【3行要約】・近年、法定通貨の価値が下がる中で、「ビットコイン=デジタルゴールド」としての注目が高まっています。
・資産価値を守る手段として、ビットコインは金と同様の「価値保存資産」として期待されています。
・クリプト市場は4年サイクルで動いており、今後のアルトコインの動向にも注目が集まっています。
前回の記事はこちら ビットコインの“デジタルゴールド”としての役割
山本航平氏(以下、山本):石濵さん、そもそもさっきエクイティのマーケットの話があったんですけど、メタプラネットの話に触れざるを得ないというところで。みなさんは(この会社を)ご存じですか? 1年前は時価総額が20億円ぐらい(だったところ)から、直近で1兆円になったメタプラネットという日本の会社があります。ちょっとこれについて、何が起きているかを解説してもらっていいですか?
石濵嵩博氏(以下、石濵):わかりました(笑)。
山本:1分以内にお願いします。
石濵:1分? OKです。ちょっと僕だけ他社やビットコインの解説になるんですけど、それこそ僕自身も4年ぐらい前からブロックチェーンの領域をけっこうやり始めていました。そのきっかけはお金なんですよね。
「(きっかけは)お金」とは何かというと、インフレとかデフレとか、「なんで(法定通貨の)価値が変わるんだろう?」「こんなにいっぱい刷っているのに価値は変わらないんだっけ?」というところから始まって、ブロックチェーンの領域に入ってきた経緯があります。
それこそさっき、ちょっとちらっと出てきたんですけど、今一般的に価値保存資産と言われているのが金(ゴールド)です。金は価値が変わらない資産として昔から使われているんですけど、最近どんどん値上がりしているんですよ。
過去5年で見ると、だいたい複利で月15パーセントずつ値上がりしています。2024年から2025年に関しては30パーセント値上がりしているんですね。金って変わらないことが価値なんですよ。そんな金が30パーセント上がっているということは、イコール、法定通貨が30パーセント下がっているんですね。
つまり、2024年に僕たちが100億円使って、2025年に130億円回収したとするじゃないですか。これは法定通貨建てで言ったらすごいですよ。「30億円増えたー」みたいな。でも、実際は金建てで見るとトントンなんですよね。それぐらいの速度で法定通貨ってどんどん価値を落としている。
みんな気づいていないんですよ。1,000万円貯金があったら来年も1,000万円あると思っている。でも、実際はそんなことはなくて、金建てで見るとそれが700万円ぐらいの価値になっているのに、みんな「1,000万円だ」と言っていると。
ここで出てきたのが「デジタルゴールド」と言われているビットコインなんです。言うて、金って実際は毎年3,000トンぐらい増えるんですよ。なので、価値の保存と言いつつ、微妙に全体の量が増えたりしています。
みんなに浸透はしているんですけど、そういう性質や、「動かしにくいよね」みたいな性質がありました。そうした時に、ビットコインが出てきました。これはデジタルでプログラムされていて、2,100万枚しかないですよと。新しくブランディングとしてデジタルゴールドというのがあって、これが世の中にワーッと広がっていきました。
実際、ビットコインって過去5年で見るとボラティリティはあるんですけど、平均すると複利で60パーセントずつ成長しているようなアセットになっています。それで、これが新しい価値保存資産なんじゃないかと言われています。なので、持っているだけで複利で60パーセント成長するよというものなんです。
価値保存資産としてのBTCがエクイティ市場で注目される理由
石濵:今すごく出てきているのは、「エクイティ市場でファイナンスしながらビットコインを買うよ」という会社がものすごく注目されていて、「買ったビットコインの何倍もの時価総額が付くよ」というかたちになっている。
そもそも今、エクイティ市場でM&Aロールアップってけっこう流行っていると思います。けれども会社をM&Aした時に、そもそもその会社が60パーセントずつ成長することなんてないし、さらにPMIが大変だったりして、買える会社も限定的なんですよね。
でも、今ビットコインってどうなっているかというと、買えばもうPMIは要らないわけですよ。過去5年間の歴史に基づくと、コストなしで勝手にアセットが60パーセントずつ成長する。これは、要は法定通貨が下がっていくというロジックが重要なんですけど、そういうかたちでものすごく成長するアセットとして、ある意味僕はM&Aロールアップの上位互換だと思っています。
そういうかたちで、ワラントで資金調達しながらグロースしているところが、今エクイティ市場の中で出てきていて、めちゃめちゃ注目されている……(説明が)1分じゃないですね(笑)。
山本:ありがとうございます。やはり1分に収まらなかったんですけど……なので、メタプラネットという会社は、1年前はまったく違う会社だったんです。けれども、ビットコインをずっと買い続けることによってマーケットキャップ(時価総額)が非常に上がっています。
というところなんですけど、結局、BTCじゃないですか。MicroStrategy(現:Strategy)というアメリカの会社も同じような戦略ですごく大きくなっているんですけど、今クリプトの世界はBTC一択みたいな感じになっています。ドミナントレートとよく言うんですけど、クリプト全体のマーケットキャップに占めるBTCの割合が、今6割ぐらいになっていて、けっこう増えていっています。
クリプト市場の4年サイクルとアルトコインの今後
山本:その中で、まさにアルトコインであるイーサリアムや、もっとちっちゃなゲームトークンの世界が、ちょっと今は若干冬(の時代)になっている。これはどこにいくんですかね?
石濵:でも、これもけっこう時間の問題だと思っています。通常、4年周期でクリプトの市場は巡っています。ビットコインが上がって、その次にイーサリアムが上がって、その次にアルトコインが上がるという、4年ごとにサイクルが回る仕組みになっています。
2025年はちょっと遅いんですよ。イーサリアム自体にお金があんまり回ってきていなくて、「これは本当に(イーサリアムが上がるサイクルが)来るのか、来ないのか」みたいな議論がされているんですけど、実際、あと1年ぐらいでそこの答え合わせがされるかなと。
ただ、例年でいくと4年周期で、まずはビットコインにお金が集まり、その次にイーサリアムにお金が集まり、その次にアルトコインにお金が集まるというモデル(でサイクル)を繰り返しています。もちろん心配されている事業者の方々もいますし、僕も心配しています。「本当に来るんかいな?」みたいなところはあります。
とはいえ、このエクイティ市場で、今すごくホットなトピックで「BTCトレジャリー・カンパニー」みたいなものが来ているので、どこかに必ずビジネスの種はあります。なので、そこにちゃんと乗っかれるとか、あるいはそこをフックに何かできるというのが事業者としては重要なんじゃないかなと思っています。