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今話題のバチェラー&バチェロレッテ起業家に聞く、スタートアップ経営者のメディア戦略(全4記事)

男性なら言われない「いつまでビジネスするんですか?」の声 起業家・尾﨑美紀氏が『バチェロレッテ』に出ると決めたわけ

「次世代の、起爆剤に。」をミッションに掲げる日本最大級のスタートアップカンファレンスIVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)。2023年は京都で開催されました。本セッションでは「今話題のバチェラー&バチェロレッテ起業家に聞く、スタートアップ経営者のメディア戦略」の模様を公開します。Amazon Prime Videoのリアル婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』『バチェロレッテ・ジャパン』に出演した起業家として、2代目バチェラー小柳津林太郎氏、2代目バチェロレッテ尾﨑美紀氏、4代目バチェラー黄皓氏が登壇。経営者として「メディア」に出ることの価値について語られました。

バチェラー&バチェロレッテ起業家が考えるメディア活用法

黄皓氏(以下、黄):みなさん、こんにちは。よろしくお願いします。

小柳津林太郎氏(以下、小柳津):みなさんよろしくお願いします。

尾﨑美紀氏(以下、尾﨑):よろしくお願いします。

:意外と(多くの)みなさんが来てくれて良かったですね。

小柳津:本当にそうですよね。

尾﨑:ありがたい。

:タイトルに「今話題の」と書いてあるのに、参加者がいなかったらどうしようってなるじゃないですか(笑)。

尾﨑:(笑)。

小柳津:そして、英語の字幕が自動的に出ていてすばらしい。

:これはリアルタイムで通訳されてるっぽいです。今日は私がモデレーターを務めさせていただきます。

今話題のバチェラー&バチェロレッテ起業家が、どういうふうにメディアを使われていて、どういう向き合い方をしていくべきなのか。当然、大変なこともありますけど、今日は「どう向き合ってどう活用するか」っていうポジティブなほうで、いろいろとお話ができればと思ってます。

宣伝ではないんですけども、8月3日から『バチェラー』のシーズン5が始まりますので(笑)。

小柳津:そうだ、8月3日だ。

尾﨑:楽しみ(笑)。

小柳津:(参加者が)誰か、俺はまだわかってないんだけど。

:近々発表があるとかないとか(笑)。

小柳津:そうなんだ(笑)。またスタートアップ界隈かどうか。

:そうですね。「またかよ」みたいな人が出てくるのか。「そういう人もいるんだ」っていう楽しみもあります(※イベント開催後の7月7日、長谷川惠一氏が5代目バチェラーを務めることが発表された)。

そのへんは今日はお話しできないんですけど、さっそくセッションを始めさせていただきます。

toC・toBのさまざまな事業を展開

:最初に、今日の登壇者を紹介させていただきます。2代目バチェラーを務めました、小柳津林太郎さんです。

小柳津:みなさん、こんにちは。あらためて、小柳津林太郎と申します。

(会場拍手)

:よろしくお願いします。

小柳津:簡単な自己紹介をさせていただきます。僕は、2006年に新卒でサイバーエージェントに入社して、社会人3年目でCyberXっていう子会社を作りました。ガラケー時代のサイト制作から、ガラケーのソーシャルゲーム、そこからスマホのソーシャルゲームをずーっと作ってまして、実は9年ぐらいゲーム畑でやっていまして。『バチェラー』に出たあとは「AbemaTV」でなぜかアナウンス室長をやっていました。

:やってた!

小柳津:そうなんですよ。若い女性アナウンサーたちをマネージするという仕事をなぜかやっていたんですけど、意外と大変だったんですよ(笑)。その後に独立して、今4年半ぐらい経つんですけど。ここの2人と違い、自分が大きなリスクを取って、Jカーブを掘ってスタートアップ事業をやるよりは、どちらかというといろんなスタートアップの支援をしています。

今は完全に超分散型で生きていまして。例えば、「リットリンク∞カード」を作っているTieUpsっていう会社の顧問を務めています。他にも何社か僕の顧問先がここに来てるんですけども。あとは、エンジェル投資家をなんちゃってでちょっとやったり、たまに講演に出たり。

この3人は、なんだかんだいっていろいろやってるんですけど(笑)。いろんな会社のPRの支援を、自分が出るかたちでもやっています。去年までは、上場企業のトレンダーズ株式会社の社外取締役も務めていました。

:たぶん、今はいろんなtoC・toBのサービスをやっていると思うんですけども、よかったら簡単にご紹介でも。

小柳津:今までやってきたサービスなんですけど、コロナが流行したタイミングで、西麻布に飲食業を立ち上げてまして(笑)。飲食×ITのデリバリーブランドをやったり、二日酔いに効くサプリメントのDtoCブランドをやったりとか。

オンラインサロンはもう4年間やっています。社会人が200人ぐらい集まって、組織人をやりながら二足三足のわらじを履くコミュニティをやったり、最近は高機能入浴剤のブランドを関連会社で立ち上げたりしています。

実は僕、今は福岡に住んでいます。事業をやる目的で福岡に引っ越したんですけど、せっかくなので福岡市のPRをやったり地場の企業を支援もしています。おもしろいお仕事で言いますと、「Homewine」さんっていうワインのサブスクをやっているDtoCの会社のイメージキャラクターを、1年ぐらい務めておりました。

なぜか僕が出た広告のCPAが良かったっていう(笑)。まぁそういうのが出る価値だなと思ったんですけど。こういう広告活動を通して、意外とワインと相性が良いと発見できたので。そんな感じでやらせていただいております。よろしくお願いします。

:本当に幅広く事業展開されていて、一時期は自分でもJカーブを掘る事業をやろうとしたこともあったと思うんですけど、今はどっちかというとスタートアップのサポート側に回って。

小柳津:そうですね。あちらこちらに行きながら、縛られずに自由に生きているんですけど。福岡が半分、東京が4分の1、京都や北海道などほかの所が4分の1で、いろんな生き方・働き方を模索している感じですね。

:そのへんのメディアの活用方法も、またおうかがいできればと思います。

学生起業でコスメブランドと美容メディアの運営

:続いて2代目……考えてみたら、同じ2代目ですね。

尾﨑:(笑)。

小柳津:そうなんですよ。

:2代目バチェロレッテをお務めになった、尾﨑美紀さんです。よろしくお願いします。

尾﨑:みなさん初めまして、DINETTE株式会社の代表の尾﨑美紀と申します。本日はよろしくお願いします。

私は2017年、大学生4年生の時に起業しました。コスメブランドと美容メディアの運営をしているDtoCの会社で、今期で7期目になります。

プロフィールにも今お話ししたことが書いてあるんですけれども。もう本当に小柳津さんとかと違って大手企業での経験がない中、学生起業で自分のメディアやビジネスを通してここまでやってきたっていうのがあって。今日は、ビジネス経験なしで起業したい方にも刺さるようなお話ができればいいなと思っています。

弊社のビジネスはもともと美容のメディアから始まりました。そこからお客さまの声を拾ってプロダクトにアップデートするかたちで、今は2ブランドを展開しています。今後も、会社のミッション・ビジョンに合わせて、複数ブランドを展開していくということで、オンラインとリテールのビジネスを強化しています。よろしくお願いします。

:ありがとうございます。特に女性のメディアを活用している点と、ご自身がお客さまの顔になってDtoCブランドをやっている点は、我々とはまた違う経験だと思うので。そのへんもこのあとうかがえればと思います。

会社の発信の仕方を模索する中で目をつけた「SNS」

:そういうお話をうかがう前に、モデレーターの私もちょっとだけ自己紹介をさせていただきます。あらためまして、4代目バチェラーを務めました黄皓と申します。よろしくお願いします。

小柳津:めちゃくちゃ写真かっこいいですね。

:実物が悪いみたいな言い方やめて(笑)。

小柳津:いやいや実物もかっこいいんですけど、キマってるなと思って(笑)。

尾﨑:(笑)。

:私も実は、もともと大手のサラリーマンをやっていまして、2016年に創業いたしました。創業した時に最初に思ったのは「自分が実現したいことややりたいことを、どうやったら世の中に知ってもらえるかな」ということです。当時は「広告費をかける」っていう選択肢がなかったんですよ。

私は創業資金数百万円で会社を作ったんですけど、誰からもお金を借りずに「どうやって自分自身で会社の発信をしていったらいいんだろう」と悩んだ時にSNSに目をつけて。そこから運よくマスメディアに拾ってもらって今日を迎えていますので、どういう工夫があったのかもお話しできればと思います。

今は、ミラーフィットという会社をイチからベンチャーで立ち上げまして。DtoCでスマートミラーをご自宅にお届けして、家の鏡でフィットネスを楽しんでいただく(サービスを提供しています)。

解約率も今は1パーセントを下回っていて、日本で一番定着している健康サービスかなと思っています。今日は、こういった事業にどういうふうにつなげていったのかをご紹介できればと思っております。

「主役にいきなりなれるチャンス」

:ということでさっそく(始めます)。3人で事前に打ち合わせをして「たぶん、みなさんはこんな話を聞きたいんじゃないかな」ってことをまとめてきましたので、それに合わせて質問していければと思います。じゃあまず林太郎さんなんですけど、もともと大手の会社で役員をしていましたよね。

小柳津:役員というか、幹部みたいな感じでした。

:幹部をやられてた中で、メディアを活用して出ていったわけなんですけども。そもそも、なんでマスメディアに出ようと思ったのか、出たあとにどんな戦略を描いていたのか、教えていただけますか。

小柳津:僕の場合、もともと学生時代は俳優志望で、ずっと演劇をやっていたバックグラウンドがあって。「いつかアカデミー賞を取りたいな」って夢があったんですよ。『バチェラー』の誘いは本当にたまたまで。

僕は、『テラスハウス』とかは見てたんですけど『バチェラー』は見ていなかったんですよね。なので、「婚活番組なんだけどどうですか」と聞かれても「いや、絶対やらない」って最初は断っていたんですよ。なんだけど「これ絶対に林太郎さんが出たほうがいいよ」「1回、Amazonの話を聞いてくれ」と、キャスティングをやっている10年来の親友に言われたので「まぁ聞いてみようかな」と思って行きました。

いろいろ話を聞く中で、プロダクションの規模や宣伝にかける予算がかなり半端ないなってところで、そういう「主役にいきなりなれるチャンス」はなかなかないよな、とちょっと心が揺れた瞬間(がありました)。

ただやはり、会社の幹部をやっておりましてメンバーが40〜50名ぐらいいたので、「会社のメリットになるかな」と考えると、いろいろと公私混同しそうだなと思いました。なので、あくまでも個人として、昔からやりたいと思ったことに近づくため。あとは、本当に結婚願望があって婚活もしたかったので、出ようかなと思ったんですよ。

:その時点では、メディアを活用して自分で創業することや、プロダクトやサービスを作ることまではイメージされていなかった?

小柳津:まったく考えていなかったです。……あっ、ちょっとはサイバーエージェントの新卒採用や中途採用に寄与するんじゃないかなって妄想はしていたんですけど。会社が好きだったので、その時はぜんぜん独立するつもりもなかったんですよね。なので、自分でそれをきっかけに起業して、何か自分に向けたプレゼンスを使ってビジネスをする発想は、最初はあんまりなかったんですよ。

「女性起業家」として感じていた課題

:なるほど。一方で、自分でブランドをやって、すでに起業していた尾﨑さん。そもそもサービスもプロダクトもある中で、あらためて「マスメディアに出てください」ってオファーがあった時はどうでした? 「婚活をしたい」「自分自身が有名になりたい」「会社のプロダクトの良さを世の中に広めたい」とか、いろんな思惑はあったと思うんですけど。実際の考え方はどうですかね。

尾﨑:私も林太郎さんと一緒で、いろいろと抱えるものがあったりするから、経営者として出ちゃうと公私混同するなと思っていて。なので、それ(経営者)じゃなくて、個人として考えてメディアに出ようと思っていたんですけど。

女性起業家として7年やっている中で、本当に大変なことがたくさんあって。例えば資金調達の時に「女性起業家っていつまでビジネスするんですか?」みたいな、男性だったら言われないようなことを普通に言われちゃったり。「本当にビジネスしてますか?」みたいなことを(笑)、やはり言われたりして。

まだまだ女性起業家の数が少ないところと、成長していきたい中でサポーターが少ないところを、現実の課題としてすごく感じていました。

そんな中で、私より下の世代の子たちの「女性起業家になりたい」っていう声や、「もっと女性起業家のネットワークを作っていこうよ」「みんなで応援し合っていこうよ」っていう話が周りでもすごく出ていて。

なので、こういうメディアに出ることで、女性の起業家や女性の活躍にすごく希望を与えられるといいなと思う意味合いもあって。あとはやはり、その時はパートナーもいなかったので、番組的に婚活もしたくて。いろんな意味で出ました(笑)。

:いろんな意味でね(笑)。番組自体は本当にね、けっこう本気の婚活をしますし、私なんか特に結婚までしてますので、番組の真剣度は変わらないんですけど。

どこまでを見せるか、経営者としての「線引き」の難しさ

:一方で「個人と会社を区別したかたちで出る」っておっしゃっていたじゃないですか。でも実際に出てみると、やはりどこか一緒にはなるじゃないですか。思い描いていたメディアに出たあとの自分と今って、実際どうですか? けっこう差はありますか?

尾﨑:事前の打ち合わせでも「『どこまでを見せるか、見せないか』みたいな話はすごくあるよね」っていうのを3人で話していて(笑)。経営者としての面をどこまで発信するかもそうだし、自社の代表としていると自社のサービスと私がひもづいている状況になるので。その中で、メディアに出る人間としてどこまで発信するかは「すごく線引きが難しいね」みたいな話はしていましたね。

小柳津:線引きは難しいですよね。僕(の出たシーズンは)は配信終了してから5年経っているので、一応いろんなアップダウンを……まぁみなさんも常に経験されているんですけど。出た直後はすごく急激にフォロワーが増えて、リアクションもすごくたくさん来るので、どういう対応をしていいのかちょっと戸惑うというか。

僕は普通に自分の日常を出したいなと思って、昔から(SNSを)やっていたんですけど。やはりちょっと「フォロワーさんが好むコンテンツの傾向に沿って答えていかなきゃ」とか、いろんなことを考えて今に至っています。

いろいろと運用していく中で、自分をフォローしてくれてる方々が喜ぶこと・喜ばないことの性質がわかってくる。なので、メディアに対しての自分のあり方みたいなところは、あれやこれや言われながら、ようやくフリーな感じでやれるようになったなと思いました。

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