2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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丸尾浩一氏(以下、丸尾):みなさん、おはようございます。いよいよIVSも最終日になりました。おかげさまで1万人を超えるIVSフェスティバル、「フェス」という感じになってきました。
今日も朝早くからお集まりいただきありがとうございます。今日は、サイバーエージェントの藤田さんに、久しぶりにIVSに帰ってきていただきました。
(会場拍手)
丸尾:ありがとうございます。私もサイバーエージェントの藤田さんとは、大和証券の時に、担当部長から担当専務まで10年以上。そこからさらにお付き合いさせていただいて、ずいぶん長くなります。本当は、前回の那覇に来てくださいと頼んでいたんですけど、「那覇だけはどうしても嫌だ」ということでした。なんで嫌だったんですかね?
藤田晋氏(以下、藤田):覚えていないです。すみません。
丸尾:覚えていない(笑)。ということで、今回、京都に来ていただきました。
(参加者が)1万人を超えるIVSは、こういうスタートアップカンファレンスでは日本最大と言ってもいいのではないかと思います。そのメインセッションとも言えるかたちで、今日は藤田さんに来ていただいています。
さっそく、スタートアップ経営塾「藤田晋vs次世代メガベンチャー」、始めたいと思います。
私はモデレーターを務めます、株式会社Major7th代表の丸尾でございます。世の中的には「大和証券元専務、丸尾さん」ということで、HeadlineAsiaのIVSのアドバイザーも務めています。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
丸尾:登壇者の紹介ということで、まずはサイバーエージェントの藤田社長です。
藤田:よろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:藤田さんには、実は昨日から入っていただいて、ABEMAでも配信している麻雀プロリーグの「Mリーグ」のサイドイベントにも来ていただきました。昨日は結局、プロとやった試合は(どうなりましたか)?
藤田:プロに負けましたし、家族麻雀しかしたことがない人にも負けました。
(会場笑)
丸尾:なるほど。ここが、優しいところですね。
藤田:いやいや、一生懸命やっています(笑)。
丸尾:昨日は抽選で選ばれた3名と藤田さんが麻雀を打つイベントもさせていただいています。藤田さんにはあとでゆっくり、過去を振り返ってもらうようなお話をしていただこうと思いますので、楽しみにしていてください。
(会場拍手)
丸尾:続きまして、ROXXの中嶋社長でございます。
中嶋汰朗氏(以下、中嶋):よろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:中嶋さんはいつもこうやって革ジャンを着ているんですけど、今期は売上が数十億円規模、来期はその2倍くらいになる見込みということで、超急成長していると聞いています。みなさんも利用されていると思いますが、いわゆる「back check」をはじめ、最近は「agent bank」が引く手あまたですか?
中嶋:そうですね。スタートアップだと、オンライン完結型リファレンス/コンプライアンスチェックサービスの「back check」という前職の評価とか犯罪歴とかをチェックするサービスのほうが知られているんですけど、実は祖業でずっと人材業をやっていました。
人手不足ですから、今はあまりキャリアがない非大卒とか非正規の方の正社員化がめちゃくちゃ伸びています。あまり積極的なプロモーションはしていないのですが。
丸尾:なるほど。
中嶋:丸尾さんが、今売上規模をパッと言ってしまいましたが、みなさんできるだけすぐに忘れていただけるとありがたいです。
(会場笑)
丸尾:という予測ね。
中嶋:あくまでも予測でございます。
丸尾:ということで、中嶋さんです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:続きまして、No.1の産直ECサイト「食べチョク」で今話題の秋元里奈さんです。
秋元里奈氏(以下、秋元):よろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:こちらも、ご実家が農家だという想いもありまして、サービス開始から5年半で8,900件。ユーザー数も90万人くらいで、すごいですね。テレビでは『Nスタ』のコメンテーターもされています。
秋元:ありがとうございます。「食べチョク」の説明をしたほうがいいですか?
丸尾:どうぞ。
秋元:ありがとうございます。私は起業して7年くらいですが、「食べチョク」という、全国の生産者さんと消費者さんをつなぐオンラインの直売所のようなサービスをやっています。
最近は法人向けの事業をしたり、果物のサブスクをやったり、いろいろがんばっております。今日はよろしくお願いします。
丸尾:よろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:続きまして、UPSIDER宮城さんです。「遅れるかもしれない」という電話があって、焦りましたよ。今しがた来たんですね。間に合ってよかった。
昨日ちょうど発表になりましたが、スタートアップにして、銀行からのシンジケートローン80億円という発表をプレスリリースしています。
法人向けの金融ビジネスのスタートアップで、シンジケートローンを取るのは難しいと思うんですけど、このへんはどうですか?
宮城徹氏(以下、宮城):ありがとうございます。まず、直前の到着で申し訳ございません。みなさんよろしくお願いします。
実はここに並んでいる方々も、みなさま、私たちのUPSIDERのユーザーさまです。この会場にもたくさんいらっしゃると思います。みなさまのおかげで成長しておりまして、今、合計で2万社の法人のお客さまにサービスを提供しています。リリースから2年半で大きく成長しています。
今は法人カードが中心ですが、先日、「UPSIDER Coworker」という、請求書管理やワークフローを、管理側のガバナンスを強化しながら現場側の意思決定も加速化する、まったく新しい体験のサービスを発表したり、グロースステージ向けの融資のサービスを発表したりしています。
あらゆる観点で、お金の面で成長企業の方々を支えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
丸尾:言いたいことがいっぱいあると思いますけど、ありがとうございます。それでも、累計では600億円の資金調達、すばらしいですね。いわゆる法人向けのクレジットカードということで、宮城さんでございます。
宮城:どうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
丸尾:続きまして、ご存知『バチェラー・ジャパン』シーズン4の黄皓(コウコウ)さんです。
黄皓氏(以下、黄):みなさん、よろしくお願いいたします。黄と申します。
(会場拍手)
丸尾:めでたくストーリーどおり秋倉諒子さんと結婚されて、仲睦まじくいられることと思います。
ビジネスも、一番解約率の少ないリアルのフィットネスを目指しながら、一方でヘルステック分野にも広げられていると聞いています。『バチェラー』の話を聞きたいかもしれませんが、せっかくですから、このあたりもお願いします。
黄:『バチェラー』はAmazonの縛りが大きいのであれですけれども、みなさん、あらためてよろしくお願いします。
今回、タイトルに「メガベンチャーのスタートアップ」と書いてあって、うちだけ明らかにメガベンチャーではないのですが、知名度とフォロワーではメガベンチャー級なので、今日はいろんなお話ができればと思います。
丸尾:俺が言おうと思ったんだけど(笑)。
黄:(笑)。今は「MIRROR FIT」という、IoTのスマートミラーを通して運動を受託で届けるサービスをやっています。
「自宅の鏡で運動なんかするかよ」というお声をけっこういただくんですが、実は月間の解約率が1パーセントを下回るくらい、お客さまには頻度高く使ってもらえるサービスを展開できています。
これから徐々に規模を大きくして、登壇されているみなさんにちゃんと業績でも並べるようにがんばっていきたいと思いますので、今日は1日よろしくお願いいたします。
丸尾:どうもありがとうございます。
(会場拍手)
丸尾:今話題の登壇者ということで、藤田さんを囲んで、さっそく始めてまいりたいと思います。
せっかく藤田さんに来ていただいているので、ここはサイバーエージェントの話を、振り返りも含めてお願いしたいと思います。
藤田:あらためまして、よろしくお願いします。丸尾さんとも長い付き合いがあります。IVSのアドバイザーになられたとのことで今回来てみたら、パンフレットに劇画調で、僕の写真を大きく載せてもらっています。
「期待に応えてしゃべらないと」と思っているのですが、ちょっと期待値を下げていただいて。たいした話はできないですけど、よろしくお願いします。
サイバーエージェントは創業25年の会社で、昨年度の売上が7,100億円です。これが創業来の売上グラフです。25期連続増収なのは胸を張りたいところですけど、ここに至るまでにいろんなことを言われました。
今の事業は「広告」「ゲーム」「メディア」「投資」と4つの大きな分野になっています。
僕の本を読んでもらっている人もいると思うので、経歴を簡単にお話ししますと、福井県で生まれて18歳まで過ごして、青山学院大学経営学部に入学しました。
(大学時代は)雀荘で働いていたので麻雀を毎日やっていて、当時はプロになる気持ちもありました。今は「Mリーグ」という麻雀プロリーグを立ち上げて、そのチェアマンに就任し、プロの活躍の舞台を作る立場になって、大変満足しています。
麻雀ばかりやっていたものだから留年して、その間にベンチャー企業でアルバイトをしていました。そこで、当時31歳くらいの若い経営者たちとの付き合いが生まれ、「自分もできるかも」と思ったのが今に大きく影響しています。
「経営者になりたい」と思っていましたが、その一方でそれまではリアルなものとしてピンときてなかった。そういう意味では、IVSみたいなイベントで、同世代の経営者に触れるのは非常に意義が大きいと思います。
藤田:漠然と「社長になりたい」と思っていたんですけど、僕の中では1冊の本との出会いが、自分のやりたいことを決めることになりました。この『ビジョナリーカンパニー』という本を読んで、すばらしい会社を作ろう、芸術作品のような会社を作ろうと思った。
そして、現パーソル(キャリア)のインテリジェンスに新卒で入って、USEN-NEXT GROUP社長の宇野(康秀)さんと出会いました。その1年後に、宇野さんからも投資を受けて、サイバーエージェントを設立しました。その時が24歳です。
そうこうしているうちにインターネットバブルがやってきて、創業2年、26歳の時に上場しました。この時は「運がよかった」とか「流れをつかんだ」とか言われましたが、それは半分合っているし、僕の感覚では半分は狙っていました。
こういうバブルは、今でいうと生成AIバブルかもしれないし、ちょっと前だとDXとかメタバースとかWeb3とかいろいろありますけど、そのどれが本物で、どこにポジションを取り、どのタイミングを見極めるかは主体的なものです。
とは言いながら、翌年にバブルが崩壊して、たくさん叩かれたり痛い目にあったりして、あらためて、我々は中長期に経営をしているから、中長期に働く人を奨励するようにして、人を大事にしようと、今の会社の原型に変わりました。これが創業して4年経った時です。
これを見ていただくと、1998年に創業して2004年に黒字化しているので、6年かかっているんですね。未上場でも大変かもしれないですけど、上場して3ヶ月に1回決算発表をするようになると、そのたびに赤字、赤字と言われるので、6年赤字を出し続けるのは本当にしんどくて。それでもやっぱり規模を大きくすることを最優先に考えていました。
メガベンチャーと言われますが、「損益分岐点トントンくらいをさまよっても意味がないんだ。営業利益を何十億円レベルで出さないとダメだ」と思ってやってきました。
正直、創業2年で上場して225億円調達したのが非常に大きくて。要は、開き直って腹を決めれば会社は潰れないので、何を言われようがやり切ればいい。
有望な分野で人を採用し、先行投資をしながら会社を大きくする。スタートアップ界隈ではよくいますけど、ある意味、大きく調達できた会社は成功する確率が高くなります。
ちなみに黒字化した後の2006年に『渋谷ではたらく社長の告白』という本を出したんですね。これは、この赤字期間を振り返って、いろいろ言ってきた人に対する復讐の意味もありました(笑)。
藤田:そのあと、利益率の高い事業構造にするために、メディアやコンテンツ、今のゲームにつながる事業の立ち上げに挑戦するのですが、その時も本当にいろいろ言われました。2009年にAmebaが黒字化して、ここでもう1回『起業家』という本を書きましたす。
長い時系列で見ると、みんな「そういうことだったんだ」とわかってくれるのですが、結局そのプロセスは、経営者以外はほとんど誰も理解してくれないと思ったほうがいいです。
丸尾:その時、大和証券の当時のカンファレンスで「Amebaが黒字にならなかったら辞める」とおっしゃったんですよ。
藤田:それが記事になっちゃったんですよ(笑)。そのあと、2012年にスマホの波が来た時に、事業をスマホシフトしたのですが、その際は社内で思い切ったイノベーションをやったんです。
スタートアップ経営者のみなさんも、リーダーシップを執るのが大変な局面があるかもしれませんが、2回くらい思い切った大胆な改革をやって成功させると、「また藤田さんが言っているわ」と、これまで結果を出して繰り返してきた信用が積み重なっているので、みんながついてきてくれるようになるんです。このへんから社長業がすごく楽になったんです。
そして2016年開局の「ABEMA」は、大きな投資をしながら今もなお集中して立ち上げています。
また3年後にサイバーエージェントの社長を新たに決めて、私は会長になります。これから10年、60歳になる前までには、なんとかちゃんと引き継ごうと思っています。本物のパブリックカンパニーを作る気持ちでやっています。以上でございます。ありがとうございました。
(会場拍手)
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