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日本で1年間に発見される漏水は2万件、300万人分の水が無駄に… JAXA認定ベンチャーが宇宙の衛星データで地球の水道水を守る

【3行要約】
・日本の水道インフラは9カ国しかない安全な水供給国の一つですが、年間2万件の漏水と300万人分の水が無駄になる深刻な老朽化問題に直面しています。
・天地人の櫻庭氏は、複数の衛星データとAIを活用した「宇宙水道局」を開発し、漏水リスクを可視化して調査効率を10キロメートル当たり6倍に向上。
・世界初のJAXA認定ベンチャーとして、水道職員の負担を軽減しながら国内外の水道インフラ市場に展開し、見えない危機にSFのような答えを提供していきます。

日本で1年間に発見される漏水は2万件、300万人分の水が無駄に

櫻庭康人氏:こんにちは、天地人の櫻庭です。宇宙の衛星データとAIの力で、地球の水道インフラを守る「宇宙水道局」をご紹介します。

さて、毎日の生活を思い出してみてください。顔を洗い、トイレに行き、料理をして、お風呂に入ります。これが安心してできるのは、蛇口をひねれば当たり前のように安全な水が出るからです。実は、この当たり前ができる国は、世界でたった9ヶ国しかありません。その1つが日本です。しかし今、静かに崩壊し始めています。

この数字は何かわかりますか? 1年間で日本で発見される漏水は、なんと2万件もあります。それによって、京都府の人口よりも多い300万人分の水が、漏水で無駄になっています。戦後埋設された日本の水道管の3分の1、地球4周分の16万キロが法定耐用年数の40年を超えています。破損した管から土砂が入り、感染症のリスクや、学校や病院で断水事故が起きる危険があります。

水道管は地中1メートルの深さに埋設されているため、目で見て調べることができません。なんと、音で調べます。水道管の上を1メートル置きに歩きながら、わずかに伝わってくる音を聞いて、漏水しているかどうかを判別していきます。

いまだに、歩いて、耳で聞いて、紙に書く膨大な作業や、水道職員も減少し、このままでは水道インフラそのものが限界を迎えます。地中1メートルに埋まった水道管の危機を、宇宙から見つけ出す。そんなSFのような未来が現実になっています。

宇宙の衛星データを使って、地球の水道水を守る

私たちは世界初、複数の衛星データとAIの力で、地球の水道インフラを守るサービス「宇宙水道局」を開発しました。衛星は地球上のさまざまな情報を、過去数十年間にわたって観測しています。私たちは、データの種類に限らず、複数の衛星から得られる膨大なデータをAIで学習し、ビジネスに活かす独自技術を持っています。

そして衛星は、漏水に影響を及ぼす地面の温度、わずかな地盤沈下、地形の変化をすべて捉えています。この衛星データに加えて、漏水履歴、環境データなど、100種類以上の情報を、過去数年間にわたってAIが学習することで、漏水リスクを診断していきます。

漏水発見効率は10キロメートル当たり6倍に

こちらが実際のデモ画面です。漏水リスクを、まるで健康診断のように可視化します。100メートル単位と管路単位、それぞれ5段階でリスクを表示。チームで共有しながらリスクを確認して、調査エリアの絞り込み、作業の進捗管理までを、すべてこのサービス上で完結できます。

例えば、リスクの一番高いEエリアを一括登録。これだけで、一瞬にして全体のわずか2パーセント、調査範囲を98パーセントも削減することができます。さらに、調査したい全体の距離から、1日に調査できる距離を入力すると、AIがリスクや都市の条件に合わせて、効率的な調査計画をレコメンドしてくれます。

作業後に提出する報告書も、場所や管路情報から、AIがワンストップで自動入力してくれます。まさに直観的で効率的。すぐに使えるサービスです。調査するのに12年もかかっていた作業が、たった1年に変わりました。漏水発見効率は、なんと10キロメートル当たり6倍に飛躍。コストは最大79パーセントも削減できています。

世界でも同等の技術は存在しない

競合と比較しても、世界的に見て、同等の技術は存在していません。実用性の面でも、確かな実績を積み上げています。政府は今後3年以内に、DX技術を全国標準実装すると発表しました。岸田前総理も導入現場を視察し、国からも大きな期待が寄せられています。

ビジネスモデルです。宇宙水道局はSaaS型の定額料金で利用できます。パソコンやスマホのブラウザ上から簡単にアクセスが可能です。導入自治体数も、サービス開始から2年で40自治体以上。すでに導入確度の高い自治体は200件を超えています。全国の自治体1,200以上の上下水道市場3.7兆円のうち、約3パーセントに当たる1,100億円の獲得を目指していきます。

多発する陥没事故、見えない水道インフラの危機に、SFのような答えを

さらに、すでに海外9ヶ国に展開を始めています。将来的には、91兆円の世界インフラ市場へ。2028年までに、350件以上の契約獲得と、60億円の売上達成を見込んでおります。私たちはこの成果をもとに、IPOを実現していきます。

そして、さらに未来へと踏み出します。世界最高レベルの地表面温度を観測する衛星を自社で開発中。自ら保有するデータで、分析精度を飛躍的に高めながら、自治体が求めるサービスをさらに追求していきます。

多発する陥没事故、見えない水道インフラの危機に、SFのような答えを。一緒に、水道職員が本当にやるべき仕事に集中できる未来を作っていきましょう。なぜ、これが実現できるのか? それは、私たちがJAXAから技術を評価されて出資を受けた、世界初のJAXA認定ベンチャーだからです。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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