ごみを運ばず、燃やさず、資源化できる「JOYCLE BOX」
小柳裕太郎氏:JOYCLEの小柳です。我々JOYCLEは、ごみを運ばず、燃やさず、資源化できる新しいインフラを、ハード・ソフト両面で立ち上げているスタートアップです。
(スライドを示して)こちらの「JOYCLE BOX」は、データを可視化して、ごみを減容しながら資源化していくことが可能です。出てきたセラミック灰を使って、さまざまなものにアップサイクルが可能です。例えばこういったアートなんかにアップサイクルをして、展示もしています。

初回の装置の見学会は、全国から30名以上の方にお越しいただき、8割以上の企業さまに具体的な導入を検討していただいている状況です。
人口減少に伴い焼却炉の数も減少
我々がこのインフラを開発している背景として、人口がどんどん減っているというところがあります。どんどん人口が減る中でごみの焼却炉の数は減っていて、遠くの焼却炉まで運べないと燃やせないという状況が発生しています。

そうすると、当然運送コストは高くなるので処理コスト原価も高くなっています。まして、物を運ぶドライバーはぜんぜん採用できないので、ごみを運ぶドライバーなんてぜんぜん採用ができません。


実際、運べず、燃やせずということで、財政破綻した夕張市では全部ごみを埋めちゃっています。この埋め立てごみが、深刻な問題になっているのは海外も同様というのは、みなさんもご存じのとおりかなと思います。
カーボンフリーでごみを資源化
大きな焼却炉にごみを運んで燃やすのはもう限界だとわかっているので、運ばず、燃やさず、資源化できるインフラが必要になると考えています。でも、いいインフラがない。
そこで提供するのがJOYCLE BOXです。小型で、車で運ぶことができて、環境、経済、安全のデータはすべて「JOYCLE BOARD」で可視化できます。

また、灯油・ガスに一切依存せず、電熱でごみを資源化していくので、再生可能エネルギーを使ってカーボンフリーでごみを資源化できる。それがJOYCLE BOXです。

液体・金属以外の燃えるごみ全般を100分の1から100分の5に減容しながらセラミック灰に資源化することが可能です。
AIを活用することで省エネで熱分解が可能
今設計中の次号機は、ボタン1つピッと押すと、ごみの自動投入、データの計測も全部自動化していく予定なので、ハンディキャップを抱えている方にもこの装置を使っていただいて、雇用創出の機会を最大化するというところも今計画をしています。すでに北九州市の障がい者雇用施設さんとの連携が内定しています。

出てきた資源は、(スライドを示して)こういったエコタイルの建材にアップサイクルできたり、水をきれいにするセラミックボールにできたり、アートにすることが可能です。


我々の装置は、燃えるごみを酸素濃度が非常に低い炉の中で火を発生させずに、熱分解というプロセスを使って資源化をしていきます。通常、バーナーで火を使って、ごみをばんばん燃やすのですが、我々の装置は電熱を使っているので、廃棄物のデータに応じて、柔軟に炉の中の温度をコントロールすることが可能です。
AIを使って、ごみの種類、数量、炉内の状況に応じて、ごみを最も省エネに熱分解、資源化できる知財や、有害ガスを予測して効率的に分解する知財をソフトウェアで取っていっています。
また、中の熱とガスを活用して、発電・給湯・融雪などできるハードの知財、あるいは自動投入ができるUXを高めるハードの知財も取り集めているのがJOYCLEの特徴です。
病院だけでも1,600億円以上のマーケット
商流としては、オーナーさんに装置を販売して、我々のJOYCLE BOARDの月額制のサービスとセットでレンタルしてエンドユーザーさんに提供していくモデルになっています。

すでに、産廃処理コストが非常に高い病院や、地方・離島の焼却炉から遠い工場・ホテル。それからドライバーがいなくて本当に困っていますという自治体さんから多くのお声をいただいています。

例えば100床以上の病院だと、年間1,000万円以上産廃処理コストがかかっているところがほとんどですが、我々のプラントサービスは、3割から5割以上、従来の処理コストも安く使っていただくことが可能です。病院だけでも1,600億円以上のマーケットがあります。

東南アジアでも展開を加速中
海外に目を向けて、一番伸びるマーケットは東南アジアです。離島が多く大きい焼却炉を置けないところがほとんどです。船のごみの運搬はもう限界。そこで提供するのが我々のインフラです。小型で可搬型、デジタル化が進んだユニークなインフラをこのマーケットに提供して、8兆円マーケットの1パーセントの800億円の売上を上げていきます。


すでに3,000万円の装置4基分の売上が内定しており、1.2億円分の売上が内定しています。2026年から海外に展開していきます。すでにタイ、フィリピン、インドネシアから引き合いをいただいている状況です。

防災に役立つインフラサービスも提供開始予定
また年内には、「Starlink(衛星インターネットサービス)」とJOYCLE BOXが一体型になったシャーシのサービスも提供開始予定です。運べない災害廃棄物をオンサイトで処理できる、防災にも役立つインフラサービスです。

これを使った新しいインフラの知財もすでに出願を済ませています。ごみ置き場のごみ重量に応じて、装置を適切なタイミングで適切な場所にデリバリーして、また次の場所に向かっていく。いわば「Uber」のごみ資源化装置版のようなソフトウェアの知財をすでに取得しています。
ハード×ソフトの知財戦略
我々は、このサービスを従量課金型でグローバルに、利益率の高いインフラサービスとして提供していきます。そうすることで、大きな焼却炉を持てず遠くまでごみを運ばなきゃいけないグローバルの静脈(静脈産業)のサプライチェーンを、圧倒的に効率化することが可能です。

ハードとソフトを設計できるエンジニアがそろっているだけではなく、産廃業者、大企業、自治体、大学と連携しながら、UXを高めるハードウェアと省エネをより促進するソフトウェアの両方の知財を取っていっているというところが、我々の特徴です。

プラントメーカーさんはたくさんいますが、その技術を借用して売れやすく、使いやすくしていくための知財を取り貯めているのが、我々のユニークポイントです。
資源と喜びが循環する社会をつくっていく
今すでに装置の量産体制の構築に入っており、2026年の月には量産を開始予定です。OEM先をグローバルに開拓して、最終的には「JOYCLE SHARE」を世界の新しいインフラにしていきます。
(スライドを示して)最終的にはこちらのイラストにあるように、離島とか地方へ行くと、JOYCLE BOXを当たり前に目にする、資源と喜びが循環する社会をつくっていきます。

「あったらいいな」ではなくて、グローバルになくてはならないインフラを提供している、それがJOYCLEです。今日はそれだけ覚えて帰っていただければと思っています。
ぜひ応援していただければと思います。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)