【3行要約】
・歯科医療は巨大市場として成長する一方で、歯科技工士不足という深刻な課題に直面しています。
・Dentscapeは、AI技術でクラウン設計を自動化する革新的ソリューションを開発。
・従来4日かかる設計作業を10分に短縮する同技術は、歯科医療の効率化と品質向上の新たな解決策として注目されています。
台湾発・グローバル志向のスタートアップ
ビル・チョウ氏:こんにちは。ビルと申します。Dentscapeの共同創業者兼CEOです。私たちはAIを活用し、歯のクラウン(被せ物)を自動で設計する技術を提供しています。
まず少し背景をご紹介します。私たちは台湾発の企業で、AIのトレーニングを台湾で行いながら、ビジネスはアメリカを中心に展開しています。気の合う仲間たちとともに、台湾最大のスタートアップコンペティションで優勝し、会社を設立しました。
チームには、台湾大学病院の歯科医師、Facebook出身のAI博士2名、そしてAmazonでBtoBマネージャーを務めていた私が加わっています。設立から4年後には、歯科分野でのイノベーションが評価され、台湾のAIアワードも受賞しました。
歯の存在感が物語る市場の大きさ
それでは、あらためて本題に入りましょう。こちらの写真をご覧ください。何か違和感に気づきましたか?おそらく、もうお気づきかと思いますが……そう、眉毛がありません。

(会場笑)
みなさんの笑い声が聞こえてうれしいです。きっと、歯にも目がいったのではないでしょうか。実はそれこそが、歯がいかに重要であり、この市場がなぜこれほど大きいのかを物語っています。
年間5億個が製造されるクラウン市場
このような問題を解決するには、歯科医院に行ってクラウン(被せ物)をつくってもらう必要があります。クラウンとは、損傷した歯を保護するために装着する人工の歯で、非常に一般的な治療法です。

実際、世界では毎年5億個のクラウンが製作され続けています。クラウンだけでなく、ブリッジや入れ歯などを含めた補綴分野全体の市場規模は、現在26兆円にのぼります。そして高齢化の進行により、この市場はさらに成長を続けています。2030年には、その規模は2倍の46兆円に達すると予測されています。
市場成長の影で深刻化する「歯科技工士」不足
市場の拡大とともに、深刻な課題も浮き彫りになっています。それが「人手不足」です。ただし、話題になるのは歯科医ではありません。多くの人が語ろうとしないのは、話題に上ることが少ない歯科技工士がその中心だからです。彼らこそが、歯科治療の質を支える舞台裏のヒーローなのです。

患者からデータが届いたあと、歯科技工士はその情報をもとに3D設計を行い、クラウンを製作します。アメリカでは80パーセント以上の歯科技工所が人材不足に悩まされており、日本も例外ではありません。技工士の過半数が50歳以上で、25歳未満はわずか5パーセント。これは世界でも最も低い割合です。

次世代ツールに求められるのは自動化とバッチ処理
なぜ若手が少ないのか? 理由は明白です。トレーニングが難しく、実務も非常に高度だからです。現在のソフトウェアでは、患者ごとに1つずつクラウンを手作業で設計する必要があり、大きな負担となっています。だからこそ、次世代のツールには「自動化」と「バッチ処理(複数同時処理)」が不可欠です。ここにこそ、AIの力が発揮されます。
100本のクラウン設計が10分で完了
私たちのAIは、残っている歯の形を学習し、それに基づいてクラウンを自動で3D設計することができます。つまり、3Dモデルを自動生成し、そのまま製作に使用できるのです。
さらに、バッチ処理にも対応しており、大量のデータを一括でシステムに投入すれば、AIが処理を実行します。あとは内容を確認してダウンロードするだけ。非常にシンプルです。

ユーザーインターフェースも直感的で使いやすく、ユーザーから高く評価されています。データをドラッグ&ドロップするだけで、あとはAIが作業を引き継ぎ、設計が完了します。100個のクラウンであっても、わずか10分で仕上がります。
従来のソフトウェアでは、100個のクラウン設計に4日かかっていました。しかしDentscapeのAIを使えば、たった10分で設計の確認が開始できます。スピードだけでなく、一貫性も大きな強みです。AIは疲れを知らないため、100個目のクラウンも品質が変わりません。
ユーザーの好みも学び、ニーズを把握
さらに、私たちのAIは技工所ごとの設計スタイルも記憶できます。まるでChatGPTのように、ユーザーの最終調整プロセスから好みを学習し、ニーズを把握できるのです。
歯科クリニック中心のシンプルな事業モデル
ビジネスモデルはとてもシンプルです。私たちは歯科クリニックを主な対象に展開しています。現在、85の歯科技工所がパイロットプログラムに参加しており、15の企業パートナーがいます。ハーバード大学の歯学部も私たちのクライアントのひとつです。
世界展開を支えるリソースと実績
私たちは台湾で創業し、アメリカで成長を遂げてきました。そして今、グローバル市場への進出を目指しています。バークレー(カリフォルニア大学バークレー校)のリソースを活用し、AIのトレーニングにはNVIDIAからの支援も受けています。

現在、日本市場への参入とともに成長を支えてくださるパートナーを探しています。歯科の未来をともに創りたいと思っていただけた方は、ぜひお声がけください。ありがとうございました。