2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、ジュエリーブランド「Kendra Scott」の創業者・ケンドラ・スコットの登壇セッションの模様をお届けします。自分の店舗を出してわかったことや、自分の名前をブランド名にした背景などを語りました。
ジェニファー・リュー氏(以下、ジェニファー):地元の小売店のオーナーにジュエリーを販売する方法で始めて、その後、消費者への直接販売に変わりましたね。ターゲットとする市場をどのように見極めたのですか? 的外れだったことはありますか?
ケンドラ・スコット氏(以下、ケンドラ):Hat Boxで失敗した後、私は「二度と小売業には戻らない」と言いました。でも、今ではKendra Scottの店舗は136店舗もあります。「『二度と』は言わない」が教訓ですね。
小売業がとても怖かったので、最初の8年間は卸売りだけをやっていました。ノードストローム(Nordstrom)みたいな大きなデパートに卸したり、いいビジネスを構築していました。革新的なことをしようとか、お客さんのことをよく知ろうとか、どれも簡単なことではなかったけど、私は自分たちのやっていることにとても情熱的で、とても興奮していました。
私は自分が欲しいと思うものを作りました。サラ・ブレイクリー(Sarah Blakely:Spanx創業者)のことを思い浮かべてください。多くの場合、成功した起業家は利己的です。彼女は白いスカートが似合うようになりたかった。それで(補正下着を作ろうと)パンストを切って、スリムになったんです。そして、多くの女性が同じことを望んでいた。最高のアイデアは必要なものが見つからない時に生まれるものです。
でも、卸売りを始めて8年経った頃、不況が襲ってきました。一緒に仕事をしてきたバイヤーが解雇されたり、数年間取り引きした小売店が破産したりして、本当に怖い時期でした。私は自分の店を持たず、ジュエリーを他の人たちに売ってもらっていたけど、私が消費者と直接つながる必要がありました。
そして2009年、私はビジネスモデルを完全に変えるとチームに言いました。消費者への直接販売に焦点を当てます。顧客がデザイン・プロセスに参加できるような、ユニークなカスタマイズ・ツールを備えたeコマース・ウェブサイトを作ろうと考えました。
(商品の色を自由にカスタマイズできる)カラーバーと呼ばれるもので、ナイキIDが出る前だったので、彼らは私のアイデアを盗んだんだと思います。とにかく、私は楽しいことをやりたかった。オースティン中の店舗が撤退して「空室」「空室」「空室」「空室」となる中、私たちは最初の店舗をオープンしました。多くの人に「あの女はどうかしている」と言われました。
ケンドラ:私が夢見るジュエリーショップをデザインしたいと思ったんです。私は宝石店に入るのが嫌いです。高級宝石店やリッチな宝石店のことではありません。名前を挙げるつもりはありませんが、私が好きではないタイプのお店は商品がすべてガラスケースの中にあります。そして鼻持ちならない人たちが立っている。
私がランニングの後とかに店に入ると、批判的な目で私を見ます。ジュエリーを見たいと言うと、いろんなプロセスを経て300ドルのネックレスを出してきます。私にはそれが小さく感じたけど、恥ずかしくて他のものを試す気になれませんでした。だから、自分の店ではジュエリーを自由に飾りました。今はダイヤモンドをガラスケースに入れているけど、できるだけ自由に展示するようにしています。
すると、店の外まで行列ができたんです。その時、私たちの顧客層が誰なのかがはっきりわかりました。年齢ではなく、顧客のタイプです。12歳の女性から80歳の女性まで。多世代が一緒に買い物をし、全員が何かを見つけることができたのです。
彼女たちは同じような価値観を共有していました。色が好きで、大胆。ファッションが好きで、デザインを愛していました。そして自分たちのコミュニティへの情熱を持っていました。私たちは、オープン初日から彼女たちへの恩返しに全力を注ぎました。彼女たちと共鳴したコミュニティ作りは私たちの大きな特長であり、今も続いています。
ジェニファー: あなたの会社はオースティンに深く根ざしていますが、成功するならニューヨーク(NY)やロサンゼルス(LA)に拠点を置くべきだというフィードバックもたくさんあったと思います。では、NYやLAではなくオースティンを拠点にしたことの課題は何でしたか? 現在同じような状況にある経営者は、そこから何を学ぶことができますか?
ケンドラ: 私は2002年に会社を設立しました。そして2004年か2005年にニューヨークへ行き、アクセサリーのブランドを回りました。彼らは立派なプロダクションを持ち、たくさんの人たちが作業していました。私たちはお金もなかったので、女の子2人で木の床をはって、宝石を飾って店を作りました。
ある日、大きな雑誌の女性編集者が店に来ました。「あなたは何者なの? 他の人とやり方が全然違う」と言われました。「いつブランドを始めたの? どこの人? LA? NY?」と聞かれ、「ここオースティンの出身です」と答えました。「オースティン? ファッションで成功したいなら、西海岸か東海岸の大都市に行くべきよ」と言われて。
「オースティンは私のブランドのDNAの一部です」と答えたら、「それは素敵な考えだけど、必要なリソースを得るためには大都市に行かないと」と言われました。でも、私はその意見を信じなかった。私はずっとこの街に住み、世界中の人が知る前からこの街の魅力を知っていたからです。
毎年サウス・バイ・サウスウエストが開催されるこの街は、音楽や映画などクリエイティブの中心地です。そして、互いに高め合い、支え合う起業家たちの活気あるコミュニティがある。私はビジネスを始めるにも、ファッションのビジネスを始めるのにも、地球上で最高の場所に住んでいたのです。
4年後、彼女は私に電話してきて、「ケンドラ、今シーズンのジュエリーのトレンドを一緒に記事にしてくれない?」と、テキサス州オースティン出身の私に質問してきました。ブランドも会社も、他の誰のものでもなく、あなたの物語であるということがわかる話だと思います。
オースティンは私の一部であり、私のデザインの一部です。Kendra Scottというブランドを美しく、素晴らしいものにしている一部です。それをわかっていなければ、(成功して)今こうしてみなさんと一緒に座っていることはないでしょう。
人はあなたに「できること、できないこと」「すべきこと、すべきでないこと」など、いろいろなことを言うでしょう。あなたは自分自身の声に耳を傾け、自分らしさを貫く必要があります。あなたという唯一無二の個人は、この地球上にあなた以外に存在しません。誰かにそれを奪われてはダメです。自分ではない他の誰かのようになれなんて言われてもダメなのです。
ジェニファー:先ほど投資家の話が出ましたが、その話題に戻りましょう。資金調達はどんな起業家にとっても厄介なものですが、特に女性にとっては大変なことです。女性はベンチャーキャピタルからわずか2パーセントしか資金提供を受けていません。資金調達について、あなたが最初に知っておきたかったと思うことは何ですか?
ケンドラ:世の中は変わってきましたが、女性への投資はまだ圧倒的に足りていません。私がKendra Scott Women's Entrepreneurial and Leadership Instituteを設立した理由の1つは、女性創業者がそれにふさわしい機会や投資を得られるようにするためです。
私たちはたった4年間で、すでに66人の女性創業者を輩出していますが、まだまだやるべきことはたくさんあります。私が起業した2002年当時、こんなことを言うと笑われますが、インターネットはまだ始まったばかりでした。当時、私はオースティンの女性ネットワーク・グループに所属していましたが、別のネットワークの人と会って、一緒に学ぶことはできませんでした。
つまり、私たちは世界にアクセスできなかったのです。今、私たちは世界にアクセスできるようになりました。多くの女性が金融業界に入り、プライベート・エクイティに参加し、私のような他の企業を支援したいと思っています。
女性起業家にとって、今はとてもエキサイティングな時期だと思います。テキサス大学で教鞭をとることになった私の後ろの世代を見ていると、毎日が驚きの連続です。インスピレーションや情熱、自分のためだけでなく、世界のために役に立ちたいという意欲は信じられないほどです。私たちの後ろには、世界に挑戦する準備ができている素晴らしい女性たちがいます。
ジェニファー: ビジネスを立ち上げてから、他の女性起業家を支援するために努力を重ねてきたわけですが、女性起業家への支援は他の女性起業家にかかっているように感じられることがよくあります。そのギャップを埋めるために、投資界に何を望みますか?
ケンドラ: 私たちを元気づけてくれる素晴らしい男性もいると思います。本にも書きましたが、私は父親に育てられました。父親がいなかったら、私はここにいなかったかもしれません。大きすぎる目標なんてありません。父は、私には「これはできない」「あれはできない」なんてことは決して言わなかった。
私の最初の投資家は、長く私のメンターでした。彼は多くの事業を成功させ、何社か上場させた人で、「ケンドラ、君に投資したいんだ」と最初に言ってくれたのは彼でした。
私は「えっ?」という感じでしたが、彼は私を信じてくれ、彼の信念のおかげで、私は会社をどんどん大きくすることができました。これはつまり、女性にも投資をしようという男性と、それに応えて成長しようという男女の努力の積み重ねということです。
女性、娘、姉妹、妻、友人を育てることは、世界全体、私たち全員にとって良いことです。全世界がその恩恵を受けるのです。私たちはとても共感します。私たちはとても思慮深いリーダーです。あなたたちは女性リーダーたちから学ぶことができます。でも、これをもっと統一したものにすることがとても重要だと思います。
流れが変わってきたことを私たちは目の当たりにしています。会社の職場でも、かつては女性にとってガラスの天井のような存在だった男性リーダーたちが、変わってきました。完全に打開したとは言いません。しかし、私たちはそこに到達しつつあります。そして、男性もまた、私たちがそこに到達するのを助けてくれているのです。
ジェニファー:あなたのブランドは、当初から慈善活動をしています。近年、企業は社会貢献という価値観を採用し、むしろトレンドになっています。マーケティング戦略ではなく、本物だと感じられる方法で、消費者にミッションを伝えるにはどうすればよいのでしょうか?
ケンドラ: ここにいるみなさんと一緒に考えたいと思います。今日みなさんが私にした質問の中で、一番いい質問です。
私の最初のビジネスは失敗しましたが、人々を良い気分にさせたいと思って始めました。47歳で亡くなった義父は、私にこう言いました。あなたがこの世にいる時間はとてもとても短い。だから、ここにいる時間を大切にしなさい、と。
Hat Boxが失敗した後、成功するためには、目的を持ったブランドである必要があると思いました。慈善のためのファッションブランドが欲しかったのです。でも、お金を持っていなかったので、非営利団体のサイレント・オークション用にイヤリングを作ったり、くじ引きのためにネックレスを作ることもできました。
声をかけてくれる非営利団体があれば、絶対に断らないと決めました。会社が大きくなって店舗もできると、ケンドラ・ギブズ・バック・イベントを主催して、地域の人たちを招待することもできました。イベントの売上を分け合い、私はそれを還元することができました。
そして、小児病院でケンドラ・ケアズのようなプログラムを立ち上げることもできました。患者さんにはネックレスをプレゼントして、デザインに協力してもらったり、お母さんや大好きな看護師さんのために作ってもらったりしました。今では42の病院に導入しています。
みなさんへのメッセージは、このような大きなものを作る必要はないということです。できる時にできることをして、それをビジネスの柱にしましょう。そうすれば、地球上で最も勤勉で、愛にあふれた、素晴らしい人たちがあなたのために働いてくれるでしょう。
私はKendra Scottを1人で始め、その後、2人、3人、4人と雇い入れ、今では3,000人ほどになりました。私たちにとっての最優先事項は、いかにインパクトを与えることができるかということです。2010年以来、私たちは女性と子どもたちのために6,500万ドルを寄付することができました。
若い起業家にはいつも言っているんです。できることをやって、組織とともに成長し、従業員を巻き込んで、彼らが一端を担えるようにするのです。コア・バリューに基づいて雇用し、世界がどうなるかを見守りましょう。私たち全員がそのような考え方を持てば、素晴らしいことになるでしょう。
ジェニファー:Kendra Scottというブランドの話をしましょう。ブランドに自分の名前を出したり顔を出すことで 起業家にプレッシャーがかかります。Kendra Scottというブランドと個人をどう分けていますか?
ケンドラ:「どうして会社名に自分の名前をつけたの?」とよく聞かれます。何もつけなかったからです。ジュエリー・デザイナーとしてジュエリーを売るために、最初にKendra Scottとだけ書いた名刺を作りました。
ある日、ダラスのバイヤーから電話がかかってきた。「オースティン中のショールームがあなたのジュエリーを扱っているけど、何か特別なことをしているの? あなたのジュエリーを見せて」と言われて。その時「あなたの会社の名前はKendra Scottなの?」と聞かれて、「そうです」と答えた。
それで、最初Kendra Scott Designになったの。今は、私は私らしくということで、デザインを手放して「Kendra Scott, LLC」です。
私は、Kendra Scottでお客さまが触れるもの、感じるものすべてが素晴らしいものであってほしいと願っています。私の名前なので、お客さまにとって完璧なものでなければならないのです。
それに加えて、他の女性にインスピレーションを与えたり、何でも可能だと示すことも大切なことです。私は自分の成功談よりも失敗談を多く共有しています。私はいつもこう言っています。私は、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)やドリー・パートン(Dolly Parton)など、世の中の流れに逆らって、自分にはできないと思っていたことをやってのけた女性たちを見てきた。
彼女たちは、信じられないようなダイナミックな人物になりました。より多くの人が外に出て、インスピレーションを与え、それが可能であることを示すことが重要だと思います。私はその仕事に真剣に取り組んでいます。
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