2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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伊藤健太氏(以下、伊藤):2つ目の話に入っていきます。(スライドに)「起業準備という考え方の失敗」と書いています。僕みたいなポジションだと、「これから独立します」という人にも、「独立しました」という人にもたくさんお会いしています。
その結果、この人は1年後にうまくいったとか、うまくいっていないとかも見ていて、うまくいった人といかなかった人は、考え方や具体的な行動の仕方、発言とかが全部違うんですね。
僕は起業準備という考え方は、極めて危険だと思っています。
今日、起業準備中の方もたくさんいらっしゃると思うんですが、考え方をちょっと変えていただいたほうがいいと思いますので、お話しさせてください。
準備というと、なんとなく保守的な、ちょっと逃げている印象を相手に与えてしまうと思います。「今は準備中だからできていなくても仕方ないですよね」ということです。
たまに名刺交換させていただいて、「起業準備中です」とか「独立準備中です」と書かれている名刺を渡されることがあるんですが、それを見てしまうと、なんかもったいないなと思うんです。
(スライドの)下に、「シリコンバレー視察の日本人」と書いています。シリコンバレーはITの聖地と言われるところです。AppleやGoogleの本社があるところですね。
日本人はとりあえず(シリコンバレーに)視察に行く。勉強しに行く。でも、日本人と向こうで活躍する経営者の人が会っても、最初はいいんですけど、せっかく話をしても、その後、何のビジネスにもならない。
日本人は話を聞くだけで終わって、何もやらない。この繰り返しなので日本人が来てもシリコンバレーの人は誰も相手にしたくない。現状、時間が奪われて無駄になるだけだ、となっているんですね。
これはけっこう起業準備の人にも言えると思います。自分で「起業準備」と言って、自分を守っているわけですね。そういうつもりじゃない方もたくさんいらっしゃると思うんですが、「準備」と言うことで、そういうつもりがなかったとしても、「今できていなくてもいいですよね」とか、外国の人にはそういう印象を与える可能性もある。
独立・起業した後は、誰かが助けてくれるわけじゃないんです。ある種当たり前ですけど、「弱肉強食」の世界観だったりします。守ってくれる人なんていないです。とにかく自分が1人でうまく開拓して、生き残っていかないといけない世界があるわけです。
例えば「準備中なので今うまくできていなくてもいいですよね」とか、「今僕が説明してもうまくできない。うまく説明できないのは準備中だから仕方ありません」というのが前提の準備中の人は、やめたほうがいいかなと思います。
伊藤:当たり前ですが、真剣でない人には誰も協力してくれません。「シリコンバレーの日本人」というのをぜひイメージしておいていただきたいと思います。
「すでに本番」という意識が結果を変えると思います。「準備と言うな」ということじゃないんですけど、逃げないでください。
例えば、準備中という人に「商品はどんなものを考えていますか?」とか「サービスはどんなものを考えているんですか?」と聞くと、「いや、まだ準備中だからできていないんです」と答えて、商品やサービスについて何も言わないわけですよ。
本当に考えていないのかもしれないですけど、考えていないんだったらそれはそれでもったいないことです。
僕が優れているということではありませんが、僕も今、ものすごく忙しい中で、お会いする人は自分の中で決めています。誰でもお会いするという感じではないわけです。基本的にはお金が発生していたりするわけですね。
優れている人ほど、資本主義の中ではお客さんがたくさんいるので、時間価値が高いわけです。時間価値が低い人は、それだけ仕事がないということです。なので、やはり経験値がぜんぜん違うわけです。
すごくわかりやすく言うと、「手術を1万件やっています」という外科医と、「手術は1件しかやっていません」という外科医は、レベルがぜんぜん違います。どっちのほうが仕事ができるかって、当たり前ですけど1万件やっている人です。次元が違うくらい、1つの仕事に対してのクオリティも高いわけです。
起業は学問ではないので、座学で知識として学んだ人のアドバイスと、現実でさまざまな会社をお手伝いしている人のアドバイスは違うわけですね。
それが支援サービスじゃなくても、例えば仲良い先輩の社長とか、「もう事業をやっています」という人にお会いできたら、本来はチャンスなんです。そのチャンスを活かせるか、活かせないかに、起業する人の真価というか力の差が分かれると思っています。
伊藤:その時の大前提として、「自分は起業準備中だからできなくてもいいや」と思っていると、そのチャンスを絶対に活かすことができない人になります。相手の人も「この人は真剣じゃないな」とすぐにわかってしまいます。
僕も目の前の人が真剣にやる人じゃないとわかったら、時間を真剣に使おうと思わないので、適当なことを言っちゃうわけですよね。
例えば実際に商品・サービスがなかったとしても、今想定しているものをあたかもあるかのごとく「こういうことを考えているんですけど、よかったらアドバイスください」と言えるか言えないか。
それが今の段階でうまくできている・できていないに関係なく、今自分が考えていることをしっかりと伝えて、機会を活かすかたちに持っていけるかがとても重要です。
「いつか起業できたらいいな」という人はたくさんいらっしゃると思う。その思考になるのもわかるんですが、いつか起業したいと思う人は、ある意味、チャンスを誰かに委ねているのと一緒です。なかなかそんなことは訪れない。
準備中だったとしても、いつかやりたいなと思っている人であったとしても、もう今から「起業している」という意識を持っていただいく。
起業における最大の難しさは、売上が上がらないことです。今からでも「自分がやりたいことでどうやったら売上を作れるか」という意識の中で毎日を過ごしたら、今までとはまったく違った解像度で世の中が見えたり、そういう意識じゃなかった時に比べると目の前でお会いした人が格段にチャンスに見えてきたりするわけです。
みなさんがゴールの設定をどれだけ解像度を上げてできるかによって、一人ひとりのアポイントや、お会いする機会、学習する対象もまったく違う結果になるというのがここでのお話です。
伊藤:3つ目は、(スライドに)「すべて揃うまで何もやらない失敗」と書いてあります。これは本当によくある話です。起業の世界で一番やってはいけないことは何か。「何もしないこと」です。動かないことが最も悪いというのが起業の世界。
みなさんに、とにかく何かをやってくださいと強引に焚きつけているわけではありません。「何もやらない」は起業の世界では一番やってはいけないことだと、ぜひ理解していただきたいと思います。
目の前の商品を提案してどんなに断られても、そこから何かを得て「改善していこう」とか、「今日の説明は、昨日よりここはうまくできたけど、ここはうまくできなかったな」とか。必ず改善につなげていくのが良い起業家です。
良い起業家たらしめているのは「改善の力」と言っても過言ではありません。当たり前ですが、それだけアクションしているので、改善の機会がある。改善の回数がたくさんあるので、良い商品やサービスになったり、うまく説明ができるようになります。
能力が優れているからうまくいくんじゃないんですね。能力が優れているんだったら、当たり前ですけど、東大の人とか、すごく良い大学を出ている人とか、大手企業の人とか、なんとなくうまくいきそうですよね。まったく関係ありません。
起業の世界における能力は、「改善をいかにできるか」という力です。改善ができる力を言い換えると、誰よりもたくさん打席に立てる力。だから、たくさん動けるかどうかに行き着くわけですね。
ちょっと頭で考えて、なんとなくうまくいかないんじゃないかとか、1回やってみて嫌な思いをしたとか。「こんなの売れるわけないじゃないか」と言われて、「そうなんだ」と思い込んで次のアクションができなくなってしまうんですね。そういう方だとやはり難しい部分があります。
伊藤:まず、ルールとしてわかっていただきたいのは、「何もしないこと」は起業の世界では一番建設的ではありません。
独立前の方や独立したての方であまりうまくいっていない方とお話しすると、「これができるようになったらこれをやろうと思っています」という発想の方がすごくいらっしゃいます。「AとBとCが全部集まったら前に進もう」という発想の方は、ちょっと難しいと思っています。
何が言いたいかというと、起業はいつもリソースがないんです。完璧な状態になってから進めることが物理的にできないのが、起業の世界です。完璧な状態が来るなんてことはないんです。
いつも足りない状態の中で進めながらなんとかしていくのが正しく、すべての起業している人たちがやっていることです。ある程度何かを諦めて前に進んでいくことがとても大切だと捉えましょう。
最初の話に戻りますが、一番難しいことは売上を上げることです。売上が上がった後に訪れる問題を、売上が上がってもいない時に全部理解してから進めようとするうこと自体、意味がない話です。
そういうことを考え始めると永遠に終わらず、「何もしない」という状態になってしまうわけです。なので、「完璧な状態はない」とわかっていただきたいなと思っています。
「失敗をしたくない」という前提の元で、いろんなフォーマットが作られています。起業の世界観は、これまで生きてきた日本社会のフォーマットがぜんぜん合いません。自分の中で考え方のルールを変えていけるかが、とても大切だと思っています。
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