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IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO 株式会社OpenFactory(全1記事)

印刷物の大量生産・大量廃棄...「工場」が抱えるボトルネック 業界の問題をスタートアップで解決する「Printio」の目指す世界

「IVS2023 KYOTO」内にて、次世代の起業家の登竜門とも言われる日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」が開催されました。本記事では株式会社OpenFactory堀江賢司氏による、オンデマンドプリントサービス「Printio」についての6分間のプレゼンテーションをお届けします。

在庫も廃棄もいらなくなるのに…印刷工場の「小ロット生産」の課題

堀江賢司氏(以下、堀江)作りすぎないものづくりで真にサステナブルを目指す、オンデマンドプリントサービス「Printio」です。

みなさん、今日着ているTシャツや会場の装飾物、紙以外にもさまざまなものが印刷でできていますよね。そんな印刷物を多めに作って廃棄してしまう、そんな経験ありませんか? また、アパレル業界を中心に大量生産・大量廃棄が社会問題になってますよね。

必要な時に必要な数を簡単に頼めて、すぐ届く。そうすれば在庫も廃棄もいらなくなりますね。でも、なかなかそういう発注ってできないんです。それはなぜか? 工場が対応できないからです。

僕の家業は布の大量生産の工場でした。その中で小ロット生産取り組もうと思ったんですが、その課題は受注処理の大変さでした。1件当たりの受注コストが3,000円を超える場合もあります。

ふだん大量生産をしている工場では、工場の中でも製造指示書を作ったり、データのチェックも人手がやったり、多くの工程に人手がかかっています。小ロット生産で利益を出そうと思っても無理でした。

でもこれ、効率化するソフトウェアがあったらできるんじゃないかなと思ったんですよね。それを僕は家業の中で作ろうと思いました。その時に出てきたのが、考え方の課題です。プリンターはお金を生むが、ソフトウェアはお金を生まないのではないか。この考え方を製造の現場は持っていました。

全国にいる“仲間”の協力で、オンデマンド生産のサプライチェーンを築く

ただ、家業を知っているからこそ、ハードウェアにふんだんに投資をしている製造業が、ソフトウェアっていう「よくわからないもの」に投資をする体力までは余裕がないことは、もう目に見えていました。だからこそ、ソフトウェアを1工場で開発していくのは難しいなと思ったのが現実でした。

ですが、グローバルではこのオンデマンド生産がすごく伸びていて、私はソフトウェアの可能性を諦めきれませんでした。その時に「堀江さんがやるんだったら、うちもオンデマンド生産やるよ」って言ってくれたのが、全国の工場の跡継ぎの経営者たちでした。

ここ京都にも、デジタル染色に取り組む老舗の染色工場の仲間がいます。僕たちがプリントで作ったのは、工場がオンデマンド生産を効率的に作れるソフトウェアです。

製造工場では、常に大量生産をしている工場に私たちが注文を集め、最適な工場へ振り分けます。工場は、これまで手作業で作っていたような製造指示書も作る必要はありません。ボタンを押すだけで一括出力ができます。

印刷する資材の発注や引き当ても間違えないようにできています。印刷のチェック、これもいりません。バーコードをスキャン、ピッとするだけで、印刷データと職人の設定を専用ファイルで作って、プリンターを制御します。今日入った新人スタッフでも、本格的な印刷ができるラインに入れます。

品質管理と梱包。これはもともと製造工場が得意なところなので、特に問題ありません。ただ、個別出荷したことがなかったので、バーコードをスキャンするだけで送り状が出て、出荷間違いしないようにシステムでケアをしています。

こういった生産システムを入れることで、工場の受注処理コスト大幅に下がることができました。そして、僕の仲間の工場、協力してくれている仲間たちの工場で、オンデマンド生産のサプライチェーンを築くことができました。

印刷通販サービスではなく、新規事業を生み出すパートナー

その後、僕たちがやったのはこちらです。そのサプライチェーンをWebに組み込める、組み込み型のAPIの開発です。さまざまなWebサイトの中に受注連携をして、新たなビジネスが生まれました。いくつか事例をご紹介します。

さまざまなグッズサイトからは、在庫を持つことなくアパレルを頼めるオンデマンド生産。コクヨさんのような商品メーカーさんでは、自分のデザインでオリジナルのノートが作れるようなパーソナルサービス。お客さまはすごくよろこんでくれています。

またWeb上でデザインができるサービスの中には、印刷機能を組み込むことで、ユーザーの利便性がどんどん上がっています。

私たち「Printio」は、印刷通販サービスではないんです。私たちはみなさん、ここにいるみなさんのビジネスの中に印刷機能を組み込むことで、新たな新規事業を生み出すパートナーだと思っています。

ビジネスモデルは商品の販売を基盤としています。工場は無料で生産システムを使うことができます。余談ですが、生産システムは好評なので、将来的にはプロダクトアウトし、別サービスにしようかと思っています。また、受注者の方には、印刷サービスを進めるのに必要な機能をAPIで提供しています。

実績も累計製造個数14万個、6工場、800SKUと増えてきます。お客さま側の商談件数も増えてます。ECの無在庫化やパーソナライズだけではなく、NFTを使ったなにかなど、ワクワクするお問い合わせばかりです。

「工場」のボトルネックを外していきたい

私たち「Printio」は、印刷の受発注を起点に、オンデマンド市場作っていきたいと思っています。グローバルで伸びている市場ですが、日本はまだまだ小さいです。なぜでしょうか? それは工場がボトルネックだからです。私たちはそのボトルネックを外していこうと思っています。そして、新しい市場を、伸びる市場を作っていきたいと思っています。

現在、APIを組み込まないといけないので開発が必要ですが、多くの事業者さまに使っていただけるフロントサービスもリリース予定です。さらに、日本メーカーの産業プリンターを起点にすれば、世界の工場のハブにもなれると思っています。ここ京都にも、多くのシェアを持つプリンターメーカーさまがいます。

私たちは「在庫も廃棄もない真にサステナブルな世界」を、工場を変えることで作っていきたいなと思っています。スタートアップが産業をエンパワーメントする、そんな世界を作っていきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

司会者:堀江さん、ありがとうございました。

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