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自由診療クリニックのDXを通じ、1人でも多くの人の心身の健康向上に貢献したい(全1記事)

最初の事業は「独りよがりのプロダクト」で失敗 苦境を越えて掴んだ「自由診療DX」のシェアNo.1 [2/2]

事業転換と「B4A」立ち上げ

——暗中模索の時期から現在の事業への移行はどのように進めたのでしょうか。

植松:過去の失敗もあったため、「絶対に成功するからこの事業にシフトしよう」では誰もついて来ないと思い、最初は半ばステルスでミニマムなモデルを作って検証を行い、ある程度確信を持てる状態になってからスタッフに説明して乗り換えてもらうという方法を取りました。

受注獲得と競合に勝った転機

——「B4A」が事業として軌道に乗ったと実感されたタイミングはいつ頃だったのでしょうか?

植松:何度かありました。「B4A」は開発に約10か月をかけ、徹底的に作り込んだ自信作ではありましたが、初めて「行ける」という確信が持てたのは30院のクリニックを運営する大口のクライアントから契約が取れた時でした。

正式導入までにさらに半年かけて改良を重ねる必要がありましたが、これをきっかけに他のクリニックでも一気に導入が進み、ようやく明るい兆しが見え安堵したことを覚えています。

次は、競合とのコンペを制した時です。「B4A」の販売開始から2年目を迎えた頃、大手を含めた多数の企業から一斉に同様のプロダクトが次々と発売され、営業先で競合しては競り負けるという厳しい状況に陥りました。

この状況を打開するため、スタッフと共に競合のプロダクトを徹底的に分析し、半年という期限を設けてクライアントから選ばれるために必要な機能をすべて実装することにしました。

並行してCS組織を立ち上げ、社員教育を行い、「B4A」導入後のフォローや機能改善の要望の整理など、クライアント対応の改善に努めました。

これらの対策が奏功し、2年目の後半からは再び受注が増え始め、最終的には「2年で100院に導入」という目標を達成することができたのです。

経営者としての成長と学び

——創業直後から幾度となく壁を乗り越えてこられましたが、植松さんご自身は経営者としてどのように成長したと感じていますか?

植松:さまざまな経験を通じ、いくつかの重要な気づきがありました。まず、「キャッシュ・イズ・キング」という言葉が示すように、会社員時代には経験したことのなかった資金繰りの苦労から、キャッシュフローの重要性を強く意識するようになったことです。収入と支出のタイミングひとつが会社の生存期間を大きく左右することを実感し、経営者としての視点が大きく変わりました。

また、事業戦略やプロダクトの方向性を決してぶらさないこと、そして思い切って「やらないこと」を決める重要性に気がついたことも、経営者として大きく成長した部分だと思っています。

競合が広告や低価格競争に走る中、私たちは徹底的にプロダクトの品質向上に取り組みました。その結果、「B4A」は特許を取得したことをはじめ、技術的に「業界で最も進んでいるプロダクト」という評価をいただき、市場の獲得に成功できたのだと思います。

さらに、少人数制の営業方針を採用し、チェーン化されたクリニックをターゲットに定めました。そしてこれまでのキャリアで培った法人営業のノウハウを活かし、医療コンサルから「B4A」の導入につなげるビジネスモデルを徹底することで、会社としてのケイパビリティを高めました。

これらのアプローチにより、競合の動向に「うちも値下げしないと」などと左右されることなく、安定した業績を維持できています。

創業期の仲間集めとリファラル採用

——多くの創業者が、資金問題と同じくらい苦労するのが仲間集めです。植松さんは、仲間集めはどのように進めて来たのでしょうか?

植松:基本的にはリファラル採用中心でここまで来ており、採用媒体などを利用して外部から採用を始めたのは2023年からです。

最初は資金もないので、ビジネスサイドやお金周りは私が担当し、エンジニアなどプロダクト開発周りのメンバーをメインに採用しました。

創業初期にはCTOの前原(前原秀徳氏)をはじめ、会社員時代の仲間が参画してくれ、その人たちがまた新しい人を紹介してくれるという良いサイクルが比較的早い段階で作れたので、創業初期の仲間集めの壁は特になかったように思います。

ただ、昔の仲間と言っても本当の意味で一緒に仕事をしたことがなかったメンバーもいたので、実際に働き始めたらスタートアップの働き方が合わなかったといったケースもあります。

結果的には自然と辞めていく人が多いですが、そういう場合はやはり友人だけにドライになりきれない難しさを感じたことはあります。

B4Aが描く未来のビジョン

——植松さんが現在描いているB4A社の今後の展望についてお聞かせください。

植松:現在、「B4A」は自由診療クリニック特化型のDX基幹システムとしてエンタープライズ市場でナンバー1のシェアを獲得しており、全体でもトップに近づく伸びを見せています。

2024年6月現在で400院近いクリニックに導入していただいておりますが、今年中に500院、3年以内に1000院での導入を目指しています。クリニックの経営改善とともに、自由診療へのアクセスを広げることにより、1人でも多くのエンドユーザーの心身の健康に貢献したいと考えています。

ただ、私たちの目標は基幹システムの提供にとどまらず、自由診療領域全般に関わるプラットフォームを築くことです。

例えば、現在進行中のプロジェクトの1つとして、金融決済事業があります。ソフトバンクグループとの連携により、予約時にクレジットカードで決済できる機能を搭載しました。
これにより、クリニックにとって大きな悩みであった予約の急なキャンセルが大幅に減少し、収益の安定化につながっています。

このように、基幹システムを土台とし、その上にさまざまな付加サービスを展開するという2階建ての事業展開を考えており、3~5年後にはより広範なプラットフォームを構築するというのが、現在描いているビジョンです。

今後の課題と採用戦略

——その実現に向けての最大の課題は何ですか?

植松:基幹システムと金融決済などの付加的なサービスの開発は、同じシステムとはいえ似て非なる事業を並行して行っているようなもので、メンバーにはまったく異なるスキルセットが求められます。

特に付加的なサービスは、新たな事業をゼロイチで立ち上げるようなもので、リソースの分配が大きな課題となっています。この問題を解決するため、これからは積極的に採用を進めたいと考えているところです。


理想の組織と求める人物像

——植松さんが考える理想の組織像についてお聞かせください。

植松:できる限りフラットな組織が望ましいと考えています。組織がまだ小さいうちは必要以上の階層化はせず、すべてのメンバーが、私や役職者と直接コミュニケーションを取れる状態を維持していくつもりです。

現在は人事部も設けておらず、人事評価も半期ごとに緩やかな評価を行う程度です。相対的な評価プロセスで優劣をつけることに手間をかける必要性を感じていないためですが、今後も固定された仕組みに拘らず、柔軟な組織運営を心掛けていきたいと思っています。

——現在求めている人物像について教えていただけますか?

植松:能力や経験も大切ですが、それ以上に協調性、責任感、柔軟性などの「人間力」が重要だと考えています。

大袈裟なようですが、小さな組織では1人の協調性の欠如が会社全体の動きにまで影響を及ぼすことがあり、職場全体のモチベーションにも大きく関わって来ます。

社内外を問わず、相手の立場を理解し、お互いの考えをすり合わせながらじっくりと信頼関係を築ける、協調性のある人物が理想です。

また、スタートアップの特性として、少人数のチームでは簡単に代わりが見つからないことを自覚し、与えられるタスクを最後まで責任を持ってやり切る姿勢を持つこと、そして日々目まぐるしく変化する環境に柔軟に対応し、それを楽しめることも大切な資質だと考えています。

最近は、本採用前に業務委託や副業などの形態で一定期間働いてもらう「お試し期間」を設けています。社風や実際の働き方を事前に知ってもらうことで、会社と入社希望者の双方のリスクを減らすことができる良い方法だと思っています。

今、B4Aに参画する魅力

——最後に、このタイミングでB4A社に参画する魅力や働き甲斐についてお聞かせいただけますか?

植松:2024年6月現在の社員数は約20名です。各メンバーが裁量を持ち、働き方次第でプロダクトや事業の結果が変わって来る、そんな直接的な影響を実感できる環境があります。この「手触り感」のおもしろさを存分に感じられるのは今のタイミングしかありません。

B4Aは、現在シェアを急速に拡大しています。さらなる飛躍に向け、基幹システムに加えて金融システムなど新たな事業も展開中です。自由診療領域はまだまだ成長が見込まれ、今後もクリニックのあらゆるニーズに応える新規事業がどんどん生まれるはずです。

現時点では私やCTOの他にはマネージャーがほとんどいないため、マネジメント経験が豊富な方に入っていただければ、これらの事業のリーダーとしてチームを率いる絶好の機会となるはずです。

現在、社員の男女比はほぼ半々で、特にマーケティングやカスタマーサクセス部門では女性が大活躍しています。また、リモートと出社を組み合わせた柔軟な勤務体制ができるのも弊社の特徴です。

ご興味をお持ちの方、ぜひご応募をお待ちしております!

——本日は素敵なお話をありがとうございました!

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