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なぜロボットがあっても工場は“人”に頼るのか AIロボットによる工場完全自動化で世界10兆円の市場を狙う、スタートアップの挑戦

【3行要約】
・ロボット技術が進歩しても製造業の人手不足は深刻で、組立工程の自動化が最大のボトルネックとなっています。
・株式会社CoLabは、AIに人の学習能力を組み込んだロボットを開発し、0.4ミリの精度で組立作業を実現。
・AIロボットによる工場完全自動化で世界10兆円の市場を狙います。

なぜロボットが普及しても工場は人手に頼るのか

川畑晋治氏:AIロボットで工場の完全自動化に挑戦する、株式会社CoLabです。

突然ですが、みなさん、世の中にはこんなにたくさんの自動化ロボットがあるのに、なぜ工場は安い労働力を求めて海外へ移転していくのでしょうか?



それはロボット化が実現できている工程の間に、自動化できていない工程がたくさんの労働力を必要としているからなんです。人にしかできない組立作業。自動化最後のボトルネックがあるためなんです。ではなぜこの組立作業は、人にしかできないのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。



(スライドを示して)上段の写真はスマートフォンの組立作業。下段は自動車です。人は、組み付ける位置を探して、力加減をしながらこういった作業を学習することができます。この作業を学習してくれるロボットがないから自動化することが困難なんです。


グローバルサプライチェーンのリスクと国内回帰の必要性

日本で外貨を稼いでくれているモノづくりメーカーの現状です。メーカーはこれまで途上国で生産し、世界で販売するというグローバルサプライチェーンを構築してきましたが、技術漏洩、納期遅延というリスクにさらされています。さらにここに来て、経済安保、関税障壁という新しい課題によってその競争力が危ぶまれているんです。国内で生産したくても人手不足で解決手段がないのが現状です。


「手段がないなら自分たちで作る」CoLab創業の原点

手段がないなら自分たちが作らなければ。キーエンスや大学研究室出身のメンバーが集まり、CoLabを創業しました。そしてAIに人の能力の一部を組み込みました。

部品を見ながら組み付け位置を探すことができるAIビジュアルサーボ。力加減をしながら精密な動作を学習することができるAIセンシングサーボ。これら学習済みのライブラリを開発し、すでに特許権利化済みです。


わずか0.4ミリの精度も実現するAI搭載ロボットの実力

(スライドを示して)デモンストレーションです。画面右側、黄色いロボットの腕先をご覧ください。これは動いている鉄板の上に金属を挿し込む工程です。求められる精度は0.4ミリ。人間でも一発では難しい作業です。

左上の画像とグラフをご覧ください。CoLabのAIは、組み付けの前後左右の位置を確認しつつ、無理な力がかからないようにセンサーでコントロールしながら、これらの組み付け作業を行うことができています。



もちろんこのシステムは、小さくて軽い電子部品の組み立ても素早く行うことができます。曲がりやすい板金部品、多ピンコネクター、電解コンデンサーや小さなイヤホンジャックまで、ロボットハンドを途中交換することなく難なく作業を実現しています。

そして一見違うように見えるこの作業。すべて同じ動作原理で動くことができるんです。なので、持ち上げたら曲がってしまうワイヤーハーネスなんかも簡単に組み付けることができちゃいます。


専門知識いらずで使える現場目線のAIツール

(スライドを示して)使用感です。AIの設定に難しいプログラムがあると、現場で使うことが難しくなります。私たちは画面操作だけでAIの設定ができるソフトを開発しました。具体的には、自動化したい作業を選択して、部品と組み付けたい位置を撮影、力の上限を設定すれば、AIが動作を学んでくれます。


市場導入とPoC開発を加速

(スライドを示して)市場実績です。私たちは自動車、電子機器をはじめとしたグローバル企業へ、継続的に販売をしていきながら、顧客との新しいPoCで標準製品の開発を加速している段階です。


人件費削減だけではない導入メリットとROI

(スライドを示して)顧客の利益とROIです。顧客の利益は人件費の削減だけにとどまりません。国内生産が可能です。販売国で生産しても、関税コストを低減できます。技術漏洩の心配はもうありません。顧客の設備は約5年が投資周期です。私たちのシステムを導入すれば、半分の2.5年で投資回収が可能になります。


他社ロボットとの決定的な違いとは

既存ロボットと比べて優位性はどうでしょうか。今やティーチレスでロボット制御できるのは当たり前です。私たちCoLabのAIであれば、必要な精度を満足することができ、力加減が可能で、ライブラリにより短期間かつ低コストにシステムを導入することができます。これにより私たちのビジネスもスケールが容易です。


年10兆円の組立市場で、日本発の競争優位を築く

(スライドを示して)市場規模です。組立作業は巨大な労働集約型産業です。グローバルで年10兆円、国内で1.7兆円の市場サイズです。国内でビジネスを確立し、海外展開しやすいビジネスでもあります。そしてハードウェアとソフトウェアのすり合わせ技術が必要となるこの分野は、私たちが、みなさんが、世界トップになる分野です。



世界と戦う製造業に次の世代の製品供給手段を供給するこのビジネスを一緒に加速していきませんか? 本日はありがとうございました。

(会場拍手)

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