【3行要約】・失敗から学ぶには「事業」と「個人」の2軸を意識することが重要です。株式会社DIFF.創業者の清水氏は、理想から始めるのではなく小さく検証する大切さを語ります。
・清水氏は靴のサイズ問題に取り組む中で、左右サイズが異なる人が20パーセントもいることを発見。失敗を重ねながらも「足型データベース」という新たな価値創造に挑戦しています。
・効率的な失敗から学ぶには、得たいデータを明確にし、小さな検証を積み重ねること。「死なない程度の初期失敗」から蓄える失敗ノウハウが、次の成功への鍵となります。
前回の記事はこちら どうやって失敗から学びを得るか
大長伸行氏(以下、大長):清水さん、ありがとうございます。じゃあ、ちょっとここから全体のディスカッションに入っていきます。まず僕らのほうからいくつか口火を切っていきますか。
三冨敬太氏(以下、三冨):じゃあ、私からいいですか?
大長:いいですか? お願いします。
三冨:清水さん、あらためてありがとうございました。
清水雄一氏(以下、清水):ありがとうございました。
三冨:たびたびコミュニケーションは取らせていただいていたんですけど、清水さんのバックグラウンドを含めて、今やられていることをあらためて聞いて、僕もすごく勉強になりました。楽しかったです(笑)。
清水:ありがとうございます(笑)。
三冨:高専の頃からスパイクを作られていたんですね?
清水:スパイクを作っていたわけではないですけど、大好きなスパイクが1個あったんですね。めっちゃうまかったわけじゃないですけどサッカーが好きで、高専にいながらほぼサッカーしかやっていませんでした。「それを支えてくれているのは何よ?」となった時に、「あっ、これがいいな。これを作ろう」と思ったのがそのタイミングだったという感じですね。
三冨:なるほど、ありがとうございます。いろいろお話をいただいた中で失敗に関するご質問を1個したいなと思っています。
たくさん失敗をされて、そこからたくさん学習をされたかと思っています。これはやはり上手な失敗をしてきたというか、失敗にはいい失敗と悪い失敗があると思うんですよね。失敗から学習する量をどうやったら最大化できるのかなとたびたび思ったりしています。
失敗からも「自分たちが得たいデータ」を手に入れる
三冨:例えばさっきのお話にあったような「左右の靴の大きさが違う」というのは、やはり新しい価値じゃないですか。それを伝えるにはやはりブランドの力が重要だとファースト(開発)の時に思われていました。けれども、ほかに重要な要因がありそうだという結果になったと思います。
それは重要な学習だと思うんですが、ブランドにフォーカスを当てて、そこの開発やデザインに注力するって、けっこうなフルスイングじゃないですか?
清水:そうですね。
三冨:なので学習の量は多かったけど効率はちょっと怪しいところもあるのかなと思います。そういう失敗からの学習を効率良く行うコツはありますか?
清水:これはもうセンスもあるんだろうなと思っていて、私にはなかったなと思っています(笑)。最初にフルスイングで失敗するみたいなお話って、やはりリスキーだなと。
DIFF.のように「小資本でやっていきましょう」と考えた時に、いかに自分たちが得たいデータを得るための失敗にできるのかがすごく重要なんだなと思っています。
「失敗ノウハウ」を蓄える
清水:さっきの「ブランドが重要になってくる。その価値を広げていくのが大事だ」ということに関しては、それが間違っていたというより、このタイミングでやるべき実験じゃなかったな、という感じだと思っています。

もっとシンプルに、「本当に買ってくれる人がいるのか?」とか、小さく始めるべきでした。にもかかわらず、理想の世界からやってしまったことが大きな失敗だったなと思っています。
この失敗から得られたものって、事業に対する振り返りというよりかは、どちらかと言うともうちょっとメタ的なというか、視点を引いたところにあります。「次にこの失敗をしないな」と思った時に、思考プロセスというか、(失敗を振り返る態度の成長)に返ってくる失敗もあるなと感じています。
なので「事業としての失敗」と「人が育つ経験としての失敗」の2軸があるなと思いながら、今、三冨さんのお話を聞かせてもらっていました。
たくさん失敗している人のほうがよけられる不要な失敗がなくなっていくと思うので、死なない程度に初期の失敗をできるのかが重要なのかな。そこで蓄えられる「失敗ノウハウ」が重要になってくるのかなと感じましたね。
直接的な回答じゃないですけど、そんなことを思いました。