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IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO Lypid (全1記事)

スタートアップが開発した「世界初の植物由来の豚バラ肉」 料理の可能性を広げる、代替食肉市場の可能性

「IVS2023 KYOTO」内にて、次世代の起業家の登竜門とも言われる日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」が開催されました。本記事ではLypidのJen-Yu Huang氏による、植物肉を本物の肉のような味わいにする代替油脂「PhytoFat」のプレゼンテーションの模様をお届けします。

ビーガン脂質で作られた、まるで肉のような食品

ジェン・ユ・フアン氏:こんにちは、ジェン・ユ・フアンと申します。私は、Lypidの共同創業者でありCEOです。Lypidは、代替脂肪に焦点を当てたアメリカの食品技術スタートアップ企業です。我々は、目に見える、脂肪質の肉を業界にもたらしました。

脂質は肉を美味しくするためのカギとなる要素です。直近で肉を食べた時のことを思い出してみてください。脂質が味や匂いや満足感を与えてくれたのです。しかし、課題となっているのは、植物由来の食肉セクターに、目に見える、うまみのある脂質が存在しないことで、我々がこれに取り組んでいく予定です。

では、現在の解決策を見てみましょう。植物由来の油はほとんどが液体で、調理を始めると動物性脂質とは全く異なった性質を持ちます。我々は、コーネル大学ですべての研究を行いました。これはPh.Dリサーチに基づいたものです。

我々は、物理を活用して液体油を個体組織に変えることに成功したのです。これは我々のイノベーションであり、「PhytoFat」と名付けました。これはビーガン脂質でありながら、動物性脂肪のような特性を持ちます。

しかし、主たる構成要素は野菜由来の油で、オリーブ油やキャノーラ油だったりしますが、固体組織なのです。そしてこの技術は今年、イギリスでワールド・イノベーション・アワードを受賞しました。この受賞は我々の開発技術への大きな評価であり、小さな食材が業界全体に衝撃を与えました。

代替食肉の新たな可能性

この技術は、マイクロカプセル化という技術を使っています。植物由来の油をカプセルに閉じ込める方法を見つけ、固体組織へと構造化し、その後、この固体脂質を活用して塊肉を作るのです。

実際に見てみましょう。PhytoFatはとても融点が高く、200度の高温で調理しても安定しています。この重要なイノベーションにより、代替食肉の可能性を解き放つカギを手にしたのです。

では、本日ご来場のみなさんに、世界初の植物由来の豚バラ肉をご覧いただきましょう。この音を聞いてください。これが食肉の未来です。美味しいだけでなくサステナブルであり、そしてよりヘルシーでもあります。

我々は、この製品のカロリーと飽和脂肪を30パーセントカットしました。動物性食品よりも、より良いものとなっています。

素晴らしい料理、そしてさまざまな地域の料理をみなさまに提供するため、我々は数多くのシェフやレストランと協働しています。みなさんもよくご存知の通り、豚バラは誰もが好きな食材で、ベーコンや煮込み料理、BBQや角煮など、とても幅広く使われています。つまりLypidは、ジューシーで目に見える代替食肉を市場に提供するリーディング企業です。

そして同業他社の製品と比較すると、我々の製品は塊肉を提供できるなど、より多様な形体で提供することが可能です。ですからひき肉だけではなく、もっと多様なことができるのです。

日本は代替食肉消費のトップ消費国

現在Lypid社の製品は、台湾やアメリカなど500店舗以上の店に卸されており、日本など販売網をより多くの国に広げたいと思っております。実は、日本は代替食肉消費のトップ消費国なのです。ご存知でしたか? 日本人は、世界平均の2倍の量の植物由来食肉を消費しているのです。ですから、この国には多くのチャンスがあります。

そして、日本料理は西洋料理とは大きく異なります。ですから我々は、植物由来食肉を和食に対応できるようにしなければなりません。

代替食肉市場は、いまだ従来肉の2パーセントしか占めていません。ですから、まだまだ伸びしろはあるのです。

同様にLypidは、脂質は食肉や豚バラだけだと考えていません。豚バラは、ほんの始まりにすぎないのです。和牛、刺身、そしてさまざまな魚介類にも広げていきます。さらに重要なのは、ベイキング業界や製菓業界です。

今年、我々はCOP27に招待されました。なぜだかわかりますか? 今日、温室ガスを最も多く排出している業界が何かをご存知ですか? 実は食品産業なんです。エネルギー産業でも、輸送産業でもなく、食品産業なんです。食品産業が気候変動に大きな影響を及ぼしていることに、対処しなければならないのです。

そのような理由から我々は招待され、食品開発技術がサステナブルに、かつ美味しさを追求した食品をどのように提供できるのかを披露しました。みなさまには、Lypidが牽引するこの食品改革に参加してほしいと考えております。ご拝聴ありがとうございました。

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