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スモールビジネス「起業後の心得」~成功する起業家とは?~(全5記事)

起業家が考えるべきは、1年後の雨ではなく「センターピン」 創業間もない企業約1万社の売上UP支援をして気づいたこと

東京・立川を拠点に起業に関連したさまざまなイベントを開催しているStartup Hub Tokyo TAMA。本記事では、13年間で1万社超の中小企業・個人事業主を支援した株式会社ウェイビーの伊藤健太氏が登壇したイベントの様子をお届けします。今回は、起業後の一番の悩みや、「起業のリスク」の正体などが語られました。

起業後の一番の悩み

伊藤健太氏(以下、伊藤):みなさん、本日はよろしくお願いいたします。株式会社ウェイビーの伊藤と申します。

本日は、これから独立される方からすでに独立の準備に入られている方、もうすでに独立されている方とかいろんな方がいらっしゃると思います。みなさんのお役に立つお話ができたらいいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

最初に簡単な自己紹介だけさせていただいて、本編に入らせていただけたらと思っております。

僕は、大学を卒業して23歳から起業する人のご支援をずっとやっています。一応、行政書士の資格を取っていましたので、いわゆる会社を作るお手伝いと、会社を作った後に銀行からお金を借りて事業をやられる方の融資のお手伝いをやっていました。

困りごとというのは、究極的には「売上が上がっていきません」に終始するのをたくさん見ました。

会社を作るとか、会社を作った後の資金調達のお手伝いとか、補助金のお手伝いとかは僕じゃなくてもできるなと思いましたので、どちらかと言うと、「売上が上がっていかない」という部分でうまくお役に立てないかなと思ってコンサルティングの会社を作りました。

かっこよく考えればコンサルティングっぽい企業なんですけど(笑)、実態としては、とにかく何があっても、どんなことでもお客さんの売上につながるようなことができないかを、泥臭くサポートすることを、行政書士の次の事業としてスタートしました。

そこでのお客さんは1万社くらい。業種や地域もまったく問わず、独立した方の、特に売上を上げていくところのお手伝いを10年くらいやっています。途中でITの会社にちょっと脱皮したりとかしました。会社としては、いろんな進化・成長があって、そんなことをやっています。

東京にずっと住んでいたんですが、去年の11月末に熊本に引っ越しまして、今日も熊本の自宅からお話しています。そのため、今は地域にもたくさんお客さんがいらっしゃいます。どこで独立するかみたいなところもお話ししたいと思います。

僕も東京にずっといて、全国にお客さんがいたものの、自分自身が地域に身を置いて感じることもあります。そういったところも含めて、今日はお話しできたらなと思っています。

「起業のリスク」の正体

伊藤:では、今日の本題に入っていけたらと思います。

最近は、デジタルを使っていかに会社を変革していくかが一番のトレンドだったりします。そのため、事業をやられている経営者の方に向かって新しい事業開発や、新規事業×DXのテーマでお話しさせていただくことが多かったのですが、僕のベースとしてはゼロからイチを作るというところで、独立される方や起業される方のお手伝いをずっとやっています。

今日は久しぶりに、独立・起業前の方向けにお話しさせていただけるので、僕なりに少しまとめ直したものをご紹介させてください。

僕が独立・起業の支援をさせてもらっていた時に、すごい確率で聞かれたのはリスクのことです。みなさん、リスクがすごく気になるわけですよ。当たり前ですよね。「リスクが、リスクが」となる気持ちはわかるんです。

ただ、最初に申し上げておくと、やはりリスクがないことなんて世の中にないんですね。まずこれが結論です。正しく言うと、リスクの存在をいかにうまく許容できるか、うまくコントロールできるかが大切です。

なので、「リスクなく起業しましょう」という文脈はほとんどの場合、嘘というか、そんなうまい話はなくて。リスクは必ず存在している。リスクって悪いものじゃないんですね。いわゆるリスクがないところにチャンスなんてありません。

大切なのは、リスクの存在を自分が許容できるかどうかということと、「どこまでだったらリスクが取れるか」というリスクの取り方じゃないかなと思っています。

「起業ってなんかリスクだよね」という文脈で語られることがすごくあると思うんですが、めちゃくちゃ解像度の低い議論だなと思います。「起業におけるリスクって果たして何だっけ?」ということをちゃんと分解して考えたほうがいいと思います。

みなさんのお話を聞いていると、リスクの行き着く先はほぼお金のことになります。これがリスクの正体です。いわゆる起業の文脈におけるリスクのほとんどにお金が含まれている。

さらに分解していくと、サラリーマンの方であれば、パフォーマンスが高い低いに関係なく、毎月月末や25日、15日とかに決まったお金が振り込まれることが決まっているわけですね。それがいわゆる安定している状態です。

それに対して、起業すると決まったお金が入ってくるかはわかりません。売上・利益が出るかがわからないので、収入が不透明になるというところですね。これが、みなさんがいわゆるリスクとおっしゃっていることだと思います。

起業後に訪れる、最初にして最難関の課題

伊藤:リスクを感じることは仕方がないことです。ただ、漠然と「起業なんか安定しなさそうですよね」とか、「売上が上がらなくてお金にならなかったらどうする?」と考えて、「このままじゃ違うな」と思いながら結局、今の生活を続けたり。

または「どこかで1回チャレンジしたいと思っているものの、リスクが気になってしまって前に進みません」ということだと、人生の時間を無駄にしているわけですね。

なので、「解像度をしっかり上げて、リスクの正体を捉えることができると、実は建設的に解決していくことができるんじゃないですか?」という話です。

起業後に訪れる、最初にして最難関の課題があります。最初が一番大変なんですね。わかりやすく言うと、車が止まっています。この車を動かさないといけません。これが起業です。

動き始めるとタイヤが少しずつ回っていく。ちょっとスピードがついてくると片手で押し続けられるかもしれないけど、やはり最初の止まっている状態の車を動かすってめちゃくちゃ大変なわけです。

起業は、最初に一番大変なことが訪れる。なので、起業が難しいのだと思います。

起業のリスクの正体をお話ししました。なので、まずみなさんは「売上・利益を出すこと」だけにフォーカスすればいい。それ以外のことは逆に何も考えなくていいですよ、と僕は思います。

よくいらっしゃるんですが、例えば、「自分は税金に対して詳しくありません」「経理をもっと勉強しといたほうがいいですか?」と税金の心配をされるとか。正直に言ってまったくいらない。まったくいらないというのはちょっと言い過ぎかもしれないですけど。

売上が出ない限り税金を払う概念はありません。売上が出るから税金の支払いが必要になる。そういう順番です。売上が出ない限り、人を雇うわけにはいきません。

まず1個が解決するから、次のことが起きるわけです。独立・起業においてうまくいかない人は、1個目がうまくいっていないにも関わらず、1個目がうまくいったことによって生じる2個目、3個目のことばかり気にして、1個目のことに集中したり、エネルギーをかけられていない状態です。

起業家が考えるべきは、1年後の雨ではなく「センターピン」

伊藤:「1年後、雨が降ったらどうしよう?」と気にする人がたくさんいます。それって、みなさんが今考えることじゃないですよね。今考えなくていいですよね。

本当に今考えているんだったらまだいいんです。それを理由にして何もやっていない、今のまま今の場所に立ち尽くしている方が、独立・起業前の方にたくさんいらっしゃいます。

でも正直、その思考だとまったく前に進めません。何が大切か。並列というより直列で、まず何をやるべきかということ。まずは何がセンターピンなのか。

センターピンとは、ボウリングですね。ボウリングでストライクを出そうと思った時に、センターピンといって一番前に立っているピンにちゃんと良い角度で入っていかないと、基本的に全部倒れないわけです。

なので、目指すべきはセンターピン。1個のアクションで全部が倒れるようなところに集中をして、1個1個片付けていくのが大切です。

独立・起業においては、すべての人に共通して「売上・利益を上げていく」。これだけを考えたらオッケーです。

売上・利益があれば、誤解を恐れず言えば、お金で解決できるものはたくさんある。みなさんが税金のことに詳しくなくても、お金があれば税理士さんにお願いをしてやっていただくことができるようになったり。

エネルギーを分散させず、1つに集中する

伊藤:なので、何をしないといけないのかを、しっかりと時系列で整理する。「これができるからこれが起こる」「これができなければこれは起こらない」という関係です。それをちゃんと理解して、1個に集中してやる。

止まっている状態の車を動かすのは相当なパワーがいるんです。ほとんどの人は動かせないんです。だからこそ、よそ見をしたり、こっちのことを気にしながら片手で車を押すなんてのはできません。

最初は、何がなんでも売上を上げる。これだけにフォーカスをしてほしい。「ここだけに集中しない限り、次のステップに進めない」と思っていただくといいかと思います。

売上を上げるために何をすべきかを逆算して、そのことだけをやることが大切です。

仲間作りかもしれませんし、営業・マーケティング活動かもしれませんし、スキルアップなのかもしれません。やるべきことはいろいろとあるということです。

僕も起業の本を読んでいて、合っているけど、正直それじゃないですよねっていうことがあります。どれだけ支援した人がいるかという経験値によって、解像度の違いがありますが、僕は幸い、1人の人が経験できる数としては国内でも最大の数をやってきたと思っています。

たくさんのお客さんを見させていただく中で、「この人はなんでうまくいったのか」「この人はなんでうまくいかないか」を分類しながら、自分なりに納得するかたちで理由を突き合わせて、解像度を上げてきたつもりです。

最初にやるべきは「しっかりと売上を上げていく」こと。ここから目を背けないということですが、こんなにうるさく言っても背けるんです。やらなくなっちゃう。売上を上げることではないことにエネルギーを使い始めます。それではうまくいかないことを最初にご理解いただけるといいかと思います。

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