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ミズノ発 “靴の当たり前を変える” スピンアウトスタートアップ DIFF.の挑戦 〜生産と流通を変える実験と探索〜(全5記事)

新規事業は“上手に失敗するスキル”が重要 ミズノ発スタートアップに学ぶ“実験する組織”の作り方 [2/2]

必要なスキルは「いかに上手に失敗するのか」

ここまでが私がやってきていることでございます。(スライドの)右下の領域から始めて、新しい領域の探索も含めて前に進めているところまで、みなさまとシェアできたらなと思ってお話をさせていただきました。

ここから最後に、本当に一言になるんですけども、「実験する人と組織の探求」に対して、いろんな立場から私が感じてきていることをシェアさせていただけたらうれしいなと思っています。

いただいた案内文の中にも、「気づきや失敗をフラットに持ち寄るコミュニティ」や「試して学ぶ文化を育てる」という言葉をいただいていたかなと思っております。

これを実現していく上で、私の今までの経験から必ず重要になってくるだろうと思っているのが、「実験する人と組織」や「試して学ぶ文化」を社内や日本全体で実装していく上では、たくさん失敗することを前提に物事を決めていく必要があるということです。

なので、いかに失敗を許容できるような組織を築けるのかが重要になると思っておりますし、プロジェクトを前に進める担当者個人としては、いかに上手に失敗するのかが必要なスキルになってくるんじゃないのかなと思っております。私自身も、会社を立ち上げた2020年10月から2024年8月に至るまでの間にいろいろと失敗してきています。

「組織・企業を立ち上げました」となった時には、本当に私1人しかいなかった。物を作っていくための資金もぜんぜんない中で始まりました。とはいえ片足でシューズを買える場所を作らなければいけないので、プロダクトの開発をやり始めるわけですね。

初期プロダクトの失敗談

今はサッカーシューズの販売をやっているんですけど、当時作ったプロダクトが、「WAVE RIDER」というミズノのランニングシューズでした。「まず、1モデルを左右別サイズで買えるようなランディングページを作って売りにいきましょう」ということをやっていました。

このタイミングで大きな失敗をしたなと思ったのは、「新しい価値を世の中に作り、当たり前にしていく」ことを考えた時に、「ブランドの力ってけっこう重要だろうな」と思っていました。

これは「ミズノ(のブランドの力が重要)」という話ではありません。体験価値自体を世の中に広めることを考えた時に、デザインやブランディングを、ファーストの開発のタイミングでやってしまいました。

実際に出来上がったプロダクトには、うまくお客さんが付きませんでした。「ランニングシューズを1モデルだけ扱いましょう」と言ってWAVE RIDERで始めたんです。けれど、このシューズは市場のカバレッジで言うとそんなに大きくないので、なかなか軌道に乗せられなかったんです。

「マーケティングをやってみようか」みたいな話の中でも失敗したり、いろんな失敗を積み重ねながら、「あっ、もうこれはここじゃないな」と判断するまでにもけっこう長い時間がかかっています。

「プロダクトとしていろんなアイテムを扱うようなECサイトにするべきだ」みたいなことや対象の顧客も含めて、セカンドの開発を1年後ぐらいから始めました。サッカーシューズのECというかたちで現在のサービスを始めさせてもらって、やっとユーザーさんが喜んでくれるものが出来上がってきています。

ユーザーさんの購入に至るまでには、本当にいろんな失敗をしてきたなと思っています。これだけ失敗しまくっていると、普通は「もう、やめぇ!」という話になるよねと思っています。

成功し始めるまでの期間をどう過ごすのか

ただ、(スライドを示して)ここで成功し始めるまでには、けっこう長い時間がかかっています。1個、2個の失敗でやめていたら、成功し始めるところまでたどり着かない。これをどう考えておくのかは、私自身も「悩ましい問題やな」と思っております。このあたりの話に関しては、また議論させていただけたらなと思っています。

現時点でも、左右別サイズでシューズを片方ずつ売った後に手元に残るもう片方の在庫をどのように処理していくのかは課題としてあります。

それは、足の形を自分たちで情報として持たせてもらってそこのマッチングをするカスタマーリレーションシップを構築するプロダクトを作るところも含めて、これが本当にはまるのかどうかの検証や探索をどんどん進めているところです。

そのタイミングそのタイミングで、「これを検証しなければダメだな」というテーマを決めながら前に進めていっています。

たまに成功することもあります。今、一緒にやらせてもらっている関西の小売店さんは、「連携して売っていきましょう」となった時に、「やはり店頭に物がある中で売りましょう」という話をしました。

すると1ヶ月間で20足強のシューズが売れたり、「我々が収集したい足型の情報を一緒に活用させてください」と、情報が採れたりしました。

こういう「一緒になって巻き込んでやっていきますね」みたいなところにたどり着くきっかけを得るためには、あまたの失敗の山を築く必要がある。「こういう事例にどうやってたどり着いていくのかな?」みたいなところを探求・探索と呼ぶのかなと感じています。

いろんな実験をしていきながら、「試して学ぶ」ことを考えた時に、「もう失敗はするもんや」という意識を共有することが重要です。なので、いかに失敗に対して「ナイストライ! 次は何をするの?」と言ってあげられる文化を作っていくのかが、実験する人や組織になるためには重要なんじゃないかなと捉えているのが1点です。

もう1つが、個人のレイヤーとしては、失敗から多くを学ぶということです。そうすれば本当の意味での「ナイストライ!」を引き起こして連発できるような人たちが相互に影響し合いながら実験と失敗がいっぱい起こる組織になると思いますし、その先に成功があるんじゃないのかなと捉えております。

「このあたりはみなさまはどんなふうに思われますか?」というのを「Slido」でもいただけたらうれしいですし、大長さんや三冨さんとも議論させてもらえたらうれしいなと思っています。

いったん、「私が何をやっているのか」と「そこから見えてきた、私なりに感じていること」をシェアするところまでお話しさせてもらいました。ここからまたいろいろとお話しさせてもらえたらと思います。みなさま、ありがとうございました。

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