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社会を変えるイチを生み出せ『ゼロイチ ファイナルピッチ2025』(全10記事)

慶応の女子大生が過疎地に観光客を呼び込むために起業 スマホで簡単にドローンを起動、空から自撮り撮影が可能に

社会起業を志す学生が、社会課題を解決するビジネスプランをピッチ形式で発表し、社会起業家らのフィードバックを受けられるイベント「ゼロイチファイナルピッチ2025」。本記事では2人目のプレゼンター、大学4年生の平野里彩氏が、セルフドローン空撮サービスで過疎地に観光客を呼び込むビジネスプランを紹介します。

観光地の集客数はSNS投稿などのデータ量に依存

司会者:それでは2人目の発表は平野里彩さんです。どうぞ大きな拍手でお迎えください。平野さん、ご準備はどうでしょうか?

平野里彩氏(以下、平野):はい。

司会者:それでは平野さんのピッチスタート。

平野:みなさんこんにちは。地域のポテンシャルを最大化する、セルフドローン偵察サービス「SOARIE(ソアリー)」の平野理沙です。

突然ですが、みなさんに想像してほしい地域があります。ここに住んでいるのは10世帯20人。平均年齢70代、最年少は55歳で観光客はまったくいません。このような地域、実在すると思いますか?

実はあるんです。それが香川県さぬき市森行地区。ここはいわゆる消滅可能性自治体だと言われています。実は日本全国の自治体の中で消滅可能性自治体だと言われているのは、43パーセントにも上ります。これはかなり多いと思いませんか?

もしかしたら10年後、あなたの故郷がなくなってしまうかもしれません。人口減少が進む中で、内需のみで地域を持続させていくことはすごく難しいです。だからこそ私は、外需を取り込める観光に注力していきます。

なぜ私がやるのか? 私はこの4年間で44都道府県ほど、さまざまな地域を旅してきました。その中ですごく魅力的な地域であるにも関わらず、人が少なくて廃れた印象を受ける地域がたくさんあったんです。これは実際に私が訪れた、消滅可能性自治体と認定されている地域です。

これが起こっている1つの原因として言われているのは、集客数がデータ量に依存してしまう現状です。(集客が多い地域と)似たような魅力的な景観があっても、人は有名なところに集まってしまう。SNSの投稿や記事、検索数など、データが集まれば集まるほど地域が注目され、そこに人が行く。それが今のデジタル社会です。

私はこれを、デジタルが生む極端な観光地格差だと思っています。実際に身近な人のSNS投稿が、旅行計画時に最も影響力があるコンテンツであると近年話題になっています。

ただ、観光地にヒアリングをしてみると、PRできる人材がいない、またはそこにかけられる予算がない。そのような声が多数聞こえてきます。

アプリとQRコードで簡単に空撮が可能

平野:そこで私が提案したいのが、地域がPRしなくていい観光客視点のPRです。それがこちら。地域資源を活かすドローン撮影体験サービスです。

提供価値は主に3つ。1つ目は唯一無二のスポットで撮影できること。2つ目が観光客の体験をそのままPRにできること。3つ目が地域資源に新たなキャッシュポイントを作れることです。

サービスの利用方法は簡単な5ステップです。ステップ1、まず観光地にあるボードからQRコードを読み取ってもらって決済をします。ステップ2、画面上に表示したWebアプリで新規登録をしてもらいます。ステップ3、スタートボタンを押して撮影を開始します。

ステップ4、事前に設定しておいたルートに従って、ドローンがこちらに飛んできて私たちを撮影してくれます。ステップ5、撮影データを即時ダウンロードすることができます。

これは実際に私が先月、香川県で撮ってきたイメージ映像になります。私は、こうした実際のユーザーさんの写真を地域ごとにカスタマイズしていくつもりです。撮影方法や飛翔経路、構図などあらゆる要素を最適化し、世界に1台だけの、地域の魅力を最大限活かせるサービスを作っていきます。

ビジネスモデルは、観光客から利用料をもらい、その利用料の一部を観光施設に還元します。またサービスの導入時に導入費用の一部を、観光施設の方に負担していただく予定です。

また価格戦略については、ヒアリング結果をもとに画像データ5枚で700円、また動画を含む全データが欲しい場合はオプションで300円を想定しています。

ユーザーターゲットについてです。20代前半、女性3人組の会社員。「SNSで映える写真が欲しい」「旅先でしかできない体験がしたい」。このような声に応えていきます。

「ローンチしたら利用したいですか?」という質問に対して、9割近くに「はい」と答えていただきました。また「撮影写真をSNSでシェアしたいと思いますか?」という質問に対しては、7割近くに「はい」と答えていただきました。実際にユーザーに投稿していただいたケースも、このように発生しております。

過疎地の訪問者を月間2,700人に増やす

平野:設置する観光施設についてです。大規模複合型商業施設や絶景ポイントを想定しています。顧客ニーズとしては、「新たなキャッシュポイントを作りたい」。「ここならではの体験価値を提供したい」。このような声があります。

実際に、現在香川県にある複合型のカフェで導入検討をいただいております。また月に3,000組の来訪客が見込まれるところに導入していただいた場合、利用料の一部を還元して事業者の収入(が増えます)。また訪問客が増えることによる事業者の売上で、約7万円ほどの売上アップが見込めると考えております。

設置場所の条件についてです。必要条件として、まずドローンポートが設置できる場所、その中でもソアリーが最大限機能する場所であるか。ここを条件に導入を進めていきます。

同時に、購入時に用意するものは主に3つで、1つ目が機器のリース料、2つ目が充電用の電気代、3つ目がドローンポートを設置する場所の確保になります。

ソーシャルインパクトについてです。仮に30拠点に導入していただいた場合、地域の訪問者を月に2,700人ほどにできます。また利用料の一部を事業者の収入として、さらに増えた訪問客が新たに消費をしてくれることによって、地域の収入になります。ここがソーシャルインパクトと捉えています。

観光客の増加をきっかけに観光消費額が増加し、さらに地域の魅力をアップさせる。そして地域の幸福度アップにつなげていく。このサイクルを回していきます。

今後の展望については、まず香川でモデルケースを実装していき、中国、四国エリア、東北エリア、北海道エリアでの展開を目指しています。

もちろんこの社会課題はソアリーだけで解決することはすごく難しいです。だからこそ私は、関係人口の拡大施策や交流人口の創出施策も現在、同時に行っています。

知らない土地を行きたい場所に変え、また地域に携わる人を増やしていきたいと思っています。地域のポテンシャルを最大化するソアリーでした。ありがとうございました。

京都の着物レンタル料2万円を参考に値付けをするべき

司会者:平野さんありがとうございました。それでは審査員の方はどう感じられたのでしょうか? まずは中村さんからお願いします。

中村多伽氏(以下、中村):プレゼンありがとうございました。すごく地域が好きなんだなというのが伝わってきて、とっても良かったと思います。ドローンがやりたいか、観光がやりたいかというと、どっちのほうが近いですか?

平野:それで言うとドローンは手段なので、地域を活性化させていくために、観光というのが1つの手段になりうる。その中で観光客をまず増やすためにはどうするべきかを考えた時に、ドローンは、有効な手段になるかなと思って、現在考えている感じです。

中村:なるほど。SNS投稿が呼び込みの魅力発信になって、それが集客数に依存するというロジックは、めちゃくちゃわかるんですけど。映える写真が欲しい人とか観光客(というイメージが)けっこう広いなと思ってて。ドローンの空撮がぶち刺さるのって、具体的にどういう人を想像してるか、もうちょっと教えてもらってもいいですか?

平野:そうですね。刺さる層で言うと、実際に利用者さんの声を聞いてわかったことでもあるんですけど。若い女性の層はもちろんですけど、その家族、ファミリー層にもけっこう刺さるなというのがありまして。ドローンが新しい体験だって言って、お子さんたちがすごく楽しみながら撮影してくれたりもしたので、撮影データだけじゃなくて、設営している空間を含めて、体験消費的な感じで訴求できたらいいなとは思っております。

中村:なるほど、なるほど。じゃあ、そうですね、ごめんなさい。ここからはジャストアイディアなので、検証が必要なんですけど、たぶん料金設定がむちゃくちゃ安いです。

平野:うん。

中村:それで、さっきのコンテンツだけだとたぶん魅力発信と繋がりづらいなと思ったから、プロダクト全体にもっとナラティブがあった方が良くて。

平野:はい。

中村:今の「コト消費」がキーワードになると思うんですけど、わかんないですけど、その体験を想起させるようなシネマティックな動画の一部に、ドローンの空撮が入れられるとか。

例えば私は京都から来てますけど、京都って着物を着て練り歩くだけで2万円とか取れるんですよね。(観光客は)それぐらい払うってことなので、700円はめっちゃ少ないと思います。

だから2万円ぐらい払わせるとしたらどんなナラティブを作るべきかみたいな、バックキャストで考えてみると、より唯一無二なプロダクトになりそうだなと思いました。

平野:ありがとうございます。

中村:はい。がんばってください。

司会者:中村さん、ありがとうございました。

登山客などドローン利用の習慣化を狙えるスポットを探せ

司会者:続いて桑原さんお願いします。

桑原智隆氏(以下、桑原):ありがとうございました。まずは、消滅可能性自治体という言い方をされて少しドキッとしました。他方で、みなさんも経験があると思いますけど、ウェルビーイングな暮らしや街、地域の持続可能な暮らし、そこに外需を取り込む地域の産業って、やっぱり飲食とか宿泊とか一次産業とかサービス業であったりする。

そういった土地ならではのおいしい食べ物とか、まさにウェルビーイング産業のようなものが、たくさんあるのかなと。そういったところでまさに、集客や客単価をどう上げていくか。体験価値(という切り口は)、その通りだと思います。

そういった中で、このドローンの空撮を、1つ突破口的に使われるというのは斬新なアイデアだと本当に思いました。

それで、個人的には、このリアルイベント版のNetflixみたいなものに注目しています。例えば今日2月26日の午後3時に香川のこの町で何を体験できるのかみたいなものが、わかる。そういった、「must see」「must to do」への送客。連結をつなげていくことで、客単価とかリピーター作りができるとおもしろいかなと。

あと、私は今年50代になりますので、百名山を回るようになって。YAMAPさんみたいなところもいろいろな機能をつけていって。私の友人なんかも、登る山ごとに、記録をつけていったりします。

グループでの登山であったり、実は百名山というのは、各地域の魅力も詰まっていたりします。ドローンのポートの問題とかもおっしゃっていたと思いますので、ある一定数以上の多くの方が、出かけているようなスポット、サービス密度を考えた時に習慣化して使ってもらえるような場所(に展開されたり)。

例えばマラソンで市民ランナーが多い場所なので(ドローンを飛ばすのは)難しいのかなとか(もあるかもしれませんが)。多くの方が動員されている街のイベントとの連携の可能性もあるかなと思いました。ますます、ブラッシュアップいただけると楽しみだなと思いました。ありがとうございました。

司会者:桑原さん、ありがとうございました。それでは発表いただきました平野里彩さんにどうぞ大きな拍手をお送りください。素敵な発表ありがとうございました。

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