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【起業のリアル】起業家の挑戦ストーリー(全4記事)

BtoBでの起業なら、創ってから売るではなく「売ってから創る」 4社Exitした起業家が語る、「先に買う人を見つける」発想

東京・立川を拠点に起業に関連したさまざまなイベントを開催しているStartup Hub Tokyo TAMA。本記事では、代表や立ち上げメンバーとして8社の創業に携わり、4社をExitした起業家の池田朋弘氏が登壇したイベントの様子をお届けします。今回は、「売ってから創る」を実現するコツや、「次の購入者」を呼ぶために必要な取り組みについて語りました。

創ってから売るのではなく「売ってから創る」

池田朋弘氏(以下、池田):起業・Exit経験からの9つの学びの5つ目は、「売ってから創る」。特にBtoBで、コンサルや研修などの方向で起業する場合にすごくおすすめの方法でして、創ってから売るのではなく「売ってから創る」。

最初に起業したポップインサイトでやっていた内容は「ユーザーのことをリサーチできますよ」というサービスだったんですね。「ユーザーがWebサイトやアプリをどんなふうに使うか分析できますよ」と。この分析のリサーチサービスを売っていました。

リサーチをするので、捜査をしたり調査に協力してくれる人が必要なんですが、当然集めるお金もないですし、最初の段階ではそんな人はいないわけですよ。

どうしたのか? とりあえずサービスの紹介ページと紹介資料を作って、「こんなことができますよ」というものを出しました。人がいないので、すぐ言われてもできないわけですが、やっていました。そして売れました。

売れた後にどうしたか。私たちのビジネスの場合は、自分たちで抱えているモニターではなく、友だちに聞いたり、誰かが協力してくれれば何とかなる。

まったくリソースもなかったんですが、売った後に、「こういうWebサイトの調査案件があって、協力してくれないか」と条件に近い友だちにお願いをして、録画させてもらって分析をするところからスタートしました。

売れた後に創るプロセスをやったことで、大きな投資も必要なかったですし、ある意味ニーズを確認した上で創ることができた。こんな感じで事業を立ち上げているんですね。

トップランナー(マーケティング)という今やっている会社も、会社を作る前に売っています。

海外の有識者や業界のプロフェッショナルを呼んだら、その業界の事業をやっている会社のブランディングにもなりますし、マーケティングにも有効なので、やりたい会社が多いだろうと思っていたんですが、本当に売れるかどうかはわかんない。

最初にやったことは、まず会社もサービスも一切ないんですけど、こういう会社・サービスで、こういう提供価値を、こういうプランでできますという営業資料を作ったんですね。

そして、今(トップランナーマーケティングの)社長をやっている女性に、「ヒアリングとかではなく、料金表もちゃんと作って売ってみよう」と。売れたらニーズがあるので実際にやってみようという感じでした。

会社やサービスがあるかのごとくプレゼンして、「実際どうですか? やってみますか?」とクロージングしたら、なんと1社目で売れたんですよ。売れたので、「じゃあ会社を作ろう」ってことで、2020年の11月に登記をして受注し始めました。

「先に買う人を見つける」という発想

BtoBとかだと、持っていなくても売れるものってあると思うんですよね。お菓子を売るとかだと、さすがにお菓子を作ってからじゃないと売れないと思うんですけど、コンサルや研修、プロダクトなんかでも、その場ではなかったとしても、既存のサービスを組み合わせて説明すればなんとかなる。

数が増えてきたらちゃんと仕組みを作ったり、体制を作る必要があるけれども、1件目は自分ががんばったり、工夫したらなんとかなるんじゃないかなと思います。

1社目のポップインサイトも今の会社も、この「売ってから創る」をやったことで、リスクを低くし確度を見極めた上でスタートをすることができた。

『Undercover Billionaire』という海外でめちゃくちゃおもしろい番組がありまして。億万長者が自分の立場を隠して、100ドルだけ持って地方に飛ぶと。90日間で100万ドル、1億円のビジネスを作るというドキュメンタリーだったんですけど。

このチャレンジをしたビリオネアの人が最初に言ったのが、「先に買う人を見つけろ。物を作るんじゃなくて、買う人を見つけてから物を作ったり仕入れるんだ」ということを言っていて、同じ発想だなと思いました。

いきなり創ったり物を仕入れるのはすごくリスクがある。先に売って、その後に用意するほうがリスクもないですし、なんとかなるよというのはすごく大きな学びで、新しいことをやる時にもすごく意識しています。

「売ってから創る」を実現するコツ

ご質問ありがとうございます。「売ってから創るためには多少タイムスパンを稼ぐ必要があると思いますが、何かやっていたことやコツはありますか?」と。

やはり嘘をつくわけではないので、受注したあとの見込みは当然立てていますよね。リサーチも、売れた時は友だちを回ったらなんとかなるかなとか。

さっきの有識者の登壇をするオンラインイベントも、これはもともと自分の会社でやっていた手法ではあるので、売れたらがんばったらできるということはわかっていた。ちゃんとできることを創る前に決めておいて、売れたらなんとかなるものを売っていますね。

売ってもなんともならないものを売ってしまうと、失礼ですし信頼も失うと思うので、ちゃんとできることを売るのは重要だと思います。当たり前ですけどね。

もう1個、「どうやって売るんですか? マーケティングはどうしてるんですか?」という質問です。

最初はグレン・スターンズの動画(『Undercover Billionaire』)でした。最初にどうやって売るかを考えてから起業したほうがいいですね。売り方がわからないのに起業してモノを創っちゃうと、失敗する可能性が高いと思います。これは事業によって違うかなと思います。

例えばトナリスクの場合は、最初広告を出して集客しようと思ったんですが、ぜんぜん費用対効果が合わない。なので、クチコミだったりテレビに出てPRするとか、メディアに露出していく方向しかないと思って、メディア露出をすごくがんばっているんですね。

その甲斐があって、Abemaとかテレビとかに出始めて、広告を出さなくてもぼちぼち売れ始めて、これをどんどんスケールしていくのがトナリスクという事業のやり方です。

一方で、トップランナーマーケティングは、オンライン展示会をやっているとか資金調達をしたBtoBスタートアップとか、ターゲットをかなり決めているんですね。

ターゲットを限定していて付加価値もわかりやすいので、問い合わせフォームからバーッと打診したり、知り合い経由でつないでもらって、何件か話したらサービス内容がいいんで売れるんですよ。

こういう泥臭いアプローチでなんとかなるという見立てがあったので、トップランナーマーケティングはそんなふうにしています。

このような感じで自分が持っている手持ちのリソースとか、つながりや状況、あと商材によってやることはぜんぜん違うと思うんですが、「どうやって売るかは先に考えてから起業したほうがいいよね」ということは間違いなくあります。見立てがないままに起業するのはやめたほうがいいですね。たぶん失敗すると思います。

購入者の話を聞いて、「次の購入者」を呼ぶ

続けて6つ目。「顧客と会い、常に改善する」。サービスを創った後になりますが、自分の思い込みでバンっとサービスを創って、そのまま突っ走ってもあまりうまくいかないと思うんです。

そうではなく、売れたらちゃんとお客さんと会って、「なんで買ってくれたのか」「どういう経緯で知ったのか」を聞いた上で、それを活かして他のお客さんにも適用できるようブラッシュアップしていく。こういったことがすごく重要です。

例えばトナリスクは、最初に広告で何件か売れました。見も知らない会社のサービスにお金を払ってくれたので、「どういう経緯で知ってくれて、なんで相談しようと思い、そして買ってくれたか」ということをいろいろと聞いていたんですね。

そうしたら、例えばある人が「不動産系のYouTubeを見た」と。その中で「隣人も重要ですよね」と言っていたのを聞き、そういう調査があるのかなと調べたら、広告が出てきてトナリスクを知り、やってみようと思ったということを聞きました。

不動産を買う時にYouTubeで調べるということを知り、調べてみるとチャンネル登録者数が5万人とか10万人くらいの不動産系のYouTuberが何人かいたんですね。そこから「コラボしてくれませんか」と打診して、コラボからお客さんが来るみたいなことにつながったり。

購入者の話を聞いて、サービスの内容やプロダクトのブラッシュアップをやった結果、上向いてきたかなと思います。

買ってくれた人は、何かしら課題があったり、意図があるので、それを把握した上で、サービスやマーケティングに活かしていく。このサイクルを回すことがすごく重要です。

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