「Make America Great Again」と)言っているように、また日本全体で「日本を再び偉大に」というところを、僕個人の裏テーマとして掲げてやっています。
(さまざまなアイデアを試すことは)起業と一緒だと思うんですけど、僕はスタートアップの時に150個アイデアを考えて、6個事業を試して、それでようやく1個にたどり着きました。なので、そのためにやはり、そういう試行回数を増やせるような起業家がボトムで増えてほしいなと思っています。とにかく海外にどんどん出ていってほしいなと思っているんです。
やはり僕はインドに住んでいるので、「明日、日本に帰ります」と言ったら、すぐ航空券を取って帰れる感じです。やはりみんなこっちに住んでいると腰が重くなるような感じがしているんですが、世界って意外とけっこう近いと思っているので、1日あればどこへでも行けます。という意味で言うと、気軽にまずはケニアとかを見に行ってみて、そこのダイナミズムを感じてほしいなと思っています。
髙橋:まさにさっきおっしゃっていた、「日本を再び偉大に」というテーマは、私の会社のミッションでもあるんです。私は2000年生まれで、生まれた時から「失われた30年」と言われる時代に生まれ育ってきました。でも、生きてきたこの二十数年が失われていたなんて、たまったものじゃないじゃないですか。だから「日本にもっと景気のいい話を持って帰るぞ」という強い意志があります。
その上で、海外で物を売っていくって、(やり方が)見えないからすごく難しく偉大なことだと思われるんです。けれども、私の最初の挑戦って、iPhoneで動画を撮ってそれをYouTubeに上げたことです。(それが)私のインドでのメディアの始まりです。
誰でもお金をかけずに、どこでも世界につながれる方法は、今この時代はめちゃくちゃ恵まれています。なので、すごく難しいと考えず、まずは一歩目を気軽に出してみると、道が開けたりするなと思います。私もがんばります。
石濵:「クリプトをやりましょう」ですね(笑)。「今クリプトって、2004年ぐらいのインターネットだよね」ってよく言われるんですよ。今ウォレットを持っているユーザーの数と2004年のインターネットユーザー(の数)がピタッと一致しているんですよ。
めっちゃシンプルに、「じゃあ2004年にみなさんがタイムスリップして、何のビジネスをやりますか?」と言った時、絶対にインターネットでしょう? まったく同じぐらいのヤバい波がクリプトに来ていて、やらない理由がないだろうって思っています。なので、一緒にクリプトをやりましょう。
山本:ありがとうございます。ちょっと時間が来てしまいました。まさにいろいろいい話が聞けたなというところで、会場のみなさんともコラボレーションをぜひ引き続きできればと思って締めさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。
髙橋:ありがとうございました。
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