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【2023年最新版】これからのフリーランスの生存戦略(全3記事)

Web制作、動画編集…覚えればできる作業で高単価は無理がある 今、Web系フリーランスで稼いでいる人の特徴

SNSサミット 2023 presented by SAKIYOMIでは、これからの時代を生き抜く武器である「SNS」について各媒体の先駆者をゲストに招き、マーケティング、デザインなどあらゆる場面で必要とされる「SNS思考」について語られました。本記事では、株式会社デイトラ代表取締役の大滝昇平氏、StockSun株式会社取締役の株本祐己氏、株式会社SAKIYOMI CMOの田中龍之介が、今のフリーランスのトレンドや法人から求められる人材についてお話しします。

デイトラ大滝氏とStockSun株本氏が登壇

田中龍之介氏(以下、田中):まず簡単に自己紹介を一言ずつお願いします。

大滝昇平氏(以下、大滝):デイトラ代表の大滝昇平と申します。社会人向けにプログラミングやWebデザイン、動画編集などさまざまなWebスキルを教えるスクールを運営しております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

株本祐己氏(以下、株本):株本と申します。フリーランスをたくさん集めて、法人から仕事を請けるような会社をやっております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

田中:今回のこのテーマに関しては、実際にいろんなフリーランスを輩出するスクールを運営されているデイトラの大滝さんと、フリーランスも束ねていらっしゃる株本さんから見た、「ぶっちゃけフリーランスだとこういうの気になるよね」というところを揃えさせてもらいました。

そもそも今フリーランスの方はもちろんいらっしゃると思うんですけど。これからフリーランスになろうとか、もしくは副業をされていてこれから独立を考えている方に向けて、「直近のフリーランスのトレンドがどうなってるのか」について触れていきたいと思います。

デイトラのスクールでは各職種ごとにいろんなコースがあるので、その人気コースのデータ比較を最初にちょっと見ていければと思います。

動画編集者を目指す人がかなり増えている

大滝:やっぱりみなさんもリスキリングって言葉を聞くようになったと思うんですけども。そういった影響もあって、受講生比率を同じ年で比較した場合、去年から比べてだいぶ伸びています。各コースの簡単な人気度調査もしてみたんですけど。Web制作、コーディングはほぼ横ばいという状況で、デザインはやっぱり微増してますね。ここらへんは人気が反映されてるかなと思います。

Shopifyは前年が良すぎたっていうのはあるんですけど、コロナ需要が落ち着いて、EC需要も若干落ち着いたのも表れてるのかなと思います。

動画編集も人気が表れてると思うんですけれども。やっぱり需要が伸びて、ここ(動画編集者)になりたいという方も増えてますね。アプリ開発も、前年がかなり少なかったのはあるんですけど、JavaとかRubyとか過去最高求人倍率を更新しているような世相が反映されてて、やっぱりエンジニアを目指す方も増えてると思います。

マーケティングはこんなに減ってはいない。本来増えてもおかしくないと思うんですけど、この月だとこういうデータになっていますね。あとドローンも、2022年から国家資格がオープンしてかなり人気のコースにはなっています。Pythonも本当はもっと伸びてもいいはずなんですけど、ちょっとこの月で比較するとこういうデータでした。

田中:いろんなコースがあるんですが、実際デイトラを運営している中で肌感覚として「ここがやっぱり注目されてるな」というコースはどこですか?

大滝:やっぱり動画編集はかなり伸びてるなと思います。あとは女性の受講生がかなり増えてきてて、デザインを受けられるケースもかなり多いですね。

今求められている「まるっとディレクションできる人材」

田中:なるほど。今のがいわゆるデイトラのスクールで、案件を請けたい側のユーザーの推移だったと思います。逆に株本さんのところには法人からこういった案件の依頼が集まってると思うんですけど。直近1年で一番増えた職種とか案件のジャンルってどこになりますか。

株本:うーん、そうっすね。YouTubeの制作だったり、動画編集関係は増えたかなとは思いますけど。でも一方で、マーケも含めていろんなジャンルで幅広くやらなきゃいけない感じになって、そのディレクションをとれる人が減ってきていると。

要は、今までだったらSEOとかSEM(検索エンジンからWebサイトへの訪問者を増やす施策全般)系をやってれば大丈夫だったから、その専任を1人当ててれば大丈夫だったのが、SNSも多岐にわたるし全部わかる人が少ないので、「それをそのままお願いしたい」みたいな依頼が一番増えた印象ですね。

田中:それでいくと、集客においてYouTubeも広告も選択肢としてあるみたいな。「そこをまるっとディレクションできる人材が欲しい」という案件が多いんですかね。

株本:まあ、そうっすね。案件っていうほど大層なものじゃないかもしれないですけど、そこの求人に近い依頼が多いですね。

田中:なるほど。実際、それこそYouTubeとかがやっぱり増えているんだろうなってイメージはあるんですけど、案件のジャンルは広がってたりしますか。

株本:広がるというより、「YouTubeがすごくパワーがあるよ」とけっこう広まってきた一方で、「YouTubeやってても費用対効果が合わないよね」という事例もたくさん出てきているので。

「じゃあ、何が費用対効果が合うんだっけ」という見直しが進んできて、発注者のリテラシーも上がってくるフェーズになってきてるのかなと。そういう意味で、単価やLTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)が高かったり、ガツンとコストカットできるようなもの。

例えるなら、採用とかフランチャイズ系もそうですけど、そういう大きな金額だったら1コンバージョンでのリターンがでかいので。「そういうのはYouTubeが向いてるよね」みたいになってる気がしますね。

案件が集まる動画編集者の特徴

田中:なるほど。実際YouTubeで特に向いてる案件もどんどん明らかになってきたと思うんですが。逆にYouTubeの編集者は、それこそ案件にアサインされてると思うんですけど。どんな動画編集者やディレクターをアサインすることが多いのか、何か特徴ってありますか。

株本:動画編集者で言うと、たぶん半分以上はそのまま仕事を発注してても使い物になんないというか、話になんない人が多いんです。必ず、法人さんとの間に1人か2人ディレクターが入って、誤字誤植を直させたり動画の構成をちゃんと指示したりする必要があるので。

発注が多いという意味で言うと、ディレクション業務をしなくて済むような編集者か、ディレクションもやれる動画編集者かどっちかじゃないですかね。

田中:なるほど。それこそ先ほどのデイトラの動画編集コースがめちゃくちゃ伸びてたと思うんですけど、スクールを出た後のステップは、どんな感じになるんですかね。

大滝:そうですね。僕らは具体的にそこの案件の取り方まで一応サポートしているコースもあるんですけど。「まずは実践の中で学んでいこう」というスタイルではありますね。

ディレクターになっていく方向も、もちろんまず必要だと思っています。今、それこそ株本さんがおっしゃったように、制作できるというだけの人材から、マーケティングやディレクターまで巻き取れるような上位レイヤーまでできる製作者が求められるようになってきてると思うので。

そこの力を磨いていく、ないしはそういうスキルをすでに持っている方が新たにWebスキルを学ぶと、より効果が出せるんじゃないかなと思います。

単価がどんどん上がっていく人・低単価で消耗してしまう人

田中:なるほど。近いテーマで、受託のところについて(お聞きしたいです)。フリーランスの方々はもちろん直近で増えてはいると思うんですが、それこそ低単価なのか高単価なのかの問題は絶対にあるじゃないですか。もちろん、みんな単価を上げていきたいと思うんですけど。

言い方が合ってるかわからないですが、低単価で消耗してしまう場合と、逆に単価がどんどん上がっていくケース。それこそ株本さんから見て、どういう傾向があるのかおうかがいしたくて。

株本:うーん、そうっすね。内職とか、工場で最後のタンポポを乗せる係と同じことをしてたら、当然時給は上がらないわけですよ。僕はできないのであんまり偉そうに言えないですけど、動画編集もツールを覚えてそれなりにするだけだったら1ヶ月もかからず習得できると思うんで。

それで単価を上げようというのはまず無理がある話で。やっぱりその上のことができるようにならないといけない。要は売上に近ければ近いほど時給は上がっていくんで、動画を切り貼りするみたいなのはタンポポを乗せるようなもので、一番売上から遠い作業なんです。それがわかってるかわかってないかじゃないですかね。

田中:デイトラでも、それこそ卒業した後にうまくいく人、いかない人をウォッチされてたりしますか。

大滝:そうですね。やっぱりWeb。例えばWebデザインとか、Web制作を学んだ方で、Webコンサルタントみたいなマーケティング視点で数字の改善までできるようになる方だと、かなりうまくいってる印象はあります。この間も、うちのWeb制作コースを卒業して1年半ぐらい経った方とちょっとお話しする機会があったんですけど。今、毎月200万円ぐらい安定して稼げてるという話をされてて。

それはなんでかと言ったら、制作はもちろん1つの武器ではあるんですけど、それだけじゃなくてMEO(マップ検索エンジン最適化:地図検索で上位表示を目指す施策)の提案だったりSNS運用代行だったり、いろんな角度から売上を上げるための提案ができるようになってるんですよね。

お客さんが欲しいのってホームページじゃないし、結局売上を上げるとか採用を増やすところがゴールなので。そこに向けたマーケティング視点での提案ができると、より単価が上がるんじゃないかなと思います。

下請けからレイヤーを上げていくには

田中:なるほど。じゃあ逆に「こういう特徴に当てはまってると、うまくいってない」みたいな傾向もあるかと思うんですけど。それこそ例えば、案件の提案の幅を広げたいけど広がらない方もいらっしゃると思うんですよね。そこって何が決定的に違うんですかね。

大滝:そうですね。一番はそれこそ、ずっと下請けでやっている方が単価が上がらないと思います。株本さんがおっしゃってましたけど、レイヤーを上げていくのが非常に重要だと思うので。

レイヤーを上げて、一次請けになっていくためには、作れるだけじゃなくて数字を上げられるところを見せる必要があるので。マーケティングスキルまで合わせて学んでいく必要があるなと。あと、レイヤーを上げていくと言ったんですけど、営業やディレクターになりたい方ばっかりでもないと思うんですよ。

むしろ最近、そこの発信がすごく増えてて、みなさんすぐディレクターになりたがるので。安心して任せられる技術者が足りないという問題も同時に発生してるんですよね。なので、マルチタスクやディレクションが苦手という方は、もう職人に振り切って良い品質のものを作ることだけに特化するのも1つの戦略じゃないかなと思います。

田中:ディレクター的な単価の上がり方じゃなくて、専門職として単価が上がるパターンって、例えば実際にどんなものがあるんですかね。

大滝:本当にできる方だと、紹介だけで案件が回ってるので。紹介とかリピートだけで回るようになると、単価も自分の言い値で受注できるようになっていく。もうそれこそ本当に動画制作や編集しかやってない方でも、月に200万円以上稼いでる方もぜんぜんいますし。

Web制作だけをやってて100万円稼いでる方もぜんぜんいらっしゃるので。逆に2~3年その技術にしっかりフォーカスすれば、そこまでいけることもあります。

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