【3行要約】
・ライブコマース市場では「創作」より「販売」に長けた人材が求められ、従来のインフルエンサーとは異なる才能が評価されています。
・Cellestの佐々木氏によると、同社のトップ人材は月間2億円を売り上げる驚異的な実績を持ちます。
・佐々木氏は多くの人が「仕事の楽しくない」と考えている現状を変えるためにも、さらなる成長を目指したいと語りました。
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YouTubeクリエイターとライブコマーサーの違い
稲荷田和也氏(以下、稲荷田):ありがとうございます。トップインフルエンサーやトップYouTubeクリエイターには、ライブの場で出せるパフォーマンスや視聴者さんとのコミュニケーションに強みがある方がいます。一方で、それがイコールではないというか、あくまで作品として仕上げることに特化されている方もいます。それは向き不向きがあるんですか?
梅景匡之氏(以下、梅景):そうです。もちろんインフルエンサーにもいろんな方々がいます。(インフルエンサーとして活躍されている方が、イコール、)ライブコマースで活躍できる方や、商品を楽しく正確に伝えられる方かというと、必ずしも同じではないと思います。逆に僕らも、そういったものを教わりながらご一緒させてもらいたいなと思っています。
稲荷田:ありがとうございます。ライブコマーサーでもいらっしゃいます佐々木さんの目線で見ると、YouTubeクリエイターとライブコマーサーの違いや、逆にどんな可能性があるかを教えていただけますか?
佐々木宏志氏(以下、佐々木):違いで言うと、YouTubeクリエイターさんはクリエイターなので、作ることがうまいというか、おもしろいアイデアを考えるのが得意な人たちだと思っています。
一方、ライブコマーサーはセールスや物を売ることが得意です。なので、例えばアパレル店員さんやコスメの美容部員さんなど、人前での接客スキルのある人という感じで、わりと相反するイメージがあります。
稲荷田:逆に言うと、そこのシナジー(というか)重なるポイントをどこに見出せそうと思われているのか。例えばYouTubeクリエイターさんの中でも、こういう人がライブコマースをしたら売れるかもしれないという視点はありますか?
佐々木:トップクリエイターさん、つまりクリエイターとしてズバ抜けている人をライブコマースに持ってこようとは、そもそもあまり考えていなくて。
稲荷田:そうなんですね。
クリエイターではない才能を埋もれさせない
佐々木:そこにはあまり課題感がないのかなって。これは僕の個人的な感想なんですけど、例えばクリエイター事務所さんやライバー事務所さん、芸能事務所さんがライブコマースをやろうと思うのって、そこでうまくいっていない人たちをマネタイズできないかなって思った時じゃないかな。
そうすると、クリエイターとしてはあまりうまくいかなかったけど、別の才能があって、実はクリエイター気質ではなくセールス気質だった、みたいなパターンがあるんじゃないかなと。
なので、僕の狙いというわけじゃないんですけど、YouTubeクリエイターさんの中で、「YouTubeをやめようかな」と思っている人たちをちょっと狙って、その人たちをライブコマーサーとして成功させれば、すごいマネタイズというか、新たなキャッシュポイントになるんじゃないかなと考えています。
稲荷田:ありがとうございます。トップインフルエンサーに売らせるみたいな、すごく安直なことを思っていたので、そうじゃないんだなということが今、すごくわかりました。今のは佐々木さんの視点でしたけど、梅景さんも近しいお考えという感じですか?
梅景:そうですね。食事した時もそうですけども、最初からトップクリエイターやインフルエンサーで何かしようとは、たぶんお互いに思っていなかったです。
逆に言うと、我々はマイクロもしくはミドルを含めていろんなインフルエンサーがいる中で、おっしゃるとおり、活躍する場や収益源になるマネタイズがうまくいかない方ももちろんいます。
なのでそういった方たちが、また違う才能の中でマネタイズでき、お仕事として成功できる新しい可能性の1つになるんじゃないかなというのが一番大きなところではありますね。
PRビジネスではなく、自ら売る
稲荷田:ありがとうございます。今、どちらかというとライブコマース市場について聞きましたけれども、前編でCellestさんの事業の部分をそこまで聞き切れていない部分があった気がします。
このあたり、そもそもライブコマースは販売体験(だけの事業)だとか、ないしは、「結局、それってプロモーションコンテンツでしょ」「PRするものを売っているだけなんでしょ」みたいに捉えられがちだと思うんですけど、そうじゃないポイントがあったら教えていただけますか?
佐々木:そもそも仕入れビジネスなんですね。
稲荷田:ほう。仕入れビジネスというと?
佐々木:物を仕入れて販売するので、PRでやっているわけではないんですね。
稲荷田:仕入れという意味でいくと、在庫も抱えたりするんですか?
佐々木:もちろんです。
稲荷田:そうなんですね。
佐々木:発送も自分たちでやりますし、お客さまからの問い合わせも自分たちの会社に来ます。ここがわりとイメージと違っていて。
稲荷田:確かに。
佐々木:何かPR案件をいただいて、それをライブでPRして、依頼してくださったメーカーさんのサイトに飛ばして、そこで決済してもらうって思われがちなんですが、売っている手法がライブコマースというだけで、僕たちはただのECビジネスなんです
稲荷田:なるほど。
佐々木:なので、商品を卸し先やメーカーさんから買って、自分たちの倉庫を持って、そこに商品を入れて、売れたら自分たちで発送するんです。