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株式会社neoAI 代表取締役 千葉 駿介氏(全1記事)

「今からAI?」とVCに一蹴された創業期 “ChatGPT登場前”の逆風を乗り越えた松尾研発スタートアップ・neoAIの軌跡 [1/2]

【3行要約】
・AIの導入には高いコストと技術的ハードルがあり、多くの企業が個別開発を 余儀なくされ、効率的な活用が進まないという課題があります。
・ neoAI代表取締役の千葉駿介氏は「企業ごとのAIシステムを個別開発するのではなく、 共通ソフトウェアをSaaS型で利用する形が理想」と語ります。
・自社開発した生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」は、ゆうちょ銀行をはじめとして数十社の企業に利用されており、多様なビジネスの現場の業務を効率化するソリューションを目指しています。

※このログはスタートアップクラス(スタクラ)のCEOインタビューの記事を転載したものに、ログミー編集部でタイトルなどを追加して作成しています。

数学に夢中だった子ども時代と、起業家精神の原点

——まず、千葉さんの生い立ちからお伺いします。現在につながる原体験のようなものがあれば教えてください。

千葉駿介氏(以下、千葉):幼少期から私は、算数や天文学が大好きな子どもでした。当時は問題を解くことが楽しく、ゲーム感覚でどんどん進めていたように思います。公文式に通わせてもらっていたので、小学生の時点で高校・大学レベルの数学を先取りして解いていました。

そんな私とは対照的に、2歳下の弟は体育会系でした。私よりも体格が良く、一緒に少年野球をしていても上達スピードがまったく違っていました。そんな彼の姿を見ているうちに、人には向き不向きがあるのだと悟り、自分の得意分野に集中しようと決めました。

子どもの頃から今に至るまで、私に大きな影響を与えたのは母の存在でした。「根拠のない自信をもちなさい」と、母は口癖のように言っていました。おかげで、成功の根拠を求めるよりもまずは実践してみるという考え方が身につきました。振り返ってみると、母が示してくれた根拠のない自信がスタートアップマインドの原点だったのだと感じます。

とはいえ、起業を意識しはじめたのは東京大学に入ってからのことで、それまでは決して強いリーダーシップを発揮するタイプではありませんでした。どちらかといえば副リーダー的なポジションが多く、周りを支える役割を好んでいたように思います。

東大進学・ビジネスコンテスト団体の参画が人生の契機に

千葉:大学受験の際に、人生の転機が1つ訪れました。当時、東京大学の理科一類と慶應義塾大学医学部を併願していたのですが、東大の合格発表の翌日に、慶應からも補欠合格の連絡が来たのです。

どちらに進学するかで、人生が大きく変わるであろうことは予想できました。そこで、この先自分はどんな生き方をしたいのかを考えました。医者になれば、ある程度、安定した未来は決まるでしょう。一方で、東大に進めば、さまざまな選択肢が選べるだろうと思いました。

10代で人生のレールを決めてしまいたくない。どうせなら振れ幅を大きく、人生の可能性を広げていきたい。そんな思いから、最終的には東大に進学。そこで、ビジネスコンテストKINGというビジネスコンテストの運営団体に出会いました。

人生の振れ幅を求めるなら起業だろうという思いつきから、ビジネスコンテストKINGに入った私は、そこで代表を引き継ぎ、組織の作り方や運営方法を学ぶことになりました。組織運営は本当に大変で、自分の力不足に何度も悩みました。

特に、30名規模だった組織が半年で約半数になってしまった時は、本当にショックでした。前の代表と比べると、私は華やかさがなく、カリスマ性も足りない。そんな自分の無力を突きつけられたような気持ちになり、心が押しつぶされそうでした。

そんな時に自分を救ってくれたのは、KINGの前代表だった方から言われた「リーダーシップはスキルだ」という言葉でした。天性の才能ではなくスキルだと言うなら、努力を重ねれば理想的なリーダーにも届くはず。そう思えたからです。

人数を倍増させた組織再建術

千葉 :上手くいっている組織から学んで、もっと力をつけたい。そんな考えから、公孫会のOBの方に紹介いただいたAirCloset社のインターンシップに参加を決めました。AirCloset社では、ビジネスサイドの業務を主に担当し、データ分析や戦略立案に携わらせてもらいました。

明確なバリューをもとに、カルチャーを築いているAirCloset社の組織のありようや代表の天沼聰さんの振る舞いを見ているうちに、「組織とは、こうやって作るものなのか」と学ばせてもらいました。

そこで得た気づきをもとにKINGの運営も見直していったところ、組織の状態もどんどん回復。最終的には、私の代で70名ほどの規模に成長させることができました。この時の経験があったからこそ、現在のneoAIで組織づくりがある程度順調に進んできているのだと感じます。

大学2年の中盤になり、AirCloset社でのインターンが終わり、KINGでの活動も一段落したところで、東大での進路選択の時期を迎えました。工学部のシステム創成学科を選んだ私は、どうせならテクノロジーをとことん自分の武器にしたいと考え、サイバーエージェント社のインターンへの参加を決めました。ここでの経験が、次の大きな転機となりました。

GPT-2との出会いが変えた人生設計

千葉:サイバーエージェントでは、AIエンジニアとして GPT-2を広告領域にファインチューニングするプロジェクトに携わらせていただきました。当時はまだGPT-3が出たばかりの時代で、 「GPT」という言葉自体が一般にはほとんど知られていませんでした。しかし、私はこの時「これから世の中を変えていく技術だ」と予感したのです。

当時、私はスタートアップのCTOを目指して、技術を追求しようと考えていました。しかし、AI技術の面白さにどっぷり浸かりながら、心のどこかで 「もう一度リーダーとして組織を作りたい」という気持ちも捨てきれていませんでした。

この葛藤をどうするべきか。松尾研究室の松尾豊先生と先輩起業家である燈株式会社の野呂侑希さんに話してみたところ、「AIの会社を作って、両方やればいい」というアドバイスをいただきました。その一言に「それもありか」と思い、半年の準備期間を経て、2022年8月にneoAIを創業しました。

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