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ベテランでも月100時間以上かかる見積業務 “匠の叡智”をAIで受け継ぐ、レガシー産業のDX

【3行要約】
・製造業の生産性向上が叫ばれる中、中小サプライヤー企業では「値決め」業務がベテラン職人に依存し、月100時間以上の負担となっています。
・AIを活用した見積システム「匠フォース」は見積時間50パーセント削減を実現。
・製造現場データを活用したAIインフラ構築により、創造的なモノづくり環境の実現を提案しています。

中小サプライヤーこそ日本のモノづくりの要

前田将太氏:未来の製造業のための工場経営システム「匠フォース」を提供している、匠技研工業の前田です。

GDP比率20パーセントを誇る、日本の基幹産業である製造業。そんなモノづくり産業を根底から支えているのは、国内22万社、割合にして99パーセントを占める中小サプライヤー企業です。私たち匠技研工業は、この中小サプライヤー企業を起点に、製造業の変革に挑戦しています!


製造業の課題“値決め”の実態

製造業では、生産性向上、技術承継、適正取引が最重要課題として叫ばれています。中でも工場経営者を大きく悩ませている経営課題、それは「値決め」、いわゆる見積業務なんです。



まずはみなさんに実際の業務をご覧いただきましょう。見積依頼とともに図面が届きました。膨大な過去のバインダーの中から類似する案件を探しています。今回は類似図面が見つからず、ベテランを頼ることになりました。複雑な図面情報を解読し、過去40年の経験をもとに材料費、加工費を電卓で積算しています。事務所に戻り手作業で見積書を作成。ファックスで回答を送付しました。

ベテラン職人にしかできない見積業務が、月に100時間以上あることもあります。値決めを誤り赤字になってしまえば、現場の努力が報われることはなく、日本中の工場の存在自体が危ぶまれてしまいます。


AI活用で見積時間を50パーセント減少する「匠フォース」

私たちは、多くの製造現場の方のご協力を得ながらプロダクト開発に奔走してきました。そしてリリースしたのが匠フォースです!



発注者から受領した図面を匠フォースにアップロードすると、AIが図面解析を行います。過去の類似案件があれば瞬時にレコメンド。類似品との差分もマーキングしてくれます。

最大の特徴は、各社固有の原価計算式をカスタマイズして搭載できることです。これまでベテラン職人に依存していた見積ロジックを標準化することができ、技術の承継につながります。

AIによる自動入力や3D-CADビューワーにも対応。案件管理から見積書発行、データ分析が可能なオールインワンのシステムになっています。

匠フォースを活用したことで見積時間が50パーセント減少。技術承継として、70代から30代へ、著名なサプライヤー企業での成功事例が生まれています。


DXの前に立ちはだかる“見えない壁”

レガシー産業のDXは簡単なことではありません。「デジタルデータが存在しない」「従来の原価計算が適切ではない」。実はDXよりも手前に乗り越えるべき大きな障壁がたくさんあります。



私たちは、専任のカスタマーサクセスのチームが現場に通い詰めながら、原価ロジックの適正化やAI活用を前提とした業務プロセスの設計など、DXの準備段階、いわばPre-DXと言われるフェーズから徹底的に伴走支援をしています。


驚異のアップセル率と圧倒的な成長性

ビジネスモデルをご紹介します。サブスクリプションモデルで月額費用は10万円から。これは中小企業向けSaaSの中ではかなりの高価格帯に入りますが、高い費用対効果を見込むことができる付加価値の高いプロダクトになっています。



現在、上場企業から町工場まで、幅広い業種・業態にご利用いただいています。また、日本を代表するトップ企業、町工場の星と言われるような企業にも続々と導入いただいています。



導入した顧客企業の満足度も高く、契約更新時のアップセル率は脅威の60パーセント超えです。ARPA(1アカウントあたりの平均売上)はCAGR(年平均成長率)140パーセントで推移しており、今後もさらに2倍以上に拡大する見込みです。



私たちが対峙しているのは、中小製造業22万社が存在するロングテールのマーケットです。2030年にはそのうち4,000社のたった2パーセントを獲得するだけで、ARR(年間経常収益)120億円を見込んでいます。


“匠の叡智”をAIで資産化する未来へ

ここからは、匠フォースが描く将来ビジョンについてお話しします。それは、匠の叡智を結集させ、モノづくり産業にAI革命を起こすことです。

現在取り組んでいる見積領域は、実は工場経営における業務の起点なんです。業務の入り口から一気通貫で図面、工程、技術の情報を蓄積している匠フォースは、いわば匠の技術をデジタル資産化している状態です。

GoogleもOpenAIも持っていない貴重な製造現場のデータを活用することで、工場管理のすべてを担うAIインフラを目指しています。

現在の匠フォースは、アシスタント的にAIを活用し、業務の中核は人が担っていますが、今後データの蓄積とともにAIによる完全自動の見積もりや、人智を超えた「カイゼン提案」が可能となります。

創造性とワクワクが溢れる世界の実現を目指して

最後に、私が匠フォース事業に懸ける思いについてお話しします。幼少期の僕は、ロボットや自動車が大好きな少年でした。ホンダ(本田技研工業)の「ASIMO」が走る姿を見て、モノづくりが日本の誇りであることを感じていました。



それから20年の時を経て、大学同期の仲間との創業、モノづくりの現場の方とのご縁をいただく中で、見たこと、聞いたこと、すべてが原動力になっています。

私たちが目指しているのは、モノづくりの現場に携わるすべての方々が創造的で、ワクワクできるモノづくりに没頭できる世界です!

日本のモノづくり産業を世界の頂点へ! 匠の力を、拡張する。匠技研工業でした! 応援よろしくお願いします!

(会場拍手)

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