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日本発・世界で戦うスタートアップはどう生まれるのか?(全4記事)

面接100人、残るのは1人 “現地で育てる”グローバル組織のつくり方

【3行要約】
・グローバル市場で戦うスタートアップは、現地採用や多国籍人材の活用によって組織を拡大しています。
・ケニアで自動車ファイナンス事業を展開する小林嶺司氏は、100人面接・1人採用という高速トライアルを通じて、最適な人材配置を実現。
・セッションを通して、多国籍人材の採用と活用の実践知を共有しました。

前回の記事はこちら

グローバル組織のつくり方 現地採用と高速なトライアル

山本航平氏(以下、山本):ありがとうございます。ちょっと話題を変えまして、今回(のテーマは)「グローバルスタートアップ」なので、そもそもみなさんはグローバル性がある領域をやられています。

例えば組織づくりで、石濵さんのところも外国人エンジニアの割合が5割以上と、かなり多いです。今お三方はそのへんをどうやられているのかおうかがいしてもいいですか?

小林嶺司氏(以下、小林):我々は今、従業員が90人います。(そのうち)75人近くがケニア人で、インド人が2人、南アフリカ人がチョロっと、日本人が5人しかいないという状態となっています。ちょっとあまり良くないかもしれないですけど、やはり基本的には現地で採用をどんどん高速に繰り返すというやり方をしています。

というのはやはり、プロベーション・ピリオドといって、ちゃんと試用期間が3ヶ月くらい設けられているからです。それでかなり多くの人を雇います。カルチャーが合致しないところもあるので、そこでちょっとドロップする人もけっこういるんですけど。

採用に関しては、向こうではそんなにコストがかかりません。こっちだと年収の数十パーセントがたぶん平均の相場だと思うんですけど、向こうだとだいたい1ポスト1万5,000円で100人ぐらい集まってきます。

そこからインタビュー(面接)するのが10人、20人とかになって、その次の第2面接で5人に絞って、入社するのが3人、そこからドロップするのが1人、2人みたいな感じで、残るのが1人。そんなかたちの組織づくりをしています。

センターピン人材の確保はヘッドハントが鍵

山本:私は前職で楽天という会社にいました。楽天も海外で買収やPMIをけっこうしていたんですけど、現地で採用するに当たって、やはり「センターピン」を任せる責任者レベルの採用ってすごく重要じゃないですか。そこも、採用を繰り返すことによっていい人を見つけて育てていくという発想なんですかね?

小林:それはけっこう難しい議論で、我々はそこに関しては成功していないですね。やはりそこはヘッドハンティングで他の会社から引っ張ってくることで一応成功しているかたちになっています。ボトムから育ててミドルマネージャーにしていくのは今のところ成功できていないですね。

海外エンジニアの採用とビザ支援

山本:なるほど、ありがとうございます。髙橋さんと石濵さんの中で、採用や組織づくりのところで……お願いします。

石濵嵩博氏(以下、石濵):うちは今40人ぐらいいて、半数以上が海外なんです。(まずは)海外で優秀な方を、LinkedInとかを経由して探してくるというのが(あります)。あとは紹介が多いですね。エンジニア採用、特にブロックチェーンのエンジニアの採用は従業員から従業員の紹介をベースに広げてきたかなと思っています。

ただ、今はAIがめちゃめちゃ優れているので、AIにいかに任せていくかみたいなところで、人を増やすのではなく「いかに効率化するか」に会社自体は振り切っている感じではありますね。

山本:それで言うと、石濵さんの昔の記事を拝見したら、ビザのサポートもけっこうやられて、要は日本に来たいエンジニアの方を地道にがんばって採用していたという(のがありました)。けっこう今、Sakana AIを含めて、海外のチームが日本で会社をやり、それで優秀な人材が来るみたいな文脈もあると思います。そういう日本に来たいエンジニアの方はやはり引き続き多いんですか?

石濵:多いと思います。(でも、海外の人は日本で働くために必要な手続きをよく知らないので、行くのが)やはり怖いじゃないですか。ビザとかよくわからないし。あと特にスタートアップとかの会社側も、「ビザって小難しそう」みたいな感じなんですけど、実はそんなにあんまり難しくない。やればできることだったので。

今、どれくらい(海外人材の採用の)やり方が市場に浸透しているかはわかりません。けれども当初は、それこそ「僕たちはひたすらビザの発行を全部するし、あとはおうちの手配とかも全部するので心配事はないです。だから一緒に来てください」みたいなことをやっていました。

小林:それは、なんで海外人材を雇っているんですか? 結局、コストで言うと高いわけじゃないですか。我々も日本人が向こうに行くと、やはり現地人の数十倍するかたちになっていて、ビザの手配や家の手配で(労力もかかる)。なんで外国からわざわざ?

石濵:ありがとうございます。それでいくと2パターンあります。僕たちは子会社がタイにあるので、タイで雇用するパターンもあります。あと、日本に来る場合は、どちらかというとシニアのクラスの人たちに来ていただく時に手厚くする。

言っても当時の日本なので、それこそ7~8年前や5~6年前の水準だと、そんなに高い額じゃないけれども来てくださる方がいて、その方々がかなり優秀そうだったんです。なので僕たちとしては「ビザやおうちの手配も当然するし、いろんな手続きを全部やりますよ」みたいなところをフックにやっていました。

今は給与体系がけっこう逆転しちゃっていて、アジアの方々のほうが待遇としてはぜんぜん良かったり、出せる給与水準が上がってきちゃったりしているのであれなんですけど。

小林:経済性の面で言うと、今おっしゃったように、「東南アジアの方のほうが高くなっていますよ」というのって、なんならもしかしたら日本人を雇ったほうが一番経済合理性が合うんじゃないかっていう、ちょっとあれが……。

山本:まさにそうですよね。なんで外国人である必要があるのかということですよね。

石濵:今はたぶんそうなんですよね。なので、今は完全に僕たちも「人をどんどん増やしていこう」みたいな感じではありません。どちらかというとAIによる効率化をどれだけできるかが勝負だと思っています。なので、今となっては、そういう逆転現象も起きているので、僕たちとしては生産性を向上するために、いかに最適化していくかにシフトはしていますね。

語学要件が優秀人材の壁になる現実

髙橋史好氏(以下、髙橋):私がインド向けのメディアをやっていた時に案件で多かったのが、インド人のエンジニア採用を日本の会社さんにするという仕事もよくしていたんですね。確かに「日本の企業で」という集客にはめちゃくちゃ集まるんですよ。

ただ、日本の企業さん側が「(日本語能力試験のレベルが)N1かN2じゃないと受け入れません」という規定で、日本の会社さんの受け入れ体制として日本語の語学力がマストで、どんどん人材の足切りが発生していたのを感じました。

山本:なるほどですね。そこは採用する意味では、本当は裾野を広げたほうがよかったんじゃないかという。

髙橋:日本としても、なかなか単価を上げられない分、「言語をマストで」というのは、なかなか採用に当たっても難しくなってくる条件の1個じゃないかなと思いました。

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