【3行要約】
・脈拍デバイス、LGBTQ支援、外国籍人材など、さまざまな分野で挑戦するU25起業家3名が登壇しました。
・全員が高校生時代に起業し、Z世代ならではの視点で、業界の“壁”やジェンダーギャップに向き合ってきました。
・変化するスタートアップ環境の中で、安心して挑戦できる場づくりについて、それぞれの考えを語りました。
脈拍デバイス、LGBTQ支援、外国籍人材 U25起業家3人の挑戦
椎木里佳氏(以下、椎木):みなさん、お集まりいただきありがとうございます。定刻になりましたので始めさせていただければと思います。今回のセッションのテーマは「【Z世代のリアル】U25起業家たちが描くキャリアと社会課題への向き合い方」ということです。
私は今27歳になりました。みなさん、(私が)17歳の時のイメージで止まっている方もちょっと多いかなと思うんですけども、27歳です。(ご登壇の)みなさんは年下ということで、25歳以下の起業家3人の方たちに来ていただきました。じゃあ、みなさん、お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。山本さんからお願いします。
山本愛優美氏(以下、山本):はい。みなさんこんにちは。株式会社e-lamp.代表取締役の山本愛優美と申します。U25ということで、私は2001年生まれなんですけれども、現在は慶應(義塾)大学大学院のメディアデザイン研究科に通って、慶應大学発のスタートアップを経営しています。
私たちがやっているのは、人のコミュニケーションを促進するために脈拍の情報を使って、今も耳に着けているんですが、脈拍に合わせて光るこちらのイヤリング型のデバイスの開発をしたり、脈拍を使って男女やビジネスのマッチングを行うソリューションを行政さま向けにご提供したりしています。今日はたくさん語れればと思いますので、よろしくお願いします。
(会場拍手)
椎木:お願いします。じゃあ、萌杏ちゃん、お願いします。
生駒萌杏氏(以下、生駒):株式会社レイブリの生駒萌杏と申します。私は2004年生まれで、今は京都の同志社大学を休学中です。ふだんは何をやっているかというと、若年層向けの施策に特化したマーケティングなどを事業でやっております。
あとはLGBTQ+の方々や女性、若手のアーティストなど、ふだんの生活でスポットライトが当たらないような存在をエンパワーメントして、彼らの声を世の中に届けていくような活動もしております。今日はその一環でアーティストの方々と一緒に作った作品を持ってきているので、よかったら最後に語れたらなと思っています。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
山口由人氏(以下、山口):みなさんこんにちは。
(会場から「こんにちは」の声)
山口:株式会社Emunitasの山口由人と申します。私はもともとドイツに11年ぐらい住んでいて、その後、日本に帰国して15歳の時に法人を設立しました。今は21歳になっちゃったんですけど、3年前にもう一度、外国籍人材版のビズリーチのようなサービスを展開する会社を設立して、その事業を展開する活動をしております。今日はいろいろとお話ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
(会場拍手)
Z世代起業家、全員高校生デビュー
椎木:ありがとうございます。今気づいたんですけど、起業した年齢は山口さんが15歳で、萌杏ちゃんが17歳?
生駒:私は18歳。
椎木:18歳。それで山本さんが17歳。私も含めて(起業した当時は)全員高校生?
山口:そうですね。
山本:「高校生起業家」と呼ばれました。
椎木:全員(高校生だった)という感じで。
生駒:私はギリギリ高校3年生の時です。
椎木:すばらしい。ということで私の自己紹介です。あらためまして、椎木里佳と申します。私はAMFという会社を経営しています。こちらの会社はZ世代マーケティングを12年間ずっとやっている会社です。「JCJK調査隊」(の運営を行ったり)、「JC・JK流行語大賞」というのをZ世代のトレンド調査としてうちの会社から発信したりしています。
先ほど説明があったと思うんですけど、(私の)2つ隣(に座っている)生駒さんと一緒にレイブリという会社を共同創業でやっています。私は取締役として入っていて、今もZ世代のキャリアの支援も含めてやっています。ということで今回はよろしくお願いします。
じゃあ、さっそくお話ししていきたいなと思います。本当にやっていることがそれぞれ違って、U25といえどもすごくみなさん個性や特徴が強いなと思います。まず山本さんからおうかがいしていきたいです。山本さんはもともとIVSでインターンをされていたというお話をおうかがいしたんですけど。
山本:そうなんです。2020年のIVSで、もともとインターンをしていました。高校生起業家だったのは2017年ぐらいのことなんですけど、そこからいくつかプロダクトを作るうちに、「自分自身がもっとスタートアップのことを理解しなきゃ!」と思ったタイミングでちょうどインターンを始めました。その時はコロナでオンラインの運営だったんですけども、そこから毎年IVSには来ています。
心理的安全性はどう変わったか
椎木:すばらしい。IVSでインターンをしていて、いわゆるハラスメントの問題がいろいろあったと思うんですけど、そういうのを高校生の時から感じたことはあったりするんですか?
山本:そうですね。いわゆるスタートアップカンファレンスであるIVSに私が初めて参加した年は2019年で、大学1年生の年でした。インターンをしようと思ったきっかけは、まさにこの5、6年で変わってきたIVSのハラスメントの現状というのがちょっと大きくあります。
今回のこのセッションを含めて、今はかなりアンチハラスメントポリシーやIVS全体をみなさんが快適に過ごせるような基準が作られてきています。けれども当時は招待制で、より人数の少ないコミュニティだったからこそ、そういったガイドラインがまだまだ十分に策定されていませんでした。
当時大学1年生だった時に参加すると、それこそ初めて名刺交換をさせていただいた参加者の方に「この後、空いていますか? 僕はホテルで待っています」みたいな連絡がMessengerで来たこともありました。本当にあったんです。これは本当の話です。こうした距離感を間違えた行動が許されてしまう現状は確かにありました。(それは)この5、6年間でかなり変わってきているなと思います。
椎木:ありがとうございます。スタートアップにこれから入りたいと思っている10代の方たちからすると、そういったスタートアップのマッチョな考え方というか、しきたりってものすごく壁になっているなと思います。そのあたりをやはり感じたということなんですかね?
山本:確かに、今ほど入りやすくなかったと思いますね。やはりこういったカンファレンスに来ると、馴染みの方がいるとその方とお話をして、それが自分たちの安心感になります。逆に初参加した時って「じゃあ、誰とどう話そう?」って、すごく緊張すると思うんですよ。
少人数・招待制だからこそ、そういった子の心理的安全性というのは、より、なかったなという感じはありました。そこにどう入っていくかというお作法を学ぶまでは不安でした。けっこう不安な10代を過ごしていた気がします。