CLOSE

【起業のリアル】起業家の挑戦ストーリー(全4記事)

8社創業、うち4社をExitした起業家が大切にしていること 起業が当たり前ではない時代に周りに置くべき人とは?

東京・立川を拠点に起業に関連したさまざまなイベントを開催しているStartup Hub Tokyo TAMA。本記事では、代表や立ち上げメンバーとして8社の創業に携わり、4社をExitした起業家の池田朋弘氏が登壇したイベントの様子をお届けします。今回は、「自由恋愛」と「見合い結婚」の2つのM&Aや、「自燃性」「可燃性」「不燃性」の3種類の人間について語りました。

8社の創業に携わり、4社をExitした池田朋弘氏が登壇

池田朋弘氏(以下、池田):みなさん、こんにちは。池田と申しまして、今メンバーズという会社の顧問もやりつつ、複数の会社を同時に起業しています。

今回は「起業家の挑戦ストーリー」ということで、自分自身もチャレンジ中ですので、偉そうに伝える立場かと言われるとちょっと疑問はありますが、これから起業する方にも、起業中の方にも、有益なお話や少しでも参考になる内容が伝えられるのではないかと思いますので、そういった機会にできればと思っています。よろしくお願いします。

最初に自己紹介ですが、メンバーズという会社の顧問をしています。

メンバーズは東証プライム上場企業で、社員数は今2,500人くらいの企業になります。なぜ顧問をやっているかというと、実はM&Aで私が起業した会社がメンバーズのグループ会社になりまして、その兼ね合いもあって、自分の会社の社長とメンバーズの執行役員を2021年3月までやっていたんですね。

ただ、起業家としていろんな会社や事業をやりたくなっちゃうので、そこでいったん退任して、新しい会社を今、3社、4社とチャレンジしている状況です。

とはいえ、関係を完全に断つのはもったいないよねということで顧問になっている。プライム上場なので、顧問と言うとちょっと安心感があるという感じで、よく肩書としては使わせてもらっていて、お互いにいいかたちでパートナーシップを組んでいます。

タイトルにも書かせてもらったんですが、数えたところ、一応8社の創業に携わっていまして、4社のExitの経験があります。

また、リモートワークを2015年から採用していまして、自分が使うとかではなく、組織を運営してリモートワークでかつ業務委託の体制で事業を作っていくみたいなこともやっています。ですので、今の新しい時代においても、比較的先進的な取り組みをやっている部分があるかなと思います。

そういったところからも、これから起業する方や、今起業されていてもっとレベルを上げたいという方に対して参考になるところがあるんじゃないかなと思っています。

また、2022年1月からはYouTubeをやっていまして、2023年1月にChatGPTを取り上げたところ、その時点ではチャンネル登録者数が6,000人くらいだったんですが、6月時点で5.6万人という状況になっています。スタハ(Startup Hub Tokyo)でもChatGPTに関して3回ほど登壇させてもらったんですが、そんなことをやったりもしています。

大学時代から始まった起業体験

今日のメインテーマとしては、起業や新しい事業を立ち上げていく中で、「振り返るとこういう学びがあったな」というものを9つピックアップしているので、なるべく時系列でお話しできればと思います。

学びにいく前に、そもそもどういう起業をしているのか、どういう流れがあるのかをわかっていただいたほうが内容が入りやすいと思うので、自己紹介の延長として、まずは8つの起業経験と4つのExitについて簡単に共有できればと思います。

私は今38歳で、2008年に大学を卒業して社会人になりました。最初の起業体験は実は大学時代でして、2006年に起業に参画しました。起業と言っても、社長ではなく、私はCTOというエンジニア的なポジションでテクノロジーを担当する人間として起業にジョインしました。

この後、ビービットというユーザーエクスペリエンス(UX)をやるコンサルの会社に新卒で入りまして、ここで5年ほどコンサルタントをしました。

この過程で、ビービットと並走しながら副業のような状況で2つ目の起業に携わります。これはセールスサポートという会社で、今はネオマーケティングという会社のグループ会社になっていますが、ここでも社長ではなくて、チーフマーケティングオフィサー(CMO)として参画しました。

法人営業で企業リストを作りたい方向けに企業リスト作成ツールを、今で言うSaaSのような感じで販売をし、私はマーケティングを担当していました。この会社は、先ほど申し上げたネオマーケティングという会社に2015年に事業譲渡をしまして、Exit2つ目が終了と。

8社の起業と言いながらも、ここまでは自分が社長ではない、私がメインでの起業ではないんですね。自分が初めて社長として創業したのは2013年のポップインサイトという会社です。社会人5年目くらいですね。

この会社は、先ほど申し上げたように2017年にメンバーズという会社に買収されまして、M&Aでグループ化され、私は親会社であるメンバーズの役員もやっていました。これが3社目の起業で、3つ目のExitになります。

「自由恋愛」と「見合い結婚」の2つのM&A

ちょっとわかりづらいんですが、ポップインサイトと並行してもう1社、途中でクラウドソーシングの会社を作り、これも社長として起業しました。

実はポップインサイトがあまりうまくいっていない時期がありました。2015年くらいで、一方でクラウドワークスさんがばっと伸びたり、ランサーズも成長していた。フリーランスやクラウドソーシングで何かをしようと盛り上がっていて、「ここは事業的にいけそうだな」と思ったので、ポップインサイトではなく、完全に別の事業体として創業しました。

この会社はどちらかと言うと、事業が成長したら早いタイミングで事業譲渡をしようと思って作ったこともあって、2015年に作って1年後くらいには売上も立ってきたので、M&Aの仲介会社に入ってもらって、2016年に事業譲渡しました。

ポップインサイトはメンバーズから声が掛かって、別に会社を売ろうと思っていたわけではないんですが、条件も合い、方向性も合ったので、ある意味「自由恋愛」のような感じでM&Aをしています。

4社目の会社は意図的に仲介会社を使った「見合い結婚」みたいな感じで、相対で先方から声が掛かって、M&Aをする気はなかったけどもしちゃうのを「自由恋愛」と言っていますが、これをかなり同時期にやっているのは、比較的珍しいキャリアというか、珍しい経験を積んでいるんじゃないかなと思います。

ポップインサイトは2017年にメンバーズに譲渡した後も社長をやっていまして、こっちの社長とメンバーズの役員を2021年3月までやっていたわけです。

過去4年間で4つの起業に関与

やはり、起業を1回しているといろんなことをしたくなっちゃうんですよね。なので、メンバーズの役員をやりながら、2020年4月にまた別の会社を作りました。これが起業5つ目ですが、探偵の会社と組んで、家を買う時に横に誰が住んでいるかを調べようというトナリスクという会社です。

この会社は今でもバリバリやっていまして、最近テレビに出たり非常にがんばって情報発信していますが、事業としてはまだまだなので、しっかり伸ばしていかなくちゃいけないなと。

これは私が起案して一緒に会社を作り、私はパブリックリレーションズやマーケティングを中心に関わっています。これは起業中という感じですね。

これとは別に、これも特に意図したわけではないんですが、ポップインサイトに非常に優秀な女性の部下がいました。この部下と一緒に、海外の有名な人を連れてきてオンラインイベントをするという取り組みを、ポップインサイトのマーケティングでやっていたんですね。

このマーケティングは、別の会社でも売れるんじゃないかなともともと思っていたんですが、彼女が海外に引っ越すということでメンバーズを辞めなくてはいけないと。それで、自分で起業するということで、一緒に起業することになり、2020年10月くらいにトップランナーマーケティングという会社を作りました。

これも今でもやっていまして、今日の登壇前もトップランナーマーケティングのアポイントに行っていたんですが、企業向けにBtoBマーケティングを支援する会社をやっています。

さらに、2021年からグロース・キャピタルという会社にマネージング・ディレクターとして参画しています。グロース・キャピタルは上場企業向けに非常に骨太な支援をしているんですが、投資家向けに自社をアピールするIR領域の新しいサービスを立ち上げようとしていて、これの事業責任者として今活動している。

ちなみにこの会社は先週日経にも載りまして、けっこうがんばって活動しています。おそらく上場企業や株式投資に関心のある方は、そのうち目に入るケースが多くなるかなと思います。

また、2023年に先ほど申し上げたYouTubeがちょっとブレイクして、ChatGPTの流れが来ていると。YouTube経由で相談があったり、いろんな発信力を持ったので、これはやらないわけにはいかんだろうと。

今は起業の5、6、7つ目をやっていて、けっこう大変なのでやるかどうか迷ったんですが、やはり流れに乗らないのは起業家としてあり得ないということで、がんばってChatGPT系のプロダクトや、コンサル・研修をやる会社も作りました。

なぜこんなに何社も起業するのか?

ここまで聞いて、「意味わかんないな」と思うと思うんですが、経歴はこんな感じです。エネルギッシュにいろいろとやりながら、多くの学びがあったので、今日のメインはこの学びを共有できればと思います。その他、気になることがあったら別途聞いてください。

事前にご質問をいくつかいただいていまして、自分でも「確かに疑問になるな」と思ったのでお答えします。今Zoomでも似たようなご質問をいただいたんですが、「なんでこんなに何社も起業しているの?」というご質問です。

起業をした結果、新しいことをやったり、新しいことを思いついて動くことが好きになっちゃったんですね。2013年に自分で社長をするまでは、別にそこまで精力的ではなく、もともとめちゃくちゃアクティブかと言うと、そんなことはなかったんですけど。

社長という立場でオーナーシップを持っていろんなことを進めていくと、自分で物事を動かしたり新しいことをすることに抵抗がなくなってくる。おもしろくもあるし、慣れると抵抗もなくなってくるので、結果的に「やろう」とアクションになりがちなんですね。

人によっては、1つの会社の中でいろんな新事業を立ち上げるというパターンもあると思うんですが、私の場合はメンバーが違ったり事業ドメインが違う場合は、違う会社という発想になって、会社を分けてやっています。

起業家としてオーナーシップを持って新しいことを始めた結果、新しいことをやるのが好きなり、やることの抵抗がなくなってきたので、どんどん新しいものが立ち上がっていると。

1つの会社でいろんな事業をやるパターンと、私みたいに別の会社をバンバン立ち上げていくパターンがあり得ると思いますが、これはそんなに大きな差ではないと思っています。私は新しい仲間を巻き込んでいったり、新しく会社を作るのがおもしろいのでそういうスタイルにしている感じです。

複数の会社を起業するメリット・デメリット

今質問いただいたメリット・デメリットですが、これは正直あります。私のような複数の会社をやる最大のデメリットは、何をやっている人かがよくわからなくなっちゃうこと。なので、自己紹介をめちゃくちゃしづらいんですよね。

Facebookとかでも、ほとんどの人は1つの領域に的を絞っていて、領域を絞るからこそ、どういうブランディングでどういう人間かが明確になると思うんですが、私の場合はFacebookの発信もけっこう大変です。

ある時にはA社の話をしているけど、別の時にはB社の話をしなくちゃいけなくて、見ている人からしたら何の人かがわからないじゃないですか。

一つひとつの会社の立場で会う時には何の問題もないんですが、ふらっと会った時に「何の人ですか?」と聞かれると、「これもあれもそれもやっています」という感じになりがちで、これがちょっと面倒くさいしデメリットですね。

あとは時間配分も、1社が忙しくて1社が暇というのが一番いいんですが、忙しい時って被るんですよね。波が来る時は、どこも波が来るような感じがして、忙しい時はめちゃ忙しくなる。あまりうまくいっていない時はどこもうまくいっていないんですよ。

波がいい感じに調整されるといいんですが、忙しい時期が被り、相当ブーストしないとできないみたいなことがちょいちょいありまして、それもデメリットかなと思います。

ただメリットもあります。1個1個ゼロイチスタートで、違う組織、違うチームでやっていくので、それはすごくおもしろいです。一つひとつ完全に別の企業体としてやっていくので、メンバーのオーナーシップも高いですし、まったく新しい経験を同時にいろんな立場でできる。

「何者かわからん」とか、忙しさが被るというデメリットもあるんですが、やはりゼロから新しいものを立ち上げて、新しいチームでやっていくおもしろさがあるので、個人的にはいろいろやっている感じです。

もう1個。こういった新しいことをする時に、「事業計画とかどう作っているんですか?」というご質問もあったんですが、事業計画とかはぶっちゃけあまり作っていません。

もちろん頭の中にはプランがありますし、リスクをなるべく避けるように事業展開していくわけですが、計画をちゃんと作っているかというとあまり作っていません。やはり、やりながら考えていくほうがいいかなと思っています。

融資を受けるとか、必要な時にはもちろん書類を作りますが、ガチガチに事業プランを作ってその通りにやろうとはあまり思っていなくて、その時に思いついた事業案や検証、取り組みをしていくのが楽しいというタイプです。

プランを立てて計画を作ってやっていくことも上場企業の役員時代はやっていましたが、私はそういうのはあまり好きではないことに気づいたので、事業計画をそんなに作らずに楽しくできるのがゼロイチのいいことかなと思っています。

企業や新しい行動を起こす人が周りに置くべき人

ここまでが自己紹介兼経歴の前段でした。ここからがメインになります。これから新しく起業する方や起業したてでこれからやっていきたいと思っている方に向けて、私の経験から「こういうことを学びました」ということをお伝えできればと思います。

1つ目ですが、(スライドの)なるべく「やる気のある人と付き合う」。これがめちゃくちゃ重要だと思っています。

先ほどの起業③でお話しましたが、私が最初に社長として起業したのは2013年で、①、②は別の人が社長だったわけですね。この社長がめちゃくちゃやる気があって、すごく刺激されたんですよ。その人と一緒にやっているので、新しいことをしたり起業することが当たり前のアクションにもなります。

そういうところに憧れや学びがあって、自分で起業するという選択肢を取れたと思いますし、起業した後もうまくいっている。できた理由は、そういう人が刺激になったからかなと。

学生時代の起業の社長は、グロース・キャピタルという、今やっている会社の社長でもありまして、20年くらいつながりがあり、本当にすごくて刺激があるので、自分で起業した後もメンバーとしても付き合っているかたちになります。

やはり自分に刺激を与えてくれる人と付き合ってやる気をもらうのは、これから新しく仕事や起業をする方にはすごく重要なことで、意識的にやったほうがいいと思います。

「自燃性」「可燃性」「不燃性」の3種類の人間

こういったやる気を話す時の例えとして、「人間は3種類いる」という話があります。自分で燃焼する「自燃性の人」、燃えることができる「可燃性の人」、そして、燃えることができない「不燃性の人」。

私は起業する前までは自分を可燃性の人だと思っていました。別に自分から火が点いてバンバン燃えるわけではないと。でも、周りに燃えている人がいたので燃えることができて、今は自燃性のような振る舞いであったり、自燃性っぽいポジションになっていると思うんです。

最初から燃えていたわけではなく、周りにいた燃えている人の影響で燃え始めて、すごく楽しくなっているという印象があります。なので、すごく冷めている人とか、逆に火を消してくるような人が周りにいるとチャレンジがしづらく、すごく大変なことになると思うんですよね。

もちろん周りの人もあえてデモチしようとしてではなく、善意で言ってくれていると思います。でも、今は起業をしたり新しいチャレンジをすることがそんなに当たり前ではなくなっていると思っていて、それを当たり前と思ってやる気を持ってやる人たちとそうじゃない人たちの、どっちと付き合ったほうが自分の行きたい方向につながるのか。

ということで言うと、この会に参加されているような、自分で起業したり事業をしたいと思う方にとっては、起業したことがあるとか、やる気がある人を周りに置いて付き合っていくほうが、将来的にも現時点においても絶対に価値があると思います。

私の場合は意図的にできたわけではなく、たまたま周りにやる気のある人がいて巻き込んでもらったので、今から考えるとすごくラッキーだったなと思います。

意識すれば、やる気のある人・ない人のどっちと付き合うかは主体的に選択ができるので、やる気のある人を選んで付き合っていくことをまずは第一歩として、起業後もやっていくほうがいいのではないかと思います。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 粗利率が低い旅行代理店業務を完全自動化 競合比10倍の生産性を掲げ業界の常識を覆したスタートアップ

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!