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株式会社KAMAMESHI小林 俊 氏ピッチ(全1記事)

3万円の部品1つが手に入らず10億円の設備が停止… 工場の課題を解消し初年度から黒字化達成、135事業所が導入したサービス

日本新規事業大賞 by Startup JAPAN 2025は、事業会社内で挑戦する起業家マインドを持つ人々を応援するアワードです。本記事では第二回日本新規事業大賞でオーディエンス賞を受賞した、株式会社KAMAMESHI 代表取締役社長 小林俊 氏による、中小製造業の課題を解決するサービスのプレゼンをお届けします。

中小製造業の課題を解決する、日本製鉄発のスタートアップ

小林俊氏:みなさんこんにちは。製造業を横につなぐプラットフォーム「KAMAMESHI」の小林です。どうぞよろしくお願いします。私は新卒で日本製鉄に入社。その後、生産管理や営業、企画、プロマネ、海外駐在などを経て、一昨年(2023年)、出向起業というスキームで、この株式会社KAMAMESHIを起業いたしました。

まず、事業案の前に、立ち上げまでの経緯を少しご紹介させてください。製造業は中小企業が、特に個社では解決が難しい課題に直面しております。一方で、製造業ではサプライチェーンの縦のつながりは強いんですが、なかなか横につながることができないという悩みを持っております。私はこういったところを仕組み化することが必要だと、仕事の中で感じておりました。

製造業を横断的につながることを通して、私は日本の製造業の復権を目指したい。また、ものづくりを支える会社に、日本製鉄をもっともっと変革していきたい。そういう思いで、仲間と共に本業の傍ら、平日夜や土日の時間を削って、事業の検討を開始しました。

実際に新規事業としては素人でしたので、社外の事業創出プログラムに積極的に参加し学びを得ながら、経産省の始動の中では、シリコンバレーに派遣いただいたり、優秀賞をいただき、こういったところをテコに、何とか社内の説得に走りました。

最終的には、日本製鉄の橋本(英二)会長にも直談判させていただいて応援をいただいた。こういったところから、人事部門、また経営企画などにも、多くの方に協力いただいて、この出向起業制度を社内で新設し、その第1号として事業をやらせていただけることになりました。

「製造業版のメルカリ」のような仕組みを構築

前置きが長くなりましたが、ここから事業案の話になります。製造業のお悩みの声をたくさん聞いてまいりました。その中で出てきた深刻な課題。それは設備の老朽化です。

現場では、調達工期の長い部品や生産が終了してしまった電気品などが調達できずに、こういった基板が手に入らないために、億を超えるような設備を諦めないといけない。そんなことも起こっています。実際に、こういった部品が手に入らなくて困る会社がある一方で、このような設備部品、実は大量に廃棄されております。これって非常にもったいないと思いませんか?

これを解決する仕組みがKAMAMESHIです。いうなれば、KAMAMESHIは製造業版のメルカリのような仕組みです。会員企業限定で、設備故障が発生した会社と、予備品提供可能な会社、社内で滞留しているような会社ですね。こういったところをマッチングさせて、部品の調達・供給を行います。

このような製造業版のメルカリの仕組みだけではなくて、KAMAMESHIの中では、社内の設備在庫管理の見える化といったところも課題感がありますので、こういったところにシステム提供したり、保全人材による専門コンサルも提供しております。現状把握から、業務の効率化、またリスク対応の向上。こういったところまで一貫でサポートできるのがKAMAMESHIの強みです。

初年度から黒字化達成、会員登録数は約1年で135事業所超え

最初の課題は、各社が持つ設備と在庫のデータベースの構築です。ここを我々は、各社が持つExcelデータを収集しながらデータベース構築を進めておりまして、依頼があれば現場に設備専門人材を派遣して、実際設備で使われている部品の調査も行い、1工場で数千点にもなる部品のリスト化、データベースの構築まで行っております。

こちらは実際に使われている社内の在庫管理システムです。会員企業にはIDとパスワードが発行され、社内の在庫管理用システムとして、このように使っていただけます。生産終了品については赤いタグが付き、リスク部品について見える化が図れます。こちらのプラットフォーム、実は多言語対応もしておりまして、海外現地での活用も可能になっております。

こちらで管理する中で、自動でQRコードも生成しております。このQRコードを使うことによって、現場ではタブレットや携帯で棚卸しの効率化・業務の見える化も図ることができます。社内の在庫管理から不要なものを出品、また、必要なものを調達という流れを作る。これがKAMAMESHIが目指すビジネスモデルです。

料金設定です。初回登録料は4万円ですが、年間の利用料は定額で月3万円ほどとお安くなっております。各社の工場の調査については、1工場100万円ほどをいただいてサービス提供をしております。

このビジネス、すでに昨年(2024年)からサービスを提供開始しておりますが、登録部品は10万点をすでに超えております。会員登録数も約1年で135事業所を超え、今では日系の海外拠点も使い始めております。

損益計画です。初年度から黒字化を達成いたしました。2期目の今期、在庫管理システムで5,000万円の売上、1,000万円の営業利益を見込んでおります。設備保全サポートシステム、ECモール、グローバル展開を進めながら、2029年には売上100億円を目指しております。こちらのマーケットは地域軸・業界軸で市場展開を進めておりまして、日本だけではなくて、海外へも広げていくことを目指しています。

日本の製造業が生き残るには「水平型のつながり」が鍵

今後の事業展開としては、これまでやってきた内容にプラスアルファで、設備保全のサポートシステム、また、ECモールも展開していきます。こちらはベータ版を4月にローンチいたしましたが、各社の工場レイアウトを取り込みながら、各設備で使われている部品の中身をWebで確認し、状態も見えるようにしております。

このプラットフォームでは、設備故障実績や点検記録、こういったデータも収集できるようにしております。

ECモールでは設備部品に限らず、製造業で使うような部品というのを、こちらのほうで売買・提供できるように、サプライヤー企業と連携を進めております。

将来ビジョンとしては、設備保全サポートシステムやECモールの先に、製造業を支える基盤インフラとして、BCP対応や災害復旧支援、そんなところまでサポートしていきたいと考えております。

日本の製造業が生き残るには、垂直型の縦のつながりだけではなく、水平型のフラットなつながりの中で、課題を解決していく必要があります。私は日本製鉄の製造業を支えてきた誇りと覚悟を胸に、しっかりと製造業を支えていくビジネスを広げていきたいと考えています。

また、今日お集まりのみなさんは、新規事業に取り組まれている方も多いと思います。そういったみなさんを、私は同じ釜の飯を食う仲間「KAMAMESHI」だと思っています。ぜひ新規事業を通して、ともにイノベーションによる日本の新たな勝ち筋を作っていきましょう。ご清聴ありがとうございました。

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